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しおりを挟むそれからグルコはギロミの肉体へと移った。
「ははは。どうだムロ? 」
ギロミの顔と声でそんな事を言われてもよく分からないのだが、何かしらの
リアクションは必要だろうと思い「おお」とだけ言っておく。
グルコは体の感覚を馴染ませるように動かし続け、やっとしっくり来たのか
玉座に座った。
「ムロよ、よく私の願いを叶えてくれた。礼を言う、ありがとう」
ムロは礼を言われた所でなんとも思わないが、やるべき事をやった達成感は感じ
ていた。だが、そんな事よりもグルコの願いを叶えたのだから、次は自分の番。
自分の願いを叶えて欲しい。
「分かっているともムロ、お前を元の世界に返してやるよ」
「おう、頼む」
ムロはすぐに帰れるのだと思っていたが、違った。
「ムロ、すまないが今すぐには無理だ。準備がいるからな、それまでの間は
ゆっくりしていてくれ」
グルコにそう言われては従う他ないムロはゆっくり過ごす事にした。
*****
それから三日の間、ムロはいろいろと考えていた。
帰ったら何をどうするのか、考える事は山積みで、いろいろと考えてはみるが
どうも落ち着かないのだ。
あっちが今どうなっているのか分からないから不安ではあるけど、帰れるという
嬉しさはもちろんある。だから気が高ぶっているにはいるが、それでもちらつく
ここでの記憶。
痛ぶられてきた記憶はそう簡単には消えないし、消せはしない。
あいつらがこっちでどうなるかなって知った事ではないが、何もし返す事なく
帰る事になってしまった事がモヤモヤしていた。
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