キャラ文芸倉庫

神託が下る頃

２

　自称神様は俺の後をついて来て、結局家まで来てしまった。
　俺が玄関のドアを開ければ
　
　
「お帰り～　」


　母親が出迎えるが、俺はそのまま自分の部屋へと入る
　
　
「なんだお前、思春期なのか！　いいねいいね、反抗して行こうぜ！　」


「そんなんじゃねえし。てかお前、本当に見えて無いんだな」


　母親が何も反応しないのを確認出来たので、こいつが他の人に見えていない
　という事はどうやら本当のようだった。
　ただまあ、俺だけがどうかしてしまった可能性はあるが、
　それは考えない事にする。
　
　
「だから何回も言ってるだろ、神だって」


「まあ、それでもいいけど。こんな所で何してるんだよ」


「観光？　」


「俺は知らねえよ！　こっちが聞いてるの」


「まあまあ、そう気を張らずにさ。気楽に行こうぜ、うぇ～い」


　こういう軽い発言が信用度を駄々下がりにしている事に気づいて欲しいものだ。


　
　＊＊＊＊＊
　
　
　
「雄一雄一。それ、おいしいの？　ねえねえ、おいしい？　」


　夕食のハンバーグを食べている俺にしつこく聞いて来る神様は本当にうざい。
　だからつい答えてしまった。
　
　
「うまい」


「えっ、おいしい！　お母さんのもあげようか？　」


「いいよ、別に。そういうのじゃないから」


「そ、そお？　」


　神様に答えたつもりが、母親に言ってしまったようになってしまった。
　何か変な空気になってしまって、さっさと食べて自室へと戻った。
　
　
「お前さ、観光してるんだろ？　そろそろ他の所に行った方がよくない？　」


　部屋に戻るなり神様に言ってみるが
　
　
「大丈夫大丈夫、そんなに気にしてくれなくても」


「お前はもっと気をつかえよ！　」


「何で？　」


　俺はもう会話する事を諦めた。