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右ストレート。
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「おおりゃぁぁ!!」
響也が拳を回す。だが見事に拳は空を切った。
「なろ!避けてんちゃうぞボケ!!そこにじっとしとかんかい!!」
それを見たゴリラ顔の男は呆れた表情を浮かべる。
(殴られると分かっていて動かない奴が何処にいる?)
その後も響也は拳を振るうが宮川には擦りもしなかった。
「はぁ、はぁ。‥ん、ぬぅぉぉー!ちょこまか、ちょこまかと逃げ腐りやがって!!お前やる気あんのかゴラ!!!」
響也は肩を鳴らし呼吸は上がっているが、口は減らない。口の悪さに男は更に肩を落とし呆れ果て、息を一つ吐く。
「ふぅ。もういいだろ。宮川、当てれるなら当てていけ。」
「はい!」
宮川は威勢の良い返事をすると、響也の瞳にも火が灯る。
「おっ。ようやっと来る気になっ‥」バゴーン!!「ぶぅ!!!」
響也が瞬きするその瞬間、宮川のジャブが顔にめり込んだ。更に右ストレートが響也の顔面を捉える。
響也はフラフラと後方に下がり、混乱する頭を整理する。
(な、なんや!?ど突かれたんか?全然見えへんかった。)
動揺する響也の表情を見て、男はニヤっと広角を上げる。
(これが経験者との差だ。恐らく彼奴には一瞬の出来事で殴られたのかどうかも分かっていないだろう。さて、‥そろそろだな。あんまりイジメてもいかんし、様子見でこれぐらいにしておこうか。)と男が思った瞬間に響也が宮川に突っ込んで行く。
「ぬぅぉぉー!!」
響也が右拳を振りかぶると、宮川はまた左足を軸に右側へと移動する。それを響也は見逃さない。
(そうや。あのいけすかん奴と喧嘩した時もそうやった。あないして片足軸に周りよったんや。ほなら俺の真横きて顔面どつきよった。なら!)
響也は左足をコンパスの軸の様に踏ん張り身体を回す。すると右側に逸れた筈の宮川は正面に立っていた。
宮川は驚きの表情を見せていたが、ゴリラ顔の男もその表情は隠せなかった。
宮川は更に右に移動しようとすると、今度は逃さまいと響也は右足を前にスイッチして通行を妨げる。
そしてそのまま響也は大ぶりではあるが宮川のボディへと拳をめり込ませた。
ボゴォ!!!と激しい音が響き、宮川の状態が浮き上がり、宮川は倒れこんだ。
「っ‥!しゃぁぁあ!!!」
響也は両手を掲げ歓喜の声を部室内に響き渡らせた。
(まさか、あの土壇場で‥。それに宮川の状態が一瞬浮いた様に‥くっ、仕方ない。)
「ストップだ!!おい!竹下、宮川を、下ろしてやれ。」
「はい!宮川!大丈夫か!?」
他の部員が宮川の安否を確認すると、宮川はフラっと腹部を抑えながら立ち上がり、男の立つリングの外へと出た。
宮川が男を見ると情けなさそうにすると、頭を下げた。
「す、すみません。」
「いや、お前は良くやった。こんな事に巻き込んだ俺の責任だ。お前が気にする事はない。だが、明日からの指導は更に厳しくするからな。」
「はい!」
そう言って宮川は竹下の肩を貸され、隅の方に腰を下ろした。
男は再度、響也を見つめる。
響也は自慢気に拳を振り、ドヤ顔が如く男を見つめ返した。
「ドヤ?オッサン。一撃でやったったぞ。」
男はフンっと鼻息を吐き出すと、響也に「ちょっとこい」とリングから降りる様指示をだした。
響也は訝し気な表情を見せたが、リングを降りた。
そして、男が響也を連れた場所は天上からズッシリと吊るされた赤いサンドバッグの前だった。
あつから使っているのかは分からないが表面の色が擦り剥げて所々が白くなっている。
男はサンドバッグの背後に周り、支える様にし、バックを叩く。
「殴ってみろ。」
「はぁ?」
何の事か分からない響也が首を傾げる。
「良いからここを殴ってみろ。」
磨り減った場所を指定する。
「はっ。何だよコレ。」
若干、バカにしたように響也は軽くこぶしをバックに当てた。
パスッと軽い音が鳴り響くが、男は響也をジッと見つめたまま表情は変えない。
「だから何やんねん?」
更に響也の頭が困惑する中、おとこは無言で響也の真横に立つ。
そして、先程の宮川の様にファイティングポーズをとる。
「いいか。右ストレートを撃つ時は左足を地面に打ち鳴らす様に踏み込み、パンチと同時に踵の浮いた右足を外側に捻り一緒に腰を回す。」
ブォン!!と風切り音が響也の真横で響く。
「直ぐに出来るとは思ってないが、真似て撃ってみろ。」
男は再びサンドバッグを支える。
「はっ!なんやねんそれ。」
バカにする様にソッポを向こうとするが、男の本気顔に響也の表情が固まる。
頭をポリポリと描くと、「はぁ~。」とため息をつくと、「やりゃいいんかい。」と折れ、ポージングを取る。
「思っ切りでええんやな?」
「ああ。」
部室内の空気が緊迫する。
(オッサンのさっきのパンチを真似てどうなるかはしらんけど、やったろ
やんけ、腰を回せ言うてたな。後、足もか。よし)
「行くぞオラァ!」
響也は左足を地面に踏み鳴らす様踏み込み、身体を軸にして腰を回す。
ドゴォァァ!!!!
サンドバッグから激しい衝撃音が鳴り響き男の体が少し浮き上がる。
(ぬう!まさかコレ程とは。)
部員全員も衝撃で喉を詰まらせていたが、響也も自分の拳を見つめ驚きの表情を見せていた。
「な、なんや?今の感じ?」
「それが右ストレートだ。他にも色んなパンチがあるぞ。」
「なんやて!?」
「知りたいか?」
男はニヤっとした表情を見せる。
「う。知りたいと言えば知りたいかも‥。」
「ふっ。なら明日から放課後はここに来い。」
これが響也とボクシングの出会いだった。
一方、真司の方は裏口からとっくの昔に自宅へと帰っていた。
響也が拳を回す。だが見事に拳は空を切った。
「なろ!避けてんちゃうぞボケ!!そこにじっとしとかんかい!!」
それを見たゴリラ顔の男は呆れた表情を浮かべる。
(殴られると分かっていて動かない奴が何処にいる?)
その後も響也は拳を振るうが宮川には擦りもしなかった。
「はぁ、はぁ。‥ん、ぬぅぉぉー!ちょこまか、ちょこまかと逃げ腐りやがって!!お前やる気あんのかゴラ!!!」
響也は肩を鳴らし呼吸は上がっているが、口は減らない。口の悪さに男は更に肩を落とし呆れ果て、息を一つ吐く。
「ふぅ。もういいだろ。宮川、当てれるなら当てていけ。」
「はい!」
宮川は威勢の良い返事をすると、響也の瞳にも火が灯る。
「おっ。ようやっと来る気になっ‥」バゴーン!!「ぶぅ!!!」
響也が瞬きするその瞬間、宮川のジャブが顔にめり込んだ。更に右ストレートが響也の顔面を捉える。
響也はフラフラと後方に下がり、混乱する頭を整理する。
(な、なんや!?ど突かれたんか?全然見えへんかった。)
動揺する響也の表情を見て、男はニヤっと広角を上げる。
(これが経験者との差だ。恐らく彼奴には一瞬の出来事で殴られたのかどうかも分かっていないだろう。さて、‥そろそろだな。あんまりイジメてもいかんし、様子見でこれぐらいにしておこうか。)と男が思った瞬間に響也が宮川に突っ込んで行く。
「ぬぅぉぉー!!」
響也が右拳を振りかぶると、宮川はまた左足を軸に右側へと移動する。それを響也は見逃さない。
(そうや。あのいけすかん奴と喧嘩した時もそうやった。あないして片足軸に周りよったんや。ほなら俺の真横きて顔面どつきよった。なら!)
響也は左足をコンパスの軸の様に踏ん張り身体を回す。すると右側に逸れた筈の宮川は正面に立っていた。
宮川は驚きの表情を見せていたが、ゴリラ顔の男もその表情は隠せなかった。
宮川は更に右に移動しようとすると、今度は逃さまいと響也は右足を前にスイッチして通行を妨げる。
そしてそのまま響也は大ぶりではあるが宮川のボディへと拳をめり込ませた。
ボゴォ!!!と激しい音が響き、宮川の状態が浮き上がり、宮川は倒れこんだ。
「っ‥!しゃぁぁあ!!!」
響也は両手を掲げ歓喜の声を部室内に響き渡らせた。
(まさか、あの土壇場で‥。それに宮川の状態が一瞬浮いた様に‥くっ、仕方ない。)
「ストップだ!!おい!竹下、宮川を、下ろしてやれ。」
「はい!宮川!大丈夫か!?」
他の部員が宮川の安否を確認すると、宮川はフラっと腹部を抑えながら立ち上がり、男の立つリングの外へと出た。
宮川が男を見ると情けなさそうにすると、頭を下げた。
「す、すみません。」
「いや、お前は良くやった。こんな事に巻き込んだ俺の責任だ。お前が気にする事はない。だが、明日からの指導は更に厳しくするからな。」
「はい!」
そう言って宮川は竹下の肩を貸され、隅の方に腰を下ろした。
男は再度、響也を見つめる。
響也は自慢気に拳を振り、ドヤ顔が如く男を見つめ返した。
「ドヤ?オッサン。一撃でやったったぞ。」
男はフンっと鼻息を吐き出すと、響也に「ちょっとこい」とリングから降りる様指示をだした。
響也は訝し気な表情を見せたが、リングを降りた。
そして、男が響也を連れた場所は天上からズッシリと吊るされた赤いサンドバッグの前だった。
あつから使っているのかは分からないが表面の色が擦り剥げて所々が白くなっている。
男はサンドバッグの背後に周り、支える様にし、バックを叩く。
「殴ってみろ。」
「はぁ?」
何の事か分からない響也が首を傾げる。
「良いからここを殴ってみろ。」
磨り減った場所を指定する。
「はっ。何だよコレ。」
若干、バカにしたように響也は軽くこぶしをバックに当てた。
パスッと軽い音が鳴り響くが、男は響也をジッと見つめたまま表情は変えない。
「だから何やんねん?」
更に響也の頭が困惑する中、おとこは無言で響也の真横に立つ。
そして、先程の宮川の様にファイティングポーズをとる。
「いいか。右ストレートを撃つ時は左足を地面に打ち鳴らす様に踏み込み、パンチと同時に踵の浮いた右足を外側に捻り一緒に腰を回す。」
ブォン!!と風切り音が響也の真横で響く。
「直ぐに出来るとは思ってないが、真似て撃ってみろ。」
男は再びサンドバッグを支える。
「はっ!なんやねんそれ。」
バカにする様にソッポを向こうとするが、男の本気顔に響也の表情が固まる。
頭をポリポリと描くと、「はぁ~。」とため息をつくと、「やりゃいいんかい。」と折れ、ポージングを取る。
「思っ切りでええんやな?」
「ああ。」
部室内の空気が緊迫する。
(オッサンのさっきのパンチを真似てどうなるかはしらんけど、やったろ
やんけ、腰を回せ言うてたな。後、足もか。よし)
「行くぞオラァ!」
響也は左足を地面に踏み鳴らす様踏み込み、身体を軸にして腰を回す。
ドゴォァァ!!!!
サンドバッグから激しい衝撃音が鳴り響き男の体が少し浮き上がる。
(ぬう!まさかコレ程とは。)
部員全員も衝撃で喉を詰まらせていたが、響也も自分の拳を見つめ驚きの表情を見せていた。
「な、なんや?今の感じ?」
「それが右ストレートだ。他にも色んなパンチがあるぞ。」
「なんやて!?」
「知りたいか?」
男はニヤっとした表情を見せる。
「う。知りたいと言えば知りたいかも‥。」
「ふっ。なら明日から放課後はここに来い。」
これが響也とボクシングの出会いだった。
一方、真司の方は裏口からとっくの昔に自宅へと帰っていた。
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