ワイが天下無双の浪速の虎!!響也様じゃぁ!!

桂木 鏡夜

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ボックス!

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「確かこっち方面に行きよったよな‥」

 ドン!ドン!と軽快な音が鳴り響く。

 辿り着いた先はボクシング部と木で出来た立て札が立て掛けられた場所だった。

 響也は勿論物怖じせず、ボクシング部の扉をガラッと開いた。

「頼もう!!!!」

 響也の一声で部の空気に沈黙が走る。

「ここに真司とかいういけすかん奴が入ってこんかったかい?」

 そう尋ねてみたはいいものの、部室は沈黙仕切っている。

 暫くして、図体のデカいゴリラ風な男がのしのしと響也の前に立った。

 身長は187センチ程だろうか?響也は見上げる形となる。

「誰だ貴様は?」

 重くのし掛かる様な声で響也に尋ねると響也はニヤっと表情を浮かべる。

「いいかよく聞け!俺様は天下無双の浪速の虎!!響也様たぁ俺の事だ!!」

ゴチン!!!「ぬぅぉ!!」

真上からの鉄槌が響也の頭に突き刺さる。

「な!、何さらす!目ぇ飛び出るか思ったやんけ!!」

「お前の様な頭の悪い奴が来る場所じゃない。帰れ。」

 そう言って男は背を向けると響也は隙ありとばかりに男の背後を蹴飛ばすと、踵が男のズボンに引っかかりパンツ如脱げる形に男は半ケツ状態で地に倒れこんだ。

バッターン!!

部員全員が蒼白の顔を浮かべる中、響也はブプと吹き出し、遂にはケタケタと笑い始めた。

「なぁーはっはっは!ぎゃはははは!!皆さん見て下さい。世にも奇妙なゴリラの半ケツでっせぇ~。」

 響也の煽りに部員がクスクスと笑い始めると「何がおかしい!!?」と男の声で部員全員が再び沈黙を作る。

 男はすぐ様に服を戻し、震える拳を掲げた。

 それを見るや否や響也は口笛をヒューと一つ吹く。

「やろうってんかい?ゴリラさんよ。いいぜ。かかってこいや!!」

「いいだろう。表へ出ろ。」

 「へっ。話がはようて良えわ。」

 響也はフッと外へ出ようとすると、今度は響也が背中をドカッ蹴飛ばされた。

「な!おいコラ!!」

 響也が振り返ると男はベーと子供の様に舌を出し扉をガン!!と閉めた。

「お前ら!何してる!?練習続けろ!!」

「「「う、ウィース!」」」

 部室の外側。

「あんにゃろう!!」

 響也は拳を握り締めるのだった。

〇〇〇〇。

夕方、部室が静かになる頃。

 ようやく部室の扉が開かれると、響也は前に聳え立っていた。

「やっと開きおったか。」

 男は驚きの表情を見せた。

「な!?お前まだ居たのか!!?」

「あないにコケにされて唯で帰れるかい。勝負せぇや!!」

「お前まさか!!」

「なんや?」

「よっぽどのバカか?」

「誰がバカじゃ!!はよ勝負せぇ!って言ってんやろが!」

 男はフウ。と溜息をつくと、部員の方へと顔を向ける。

「おい。宮川!此奴とスパーしてやってくれ。」

「あ?どういう事やコラ!」

響也が怒るのも無理はないだろう。

 男が指名したのは如何にも弱そうでヒョロっちい出っ歯の目立つ男だった。

「此奴に勝ったら相手してやるよ。」

「舐めやがって!こんなヒョロっちい奴直ぐにぶっ飛ばしたらぁ!」

 響也が直ぐ様に飛びかかろうとすると男に首根っこを掴まれた。

「ぐへっ!な、何んやねん!?」

「やるのはリングの上だ。」

「リング?」

 「おい、田中!此奴にグローブとヘッドギアを付けてやってくれないか。」

「は、はい!」

 真面目そうな坊主頭の田中は急ぎ足でグローブとヘッドギアを持ってきて響也に取り付け始めると、ヘッドギアを頑なに嫌がった。

「こないなもんいるかい。顔面なんぞに一発ももらわんとノシてもうたるさかいな。」

 調子にのる響也を男は鼻で笑う。

「いい度胸だ。田中。そいつはヘッドギア無しで良いぞ。」

「え、でも‥。」

「大丈夫だ。」

 男はニヤっとした表情で響也を見ると響也はフッと鼻で笑う。

「わかってるやんけ。」

 そしてリングに上がり、宮川と響也が向かい合う。

「おーおー。そんなヘッドギアけったいな物つけよってからに。ビビってんちゃうぞ!ほーら、かかってこんかいチュー太郎ちゃん!」

 挑発する響也を見た男は更に再確認する。

 此奴はドがつくド阿呆猿だと。

「では始めるぞ!。ボックス!!!」

カーン!!

 勝負の鐘が鳴った。








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