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みつけたど。

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翌朝。

「ほな行ってくる。」

 腫れ上がった顔面のままタバコを蒸し、響也は家を出た。

近所のオヤジが響也を呼び止める。

「おい響也!」

「おう。源じいやないけ。おはようさん。」

「おはようさんやないで。なんぼなんでも制服のままタバコ蒸したらあかんやろ。」

「えぇねん。えぇねん。ここらは先公もおらへんさかいな。」

「いやいや、世間体があるやない。‥て、それよりお前、その顔どないしたんや?」

「ん?あぁこれかい。昨日やられたんや。」

 その響也の一言に源じいは驚きの表情を見せた。

「やられた!?お前がか!?」

「おう。そらモッ凄い簡単に。しかも一撃や。」

 源じいはさらに蒼白する。

「なんちゅう恐ろしい奴が現れたもんや。お前を一発でのせてまう奴がおるやなんて。」

「世界は広いゆうこっちゃな!まぁでも次は負けへん。なんやわからんけどアイツ動き早うて拳しか使いよらへんかったから次会った時は蹴りかまして、物でバチバチいったら。」

「お前、それは人殺しかねんぞ。しかし、動き早よて拳しか使わんゆうたらボクシング見たいやな。」

「ボクシング?」

「せや。テレビでも見た事あるやろ?こぶしだけで戦う格闘技や。」

「おお!アレか!そういえば確かに似てたわ。そうかアイツはボクシングやっとんたんか。道理で強い訳や。」

「そういやお前のいっとる学校にもボクシング部があったやろ。」

「え?マジか!」

「確かあった筈や。一変除いてみたらどないや?」

「せやなぁ。アイツ対策になるかも知れんし、放課後にでも除いてくるわ。ほな源じい、ワイ遅刻してしまうさかいに行くわ。」

「おう。」

 そう言って二人は別れた。

 源じいは何気に腕時計に目を向けると時刻は9時を過ぎていた。

「って、もう遅刻やがな。」


〇〇〇〇

 放課後。

 響也はそろりそろりと教室から出ようとすると背後から大きな声が掛かる。

「コラ響也!あんたまた掃除サボろうとしてるやろ!!」

「ぬぅぉ!!静音!耳元で大きい声だすなよ!かなん!!鼓膜破れたらどないすんねん!ワイは忙しいんや!」

 静音。響也と小学校からの幼馴染で綺麗な黒髪をヒシガタのショートボブに切り男勝りで整った顔立ちの女の子だ。

 勿論運動神経も良く、テニス部で期待の星と称されている。

「何いってのよ!帰宅部の分際で今日は絶対に掃除してもらうからね!皆んなにも示しつかんやろ!」

 そう言って静音は響也に箒を手渡した。

 響也は頬を膨らませたが渋々掃除する事にした。

「ぬぅ!しゃーないの。」

 掃除してから五分程経ったぐらいで静音が今日一日疑問に思っていた事を響也に尋ねた。

「そーいえば響也が顔を腫らしているの珍しいね。」

「ん、そ、そうか?」

「相手、強かったの?」

「アホ!女に関係ないやろ。」

 響也はブスッとした顔ではソッポを向くと静音はニヤケ顔で響也の前に立つ。

「負けたんだ。」

「ふ、‥ふん。確かに負けた。けど次は負けへん。」

「次も勝てるかわからんね。あっ、そや。これを期に喧嘩すんの辞めたらどない?」

「アホ抜かせ。ケンカは学生時分の嗜みじゃ!辞めるかい!」

「とことんアホやねアンタ。人が心配したってんのに‥」

 静音は少し悲しそうな表情を浮かべるが響也は意地を張ってみせた。

「な!心配なんかしてもらわんで結構や!」

「あっそ。何かあっても知らんからね。」

「俺に何かあってもお前には関係ないやろが!」

 その一言に静音はカチンときて、響也にとっかかろうとすると、響也の視線は教室の窓の外側に向けられていた。

 思わず視線はその先へと向けられ、見てみると今日来た転校生の姿があった。

「何?あの転校生知り合いなん?」

「転校生!!?何でお前がアイツ知っとんねん!?」

「アンタが一日中寝てたから気付いてなかったんでしょ。もの凄い男前が来たって女子の間で大騒ぎしてたんやで。それより転校生と知り合いなん?」

「知り合いも何もアイツや!アイツが俺の顔面こないにした張本人やないか!そうか。この学校やったんか!!よっしゃぁ!!探しださんで済む!こうしちゃおれん!ほな静音これ宜しく頼む。」

 響也は箒を静音に手渡すと急ぎ足で教室から飛び出した。

「あ、コラ響也!!!ってもうおらん。‥もう!!」

 静音は地団駄踏むのだった。



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