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2章【】
2話「負ける気はしない」
しおりを挟む「…オークジェネラル。」
(ジェネラルって事はアレが親玉か。)
お腹の中の物は全て吐ききっていたメルは少し落ち着いていた。
口を汚いが袖で拭い、スクッと立ち上がると、急にザッと先程の戦士風の男がオークの方に体を向けたまま俺の前に立った。
「み、…皆んな逃げろ。俺が時間をかせく!」
戦士風の男は勢いよく腰の剣を抜き取り構えるが、身体と声は恐怖し震えていた。
「ラックス!お前カッコつけてんじゃねぇぞ!」
もう1人の戦士も剣を抜き取りラックスとやらの隣に立ち並んだ。それを見たラックスはフッと表情を緩めた。
「ちょっとバカじゃないの!?こんな所でカッコつけてないで早く逃げるわよ!」
「そうよ!早く!」
その行動に僧侶と魔法使いは納得いかず、反発するが、戦士の男2人は背を向けたまま、剣を掲げる。
「サラ。シズネ。男には守らなきゃならない物があるんだ。」
「わかんないよ!そんな事!」
魔法使いは涙目に叫ぶ。
「さぁ、時間がない!リーダーとしての命令だ!早くその子供を連れて行ってくれ!」
「ラックス!!」
僧侶が涙目になりながらラックスの背に抱きついた。
「ラックス。絶対生きて帰って来て。」
「…サラ」
ラックスはサラの手を握り振り返る。
そして口付けを交わそうとした矢先にメルが目の前の2人の間にグっと割り込み、前に躍り出る。
その行動に皆唖然とした表情を見せる。
そして更にメルは軽く肩を回し首をコキコキと鳴らし、両手をブラブラとさせ準備運動を素早く済ませる。
その様子に皆が疑問を抱くのは当然で、この発言が出た事は何ら不思議ではないだろう。
「な、何を?」
「できるかどうかは兎も角。負ける気は不思議としないんだよな。」
メルの発言に皆唖然と立ち尽くすが、メルは気にせず次の行動を起こす。
片手で顔を覆い目を瞑る。
【俺の魔眼よ、今再び漆黒の翼と共に我に力を示せ!!開!眼!!!】
メルの詠唱でメル背中から大きな漆黒の翼がブワァ!っと生え出し、辺りに風を巻き散らしながらフワっと羽を羽ばたかせ宙に浮き上がった。
そしてメルは目を開く。メルの瞳は開眼発動時は宝石の様な緋色に移り変わっていた。
(うん。やっぱり負ける気はしないな。)
冒険者達は何が一体どうなってこの状況なのか、言葉も出せず、ただただ口をパクパクとさせている。
メルはそれには目もくれず、漆黒の翼の効果で魔眼になっているメルの目には至る所の魔物が手に取るように分かる。
そして自分の頭上に光の玉を計32個を浮かび上がらせた。
これはこの集落に今いるオークの数だ。
「【槍光雨】」
キュュウ!パシュウ!!と音を響かせ頭上の光の玉が四方八方に矢の如く放たれた。
そして冒険者達が次に見たものは次々とオークがその光槍に貫かれ倒れこんでいく光景だった。
だが、ここはやはりジェネラル。一撃では仕留めきれなかったのだろう。
身体に光槍が突き刺さったまま、メルの前へと飛び上がった。
だがそれも呆気なく、メルはストレージから魔剣ガルガラを取り出し剣でジェネラルの首をザン!!と切り落とした。
ゲームでこそ、色々と魔物を切り裂いてきたが、実際にするのとでは大きな違いがある。
生き物を殺した。
普段から何かを食べるには殺生は付き物だが普通に日本で暮らしていては、スーパーに出されるのはもう事が済んだ後の物ばかりな為、その現実に触れることはない。
だから偽善かもしれないが後味は余り良い物では無かった。
この世界に何故自分は来たのか?
この世界にこの先もずっといるのだろうか?
いるのなら、こういう事がまた起きてまた殺めてしまうのだろうか?
慣れるのか?
メルの頭の中で色んな事が入り組んでいき、疲れからか意識がフッと消え、それと同時に翼も大剣も光の散りと消え地に落ちた。
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