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2章【】
3話「ストレージイン」
しおりを挟む「うっ…」
メルは気がつけばベットの上で横たわっていた様だ。
「お、気づいたかい。」
そう言ってメルに話かけたのはラックスだった。
「貴方は…。」
「おっと自己紹介がまだだったな。俺の名前はラックスだ。」
ラックスは握手を求める様にメルに手を差し伸べるとメルもその手を持った。
「メルです。」
そのやり取りにラックスはフゥと肩の荷を落とすようにした。
それもその筈だろう。先程メルがした事は明らかに人間離れしていて、もしも敵意を向けて攻撃されでもしたら殺される可能性だってあると思っていたからだ。
だが、エリックはメルに対して、敵意は感じ取れなかった為、疲労で倒れたメルを自分達のいる宿まで運びこみ助ける事にしたのだ。
だがそんな心情を知るよしもないメルはその様子に首をかしげる。
「なぁメル。あっメルでいいよな。」
「構いませんよ。」
メルはニッコリと笑顔で返すと、ラックスはメルの両肩に手をのせる。
「じゃぁメル。起きて早々だけどいくつか質問したい。メルは一体何者なんだ?あんな戦い方は初めて見た。何処かで有名な奴なのか?」
ラックスの質問は最もな疑問だ。
たしかに自分のしていたゲームの中ではなかなか有名人であったが、この世界では誰も名を知る者はいないだろう。
それを証拠にするには疑問はまだ多いが、オークの姿や部屋の中の所々に書かれた文字などは全くと言っていい程ゲームとは違っていたからだ。
それに自分が何者かについても答えは出せない。むしろ何で僕はここに居る?と逆に聞きたいぐらいだ。
メルが答えにくそうにすると、ラックスは肩から手を離し少し下がった。
「悪い。少し興奮しちまった。あれだけの強さだもんな。答えたくない事だってあるよな。」
その時のメルにとってラックスがそう察してくれたことに有り難く思った。
「ありがとう。」
(別世界から来ましたなんて信じてもらえる訳ないもんな。)
「いや、いいさ。ただこれだけは確認しておきたい。メルは敵、…ではないんだよな?」
不安そうな表情を浮かべたラックスに対しまたメルは笑顔を向ける。
「もちろんですよ。介抱してもらいありがとうございます。」
その言葉に安心したのかラックスの表情は明るく変わり、「良かった。」と胸を撫で下ろした。
「なぁメル。そんな事より腹がすいたろ?この下は飯屋になってるんだ。皆もいるし紹介したいんだ。いいかい?」
(そういえばさっき全部出しちゃったしな。お腹は空いている。)
メルの決断は早かった。
「分かりました。皆さんにもお礼を伝えたいですしね。」
「おっし!決まりだ。こっちも助けてもらったお礼だ。今回は俺の奢りだぜ。」
部屋をでて、下へと降りると、人が多く集まり賑わっていた。
オークの襲撃が去った後の祝いがてらに皆で盛り上がっていたのだろう。
そしてその奥で、メルとラックスの姿が目についたあの時の冒険者達がエリックに手を振り呼びかける。
「おーい、こっちこっち。」
メルはラックスに引き連られ皆の席に向かった。
目の前のテーブルには脚が三本ある鳥の丸焼きにサラダなどが並べられていて、美味しそうな香りが立っていた。
腰を下ろすなりもう1人の戦士がメルの肩に手を回す。
「よう!お目覚めかぁ?ったくスゲえガキだぜオメエはよ。」
(う、酔ってるな)
かなり酒の匂いがきつく、メルは苦笑いすると、魔法使いのほうのシズネがそれを引き離す。
「やめなよ酔っ払い。目覚めたばっかなんだから!」
「メル。紹介する。ここにいるメンバーは俺の冒険仲間達だ。魔法使いがシズネ、僧侶がサラ、そしてコイツがツネオだ。」
その紹介の後、メルは軽く頭を下げた。
「助けていただきありがとうございます。メルです。宜しくおねがいしますね。」
メルがはにかむように笑顔を見せるとシズネが高揚する様に頬を染め上げ、自分の感情を抑えきれずかメルに抱きついた。
「可愛いぃ!!」
「ちょっ、ちょっとぉ!?」
〇〇〇〇
「「ギルドに入ってない!?」」
2人ハモって反応したのはツネオとエリックだ。
この世界である程度の強者は基本何処かの町ギルドなどに加入している。
何故ならギルドに加入しているだけで、魔物などの素材を買い取りしてくれるからだ。
例えば、オークなどは日用で良く食べられる肉らしく、ギルドなどに持っていけばそこそこ高く売れる。ジェネラルに限っては肉が最高に美味いらしく、オークの30倍の金額で回収してくれるのだそうだ。
そしてそのオークの死体なのだが、ここは集落の為ギルドは無い。その為今店の前ではオークの死体が大量に並べられているのだそうだ。
それをどうするかでラックスがメルに尋ねた所ギルドも知らないと言うメルの発言を聞き今の現状となった。
「まさかその強さでギルドにも入ってねぇとはな。今までどうやってやり繰りしてたんだ?」
「さぁ?」
苦笑いするしかないメル。
「さぁ。ってお前な…」
ツネオが呆れた表情で何か言おうとすると、エリックがそれを宥める。
「まぁまぁ。けど、あれだけの量だから町のギルドに持って行くにも限りがある。俺達が持てる分だけ持って、後はこの集落の復興支援も兼ねて寄付しようと思うんだけどどうかな?っていっても殆どメルが倒したオークなんだけどね。」
情けなさそうに言うラックスに対し、メルは反対する理由はない。
「いいですよ。その代わりといっちゃなんですけど、僕を町のギルドまで連れてってもらえませんか?」
メルの発言に皆キョトンとした、表情を、浮かべる。
「えっ?そんなのでいいの?」
「全然いいです。あっ、それなら図書館みたいに色んな情報書類が集まる様な場所に行きたいです。」
情報は命だ。この世界の事をメルは出来るだけ知っておきたい。
「それなら町に幾つかあったと思うけど、せめてジェネラルぐらいは持って行った方がいいわよ。あれはすごく高く売れる物なのよ。」
サラがそう言うとメルは少し悩む。
そういえばストレージの中にはお金などは見当たらなかった。
今の所はお金が無くても生活できるが、路銀がないのはいささか寂しいか?
そう思ったメルは答えた。
「分かりました。じゃぁジェネラルだけ回収しときましょう。」
「決まりだな。じゃぁ俺達は明日出発する予定なんだがメルは大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。じゃぁ早速直しに行かないと。」
その発言に皆が呆けた顔をするがメルは何故その様な顔をしているのか理解できず、「外にあるんですよね。行きましょう。」と皆を連れて外に出た。
外に出ると、見事な巨体オークが横一列に並べられていた。
メルにとってあまりいい眺めではないが、気にせずに辺りを見渡しながらジェネラルを見つけ出し、その前で立ち止まった。
「おいメル。直すったって馬車は明日の朝借りる予定なんだぜ。」
ツネオの一言にメルは何故?とばかりに首を傾げ、ジェネラルにそっと触れる。
その瞬間、ヒュン!とその場にあったオークの巨体が姿を消した。
「「「「!!!?」」」」
その場にいた4人は目を丸くし驚愕する。
「な!何したの?」
「何ってストレージじゃないですか。普通でしょ?」
「普通な訳あるか!」
「うわぁ!メル君ストレージ持ちなのぉ!?」
ストレージを目の当たりにした皆が騒ぎ立てる。
「え?普通じゃないんですか?」
「バカかお前は!ストレージ持ちなんてかなり珍しいんだぞ。」
「ギルドなんかでストレージ持ってるなんて言ったら皆んなが押し寄せる程重宝されるんだよ。」
(うわぁ~。この反応からしてギルドではストレージ持っていることは言わない方がいいかもな。)
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