祝福なんていらない

スタローン

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幸せ異世界ライフ、始まりました (洞窟内)

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小鬼と出会ってから数日間、僕はとても充実した日々を過ごしていた。
小鬼は言葉を喋らないが、かなり僕に好意を抱いている様子で朝、昼、晩と食事を提供してくれた。
パンとスープといった決まりきったメニューだったがパンは焼きたてで、スープは毎回味が微妙に違っており入れられる具材も様々な野菜や肉が入れられており飽きることがなかった。

この微妙な味つけの変化はスパイスや山菜によるものだろう。
さらに驚いたことは、なんとヒョロガリ現代っ子な僕の身体に何もしていないのに筋肉がつき始めたことだ。
太ったとかではなく、明らかに腕力がついて15キロほどありそうなそこら辺に落ちていた石を片手で持ち上げることができた。

小鬼は数時間洞窟から離れて洞窟に帰ってきたかと思うと、30分くらい僕の顔を数メートル離れてじっと見つめたりしていた。
彼女は肌は漆黒だが顔は超美系なので見つめられると正直照れるというか、ギンギンに勃起してしまった。

モッコリ!!

しかし彼女にとってはそんなことはどうでも良いことらしく、ひたすら僕の顔をまるで愛おしい我が子を見るような目で見つめていた。

そして夜には暖かいベッド・・とはいかなかったが
下に藁を敷き詰めたシートの上で眠ったのであった。
寝ている間も小鬼は僕のことをずっと見守っているようだった。

そんなヒモのような生活をして幾日か経つと、僕はこの小鬼が作った洞窟ハウスと鉱山の周辺を散策したくなった。
洞窟の中はキッチン、リビング、武器庫、寝室と4つの部屋に分かれていた。
武器庫には壁一面に様々な長さと形状をした槍や刀といった武器が飾られていた。
これを全部1人で集めたのだろうか・・・少し怖くなった。
さらに驚いたのはなんと近代兵器であるはずの回転式拳銃がおいてあったことだ。
どういうことだ?ここは中世ヨーロッパ風の世界観だと思っていたけど案外近代の設定なのか??

自分を今のところ保護してくれている小鬼の機嫌を損なうことを恐れて根掘り葉掘り聞くことはしないようにしよう。

部屋をあらかた探索した僕は洞窟の外に出てみることにした。
廃鉱山らしく辺りには打ち捨てられた小さな小屋が所々にあり、トロッコやツルハシが散乱していた。

あまりこの洞窟を離れるのも怖いしほんの少し様子を見たらまた戻ろう。

そうして歩き出した瞬間、僕の背後に忍び寄るカゲががあった・・・
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