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第二章 冒険者編

第十話 開始

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 俺と師匠は出会った次の日から早速、バース付近にある草原で魔物を狩っていた。

「すみません!そっちにいきました」
 俺の横を、何匹か緑色の肌をした子供くらいの背丈をした魔物《モンスター》が通り抜けていく。
 そう異世界といえばのあの小鬼《ゴブリン》だ。

 後ろで待機していたツバキは「承知した!」と言って腰に差していた刀に手をかけ、一閃。
 たったのそれだけで俺が苦戦していたゴブリンたちを切り伏せてみせた。

 これがゴールドランクまで上り詰めた実力。
 見惚れてしまうほどに綺麗な剣筋だ。

 こちらも倒して一段落ついたところで、俺と師匠が倒したそれぞれのゴブリンの死体から魔核を確認する。
 俺が倒した魔獣から取れたものは割れたり、かけたりしてしまっているが、師匠が倒した魔獣の魔核には傷一つついていない。
 たったこれだけでの差でも価値が大きく変わってくる。

「魔核は人でいう心臓だ。どこにあるかを把握し、的確にそれ以外の場所を攻撃するだけさ」
 師匠は簡単そうに言うが、動き回りながら動く標的に正確に当てる。
 なかなかの至難の業だ。

「まあ、私も最初の頃は魔核を破壊してばっかりだったからな。
 ここは魔獣も多いし、慣れれば余裕も出てすぐできるようになる」

 バースはノリッジと違い、まだ完璧には街の周辺が整備がされていない。
 ノリッジは近くの森に行かなければいなかったが、ここだと町の外にいるだけで嫌というほど出会う。

「早速現れたみたいだ」
 ガルル・・と唸る黒い体毛をまとった狼のような魔獣。

「お、シャドーウルフとはなかなかな奴が来たね」
 さっきのゴブリンとはちがい、師匠も最初から武器を構える。
 魔獣に嫌というほど出会うと言ったが、その中にはもちろん魔法持ちだっている。
 このシャドーウルフも例にもれずだ。

「ウオォーーーン!!」
 シャドーウルフが吠えたと同時、奴の足元の影がものすごい速さで俺たちのもとに伸びてくる。

「来るよ!!」
 掛け声とともに後ろに回避すると、先程までいた場所はその影から出た幾多の針状の物体で埋め尽くされる。

 危ない、こんなの知らなかったら避けれなかったぞ。

 師匠から街を出る前にバース周辺に出現する魔物の種類と攻撃パターンは教えられている。
 シャドウウルフはシャドウの名の通り、影系の魔法を使用してくる動物系魔獣。
 さっきのも見るからにその影系魔法だよな。
 動きはすばしっこく、中距離の攻撃方法もあるから要注意だと言っていた。

 しかし弱点もある。
 その魔法を使用した直後は数秒だけ硬直するため、魔法を避けることさえすればこっちのもんだ。

 シャドウウルフの方を見ると、話に聞いていた通り。
 その隙を逃さなず、一気に接近する。
 狙うは首を、一発で。

「じゃあな」
 狙いすました一撃は見事、シャドウウルフの首を切断する。

「お見事!」
 そう言いつつ、師匠は既に草むらに隠れていたもう二匹を処理していた。
 一緒にいればいるほど師匠の凄さには驚かされる。

「よし、今日はこのくらいにしよう」
 三匹のシャドーウルフの魔核を回収し、俺達はバースに戻った。

 ///

 街に戻って、今日取れた魔核を冒険者ギルドで換金する。
 今日の魔核を売って手に入った金額は・・・
「一日で銀貨三十枚・・・」 
 この世界だと銀貨十枚あれば一ヶ月はなんとか暮らしていける金額だ。
 ちなみに銅貨百枚で銀貨一枚、銀貨百枚で金貨一枚の価値がある。

 魔法持ちのモンスターの魔核があるとは言っても十分すぎる額だ。
 これならちょっといい宿に泊まれそうだ。

「今日はもう暗くなってきたのでさっそく俺たちが泊まる宿を探しましょう」

 大通りを歩きながらいくつもの宿がある中、条件が良さそうなのを探す。

 そういえば、師匠を探してた時もこんな風に探したな。
 ふとここで気になったことがあった。
「なんで師匠は初めて会ったときあんなにお金が無かったんですか?師匠ならもっと稼げるのに」

 師匠はビクッと肩をふるわせた後、笑わないでくれよとぼそっと呟きながらも、俺が来る前に何があったか事情を説明した。
「私はこのとおり、魔剣士と言っても刀がメインで魔法の使用頻度は控えめな方だ。
 ダインの息子がくると聞いて、肩慣らしも兼ねて中級魔法を使用したら・・・」
 ここで止まったので、「したら?」と聞き返してみる。

 すると師匠はきれいな目をしながら空を見上げた。
「・・・間違って、この街の領主の館を全壊させちゃったんだ」

 なるほど、この人は真面目な顔して何を言っているんだろう。
 あまりの出来事になんて言えばいいのか思いつかなかった。

「それでその賠償金でこの服と刀以外全部持っていかれれちゃったってわけさ・・・」
 むしろよくそれだけで済んだものだ。

「それは、大変でしたね」
 師匠じゃなくて領主の方がね。

 館にその時誰もいなかったらしいが、それは幸運というより奇跡だろう。
 てかそもそもどうやったら間違って家を一個破壊してしまうんだ。

「はぁ・・・」
 もう過ぎたことなのでとりあえず深く考えるのはやめて、宿に向かう事にした。

 ///

 1泊2人で1シルバー。
 お風呂きのダブルサイズのベッドが一つの部屋。
 お風呂に入りたいと駄々をこねる師匠の要望でここに決定してしまった。
 2人別々の部屋だと無駄に高くなるからと強制的にひとつの部屋にされてしまった。

「おまたせー、いやー久しぶりのお風呂はいいねー」
「全然大丈夫ですよ・・」
 師匠の方をちらりと見るとそこにはタオル一枚で大事な部分をあまり隠せていない師匠の姿があった。

「なんで服を着てないんですか!」
「いやーごめんごめん、すっかり忘れてたよ」
 どうやったら服を着忘れることがあるんだ。

「早く着てください!」
 最近は年齢が上がる度に復活してきているんだ。
 性欲が。
 しっかり鍛え上げられている肉体。
 適度に大きい胸。
 俺も男の子だ。
 これを見て興奮しないわけが無い。

「ごめんごめん。さ、明日も早いし早く寝ようか」

 師匠はふわぁと、あくびをしながらベッドに横たわっていく。
 さて、俺も寝ようかと、自分のベッドを探す。

「ん?早くこっちに来なよ」
 そう、この部屋はベッドが一個しかない。
 2人寝れるベッドが一個。

「俺は床で寝るんで」
「休める時に休むなくちゃ、いざという時それが命取りになるよ」
 即答される。
 くっ、一緒に寝るしかないのか。
 だが大丈夫。
 俺にはベルと一緒に寝てた経験が。

 ・・段違いだった。
 やはり女の子と女性はレベル違う。
 ベルとは違って胸が特に胸がすごい。

 もうなんだかお腹がいっぱいになってきた。
 ん?お腹いっぱい?
 略しておっぱ・・・

 ・・・結局、その日は眠れなかった。
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