最後の春

さや

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「うふふ…先輩と話しちゃった。」

彩は帰宅し、自室の枕に顔をうずめた。

そのとき、急に携帯が鳴る。

「わっ!誰だろ…。」

画面を見ると、そこには桜先輩と表示してある。

「嘘でしょ!?桜先輩からだ!」

彩は慌てふためく。

「早く出なきゃ、なんだこいつ…って思われそうだし、でも恥ずかしいし…。」

意を決して、彩は通話ボタンを押した。

「も、もしもしっ!」

「そんなに身構えなくて大丈夫だよ。」

電話の向こうで、桜は笑う。

「でもどうして電話なんて掛けたんですか?」

彩は訊ねる。

「ただ彩ちゃんと話したくなって…迷惑だった?」

「そんなことないです!私も先輩と話せて嬉しいです!」

「そっか、ならよかった。」

桜は安堵する。

「あ、あの…先輩…。」

「んー?」
 
「今日先輩が付けてたヘアピン、新しいやつでしたか?」

「えっ、よく分かったね!誰も気付いてくれなくて、ちょっとショックだったんだけど…彩ちゃんに気付いてもらえてよかった!」

桜の嬉しそうな声を聞き、彩は微笑む。

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