神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘

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第7章

6.消えた闖入者たち

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「承知いたしました」
「畏まりましたわ」

 アマーリエとリーリアは即答して頭を下げた。当波は先々代の大神官であり、現役の聖威師にとっては頼れる先達神である。だが、昇天した以上、もうれっきとした天の神の一柱でもあるのだ。口調こそ優しくとも、その言葉は天命となる。逆らうことは許されない。

『ラミ様、神官たちがどこにいるか探してあげて下さい。まずは彼らを捕縛し、仔細を確認しなければ、アマーリエもリーリアも動きようがありません。仮定の話、裏に黒幕がいて操られていたということも考えられますし』
『良いよ良いよ、君の望みなら叶えようとも』

 相変わらずのノータイムで即応したラミルファが、灰緑の双眸をキラリと光らせ――ややあって小首を倒し、んん? と呟いた。

『共有領域をくまなく視たが、それらしい奴らは見当たらないね。おかしいな、三度視たのだが、全てで見落としたのだろうか。フレイム、泡神様、嵐神様、視えるかい?』

 問いかけられた三神も続け様に神威を発動させ、次々と首を横に振る。

『いや、俺も見付けられねえな。使役が使う裏空間まで視てみたが』
『私もだ。神官らしき者たちの姿はないよ』
『こちらも、生身の人間や見知らぬ者は視えない』

 どういうことかという空気が満ちる。

「もしかしたら、愛し子にしてもらえる見込みはないと見て、もう地上に帰ったのかしら? 犯罪まがいの行為までして昇っておきながら、そんなに簡単に諦めるとは考えにくいけれど」
「わたくしも同様に思いますわ。……今、聖威で帝都と皇都の全体と左遷先の分府を視てみましたが、あの子たちの姿はありませんでしたのよ。地上に戻ったわけではなさそうですわね」
『んじゃ、まだ天界にいるっぽいな。だが共有領域にも裏空間にもいないとなると、神罰牢に続く穴にでも落っこちたか、もしくは――』

 山吹色の目が剣呑な輝きを放つ。

『個々の神の領域のどこかにいるかだ。今はユフィーたちが一時昇天してるから、神域の門を開けるか封鎖を緩めてる神が多い』
『それは大変だ。神の個別領域に、同胞でもない者が無断で侵入するなど論外だよ。ちなみに、神罰牢を全て視てみたが、新しく落ちた奴はいないね』

 愉快そうに口笛を吹いたラミルファが言った。となれば、いずれかの神の領域に潜んでいる可能性が高い。だが。個々の神域内部のことは、高位神たるフレイムたちとて勝手には覗き見できない。

「な、何ということを……!」

 真っ青な顔で呻くリーリア。アマーリエも全面同意である。あの二人は、本当に何ということをしでかしてくれたのか。

(もしこれで、神々の人間への怒りが再燃でもしたら……)

 嵐神が凛烈な美貌に厳しさを乗せた。滲む険しさに煽られるがごとく、腕に絡む羽衣がはためく。

『神々に緊急通達を出す。侵入者がいるかもしれない状況を報せないわけにはいかない。各自の神域を確認し、闖入者ちんにゅうしゃが潜り込んでいれば生け捕りにするよう伝える』

 やむを得ない判断だ。下手に内密にしていれば、エアニーヌと慧音がどこかの神域で発見された際、その主神の一存で神罰牢行きにされ、アマーリエたちには事後報告という形になってしまうかもしれない。

「お手数をおかけいたします」
「大変申し訳ございません」
『お前たちは気にするな』

 アマーリエとリーリアが陳謝すると、小さく微笑んだ嵐神はすぐに念話を飛ばしてくれた。



 だが――報せを受けた神々は自身の神域を細部まで透視したが、エアニーヌと慧音は見付からず、その居場所も行方もようとして知れなかった。
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