32 / 604
第1章
32.どうにもならない
しおりを挟む
一瞬の沈黙の後、神官たちが一斉に少年神とミリエーナに向かって跪拝した。国王と王妃、王族もだ。
「私、が、聖威師……? うそ――まさか、そんなこと……夢じゃなくて?」
皆がそろって敬意を表している様を見て、初めは唖然としていたミリエーナの瞳に、次第に勝ち誇った優越感が浮かび上がる。
「何これ……何て気持ちいいの。皆が私に跪くなんて。国王も王妃も、高位神官も、全員が……」
『当然だとも。君は神格を得たのだから。この僕に相応しい美しい女神だ。レフィー、僕の寵を受け入れてくれるだろう?』
「はい……はい、もちろんですわ。私、ミリエーナ・レフィー・サードは、貴方の愛し子にして聖威師になります!」
『ああ、嬉しいよレフィー。この日をどんなに夢見たことか』
「神様……私の方こそ……」
夜の中に煌々と照り輝く神威の御光に抱かれ、感極まって涙を零す愛くるしい少女と、その雫を優しく拭ってやる麗しい少年。
その光景は、まるで神話の一場面を描いたように美しい。
「…………」
アマーリエは知らず知らずのうちに後ずさりし、光の届かない暗がりまで逃げ込んでいた。目の前で見せ付けられる、美しく幻想的な感動劇。それは、自分にとっては吐き気をもよおす拷問でしかない。
(ミリエーナが選ばれた……神使どころか聖威師に。神の愛し子に)
そろりと視線を巡らせると、叩頭する人々の中で、ダライは顔を上げていた。青い瞳が濡れている。
「レフィー、よくやった。本当によくやった。私のレフィー。これで我が家の再興が叶う。お前は私とサード家の誇りだ」
その声が聞こえたらしく、ミリエーナが顔を輝かせて父を見た。彼女の目にも、感無量の涙が光っている。
「お父様……!」
視線を合わせて泣き笑いする父娘を、少年神がにこやかに見守っている。それは、どこまでも美しく微笑ましい光景だった。
(かえりたい)
アマーリエは唐突にそう思った。
(もういや。こんなところ。はやくかえりたい)
仲睦まじいダライとミリエーナを見た途端に湧き上がって来た、嫉妬と悲しみ。
もはや父に情はない。期待はとうに捨てた。そううそぶいていた自分は――本当はまだ、心のどこかで親の愛を求めていたのだと、分かってしまった。
視界がぼやけ、瞳の奥が熱くなる。溢れ出た温かな液体が頰を濡らす感触と共に、ふと、目の前が真っ暗になるような感覚に襲われた。
仮にこのまま帰ったとしても、居場所がないサード邸に戻るしかないのだと思い出したからだった。
(たすけて。たすけて)
壊れる寸前の心が思い浮かべたのは、赤い焔を操る優しい神の姿だった。
◆◆◆
「……止められなかった」
少年の姿をした神の命令により動きを制され、様子を見ていることしかできずにいたフルードが、忸怩たる表情で呟く。
皆が頭を地に這いつくばり頭を下げている中で、天威師と聖威師、神々は礼を示していない。
「…………」
オーネリアとアシュトンは眉を寄せて瞳を閉じ、恵奈と佳良は無言で目を伏せている。当真が哀しげな顔でミリエーナを見つめた。誰も、若き聖威師の誕生を喜んでいるようには見えない。
神々の御稜威により晴れたはずの天空には、再び雲がかかっていた。今にも泣き出しそうな空から、一つ、ポトリと雨粒が落ちた。それを皮切りに、糸のような雨が降り始める。
『お前たちは何とかしてあの娘を隠し、助けようとしたのであろう』
狼神が慰めるように言い、フルードの体に巨大な尾を巻き付けた。普段はとても温厚なこの神は、いざ怒らせると天界一恐ろしいと言われている。
「彼女はずっと属国にいたので、私たちの目が届かなかったのです。先日気付いた時にはもう……。鷹神様、どうにかしてやれませんでしょうか?」
佳良が一筋の光明を探すように問いかけた。羽根で彼女を包むようにした鷹の神が、高みに座す天威師たちを見た。
玲瓏たる美貌と至高の神格を持つ皇帝たちは、些かの動揺も見せず、ただ斎場を眺めている。サラサラと降り注ぐ雨を全く気にしていない。自らの力で弾くこともしない。
天が曇ることも、雲から雨が生じることも、雨がかかれば体が濡れることも、全てが自然の営みとして当たり前のことであるからだ。
藍色の衣を纏う黒髪黒目の皇帝が、温度の無い眼差しで少年神とミリエーナを見ていた。憐れみも慈愛も、冷たさも酷薄さも、全ての感情が無い、透明で空虚な双眸。
『天威師はやはり動かぬか』
鷹神の呟きに答えたのは、恵奈の側にいる雪神だった。距離を無視した念話で声を放つ。
『当然でしょう。天威師が動くは、神の怒りにより地上に甚大な被害が生じる時のみと定められております』
オーネリアに寄り添う川神と、当真の側にいる孔雀神も頷いた。
『今は神が怒っているわけではなく、地上に被害が出ることもない。ただ、神が己の愛し子を選び出したというだけだ』
『それは神が有する正当な権利ですもの。天威師が動かれる事案には当てはまりませぬ』
アシュトンを護る嵐の神も同意を示す。
『いかにも。加えて、選ばれた娘自身も乗り気で寵を受け入れてしまった。自分の意思で、自ら進んで。嫌がって必死に助けを求めていたのであれば、それを理由に何とかやりようもあったけれども……』
雨が本降りになって来た。ふぅと溜め息を吐いた鷹神が、佳良を見た。鋭い双眸で、先ほどの問いかけに対する答えを放つ。
『残念だが、どうにもならぬ。こうなってはもはや手遅れだ。……後は泣き落としでもしてみるのだな』
最後はフルードを見遣っての言葉だった。聖威師たちが、それしかないかという表情を浮かべる。
「…………」
儚い美貌に憂いを乗せた大神官は、無言で斎場にいる少年神とミリエーナに視線を送り続けていた。
「私、が、聖威師……? うそ――まさか、そんなこと……夢じゃなくて?」
皆がそろって敬意を表している様を見て、初めは唖然としていたミリエーナの瞳に、次第に勝ち誇った優越感が浮かび上がる。
「何これ……何て気持ちいいの。皆が私に跪くなんて。国王も王妃も、高位神官も、全員が……」
『当然だとも。君は神格を得たのだから。この僕に相応しい美しい女神だ。レフィー、僕の寵を受け入れてくれるだろう?』
「はい……はい、もちろんですわ。私、ミリエーナ・レフィー・サードは、貴方の愛し子にして聖威師になります!」
『ああ、嬉しいよレフィー。この日をどんなに夢見たことか』
「神様……私の方こそ……」
夜の中に煌々と照り輝く神威の御光に抱かれ、感極まって涙を零す愛くるしい少女と、その雫を優しく拭ってやる麗しい少年。
その光景は、まるで神話の一場面を描いたように美しい。
「…………」
アマーリエは知らず知らずのうちに後ずさりし、光の届かない暗がりまで逃げ込んでいた。目の前で見せ付けられる、美しく幻想的な感動劇。それは、自分にとっては吐き気をもよおす拷問でしかない。
(ミリエーナが選ばれた……神使どころか聖威師に。神の愛し子に)
そろりと視線を巡らせると、叩頭する人々の中で、ダライは顔を上げていた。青い瞳が濡れている。
「レフィー、よくやった。本当によくやった。私のレフィー。これで我が家の再興が叶う。お前は私とサード家の誇りだ」
その声が聞こえたらしく、ミリエーナが顔を輝かせて父を見た。彼女の目にも、感無量の涙が光っている。
「お父様……!」
視線を合わせて泣き笑いする父娘を、少年神がにこやかに見守っている。それは、どこまでも美しく微笑ましい光景だった。
(かえりたい)
アマーリエは唐突にそう思った。
(もういや。こんなところ。はやくかえりたい)
仲睦まじいダライとミリエーナを見た途端に湧き上がって来た、嫉妬と悲しみ。
もはや父に情はない。期待はとうに捨てた。そううそぶいていた自分は――本当はまだ、心のどこかで親の愛を求めていたのだと、分かってしまった。
視界がぼやけ、瞳の奥が熱くなる。溢れ出た温かな液体が頰を濡らす感触と共に、ふと、目の前が真っ暗になるような感覚に襲われた。
仮にこのまま帰ったとしても、居場所がないサード邸に戻るしかないのだと思い出したからだった。
(たすけて。たすけて)
壊れる寸前の心が思い浮かべたのは、赤い焔を操る優しい神の姿だった。
◆◆◆
「……止められなかった」
少年の姿をした神の命令により動きを制され、様子を見ていることしかできずにいたフルードが、忸怩たる表情で呟く。
皆が頭を地に這いつくばり頭を下げている中で、天威師と聖威師、神々は礼を示していない。
「…………」
オーネリアとアシュトンは眉を寄せて瞳を閉じ、恵奈と佳良は無言で目を伏せている。当真が哀しげな顔でミリエーナを見つめた。誰も、若き聖威師の誕生を喜んでいるようには見えない。
神々の御稜威により晴れたはずの天空には、再び雲がかかっていた。今にも泣き出しそうな空から、一つ、ポトリと雨粒が落ちた。それを皮切りに、糸のような雨が降り始める。
『お前たちは何とかしてあの娘を隠し、助けようとしたのであろう』
狼神が慰めるように言い、フルードの体に巨大な尾を巻き付けた。普段はとても温厚なこの神は、いざ怒らせると天界一恐ろしいと言われている。
「彼女はずっと属国にいたので、私たちの目が届かなかったのです。先日気付いた時にはもう……。鷹神様、どうにかしてやれませんでしょうか?」
佳良が一筋の光明を探すように問いかけた。羽根で彼女を包むようにした鷹の神が、高みに座す天威師たちを見た。
玲瓏たる美貌と至高の神格を持つ皇帝たちは、些かの動揺も見せず、ただ斎場を眺めている。サラサラと降り注ぐ雨を全く気にしていない。自らの力で弾くこともしない。
天が曇ることも、雲から雨が生じることも、雨がかかれば体が濡れることも、全てが自然の営みとして当たり前のことであるからだ。
藍色の衣を纏う黒髪黒目の皇帝が、温度の無い眼差しで少年神とミリエーナを見ていた。憐れみも慈愛も、冷たさも酷薄さも、全ての感情が無い、透明で空虚な双眸。
『天威師はやはり動かぬか』
鷹神の呟きに答えたのは、恵奈の側にいる雪神だった。距離を無視した念話で声を放つ。
『当然でしょう。天威師が動くは、神の怒りにより地上に甚大な被害が生じる時のみと定められております』
オーネリアに寄り添う川神と、当真の側にいる孔雀神も頷いた。
『今は神が怒っているわけではなく、地上に被害が出ることもない。ただ、神が己の愛し子を選び出したというだけだ』
『それは神が有する正当な権利ですもの。天威師が動かれる事案には当てはまりませぬ』
アシュトンを護る嵐の神も同意を示す。
『いかにも。加えて、選ばれた娘自身も乗り気で寵を受け入れてしまった。自分の意思で、自ら進んで。嫌がって必死に助けを求めていたのであれば、それを理由に何とかやりようもあったけれども……』
雨が本降りになって来た。ふぅと溜め息を吐いた鷹神が、佳良を見た。鋭い双眸で、先ほどの問いかけに対する答えを放つ。
『残念だが、どうにもならぬ。こうなってはもはや手遅れだ。……後は泣き落としでもしてみるのだな』
最後はフルードを見遣っての言葉だった。聖威師たちが、それしかないかという表情を浮かべる。
「…………」
儚い美貌に憂いを乗せた大神官は、無言で斎場にいる少年神とミリエーナに視線を送り続けていた。
43
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
『外見しか見なかったあなたへ。私はもう、選ぶ側です』
鷹 綾
恋愛
「お前のようなガキは嫌いだ」
幼く見える容姿を理由に、婚約者ライオネルから一方的に婚約を破棄された
公爵令嬢シルフィーネ・エルフィンベルク。
その夜、嫉妬に狂った伯爵令嬢に突き落とされ、
彼女は一年もの間、意識不明の重体に陥る――。
目を覚ました彼女は、大人びた美貌を手に入れていた。
だが、中身は何ひとつ変わっていない。
にもかかわらず、
かつて彼女を「幼すぎる」と切り捨てた元婚約者は態度を一変させ、
「やり直したい」とすり寄ってくる。
「見かけが変わっても、中身は同じです。
それでもあなたは、私の外見しか見ていなかったのですね?」
静かにそう告げ、シルフィーネは過去を見限る。
やがて彼女に興味を示したのは、
隣国ノルディアの王太子エドワルド。
彼が見ていたのは、美貌ではなく――
対話し、考え、異論を述べる彼女の“在り方”だった。
これは、
外見で価値を決められた令嬢が、
「選ばれる人生」をやめ、
自分の意思で未来を選び直す物語。
静かなざまぁと、
対等な関係から始まる大人の恋。
そして――
自分の人生を、自分の言葉で生きるための物語。
---
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる