神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘

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第1章

38.神の正体①

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 アマーリエはギクリと身を硬くし、無意識のうちにフレイムの手を握っていた。

「……この色は……!」

 力強く手を握り返してくれるフレイムの呟きを聞き流していると、少年神と、付き従う神々が降り立った。

「ルファ様!」

 ミリエーナが目を輝かせて駆け寄った。

「どうしたんですか? 今日は後祭ですよ。天の神は参加しないはずなのに」
『僕のレフィーにどうしても会いたくて、我慢できずに来てしまったのだよ』
「きゃあ、嬉しい!」

 微笑む少年神と、はしゃぐミリエーナ。感涙にむせぶダライとネイーシャ。何故か固い顔をしている聖威師たち。かしこまる神官と王族、官僚たち。そして、恐慌状態に陥りそうな自身を必死に抑えるアマーリエ。

 皆が三者三様の反応を見せる中、大声を上げたのはフレイムだった。

「あああぁぁやっぱりか! そんな姿で何やってんだお前ええぇ!!」

 同時に、その姿がアマーリエ以外にも視認できるようになった。一瞬の沈黙の後、神官たちが目を剥いて飛び上がる。

「な、何だお前は!?」
「誰なの!?」

 アマーリエは血の気が引く思いでフレイムを見上げた。

(ちょっと……フレイムったら何をしているのよ)
「静かに」

 一声で皆を鎮めたフルードが、フレイムを見た。
 碧と山吹。二色の双眸が絡み合う。

「…………」
「…………」

 一瞬で二人の間に何らかの意思疎通があったように見え、アマーリエは首を傾げた。
 少しの間を置き、フルードがふと微笑み、フレイムに向かって頭を下げた。

。恐れながら――あなた様から天の気を感じます。いずれかの神が遣わした神使にございますか」
。まぁそんなところだ」
「左様でございますか。……火炎霊具の一件で、アマーリエには天に属する存在が付いているだろうとは思っておりました」

 中盤以降は独り言のように呟いたフルードの言葉に、アマーリエは内心で肩をすぼめる。

(やっぱり……。聖威師たちには気付かれていると思っていたわ)

 火炎霊具が爆発した際、炎は明らかに不自然に――操作された動きでアマーリエだけを綺麗に避けた。暴走している二等の霊具を外から遠隔で操ることは、高位の霊威師でも難しい。神格を持つ存在か、神使であれば可能だろうが。

「アマーリエの気はとても美しい。こたびの神使選定のために降臨したいずれかの使役が、彼女に接近あるいは接触し、神使候補として目をかけているのではないかと推測していましたが、まさか……」

 終盤はトーンを落とし、独り言のように呟くフルード。だが、フレイムがそれを遮った。

「今は俺のことよりこっちだ。……おいお前、ここで何してんだよ。何だその姿は」

 台詞の中盤以降でジロリと睨まれた少年神が、クスリと笑う。フレイムがアマーリエと手を繋いているのを見たミリエーナが、気に食わないと言った顔をした。

「アンタこそいきなり何なのよ。ルファ様に対して無礼よ。どこの神の使いか知らないけど、ルファ様は高位神よ。運命の神なのよ」

 それを肯定するように、少年神の後ろに控えていた壮年の神が前に出て頷いた。

『その通り。このお方は運命の神ルファリオン様である』

 神官たちが息を呑み、ざわめく。ミリエーナは鼻高々で胸を張った。

「それは……」

 何かを言いかけようとしたフルードだが、『聖威師たちは少し黙って見ていなさい』という少年神の一声で、他の聖威師と共に動きを止める。
 そして、フレイムは動じない。じっとりとした目で壮年の神を睨み、アマーリエの方を向いた。

「おい、お前が間違ってるとか無能とか言ったのは、もしかしなくてもこのオッサン神なんじゃねえか」
(お、オッサン神……)

 内心で引きながらも、アマーリエは小さく頷いた。

「ええ、こちらの神様に言われたけれど……」
「あーあーあー、やっぱりな。なるほどなぁ。愛称がルファ。アマーリエの気が醜悪で間違いだらけ。妹の方が優れている。そういうことかよ」
「……そういうことって、どういうこと?」

 心からの疑問をぶつけた時、ハッと気が付いた。

「いえ、それよりいいの? 天の神々に会って――接触してしまっているけれど」
「心配すんな。神の方から勝手にやって来て会っちまった場合は、セーフ扱いなんだ。こっちから会いに行くとか、主祭の日みたいに勧請されて来ることが分かっていながらその場に行って会うのは駄目だけどな」

 今の場合はセーフなのだと告げたフレイムは、ニコニコと微笑む少年神に向かって皮肉げに笑う。

「よぉ、久しぶりだな。。この前喧嘩して以来だったか」
『そうだな。こうして対面するのは数十年ぶりかな。でも、僕が一方的に君を見かけたことはあるよ。ほんの少し前だ。君が地上に降りて行くのを見かけた時、僕が目を付けていたを取られると思って、思わず狙い撃ちしてしまった。すまなかった』
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