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第3章
14.魔物襲来
(――なっ……)
思考停止は一瞬だった。そして、頭が止まっている間も体は反射的に動いている。咆哮を上げながら飛びかかって来た巨体を、聖威の鎧で覆った腕でガードする。同時に、思考が行動に追い付いた。
「クラーラちゃん、後ろに下がって!」
「……きゃあああ!」
眼前から目を逸らさぬまま指示を出すと、我に返ったように時間が動き出し、クラーラが悲鳴を上げた。彼女も硬直していたようだ。
(魔獣……いえ、魔の気が強いから獣型の魔物だわ)
魔物と霊獣の交配種である魔獣と、獣型の魔物は酷似していて区別が付きにくいが、気をよく読めば判別できる。
ゼェゼェフゥフゥと、喘鳴混じりの荒い吐息を漏らす魔物。ぱっと見は巨大な犀に近い形をしている。額から前方に向かって突き出した角は巨大なドリルのごとく尖り、半開きの口元からは長い牙が覗いている。蹄は鋭く尖っていた。
(どうしてここに入って来られるのよ!? 聖威の結界が張ってあるのに――破られた気配なんかしなかったわよ!)
魔物が持つのは霊威だ。霊威は神威の断片である聖威に勝てない。なのに何故。
(いえ、待って。結界は破られていないわ。そのままある。ということは、力ずくで押し入ったのではなく、結界そのものをすり抜けて来たの?)
アマーリエに阻まれてもなお突進を諦めない魔物が、濁った雄叫びを迸らせた。衝撃波が円状に放射され、空間がワンワンと波打つ。
「いやあああぁぁ~!」
高い悲鳴が耳に届く。背後を遠視すると、クラーラが苦悶の表情を浮かべ、両耳を抑えて蹲っていた。衝撃波は聖威で防いだが、余波を浴びてしまったらしい。急いで彼女の全身に結界を纏わせる。
(クラーラちゃんを避難させなくては。リーリア様かフルード様の邸に強制転移させる!)
即座に判断し、緊急連絡も兼ねて聖威師たちに念話する。だが、展開しかけた念話回路が弾かれた。
(念話が阻害された!? 嘘でしょう、聖威を使った念話なのよ!?)
こうなったら事後報告で先に避難させようと、強制転移を試みるも、それすら阻まれる。
(どうして……駄目だわ、転移させられない!)
「お、お姉ちゃん……!」
「邸の中に戻って! 私が良いと言うまで出て来ては駄目よ!」
涙声で叫ぶクラーラに指示を出しながら、きっと不埒な侵入者を睥睨した。
「……いい加減にしなさいよ。いきなり人の家に侵入して襲いかかって暴れて、あなた何なの!?」
聖威で視野を広げ、周辺を視ると、散々な有り様だった。瀟洒なデザインの庭園灯は無残に折れ、草花はこれでもかというほど蹂躙されていた。フレイムと楽しくお茶を飲んだテラスも、星空の下で共に眺めた薔薇の生垣も、お気に入りの金木犀の木も、もはや見る影もない。
「私とフレイムの場所を、よくもこれだけ土足で踏み荒らしてくれたわね」
再び魔物が吠えた。大気が揺らぎ、先ほどよりも威力を増した波紋が、鋸の刃のように鋭角的な輪郭を描きながら炸裂する。だが、怒りに燃えるアマーリエは怯まない。
「――はぁっ!」
聖威を帯びた腕を振り抜いて衝撃波を打ち砕き、焦点の合わない目でこちらを押し潰さんとする魔物もろとも弾き飛ばす。
異形のサイが涎を撒き散らしながらもんどり打ち、後方に吹き飛んだ。重厚な体躯が大地に叩き付けられ、衝撃で地面が揺れた。土の上に転がった魔物が起き上がらないよう、即座に聖威で押さえ付ける。
(これ以上ない明確な襲撃行為。明らかに異常な状態。即座に息の根を止めるべきだわ。……けれど、生かしておけば何か分かるかもしれない)
魔物たちの動きがおかしい。眼球を裏返して四肢を暴れさせる目の前の敵も、おそらく正気を失っている。生かしたまま捕らえ、記憶を読むか正気に戻せば何か分かるだろうか。
(いいえ、ここには一般人が……クラーラちゃんがいるのよ。あの子の安全を最優先しなくては)
どうにか避難させようと、転移の力を発動させ続けているが、片端から無効化されてしまうのだ。唇を噛み締めて異形を見据え、ハタと思い付いて呟く。
「もしかして、神器を取り込んで狂ったとか……?」
魔物や悪鬼邪霊が何らかの経由で神器を手に入れ、浅慮に身の内に取り込んで暴走することがある。神器の本来の用途を無視し、誤った使い方をすれば、放出させる力に耐え切れないのだ。
(神器の力を――神威を使っていたなら、聖威の結界や念話を無効化できることも納得だわ)
神器に宿るのは神威だ。神威の欠片でしかない聖威よりも強い。ただし、アマーリエも含む当代聖威師たちは例外だ。高位の神格を持ち、聖威が有色であることから、通常の神が持つ無色の神威であれば力押しで圧倒できる。
だが、普段はそこまでの出力など出さないため、神器を相手にしているという前提で気合いを入れて力を使わなければ、打ち消されてしまうこともある。そのせいかと考え、改めて魔物の内部を透視したアマーリエは、すぐに首を横に振った。
(……違うわ。神器は見当たらない)
予想が外れたと思いつつ、繊手を横薙ぎに一閃する。紅葉色の花弁が刃と化し、魔物の角の先端を切り落とした。
(後でこの角を調べてみましょう)
死骸の全部もしくは一部が残るようにしておき、それを媒介に記憶を辿る方法もある。
(早くトドメを刺さなくては)
これで終わりだと腕を掲げた時、白目を剥いたままの魔物がグァッと大口を開けた。唾液を引く口内にズラリと並ぶ鋭利な牙と、ぬらぬら光る舌。先っぽを落としたばかりの角が瞬く間に再生する。
錆び付いたミキサーが高速回転するような、重く低い鳴き声が響く。どこからか不可視の力が飛来し、魔物を拘束していた聖威を粉砕した。
「――え?」
フワリと浮き上がった魔物が虚空を舞う。鈍重そうな体躯に似つかわしくない鮮やかな半回転を披露し、体勢を整えると地響きを立てて庭に降り立った。
(ちょ――今、何が起こったの!? 黒い神威が私の聖威を……!)
確かに感じた。一瞬だが神威が出現し、魔物を抑えていたアマーリエの力をかき消した。
(あの鈍い漆黒……悪神の色だったわ。まさか悪神がいるの?)
悪神は全員、鈍黒の神威を使えるのだろうか。それとも、黒を帯びるのは色持ちの悪神だけだろうか。相手が通常の神か高位神かで、状況が激変する。
(もっと詳しくラミルファ様に聞いておけば良かった)
鋭い蹄で地面をかき、魔物が突撃して来た。放出される波動で周囲の空気がかき回され、葉や花弁の残骸が宙を舞う。
アマーリエはテラスと邸を繋ぐ扉の前に立ちはだかり、渾身の盾を展開した。クラーラがいる邸の中に入れるわけにはいかない。一瞬後、前傾姿勢で突貫する魔物の角が盾に衝突し、全身に衝撃が走る。
「つっ……」
先ほどは難なく防げた攻撃が、今度は重い。目を凝らすと、重量のある体躯をドス黒い神威がうっすらと覆っていた。
(神威が魔物を強化してる!?)
《――ラミルファ様! アリステル様!》
自分の知る悪神たちに念話で呼びかけるも、回路が即時に切り捨てられて遮断される。クラーラに使っている転移も然りだ。
漆黒の神威が妖しく揺らめいた。荘厳さと艶やかさを宿す絶大な力。畏敬の念すら感じさせる。このような時だというのに、思わずひれ伏してしまいそうになった。同時に、直感で悟る。これは高位神の力だ。
(まずいわ、保たない……!)
神威を纏う歪な角が、紅葉色の盾をゴリゴリと削っている。このままでは押し負ける。
どこかで嗤い声が聞こえた気がした。遠くからこちらの様子を視て、愉しんでいるような声。
相手の神は遊んでいると、頭の片隅で悟る。そもそも、念話や転移は阻害されたのに、視野拡張や結界、盾は使えた。全ての力を無効化すれば面白くないので、あえて最低限の抵抗はできるようにしてこちらを弄んでいるのか。
(破られる――!)
角の先端が盾の一部を貫通し、放射状のヒビが全体に広がった。
思考停止は一瞬だった。そして、頭が止まっている間も体は反射的に動いている。咆哮を上げながら飛びかかって来た巨体を、聖威の鎧で覆った腕でガードする。同時に、思考が行動に追い付いた。
「クラーラちゃん、後ろに下がって!」
「……きゃあああ!」
眼前から目を逸らさぬまま指示を出すと、我に返ったように時間が動き出し、クラーラが悲鳴を上げた。彼女も硬直していたようだ。
(魔獣……いえ、魔の気が強いから獣型の魔物だわ)
魔物と霊獣の交配種である魔獣と、獣型の魔物は酷似していて区別が付きにくいが、気をよく読めば判別できる。
ゼェゼェフゥフゥと、喘鳴混じりの荒い吐息を漏らす魔物。ぱっと見は巨大な犀に近い形をしている。額から前方に向かって突き出した角は巨大なドリルのごとく尖り、半開きの口元からは長い牙が覗いている。蹄は鋭く尖っていた。
(どうしてここに入って来られるのよ!? 聖威の結界が張ってあるのに――破られた気配なんかしなかったわよ!)
魔物が持つのは霊威だ。霊威は神威の断片である聖威に勝てない。なのに何故。
(いえ、待って。結界は破られていないわ。そのままある。ということは、力ずくで押し入ったのではなく、結界そのものをすり抜けて来たの?)
アマーリエに阻まれてもなお突進を諦めない魔物が、濁った雄叫びを迸らせた。衝撃波が円状に放射され、空間がワンワンと波打つ。
「いやあああぁぁ~!」
高い悲鳴が耳に届く。背後を遠視すると、クラーラが苦悶の表情を浮かべ、両耳を抑えて蹲っていた。衝撃波は聖威で防いだが、余波を浴びてしまったらしい。急いで彼女の全身に結界を纏わせる。
(クラーラちゃんを避難させなくては。リーリア様かフルード様の邸に強制転移させる!)
即座に判断し、緊急連絡も兼ねて聖威師たちに念話する。だが、展開しかけた念話回路が弾かれた。
(念話が阻害された!? 嘘でしょう、聖威を使った念話なのよ!?)
こうなったら事後報告で先に避難させようと、強制転移を試みるも、それすら阻まれる。
(どうして……駄目だわ、転移させられない!)
「お、お姉ちゃん……!」
「邸の中に戻って! 私が良いと言うまで出て来ては駄目よ!」
涙声で叫ぶクラーラに指示を出しながら、きっと不埒な侵入者を睥睨した。
「……いい加減にしなさいよ。いきなり人の家に侵入して襲いかかって暴れて、あなた何なの!?」
聖威で視野を広げ、周辺を視ると、散々な有り様だった。瀟洒なデザインの庭園灯は無残に折れ、草花はこれでもかというほど蹂躙されていた。フレイムと楽しくお茶を飲んだテラスも、星空の下で共に眺めた薔薇の生垣も、お気に入りの金木犀の木も、もはや見る影もない。
「私とフレイムの場所を、よくもこれだけ土足で踏み荒らしてくれたわね」
再び魔物が吠えた。大気が揺らぎ、先ほどよりも威力を増した波紋が、鋸の刃のように鋭角的な輪郭を描きながら炸裂する。だが、怒りに燃えるアマーリエは怯まない。
「――はぁっ!」
聖威を帯びた腕を振り抜いて衝撃波を打ち砕き、焦点の合わない目でこちらを押し潰さんとする魔物もろとも弾き飛ばす。
異形のサイが涎を撒き散らしながらもんどり打ち、後方に吹き飛んだ。重厚な体躯が大地に叩き付けられ、衝撃で地面が揺れた。土の上に転がった魔物が起き上がらないよう、即座に聖威で押さえ付ける。
(これ以上ない明確な襲撃行為。明らかに異常な状態。即座に息の根を止めるべきだわ。……けれど、生かしておけば何か分かるかもしれない)
魔物たちの動きがおかしい。眼球を裏返して四肢を暴れさせる目の前の敵も、おそらく正気を失っている。生かしたまま捕らえ、記憶を読むか正気に戻せば何か分かるだろうか。
(いいえ、ここには一般人が……クラーラちゃんがいるのよ。あの子の安全を最優先しなくては)
どうにか避難させようと、転移の力を発動させ続けているが、片端から無効化されてしまうのだ。唇を噛み締めて異形を見据え、ハタと思い付いて呟く。
「もしかして、神器を取り込んで狂ったとか……?」
魔物や悪鬼邪霊が何らかの経由で神器を手に入れ、浅慮に身の内に取り込んで暴走することがある。神器の本来の用途を無視し、誤った使い方をすれば、放出させる力に耐え切れないのだ。
(神器の力を――神威を使っていたなら、聖威の結界や念話を無効化できることも納得だわ)
神器に宿るのは神威だ。神威の欠片でしかない聖威よりも強い。ただし、アマーリエも含む当代聖威師たちは例外だ。高位の神格を持ち、聖威が有色であることから、通常の神が持つ無色の神威であれば力押しで圧倒できる。
だが、普段はそこまでの出力など出さないため、神器を相手にしているという前提で気合いを入れて力を使わなければ、打ち消されてしまうこともある。そのせいかと考え、改めて魔物の内部を透視したアマーリエは、すぐに首を横に振った。
(……違うわ。神器は見当たらない)
予想が外れたと思いつつ、繊手を横薙ぎに一閃する。紅葉色の花弁が刃と化し、魔物の角の先端を切り落とした。
(後でこの角を調べてみましょう)
死骸の全部もしくは一部が残るようにしておき、それを媒介に記憶を辿る方法もある。
(早くトドメを刺さなくては)
これで終わりだと腕を掲げた時、白目を剥いたままの魔物がグァッと大口を開けた。唾液を引く口内にズラリと並ぶ鋭利な牙と、ぬらぬら光る舌。先っぽを落としたばかりの角が瞬く間に再生する。
錆び付いたミキサーが高速回転するような、重く低い鳴き声が響く。どこからか不可視の力が飛来し、魔物を拘束していた聖威を粉砕した。
「――え?」
フワリと浮き上がった魔物が虚空を舞う。鈍重そうな体躯に似つかわしくない鮮やかな半回転を披露し、体勢を整えると地響きを立てて庭に降り立った。
(ちょ――今、何が起こったの!? 黒い神威が私の聖威を……!)
確かに感じた。一瞬だが神威が出現し、魔物を抑えていたアマーリエの力をかき消した。
(あの鈍い漆黒……悪神の色だったわ。まさか悪神がいるの?)
悪神は全員、鈍黒の神威を使えるのだろうか。それとも、黒を帯びるのは色持ちの悪神だけだろうか。相手が通常の神か高位神かで、状況が激変する。
(もっと詳しくラミルファ様に聞いておけば良かった)
鋭い蹄で地面をかき、魔物が突撃して来た。放出される波動で周囲の空気がかき回され、葉や花弁の残骸が宙を舞う。
アマーリエはテラスと邸を繋ぐ扉の前に立ちはだかり、渾身の盾を展開した。クラーラがいる邸の中に入れるわけにはいかない。一瞬後、前傾姿勢で突貫する魔物の角が盾に衝突し、全身に衝撃が走る。
「つっ……」
先ほどは難なく防げた攻撃が、今度は重い。目を凝らすと、重量のある体躯をドス黒い神威がうっすらと覆っていた。
(神威が魔物を強化してる!?)
《――ラミルファ様! アリステル様!》
自分の知る悪神たちに念話で呼びかけるも、回路が即時に切り捨てられて遮断される。クラーラに使っている転移も然りだ。
漆黒の神威が妖しく揺らめいた。荘厳さと艶やかさを宿す絶大な力。畏敬の念すら感じさせる。このような時だというのに、思わずひれ伏してしまいそうになった。同時に、直感で悟る。これは高位神の力だ。
(まずいわ、保たない……!)
神威を纏う歪な角が、紅葉色の盾をゴリゴリと削っている。このままでは押し負ける。
どこかで嗤い声が聞こえた気がした。遠くからこちらの様子を視て、愉しんでいるような声。
相手の神は遊んでいると、頭の片隅で悟る。そもそも、念話や転移は阻害されたのに、視野拡張や結界、盾は使えた。全ての力を無効化すれば面白くないので、あえて最低限の抵抗はできるようにしてこちらを弄んでいるのか。
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