神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘

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第3章

64.更新完了

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 ややあって、呆気に取られた顔で天を見上げる一同の中で、葬邪神がそろりと口を開く。

『……ブ、ブレイから念話があったぞ。神々の大半は驚きすぎて腰を抜かしておるようだ。ディスは大笑いしているらしいが』
『……フレイム、君という奴は……』
『お、俺じゃねえよ。今のはもう一柱の俺だっつの!』
『つまり君なんじゃないか、このぶっ飛び馬鹿』
『だから違うって、俺は俺でも別の俺……』

 言い合いを始めたフレイムとラミルファを、まぁまぁと葬邪神が宥める。

『今の一撃で、神々が我に返ったようだ。新旧の同胞とまみえた歓喜で、今までは狂喜乱舞状態だったのが、ハッと落ち着いたらしい。怒ってもおらんぞ、ただただビックリしてへたり込んでいるだけだというから、すぐに回復するだろう。……よ、良かったじゃないか、はは……』

 引き攣った笑みでまとめようとしているが、『とんでもねぇわ、あのイカれ神器』と顔に書いてある。

「ははは~、やっぱりトンデモ神器だねぇ、ラウ兄上」
「そうだな……。あくまで返礼だ。殺傷能力は無いようにしていたようだから、万一当たった神がいても傷は負っていないだろうが」

 風に衣をなびかせ、滞空した帝国の皇帝兄弟が話している。日香が手巾ハンカチを取り出して目元を抑えた。秀峰も感慨深げな顔を浮かべている。

「ううっ……フルード君……泣き虫で怖がりな君が、いつの間にかこんなに破茶滅茶はちゃめちゃ……ゴホゴホ、立派になって。ねえ義兄様」
「ああ、いざとなれば主神に飛び蹴りや顔面平手打ちをしても良いと教えた時、そんなことできませんと怯えていたのが嘘のようだ。私も密かに修行を付けた甲斐があったというものだ」

 当のフルードは、先ほどとは違う心からの笑顔で自身の胸に手を当て、小さく口を動かして何事か呟いていた。すると、微かな火の粉が上がる。フルードの内に在る焔の神器ぶっとびバカが応えているのだ。狼神は遠い眼差しを浮かべてスーッと宙を飛んでいた。

 一心に手を動かしていたアマーリエが、改心の笑みで快哉を上げる。

「終わりました! 全員分書きました!」

 かざした原紙の中で、最後に記入した佳良の名が一瞬輝き、白い紙に溶け込んで消えていく。

『やったなユフィー!』
『これで更新は完了だ』

 フレイムとラミルファが口々に賛辞を送った。残念そうな顔を浮かべた狼神が、仕方がないと言いたげに尾を振った。自身でも飛翔できるフルードが、あえて主神の背に乗って飛んだのは、狼神にアマーリエの邪魔をさせないためだ。

「心から礼を言います」
「よくやってくれた」

  降りて来たフルードに加え、アシュトンも表情を緩ませて告げた。

「ああ、良かったこと」
「ナイス、アマーリエ!」

 月香が安堵の呟きを漏らし、クレイスが親指を立てて賛辞を送る。目礼したアマーリエは、フロースに視線を向けた。リーリアに取り付く勢いでしがみ付かれ、制止されていたのだ。戦闘力ではフロースの方が圧倒的に上だが、愛し子に無体な振る舞いができるはずもなく、ずっと大人しくしてくれていた。

「フロース様、勝手に使ってしまって申し訳ありませんでした」
『あ、ああ、うん……』

 滞留書の原紙を返し、今更ながら心配になる。

「このようなことになって、水神様に叱られたりしませんか? 私が強引に書き込んだのだと、後で謝罪の申し入れをいたします」
「いいえ、原紙を奪い取ったのはわたくしですから、わたくしがお詫びしますわ」
『え? それは大丈夫だよ。父神は全然怒っていないから。あなたたちが昇天することにならなくて残念がってはいるけど、それだけ。むしろ、廃神になる危険性がなくなったと分かって、とても喜んでおられる』

 安心させるように微笑んだフロースが、優しくリーリアを撫でる。

『だから謝罪はしなくて良い。そもそも、父神が滞留書を無効にしたからこうなったのだしね。私もそれに噛んでいたのだから、あなたたちが私たちに詫びを入れる必要なんかない。堂々としていれば良いよ』

 涼やかな美貌で告げ、不思議な熱のこもった目でアマーリエを見た。

『それにしても、やっぱりあなたは優しいな、アマーリエ。父神に協力していた私のことを責めるどころか、心配してくれるんだ。あなたの心根は本当に綺麗だ。……やっぱり私の宝玉か妹にしたい』
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