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第4章
14.新しい仕事
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「フレイム、戻ったのね!」
「ああ、ユフィーの礼状、ちゃんと渡して来たぜ。母神はご機嫌だった。近い内に下賜品が届くかもな」
(うっ……もう入り切らないわよ、本気で……)
これまでに戴いた品々も溜まりに溜まっており、これ以上は使い切れない。見るだけで惚れ惚れする意匠の神杖は物干し竿や突っ張り棒にしているし、輝く天珠で装飾された小刀は果物ナイフに転用し、頭をこねくり回して使い道を考えているが、そろそろネタも尽きてしまう。場所の問題もあることだし、せめてサイズの小さい品であってくれと願うばかりだ。
心の中で必死に手を合わせているアマーリエを余所に、フルードとアシュトンがフレイムに一礼し、ウェイブと羽衣の女神――嵐神が親しげに微笑みかけている。軽く手をフリフリしてそれらに応じたフレイムが続きを述べた。
「んで、ユフィーのことを視てたから、ここの話も聴こえてたんだが。確かに天界の空気はそんな感じだったな。怒ってる神々は、天威師と聖威師に早く還って来てもらいたがってる。強硬派と穏健派と尊重派がそれぞれまんべんなく増えてる」
「魔神様がいて下さって良かった。そうでなければ強硬派ばかりが増え、聖威師たちは今頃強制昇天になっていたかもしれないよ」
ラミルファがククッと笑う。魔神はきっと、アマーリエたちを被虐趣味と勘違いし、襲ってしまったことに罪悪感を抱いて味方になってくれている。あの時は散々な目に遭ったと思ったが、こうしてみると何がどう転がって吉凶に転じるか分からない。
「これに関しては、神々の出方を待つしかありません。こちらから下手に刺激しては逆効果です。運が良ければ、手荒な手段は実行されずに終わるでしょう。こちらが迂闊に動くのは禁物ですよ」
フルードが念押しし、静かな口調で締めくくった。
「アマーリエ、リーリア。あなたたちにはすぐ近くに主神がいます。ですから、今しばらくは安心ですが……油断しないように」
「「はい」」
「よろしい。話は以上です。時間をちょうだいしてしまって申し訳ありませんでした」
会話に一区切り付いたのを確認し、何名かが動き出す。
「私は天に還る。その前に我が愛し子に……フェルに会っていこう」
「わたくしも仕事に戻らせていただきますわ」
「私も行くよ。レアナ、一緒に戻ろう」
『主、我らは邸に帰っている』
『背後には十分注意するようにいたします』
ウェイブ、リーリア、フロース、ラモス、ディモスがそれぞれ腰を上げた。リーリアがチラリとアマーリエを見る。
《あの……アマーリエ様。聞きましたわ、レシスの家系に伝わる神罰のことを》
聖威師と神々、天威師まで加わって、レシスの神罰だの絶望と不幸だの守護を受けろだのと口々に連呼していたのだ。リーリアもそれらを全て聞いていたのだから、当然どういうことか気になり、フロースに尋ねたらしい。
《その……何と申し上げたら良いのか分かりかねますが、アマーリエ様はもはや葬邪神様の守護ありし身。心配なしという点に関しては救いですわ》
《ありがとう、リーリア様。私も同じように思っているわ》
心から同意するアマーリエ。
《わたくしにできることがありましたら、何でも仰って。幾らでもお力になりますのよ。金木犀のお茶会も、日程を決めて開催したいですわ》
《そうね、リーリア様とお茶が飲めるのが楽しみ。不安や愚痴があったらお互いに話しましょうね》
念話で語り合い、目を目を見交わして微笑むと、リーリアはその場からかき消えた。フロース、ラモス、ディモスもだ。ウェイブは一足先に姿を消している。
「あの、フルード様、アシュトン様。お気遣いいただいたおかげで、今日は仕事に余裕があるのです。何かできることはありませんか?」
そう聞くと、大神官と神官長は顔を見合わせた。
「では……アシュトン様と共に、神使内定者の懇親会に臨席してみますか?」
現在行われている神使選定。折良く本日、既に選び出された者たちを対象にした懇親会が開催されるという。
「大神官、ですから様は不要です。前から何度も何度も言って――」
「すみません、すみません! ……ちょうどこれから懇親会があるのです。心配しなくても、会場を適当に回って笑顔を振り撒くだけで良いですから。今日は神荒れや神器暴走もなく、全体的に落ち着いていますし、時間が合えば私も顔を出すかもしれません」
「分かりました、ぜひ参加します」
仕事ができたとばかりに目を輝かせ、アマーリエは頷いた。
「ああ、ユフィーの礼状、ちゃんと渡して来たぜ。母神はご機嫌だった。近い内に下賜品が届くかもな」
(うっ……もう入り切らないわよ、本気で……)
これまでに戴いた品々も溜まりに溜まっており、これ以上は使い切れない。見るだけで惚れ惚れする意匠の神杖は物干し竿や突っ張り棒にしているし、輝く天珠で装飾された小刀は果物ナイフに転用し、頭をこねくり回して使い道を考えているが、そろそろネタも尽きてしまう。場所の問題もあることだし、せめてサイズの小さい品であってくれと願うばかりだ。
心の中で必死に手を合わせているアマーリエを余所に、フルードとアシュトンがフレイムに一礼し、ウェイブと羽衣の女神――嵐神が親しげに微笑みかけている。軽く手をフリフリしてそれらに応じたフレイムが続きを述べた。
「んで、ユフィーのことを視てたから、ここの話も聴こえてたんだが。確かに天界の空気はそんな感じだったな。怒ってる神々は、天威師と聖威師に早く還って来てもらいたがってる。強硬派と穏健派と尊重派がそれぞれまんべんなく増えてる」
「魔神様がいて下さって良かった。そうでなければ強硬派ばかりが増え、聖威師たちは今頃強制昇天になっていたかもしれないよ」
ラミルファがククッと笑う。魔神はきっと、アマーリエたちを被虐趣味と勘違いし、襲ってしまったことに罪悪感を抱いて味方になってくれている。あの時は散々な目に遭ったと思ったが、こうしてみると何がどう転がって吉凶に転じるか分からない。
「これに関しては、神々の出方を待つしかありません。こちらから下手に刺激しては逆効果です。運が良ければ、手荒な手段は実行されずに終わるでしょう。こちらが迂闊に動くのは禁物ですよ」
フルードが念押しし、静かな口調で締めくくった。
「アマーリエ、リーリア。あなたたちにはすぐ近くに主神がいます。ですから、今しばらくは安心ですが……油断しないように」
「「はい」」
「よろしい。話は以上です。時間をちょうだいしてしまって申し訳ありませんでした」
会話に一区切り付いたのを確認し、何名かが動き出す。
「私は天に還る。その前に我が愛し子に……フェルに会っていこう」
「わたくしも仕事に戻らせていただきますわ」
「私も行くよ。レアナ、一緒に戻ろう」
『主、我らは邸に帰っている』
『背後には十分注意するようにいたします』
ウェイブ、リーリア、フロース、ラモス、ディモスがそれぞれ腰を上げた。リーリアがチラリとアマーリエを見る。
《あの……アマーリエ様。聞きましたわ、レシスの家系に伝わる神罰のことを》
聖威師と神々、天威師まで加わって、レシスの神罰だの絶望と不幸だの守護を受けろだのと口々に連呼していたのだ。リーリアもそれらを全て聞いていたのだから、当然どういうことか気になり、フロースに尋ねたらしい。
《その……何と申し上げたら良いのか分かりかねますが、アマーリエ様はもはや葬邪神様の守護ありし身。心配なしという点に関しては救いですわ》
《ありがとう、リーリア様。私も同じように思っているわ》
心から同意するアマーリエ。
《わたくしにできることがありましたら、何でも仰って。幾らでもお力になりますのよ。金木犀のお茶会も、日程を決めて開催したいですわ》
《そうね、リーリア様とお茶が飲めるのが楽しみ。不安や愚痴があったらお互いに話しましょうね》
念話で語り合い、目を目を見交わして微笑むと、リーリアはその場からかき消えた。フロース、ラモス、ディモスもだ。ウェイブは一足先に姿を消している。
「あの、フルード様、アシュトン様。お気遣いいただいたおかげで、今日は仕事に余裕があるのです。何かできることはありませんか?」
そう聞くと、大神官と神官長は顔を見合わせた。
「では……アシュトン様と共に、神使内定者の懇親会に臨席してみますか?」
現在行われている神使選定。折良く本日、既に選び出された者たちを対象にした懇親会が開催されるという。
「大神官、ですから様は不要です。前から何度も何度も言って――」
「すみません、すみません! ……ちょうどこれから懇親会があるのです。心配しなくても、会場を適当に回って笑顔を振り撒くだけで良いですから。今日は神荒れや神器暴走もなく、全体的に落ち着いていますし、時間が合えば私も顔を出すかもしれません」
「分かりました、ぜひ参加します」
仕事ができたとばかりに目を輝かせ、アマーリエは頷いた。
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