バトンタッチした話

加速・D・歩

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・本編

120 また『お前』か

『久しぶり!』
「またあんたか」
『覚えててくれて話が早いよ』

 おつかいを頼んだケースケを見送ったあと、【馬車の中】で1人待ってるその横に『男』がいた。
 毎回、突然現れる『男』に無視すると声をかけてくる。ため息をつきながら挨拶するとニンマリした口元で笑った。

『しばらく、ケースケ帰ってこないからさぁ』
「どういう事だ」
『行きたいルートまでにまだフラグが足りなくてねぇ。で、』

 いわゆる強制力ってやつを使ってるらしい。前のでもう出てこないかと思ったら出てくる。
 
「で、アイツは何処に? てか俺も《淫魔法》の一部は使えるから戻そうと思えば──」
『残念ながらキミのも使えなくさせてもらってる。ややこしくなるからね。』
「だと思った。」
『あはは、まぁこっちの時間的にはそんなにかからないと思うから好きに過ごしてよ。』

 イカサマ級の《効果》があるものばっかりだからな。《加筆修正》でも使って強制的に戻せないかと思ったが、確かに急ぐ旅ではない。
 一応、どういう内容で行ったのか聞くと、とあるアルファの子供を産むために『コイツ』にハメられたらしい。

『ハメたなんて人聞きが悪い。相手の名前は、セリァナラで、彼女綺麗好きだから、番はいったん解除されちゃうけどね。ま、帰ってきた時にまたシテあげてよ。』
「セリァナラ、だと……?」
『そうそう。ケースケには《即産み》があるけど、拒むと時間かかりそうだなぁ。』

 セリァナラ、いやまさか……有名な名前だ。どこでもその名のついた子供なんていくらでも……だが、目の前にいる『男』が言うなら、本物なのか……?
 
『そうだよ。この【世界】の神様……創造主と呼べば分かりやすいかな。彼女とは長い付き合いでね──』
「マジなのか」
『マジです☆』

 キランと謎のキメ顔をした『男』をよそに、俺はケースケの向かった場所が気になった。
 まさか相手が神だなんて。
 セリァナラ、様はこの【世界】を作り、生きとし生けるものを作ったあとマナの回復の為眠ったとされる。
 その寝てる間に文明ができ、その後彼女の隙を狙って魔王が暴れ出し、それを倒す英雄が《召喚》もしくは【隕石】で稀人が落ちてくる事があった。
 今の今まで寝てると思ってた神様が、ね。

『っても今はヒトの身体とその側近達に囲まれて過ごしてるけどね』
「へぇ。」
『一応↑の説明も多種族向けに広められた話でまぁ、本筋は合ってるけど彼女が眠っていたのはほんの千年ぐらいで魔王とかいた頃も起きてたし』
「なら魔王が暴れてた時代に民を見殺しにしてたってことか」
『んー、まぁ、そう思うのはそっち側だよね。神様だからって全てを助けないといけない、ってどこの【世界】でも思われがち~、まー、彼女達は好きな物にはとことん《ギフト》を与えるタイプだよ。』

『男』が俺の考えてる事を会話に入れてくるのは最初の時からだからもう良いが、『コイツ』も神の類なんだろう。
『違うよ、まぁそういう『やつ』も居るけど管理者だからね。フランチャイズみたいなもん。』・・・はあ。

 そのフランなんたらの事は知らないが、俺らからしたらそういうもんの類なわけで。
『コイツ』が何を目指してるのか──ケースケは最終的にどうなるのか。

『それはルート次第かなぁ。』
『ま、ほんとはさ、ケースケの視点だけで見ておこうかと思ったんだけどさ、でも一部の視点もないとアレかなぁ……って、まぁ、本来『俺』も姿を見せるつもりはなかったし?』
「お前と話してると疲れるな」
『よく言われるよ』

 その後『男』は他愛のない話だけして来た。
 俺は、ケースケが戻ってくるまで【街】に滞在する為【宿】を取ることにした。

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