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・本編
184 『聖域のアルカディア』──プレイ2
ユイハから貸してもらった[ファンディスク]を起動させる。
本編とは違う変な音楽と共に、パロディー系の内容なのねと察する。
主人公の[会話ウィンドウ]には主人公だと思ったらプレイヤー自身だったという良くある設定。
自分があの『聖域のアルカディア』の【BL学園】に来ちゃったメタ視点というか……本編と同じくプレイヤー視点だけどゲームのUI画面はちゃんとあって凝ってるわね。
【メインクエスト:生徒会長ワグーッツンに接触せよ!】
きゃあ! 最推しのワグーッツン様に会えるのね!
何十周もプレイしてると王道キャラに一番落ち着くのよね。
【生徒会室】に向かう途中楽しそうな声が聴こえてきて覗くとそこにはワグーッツン様が見えて駆け寄る、と彼の婚約者マルゥメとカメイメくんの婚約者のケースの姿があって急ブレーキをかける。
少し柱の陰から彼らを覗き様子を伺う。
本編ならワグーッツン様と話したらすぐ嫌がらせをしてきた二人。関わらないでいいなら関わりたくないけど……でも【メインクエスト】を無視出来ないし……
にしても[ファンディスク]な内容もあってキャラの性格がタラレバになってる。
だって……、だって、あんな──……
「あはは! もう、マル、お菓子食べ過ぎ! ほら、口の横にクリームついてるよ?」
「もー、ケース! 子供扱いしないでよぉ。……ん、取って?」
・・・絶句……あ、本編では絶対にありえない光景に戸惑う。
ゲームでは常に「冷酷な嘲笑」を浮かべていたはずのケースが、とびきり優しいお兄ちゃんの顔をして、マルゥメの口元を指で拭ってあげている姿があった。
マルゥメの顔は、ワグーッツン様への執着で歪んでいるどころか、ケースに甘えて幸せそうにふにゃりと笑っている。
た、確かにマルゥメって綺麗な顔した美人ではあったけど……! ええ、2人とも違う、脳内がバグるよ……
【WARNING:深刻なエラーを検出。悪役令息同士の結託による、ヒロイン排除プログラムが進行中。浄化アイテムの使用を推奨します】
けたたましい音と共に[ゲームウィンドウ]に表示される文字──
え、エラーなの、超仲良しな親友それか、それ以上に見えるんだけど……悪役令息×悪役令息? うん? え、この[ファンディスク]の内容何させようとしてるの?
【「……はっ! いけない! 私は聖者コノハ! 二人に惑わされちゃダメ! あの仲の良さは、きっと周囲を欺くための高度な魔法……そうよ、そうに決まってるわ!」】
【課金アイテム:聖者のアロマ】を使用する──……
えっと、[会話ウィンドウ]に勝手に文章が流れて私置いてけぼりなんですけど……とにかく、[聖者のアロマ]というのを持つと場面転換して──
【「ワグーッツン様……! 今、助けます!」】
【メインイベント! 悪役令息マルからワーチャン様を解放する、運命の婚約破棄イベントよ! 追い詰められたマルとケースに向かって、さらに強力な【聖者のアロマ・極】を振りまこうとした。しかし、その時──】
【「……汚らわしい。その手をどけろ」】
【低く、地を這うような氷の声。ワグーッツン様が放ったのは、コノハを癒やす魔法ではなく、廊下の空気を一瞬で凍りつかせるほどの強烈な威圧だった。】
えええ!! 最推しが超冷たい件について! あんな氷点下な言い方されたらめっちゃへこむ……
それに【ワグーッツンの好感度:ー50000(計測不能)】私……というか、このゲームのコノハが【聖者のアロマ・極】なんて使うからワグーッツン様が怒っちゃったじゃない……!
【ERROR:攻略対象の挙動がプログラムと一致しません。悪役令息の汚染が脳まで達している可能性があります。強制排除を推奨】
【「お前らが何を言おうが勝手だが、俺の親友を泣かせる奴は、誰だろうと許さねぇ……! 《アイシクル・バースト》!!」】
ケースがコノハ近くに居た彼らに悪口をいうモブ生徒達の足元に威嚇として魔法を放つ!
【私の『聖アル』が壊れちゃう……! ワグーッツン様が、偽物の愛に完全に乗っ取られちゃったんだわ……!
愛する推しが、自分ではなく、ゲームでは「排除すべき障害」だったマルゥメの肩を抱き寄せ、自分を敵として見ている。
コノハの[恋愛ゲージ]は真っ赤にひび割れ、崩壊を告げている。】
もし、ゲームの中に入れて最推しに嫌われたら私もこんな思考になっちゃうのかな。
[ファンディスク]として俯瞰で見てるからこうやって冷静? に見てられるけど……
【『――落ち着いて、コノハ。騙されてはいけません』
「……セリァナラ様!?」
『見てごらんなさい。今のワグーッツン様は、マルゥメの放つ【絶望の魔力】で瞳が曇っているのです。あんなに冷たい言葉を吐いているのは、彼自身の意志ではありません……。ああ、可哀想なワグーッツン。貴女だけが、彼を救い出せるのですよ』】
【緊急クエスト:真実の愛で呪縛を解け!】
【限定アイテム:聖域の涙──エターナル・パッション──を使用しますか?】
【『その香りは、どんなに深い呪いも解き放ちます。さあ、迷わず使ってください。ワグーッツン様を……そしてこの学園を、マルゥメとケースという悪から救うのです』
「……そっか。そうよね! ワグーッツン様が私を嫌うはずなんてない。全部、あの二人が仕組んだことなんだ!」】
女神様が出てきて強力なアイテムを使っていいってなったらこういう展開になっちゃうか。
【「ワグーッツン様、今すぐ楽にしてあげますから! マルゥメ、ケース! ワグーッツン様から離れなさい!!」
コノハが叫びながらその瓶を叩き割ると、廊下全体を包み込むほどの、粘り気のある[青い霧]が爆発的に広がった。
「な、なんだこれ!? 息が……ッ!」
「マルゥメ、離れるな! ワグーッツン、これ……普通じゃない!」
ケースが慌てて氷の結界を張るが、女神の力が込められた「霧」はそれを易々と透過していく。霧を吸い込んだモブ生徒たちは、白目を剥いてガタガタと震えだし、まるで操り人形のようにワグーッツンとマルゥメを取り囲み始めた。
「「「「コノハ様……聖者様……。悪を……悪を殺せ……」」」」
「……っ、ワグーッツン、怖い……!」
マルゥメの震える声を聞き、ワグーッツンの瞳に今までにない「殺気」が宿る。だが、コノハの目には、その殺気すらも「私を求めて苦しんでいる姿」に変換されていた。】
わあ、バイオハザードなの? モブ生徒が彼らを襲おうとして怖いんだけど……!
この後の展開が気になる……!
【その混沌を切り裂くように、どこからともなく重厚なパイプオルガンの音色──自前の魔導具によるBGM──が鳴り響いた。
「……ククク。実に嘆かわしい。この程度の『まやかし』に、我が同胞たちが踊らされるとはな」
廊下の天窓から差し込む一筋の光を背に、黒いコートを翻したカカッハが、手すりの上に立っていた。
「「「………………え?」」」
一触即発だったワグーッツンも、泣きじゃくっていたマルゥメも、そして一番テンションが上がっていたコノハですらも、あまりの「場違いな格好良さ(自称)」に動きを止めた。
「待て、お前……そこで何をしてるんだ?」
ケースが呆然と呟くが、カカッハは無視して右手の包帯をドラマチックに解き始める。
「鎮まれ……。我が右手に宿りし『虚無』の化身よ……。聖者の光などという脆弱な輝きに、真の闇が負ける道理はない。……刮目せよ! 《絶望の虚空を喰らう蛇》!!!!」
カカッハが叫びながら右手を突き出すと、彼の魔力と、おそらく気合によって、廊下の空気が一気に収束した。なんと、コノハが撒いた[青い霧]が、カカッハが練り上げた「なんか凄そうな黒い魔力(中二病100%)」に吸い寄せられ、巨大な球体となって凝縮されていくではないか!
「「「「…………ポカーン…………」」」」
「……ははっ。どうだ、この『終焉』の力……。貴様ら凡夫には、この重圧は耐えられま……うわっ、ととと」
かっこよく決めようとして手すりから足を踏み外し、派手に床に転げ落ちるカカッハ。だが、そのおかげでモブたちの洗脳は解け、[青い霧]はカカッハの掲げた[闇の宝玉]の中に完全に閉じ込められた。
「……あ、あれ? 私、何してたのかしら……」
「……頭が、痛い……」
正気に戻り始める生徒たち。そして、コノハもまた、カカッハの登場によって「ゲームのイベントムービー」が強制終了されたような感覚に陥っていた。
(……え? カカッハくん……? 今の、隠しイベント? ……っていうか、今の技、ゲームの攻略Wikiに載ってなかった気がするんだけど……)】
長い! あと、鼠獣人で中二病のカカッハくんの登場ね!
中二病ムーブでこの混乱を治めちゃうのは凄いな……
【(……やっぱり! カカッハくんいえ、カカッハ様だけは、ゲームのキャラ設定とブレがないわ! 頼りになるわね!)
「カカッハ様! 素晴らしいです! まさに『深淵の守護者』……私の知る通りの、頼れるお方でしたわ!」「……ほう? 貴様、俺の『真の力』を理解できるというのか? ……ククク。やはり貴様は、凡庸な聖者ではない。俺の魂と共鳴する、『運命の伴侶──デスティニー・パートナー──』なのかもしれんな……」
【急上昇!+99999!!】
ケースが呆れたように声をかけようとした瞬間、カカッハの足元から突然、緑色の光を放つ魔法陣が展開された。
【警告:バグキャラのカカッハが、ヒロインへの不純な接触を試みました。女神の恩寵[ペナルティ]を発動します】
「うわあああぁぁぁあ!!!」
カカッハは、魔法陣から噴き出した無数の《青い光の糸》に絡め取られ、宙吊りにされたまま、あっという間に天井へと吸い込まれていった。彼の残した言葉は、悲鳴と……
「フッ……我が魂は、貴様と共に……『奈落』へ……!!」
……なぜか「タワシ」という謎の単語だった。】
ええ……急展開そしていきなり出てきた[タワシ]ってなによ! どんどんギャグ回になってくわね……
【「カカッハ様!? どこに連れて行かれちゃうの!?」
コノハが慌てていると、背後から無邪気な声が聞こえてきた。
「ねえ、聖者様。今のバグキャラのせいで、ワグーッツン様がまだちょっと元気ないみたい……」
「僕たちが、『特別なお散歩』に案内してあげるね? もっとたくさん、ワグーッツン様を元気づけるお花が咲いてる場所だよ!」
振り返ると、そこに立っていたのは、いつもの愛らしい笑顔を浮かべた守護天使の2人だった。彼らの瞳の奥には、やはり[青い霧]の残滓がちらついている。
(あぁ……! 守護天使たちが私を導いてくれてるんだわ! きっと、ワグーッツン様の傷を癒やすための隠しアイテムがある場所に連れて行ってくれるのね!)
コノハは、疑うことなく二人の手を握った。】
こっちもどんどん深みにハマって行くわね。
ゲームの世界だと思ってるし[好感度アイテム]を使えばなんとか本編に戻れると思ってるのね。
【コノハがやってきたのは【学園敷地北西にある塔付近】薄暗い【森の中】だった。そこには、見たこともないほど巨大な[マネヌーン]が群生し、廊下で撒いたアロマとは比べ物にならないほど濃密な、意識を奪うような香りが立ち込めている。
「……あぁ、綺麗。これ、全部アイテムとして回収できるのかな?」
【極上のマネヌーンを検出:採取しますか? [はい] [YES]】という、選択肢が一つしかないウィンドウが連打されている。
「あっちだよ、聖者様。とっても『不思議』な匂いがする人が待ってるんだ」
「ワグーッツン様を治すための、『本当のシナリオ』を知ってる人だよ」
[マネヌーンの蔓]が複雑に絡み合い、まるで巨大な繭のようになっている空間に、その人物は立っていた。
「……ようやく来たか。想定外の『ノイズ』によって、運命が随分と歪まされたようだが」
逆光で顔は見えない。だが、その人物は学園の制服ではなく、漆黒の法衣を纏っていた。
そして、その周囲には[タワシ]が浮いていた。……文字通り、掃除用のタワシが、物理法則を無視してふわふわと。
「……えっ? タワシ? なにあのシュールな光景……。……あ! もしかして、あれが噂の『隠し攻略キャラ:タワシの精霊』……じゃないわよね!?」
「………………」
謎の人物の肩が、わずかにピクンと動いた。
「……これはタワシではない。女神によって排除された『不要なログ』が、この世界の解像度に耐えきれず、最も卑近な掃除用具の姿に置換された……いわば、この世界のゴミ箱の残滓だ」
その顔を見た瞬間、コノハの脳内に激しいノイズが走った。
「貴女が『コノハ』か。……私はセリァナラの命により、この世界のバグ――すなわち、仲良すぎるマルゥメとケースを消去するために遣わされた使徒だ」
【超重要キャラクター・????と遭遇! 好感度設定なし。目的:世界の再構築】】
・・・ごめん。タワシしか目にいかなくて……ギャグを通り越してカオス回だわこれ。
にしても薄っすら見える超重要キャラクターさん、どこかで見覚えが……
【漆黒のフードがゆっくりと降ろされる。そこに現れたのは、コノハの知る「無口な図書委員」ではなく、冷酷な光を瞳に宿したキラっちだった。
「……キラっち様?! なんでこんなところに……。それに、その格好は……?」
「キラっちと呼ぶな。今の私は……女神の執行官、『クリーナー・K』だ。……この世界の本筋を乱す不純物を、私はこの場所で磨き、消し去るために存在する」
キラっち……もとい、クリーナー・Kは、恭しく右手を差し出した。その掌の上には、周囲のマネヌーンの光を吸い込んで神々しく輝く、【黄金のタワシ】が鎮座していた。
【超激レアアイテム入手イベント:黄金の浄化タワシ──ゴッド・スクラバー】
「カレン。貴女が願う『理想の結末』……ワグーッツンと結ばれる未来を邪魔しているのは、あのマルゥメというイレギュラーだ。……このタワシを使い、奴の存在という名の『汚れ』をこすり落とせ。そうすれば、世界は貴女の望む通りの美しい色に塗り替えられる」
「マ、マルゥメを……こすり落とす……?」
コノハの指が、吸い寄せられるように黄金のタワシへ伸びる。
(そうよ……。あのマルゥメのせいで、ワグーッツン様は狂っちゃったんだもの。マルゥメの存在そのものを『無』にすれば、ワグーッツン様は私のところに帰ってきてくれる……!)
セリァナラの囁きが、黄金の輝きと共にコノハの理性を塗りつぶしていく。だが、その時!
「――待ていッ! その汚れた黄金に触れるな、聖者よ!!」
──バリバリバリィッ!!
背後のマネヌーンの繭が、内側から凄まじい斬撃によって切り裂かれた! 飛び出してきたのは、全身に数百個のタワシを纏い、まるで「タワシのハリネズミ」と化したカカッハだった。
「カ、カカッハ様?! その格好……!」
「フッ……。【タワシ部屋】の『孤独な静寂』は、俺の魂を研ぎ澄ますには最高の砥石だったぜ……。見よ、我が魔刀――《黒曜石の絶望・タワシカスタム》の切れ味をな!!」
カカッハが構えた刀の刀身には、しっかりとタワシが括り付けられていた。……攻撃するたびに、相手が綺麗になりそうだ。
「……チッ。【タワシ部屋】の解像度不足を、自ら『装備』として定義し直して脱出したか……。やはりあの獣人は、計算外のバグだな」
クリーナー・Kが忌々しげに舌打ちをする。
「コノハ! 目を覚ませ! そいつが持っているのは黄金などではない。……この世界の『絆』を根こそぎ奪い去る、呪われた研磨剤だ!!」】
カカッハ様が針鼠化してしまったけど……全身にタワシを装備って痛くないのかしら。
クリーナー・Kがまさかのキラっちでビックリ!
この子も攻略対象で【図書館】で出会う無口な図書委員なのよね。
【属性:無口・図書委員×読書家×内気な独占欲】
で、本当に最初素っ気ないんだけど、一緒に本を読んだりオススメの本を紹介してもらってたりすると仲良くなれるのよ。
・キラっち好感度MAX
【「……もう、本の世界だけじゃ満足できない。……君が、僕の現実を塗り替えてしまったんだ。……ねえ、ずっと僕のそばにいて。君の声を、僕だけに聞かせて。……愛してる。君の物語の続きは、僕が……隣で書いてもいいかな?」】
【[黄金のタワシ]を手に、コノハは葛藤していた。
(……マルゥメの存在を消す。そうすれば、ゲームは私の望む『ハッピーエンド』になるはず。……でも、さっき見たマルゥメの、あの怯えた顔……。ゲームの中のマルゥメは、いつも高笑いしながら私を見下してて、『あんたみたいな泥棒猫、この学園から消してあげるわ!』って、取巻きと一緒に泥水をかけてくるような「憎たらしいヒール」だったはずなのに……)
コノハの脳裏に、現実のマルゥメがケースに甘える「可愛い笑顔」と、ゲームのマルゥメの「性悪な立ち絵」が交互に点滅し、バグを起こし始める。
(……おかしいわ。私、あんなにマルゥメのこと「胸糞悪い悪役」として嫌ってたのに……。今のマルゥメを見ていると、なんだか「攻略対象じゃないのがもったいないくらいのヒロイン力」を感じちゃうのは、なぜ?!)
「コノハ、迷う必要はない。さあ、そのタワシで汚れを……」
クリーナー・Kが促したその時、ハリネズミ状態のカカッハが、ついにその封印された禁忌の力を解放した!
「ククク……。クリーナーよ、貴様の『清掃』など、俺の『浄化』に比べれば水遊びに等しい! 刮目せよ、これが【タワシ部屋】で磨き抜かれた我が真なる奥義……三連撃──タワシ・トリニティだ!!」】
なんだかよく分からないけど熱い展開よね!
にしても、そうよね……私も散々本編の周回特にワグーッツン様をやってたからマルゥメやケースに対して嫌なキャラ、これぞ悪役令息よね、なんて思ってたけど、タラレバでもし、悪役な性格じゃなければ……いいキャラになれたんじゃない? なんて思っちゃうわよね。
【第一の奥義:《汚れなき終焉──スクラブ・エンド》
「這い寄る混沌の粒子よ、我がタワシの毛先に集い、森羅万象の塵を掻き消せ! 《タワシ・トルネード・スパイラル》!!」
カカッハが高速回転し、全身のタワシから剛毛が飛び散る! 周囲のマネヌーンの蔦が、まるで大掃除された後のようにピカピカに削り取られていく!
第二の奥義:《深淵の泡影──バブル・ディストピア》
「虚無の海より湧き出でし、白き裁きの飛沫よ! 罪深き記憶もろとも、真っ白に洗い流すがいい!《ゴッド・バブル・ディストラクタ・タワシ》!!」
なぜかどこからともなく石鹸泡が大量発生! 森全体が泡まみれになり、女神の放つ[青い霧]が、界面活性剤の力で根こそぎ分解されていく!
最終奥義:《天をも磨く叛逆の刃──ブレイブ・パームタワシ》
「我が魂を研ぎ澄まし、運命という名の汚れをこの世から抹消せん! 唸れ、我が魔剣!《天焦がすタワシの極光・アルティメット・ポリッシュ》!!」
タワシを括り付けた刀を振り下ろすと、まばゆい光の衝撃波が発生! コノハの手から[黄金のタワシ]を弾き飛ばし、クリーナー・Kごと森の奥へと吹き飛ばした!
「……おーい、お前ら! こんな森の奥で何やって……って、うわああ?! なんだこの泡?! 泡だらけだぞ!!」
そこへ、必死に追いかけてきたヴォン先輩、ワグーッツン、ケース、カメイメが到着。だが、彼らが目にしたのは、幻想的な森が[洗剤の泡]で埋め尽くされ、その中心で全身タワシまみれのカカッハが、ハァハァと息を吐きながらドヤ顔を決めているという、あまりにも意味不明な光景だった。
「……ケース。僕、疲れてるのかな。……カカッハが、タワシの精霊に見えるよ」
ワグーッツンが、虚ろな目で呟く。
「……いや、ワグーッツン。あれは……ただの変質者だ。近づくな、目が腐るぞ」
ケースが、マルゥメを守りながらドン引きしている。
「カ、カカッハ様……。やっぱり貴方は、私の想像を遥かに超える『真の勇者(?)』だったのね……」
泡の中に埋もれながら、コノハはただ一人、感動の涙を流していた。】
うーんカオス!
ヴォン先輩は【屋上の昼間】でしか会えないレアキャラでワグーッツン様のお兄様なのよね。
【属性:一匹狼×不良気味な年上×救済・隠れ家】
本編のマルゥメ達による嫌がらせに疲弊した主人公が【屋上】にやってくると不良が居て最初はツンケンしてるけど主人公の事を心配してくれる良いお兄ちゃんなんだよね。
・ヴォン先輩好感度MAX
【「……もう逃さねぇよ。お前は俺が見つけた、俺だけの『ひだまり』だ。……ワグーッツンもマルゥメも、この学園のルールも全部知ったことか。俺を選んだことを後悔させてやる。……一生、俺の腕の中から出さないからな。……愛してる。お前がいないと、俺はまた暗闇に戻っちまうんだ……」】
みたいなキャラよ。
本編とは違う変な音楽と共に、パロディー系の内容なのねと察する。
主人公の[会話ウィンドウ]には主人公だと思ったらプレイヤー自身だったという良くある設定。
自分があの『聖域のアルカディア』の【BL学園】に来ちゃったメタ視点というか……本編と同じくプレイヤー視点だけどゲームのUI画面はちゃんとあって凝ってるわね。
【メインクエスト:生徒会長ワグーッツンに接触せよ!】
きゃあ! 最推しのワグーッツン様に会えるのね!
何十周もプレイしてると王道キャラに一番落ち着くのよね。
【生徒会室】に向かう途中楽しそうな声が聴こえてきて覗くとそこにはワグーッツン様が見えて駆け寄る、と彼の婚約者マルゥメとカメイメくんの婚約者のケースの姿があって急ブレーキをかける。
少し柱の陰から彼らを覗き様子を伺う。
本編ならワグーッツン様と話したらすぐ嫌がらせをしてきた二人。関わらないでいいなら関わりたくないけど……でも【メインクエスト】を無視出来ないし……
にしても[ファンディスク]な内容もあってキャラの性格がタラレバになってる。
だって……、だって、あんな──……
「あはは! もう、マル、お菓子食べ過ぎ! ほら、口の横にクリームついてるよ?」
「もー、ケース! 子供扱いしないでよぉ。……ん、取って?」
・・・絶句……あ、本編では絶対にありえない光景に戸惑う。
ゲームでは常に「冷酷な嘲笑」を浮かべていたはずのケースが、とびきり優しいお兄ちゃんの顔をして、マルゥメの口元を指で拭ってあげている姿があった。
マルゥメの顔は、ワグーッツン様への執着で歪んでいるどころか、ケースに甘えて幸せそうにふにゃりと笑っている。
た、確かにマルゥメって綺麗な顔した美人ではあったけど……! ええ、2人とも違う、脳内がバグるよ……
【WARNING:深刻なエラーを検出。悪役令息同士の結託による、ヒロイン排除プログラムが進行中。浄化アイテムの使用を推奨します】
けたたましい音と共に[ゲームウィンドウ]に表示される文字──
え、エラーなの、超仲良しな親友それか、それ以上に見えるんだけど……悪役令息×悪役令息? うん? え、この[ファンディスク]の内容何させようとしてるの?
【「……はっ! いけない! 私は聖者コノハ! 二人に惑わされちゃダメ! あの仲の良さは、きっと周囲を欺くための高度な魔法……そうよ、そうに決まってるわ!」】
【課金アイテム:聖者のアロマ】を使用する──……
えっと、[会話ウィンドウ]に勝手に文章が流れて私置いてけぼりなんですけど……とにかく、[聖者のアロマ]というのを持つと場面転換して──
【「ワグーッツン様……! 今、助けます!」】
【メインイベント! 悪役令息マルからワーチャン様を解放する、運命の婚約破棄イベントよ! 追い詰められたマルとケースに向かって、さらに強力な【聖者のアロマ・極】を振りまこうとした。しかし、その時──】
【「……汚らわしい。その手をどけろ」】
【低く、地を這うような氷の声。ワグーッツン様が放ったのは、コノハを癒やす魔法ではなく、廊下の空気を一瞬で凍りつかせるほどの強烈な威圧だった。】
えええ!! 最推しが超冷たい件について! あんな氷点下な言い方されたらめっちゃへこむ……
それに【ワグーッツンの好感度:ー50000(計測不能)】私……というか、このゲームのコノハが【聖者のアロマ・極】なんて使うからワグーッツン様が怒っちゃったじゃない……!
【ERROR:攻略対象の挙動がプログラムと一致しません。悪役令息の汚染が脳まで達している可能性があります。強制排除を推奨】
【「お前らが何を言おうが勝手だが、俺の親友を泣かせる奴は、誰だろうと許さねぇ……! 《アイシクル・バースト》!!」】
ケースがコノハ近くに居た彼らに悪口をいうモブ生徒達の足元に威嚇として魔法を放つ!
【私の『聖アル』が壊れちゃう……! ワグーッツン様が、偽物の愛に完全に乗っ取られちゃったんだわ……!
愛する推しが、自分ではなく、ゲームでは「排除すべき障害」だったマルゥメの肩を抱き寄せ、自分を敵として見ている。
コノハの[恋愛ゲージ]は真っ赤にひび割れ、崩壊を告げている。】
もし、ゲームの中に入れて最推しに嫌われたら私もこんな思考になっちゃうのかな。
[ファンディスク]として俯瞰で見てるからこうやって冷静? に見てられるけど……
【『――落ち着いて、コノハ。騙されてはいけません』
「……セリァナラ様!?」
『見てごらんなさい。今のワグーッツン様は、マルゥメの放つ【絶望の魔力】で瞳が曇っているのです。あんなに冷たい言葉を吐いているのは、彼自身の意志ではありません……。ああ、可哀想なワグーッツン。貴女だけが、彼を救い出せるのですよ』】
【緊急クエスト:真実の愛で呪縛を解け!】
【限定アイテム:聖域の涙──エターナル・パッション──を使用しますか?】
【『その香りは、どんなに深い呪いも解き放ちます。さあ、迷わず使ってください。ワグーッツン様を……そしてこの学園を、マルゥメとケースという悪から救うのです』
「……そっか。そうよね! ワグーッツン様が私を嫌うはずなんてない。全部、あの二人が仕組んだことなんだ!」】
女神様が出てきて強力なアイテムを使っていいってなったらこういう展開になっちゃうか。
【「ワグーッツン様、今すぐ楽にしてあげますから! マルゥメ、ケース! ワグーッツン様から離れなさい!!」
コノハが叫びながらその瓶を叩き割ると、廊下全体を包み込むほどの、粘り気のある[青い霧]が爆発的に広がった。
「な、なんだこれ!? 息が……ッ!」
「マルゥメ、離れるな! ワグーッツン、これ……普通じゃない!」
ケースが慌てて氷の結界を張るが、女神の力が込められた「霧」はそれを易々と透過していく。霧を吸い込んだモブ生徒たちは、白目を剥いてガタガタと震えだし、まるで操り人形のようにワグーッツンとマルゥメを取り囲み始めた。
「「「「コノハ様……聖者様……。悪を……悪を殺せ……」」」」
「……っ、ワグーッツン、怖い……!」
マルゥメの震える声を聞き、ワグーッツンの瞳に今までにない「殺気」が宿る。だが、コノハの目には、その殺気すらも「私を求めて苦しんでいる姿」に変換されていた。】
わあ、バイオハザードなの? モブ生徒が彼らを襲おうとして怖いんだけど……!
この後の展開が気になる……!
【その混沌を切り裂くように、どこからともなく重厚なパイプオルガンの音色──自前の魔導具によるBGM──が鳴り響いた。
「……ククク。実に嘆かわしい。この程度の『まやかし』に、我が同胞たちが踊らされるとはな」
廊下の天窓から差し込む一筋の光を背に、黒いコートを翻したカカッハが、手すりの上に立っていた。
「「「………………え?」」」
一触即発だったワグーッツンも、泣きじゃくっていたマルゥメも、そして一番テンションが上がっていたコノハですらも、あまりの「場違いな格好良さ(自称)」に動きを止めた。
「待て、お前……そこで何をしてるんだ?」
ケースが呆然と呟くが、カカッハは無視して右手の包帯をドラマチックに解き始める。
「鎮まれ……。我が右手に宿りし『虚無』の化身よ……。聖者の光などという脆弱な輝きに、真の闇が負ける道理はない。……刮目せよ! 《絶望の虚空を喰らう蛇》!!!!」
カカッハが叫びながら右手を突き出すと、彼の魔力と、おそらく気合によって、廊下の空気が一気に収束した。なんと、コノハが撒いた[青い霧]が、カカッハが練り上げた「なんか凄そうな黒い魔力(中二病100%)」に吸い寄せられ、巨大な球体となって凝縮されていくではないか!
「「「「…………ポカーン…………」」」」
「……ははっ。どうだ、この『終焉』の力……。貴様ら凡夫には、この重圧は耐えられま……うわっ、ととと」
かっこよく決めようとして手すりから足を踏み外し、派手に床に転げ落ちるカカッハ。だが、そのおかげでモブたちの洗脳は解け、[青い霧]はカカッハの掲げた[闇の宝玉]の中に完全に閉じ込められた。
「……あ、あれ? 私、何してたのかしら……」
「……頭が、痛い……」
正気に戻り始める生徒たち。そして、コノハもまた、カカッハの登場によって「ゲームのイベントムービー」が強制終了されたような感覚に陥っていた。
(……え? カカッハくん……? 今の、隠しイベント? ……っていうか、今の技、ゲームの攻略Wikiに載ってなかった気がするんだけど……)】
長い! あと、鼠獣人で中二病のカカッハくんの登場ね!
中二病ムーブでこの混乱を治めちゃうのは凄いな……
【(……やっぱり! カカッハくんいえ、カカッハ様だけは、ゲームのキャラ設定とブレがないわ! 頼りになるわね!)
「カカッハ様! 素晴らしいです! まさに『深淵の守護者』……私の知る通りの、頼れるお方でしたわ!」「……ほう? 貴様、俺の『真の力』を理解できるというのか? ……ククク。やはり貴様は、凡庸な聖者ではない。俺の魂と共鳴する、『運命の伴侶──デスティニー・パートナー──』なのかもしれんな……」
【急上昇!+99999!!】
ケースが呆れたように声をかけようとした瞬間、カカッハの足元から突然、緑色の光を放つ魔法陣が展開された。
【警告:バグキャラのカカッハが、ヒロインへの不純な接触を試みました。女神の恩寵[ペナルティ]を発動します】
「うわあああぁぁぁあ!!!」
カカッハは、魔法陣から噴き出した無数の《青い光の糸》に絡め取られ、宙吊りにされたまま、あっという間に天井へと吸い込まれていった。彼の残した言葉は、悲鳴と……
「フッ……我が魂は、貴様と共に……『奈落』へ……!!」
……なぜか「タワシ」という謎の単語だった。】
ええ……急展開そしていきなり出てきた[タワシ]ってなによ! どんどんギャグ回になってくわね……
【「カカッハ様!? どこに連れて行かれちゃうの!?」
コノハが慌てていると、背後から無邪気な声が聞こえてきた。
「ねえ、聖者様。今のバグキャラのせいで、ワグーッツン様がまだちょっと元気ないみたい……」
「僕たちが、『特別なお散歩』に案内してあげるね? もっとたくさん、ワグーッツン様を元気づけるお花が咲いてる場所だよ!」
振り返ると、そこに立っていたのは、いつもの愛らしい笑顔を浮かべた守護天使の2人だった。彼らの瞳の奥には、やはり[青い霧]の残滓がちらついている。
(あぁ……! 守護天使たちが私を導いてくれてるんだわ! きっと、ワグーッツン様の傷を癒やすための隠しアイテムがある場所に連れて行ってくれるのね!)
コノハは、疑うことなく二人の手を握った。】
こっちもどんどん深みにハマって行くわね。
ゲームの世界だと思ってるし[好感度アイテム]を使えばなんとか本編に戻れると思ってるのね。
【コノハがやってきたのは【学園敷地北西にある塔付近】薄暗い【森の中】だった。そこには、見たこともないほど巨大な[マネヌーン]が群生し、廊下で撒いたアロマとは比べ物にならないほど濃密な、意識を奪うような香りが立ち込めている。
「……あぁ、綺麗。これ、全部アイテムとして回収できるのかな?」
【極上のマネヌーンを検出:採取しますか? [はい] [YES]】という、選択肢が一つしかないウィンドウが連打されている。
「あっちだよ、聖者様。とっても『不思議』な匂いがする人が待ってるんだ」
「ワグーッツン様を治すための、『本当のシナリオ』を知ってる人だよ」
[マネヌーンの蔓]が複雑に絡み合い、まるで巨大な繭のようになっている空間に、その人物は立っていた。
「……ようやく来たか。想定外の『ノイズ』によって、運命が随分と歪まされたようだが」
逆光で顔は見えない。だが、その人物は学園の制服ではなく、漆黒の法衣を纏っていた。
そして、その周囲には[タワシ]が浮いていた。……文字通り、掃除用のタワシが、物理法則を無視してふわふわと。
「……えっ? タワシ? なにあのシュールな光景……。……あ! もしかして、あれが噂の『隠し攻略キャラ:タワシの精霊』……じゃないわよね!?」
「………………」
謎の人物の肩が、わずかにピクンと動いた。
「……これはタワシではない。女神によって排除された『不要なログ』が、この世界の解像度に耐えきれず、最も卑近な掃除用具の姿に置換された……いわば、この世界のゴミ箱の残滓だ」
その顔を見た瞬間、コノハの脳内に激しいノイズが走った。
「貴女が『コノハ』か。……私はセリァナラの命により、この世界のバグ――すなわち、仲良すぎるマルゥメとケースを消去するために遣わされた使徒だ」
【超重要キャラクター・????と遭遇! 好感度設定なし。目的:世界の再構築】】
・・・ごめん。タワシしか目にいかなくて……ギャグを通り越してカオス回だわこれ。
にしても薄っすら見える超重要キャラクターさん、どこかで見覚えが……
【漆黒のフードがゆっくりと降ろされる。そこに現れたのは、コノハの知る「無口な図書委員」ではなく、冷酷な光を瞳に宿したキラっちだった。
「……キラっち様?! なんでこんなところに……。それに、その格好は……?」
「キラっちと呼ぶな。今の私は……女神の執行官、『クリーナー・K』だ。……この世界の本筋を乱す不純物を、私はこの場所で磨き、消し去るために存在する」
キラっち……もとい、クリーナー・Kは、恭しく右手を差し出した。その掌の上には、周囲のマネヌーンの光を吸い込んで神々しく輝く、【黄金のタワシ】が鎮座していた。
【超激レアアイテム入手イベント:黄金の浄化タワシ──ゴッド・スクラバー】
「カレン。貴女が願う『理想の結末』……ワグーッツンと結ばれる未来を邪魔しているのは、あのマルゥメというイレギュラーだ。……このタワシを使い、奴の存在という名の『汚れ』をこすり落とせ。そうすれば、世界は貴女の望む通りの美しい色に塗り替えられる」
「マ、マルゥメを……こすり落とす……?」
コノハの指が、吸い寄せられるように黄金のタワシへ伸びる。
(そうよ……。あのマルゥメのせいで、ワグーッツン様は狂っちゃったんだもの。マルゥメの存在そのものを『無』にすれば、ワグーッツン様は私のところに帰ってきてくれる……!)
セリァナラの囁きが、黄金の輝きと共にコノハの理性を塗りつぶしていく。だが、その時!
「――待ていッ! その汚れた黄金に触れるな、聖者よ!!」
──バリバリバリィッ!!
背後のマネヌーンの繭が、内側から凄まじい斬撃によって切り裂かれた! 飛び出してきたのは、全身に数百個のタワシを纏い、まるで「タワシのハリネズミ」と化したカカッハだった。
「カ、カカッハ様?! その格好……!」
「フッ……。【タワシ部屋】の『孤独な静寂』は、俺の魂を研ぎ澄ますには最高の砥石だったぜ……。見よ、我が魔刀――《黒曜石の絶望・タワシカスタム》の切れ味をな!!」
カカッハが構えた刀の刀身には、しっかりとタワシが括り付けられていた。……攻撃するたびに、相手が綺麗になりそうだ。
「……チッ。【タワシ部屋】の解像度不足を、自ら『装備』として定義し直して脱出したか……。やはりあの獣人は、計算外のバグだな」
クリーナー・Kが忌々しげに舌打ちをする。
「コノハ! 目を覚ませ! そいつが持っているのは黄金などではない。……この世界の『絆』を根こそぎ奪い去る、呪われた研磨剤だ!!」】
カカッハ様が針鼠化してしまったけど……全身にタワシを装備って痛くないのかしら。
クリーナー・Kがまさかのキラっちでビックリ!
この子も攻略対象で【図書館】で出会う無口な図書委員なのよね。
【属性:無口・図書委員×読書家×内気な独占欲】
で、本当に最初素っ気ないんだけど、一緒に本を読んだりオススメの本を紹介してもらってたりすると仲良くなれるのよ。
・キラっち好感度MAX
【「……もう、本の世界だけじゃ満足できない。……君が、僕の現実を塗り替えてしまったんだ。……ねえ、ずっと僕のそばにいて。君の声を、僕だけに聞かせて。……愛してる。君の物語の続きは、僕が……隣で書いてもいいかな?」】
【[黄金のタワシ]を手に、コノハは葛藤していた。
(……マルゥメの存在を消す。そうすれば、ゲームは私の望む『ハッピーエンド』になるはず。……でも、さっき見たマルゥメの、あの怯えた顔……。ゲームの中のマルゥメは、いつも高笑いしながら私を見下してて、『あんたみたいな泥棒猫、この学園から消してあげるわ!』って、取巻きと一緒に泥水をかけてくるような「憎たらしいヒール」だったはずなのに……)
コノハの脳裏に、現実のマルゥメがケースに甘える「可愛い笑顔」と、ゲームのマルゥメの「性悪な立ち絵」が交互に点滅し、バグを起こし始める。
(……おかしいわ。私、あんなにマルゥメのこと「胸糞悪い悪役」として嫌ってたのに……。今のマルゥメを見ていると、なんだか「攻略対象じゃないのがもったいないくらいのヒロイン力」を感じちゃうのは、なぜ?!)
「コノハ、迷う必要はない。さあ、そのタワシで汚れを……」
クリーナー・Kが促したその時、ハリネズミ状態のカカッハが、ついにその封印された禁忌の力を解放した!
「ククク……。クリーナーよ、貴様の『清掃』など、俺の『浄化』に比べれば水遊びに等しい! 刮目せよ、これが【タワシ部屋】で磨き抜かれた我が真なる奥義……三連撃──タワシ・トリニティだ!!」】
なんだかよく分からないけど熱い展開よね!
にしても、そうよね……私も散々本編の周回特にワグーッツン様をやってたからマルゥメやケースに対して嫌なキャラ、これぞ悪役令息よね、なんて思ってたけど、タラレバでもし、悪役な性格じゃなければ……いいキャラになれたんじゃない? なんて思っちゃうわよね。
【第一の奥義:《汚れなき終焉──スクラブ・エンド》
「這い寄る混沌の粒子よ、我がタワシの毛先に集い、森羅万象の塵を掻き消せ! 《タワシ・トルネード・スパイラル》!!」
カカッハが高速回転し、全身のタワシから剛毛が飛び散る! 周囲のマネヌーンの蔦が、まるで大掃除された後のようにピカピカに削り取られていく!
第二の奥義:《深淵の泡影──バブル・ディストピア》
「虚無の海より湧き出でし、白き裁きの飛沫よ! 罪深き記憶もろとも、真っ白に洗い流すがいい!《ゴッド・バブル・ディストラクタ・タワシ》!!」
なぜかどこからともなく石鹸泡が大量発生! 森全体が泡まみれになり、女神の放つ[青い霧]が、界面活性剤の力で根こそぎ分解されていく!
最終奥義:《天をも磨く叛逆の刃──ブレイブ・パームタワシ》
「我が魂を研ぎ澄まし、運命という名の汚れをこの世から抹消せん! 唸れ、我が魔剣!《天焦がすタワシの極光・アルティメット・ポリッシュ》!!」
タワシを括り付けた刀を振り下ろすと、まばゆい光の衝撃波が発生! コノハの手から[黄金のタワシ]を弾き飛ばし、クリーナー・Kごと森の奥へと吹き飛ばした!
「……おーい、お前ら! こんな森の奥で何やって……って、うわああ?! なんだこの泡?! 泡だらけだぞ!!」
そこへ、必死に追いかけてきたヴォン先輩、ワグーッツン、ケース、カメイメが到着。だが、彼らが目にしたのは、幻想的な森が[洗剤の泡]で埋め尽くされ、その中心で全身タワシまみれのカカッハが、ハァハァと息を吐きながらドヤ顔を決めているという、あまりにも意味不明な光景だった。
「……ケース。僕、疲れてるのかな。……カカッハが、タワシの精霊に見えるよ」
ワグーッツンが、虚ろな目で呟く。
「……いや、ワグーッツン。あれは……ただの変質者だ。近づくな、目が腐るぞ」
ケースが、マルゥメを守りながらドン引きしている。
「カ、カカッハ様……。やっぱり貴方は、私の想像を遥かに超える『真の勇者(?)』だったのね……」
泡の中に埋もれながら、コノハはただ一人、感動の涙を流していた。】
うーんカオス!
ヴォン先輩は【屋上の昼間】でしか会えないレアキャラでワグーッツン様のお兄様なのよね。
【属性:一匹狼×不良気味な年上×救済・隠れ家】
本編のマルゥメ達による嫌がらせに疲弊した主人公が【屋上】にやってくると不良が居て最初はツンケンしてるけど主人公の事を心配してくれる良いお兄ちゃんなんだよね。
・ヴォン先輩好感度MAX
【「……もう逃さねぇよ。お前は俺が見つけた、俺だけの『ひだまり』だ。……ワグーッツンもマルゥメも、この学園のルールも全部知ったことか。俺を選んだことを後悔させてやる。……一生、俺の腕の中から出さないからな。……愛してる。お前がいないと、俺はまた暗闇に戻っちまうんだ……」】
みたいなキャラよ。
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