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194 7月行事──【星空の野営訓練】6日目

 7月行事──【星空の野営訓練】6日目

【AM 5:00】
 山の稜線が薄紫からオレンジ色に変わり始める頃。最初に目を覚ますのは、やはり習慣が身についているニンニンやワーチャン達、まだ眠そうにしてるマルの寝顔をガン見するのもワーチャンの日課。


──ハッ?! 某は……某は一体何を?! カメイメ氏とケース氏の『あーん』のその後はどうなったのでござるかぁあ!」
──ああ! 昨日の後半の記憶がないでござる?! 某の黄金体験がぁぁ!

──朝から元気だね~彼
──元気を通り越して煩いですよ

 朝が早いヒト達は目を覚ます頃に、眼鏡君も絶叫しながら起きる。途中描きのスケッチブックを確認して、ムンクの叫びみたいな表情で真っ青になりながら30分近く固まっていた。




【AM 5:30】

「ほら、みんな見て! 1日が始まるよ」
「ん、ん……はよ」
「おはよ……わあ、」
「朝日をこんな風に見るの、初めて……」
「綺麗だね!」
「うんうんっ!」

 ユーキくんの声にまだ寝ていた1年生達が目を覚ますと山々の間からご来光の瞬間──雲と山に太陽の光が差して徐々に広がる。
 それをみて、彼らは歓声をあげる。
 こういう風景はみんなでみるとより感動的かもね。




 真っ白な雲海が黄金色に波打ち、険しい岩肌が赤く染まっていく。その圧倒的な光の浄化作用に、昨夜の魔物の恐怖も、中二病の虚勢も、すべてが洗い流されていくような静寂が訪れます。

──綺麗だな、
──うん、夜の襲撃は怖かったけどみんなと無事にこの、景色が見れて良かった……
──ああ、そうだな。俺もケースとこんな景色が見れて嬉しい

 ケースの肩を抱き寄せたメイチャンがご来光を見て目を細める。
 ケースもその時何かを一瞬思い出したような感覚になる。
 前世の記憶が徐々に瞬間的だけど思い出してるんだっけ。
 その様子を少し遠くからマルが心配そうに見てる。
 彼は今のピュアケースに過去の辛かった時代の事を思い出して欲しくないみたいだね。
 でも、ケースの《エル級魔法》、真の方は過去の記憶を思い出さないと発揮出来ないらしいから、マルは複雑な思いなんだろうね。
 相手が神様──おっとと。 
 え、ここら辺の情報はオッケー? でも面倒くさそうだしいいや。



 
 そんなマルにワーチャンは毛布をかけ直す。
 
「次も、その次も見に来よう」
「うん。そうだね。皆で、一人も欠けることなく。」

 マルは改めて何かを決意したように頷き、ワーチャンの手を握り前を向いた。




「フッ……この『光』、我が闇を霧散させるとは、なかなかの魔力だ……」
「師の横顔が眩しすぎて、ご来光が見えません!」

 朝から中二病全開だね。
 ヤァヤも普段通りだ。そんで二人して変なポーズをしてご来光に向けて誰かが止めるまでやり続けた。
 元気だなぁ。




「みんな、お疲れ様! 昨日は大変だったけど、俺たちはこうして一緒に太陽を迎えられた。この光があれば、もう何も怖くないよ。山頂まで、あと少し。全員で笑ってゴールしよう!」

 ユーキくんやリィちゃん達のエールの言葉にみんな、気合いを入れなおす!

──よ、よしっ!
──どうしたの、ミーちゃん
──あ、えっと、先輩達みたいに皆を引っ張っていける存在になりたいなって、へへ
──だよね! 僕達も先輩達に負けないように頑張っていこうね!

 後輩達は先輩達のその言葉に励まされて、襲撃で疲れ切っていた生徒たちの目に再び力が宿る。
 荷物の準備をしてまた歩き出す!



 標高が極限に達して空気さえも刃となる最後の難所【風の回廊】
 山頂直前、両側が切り立った断崖の細い道。そこには常に暴風が吹き荒れ、普通に歩くことすら困難なエリア──

 試しにユーくんの《風魔法》で通ろうと試みるが、ユーくんが行けても他の人達が無理そうとなり、マルとケースが霧魔物の時に4班がやっていた手を繋いで通るを応用して、全員を《草魔法》で離れないようにしてからそのツタに各々自分の属性のマナを注入していく──
 1つのマナになると何処から風が吹いても突風でない限り耐えることに成功した。

 先頭はユーキくんが盾を構え《太陽魔法ソーラーシールド》で風よけをしながら吹っ飛ばれそうな風が吹いた時にはイデチャンに支えてもらいながら進む。

 細い道なので《土》《水》《草》魔法を持ってる人達で頑丈な道を作り進む。
 それでも四方八方から風が吹き、体が小さいものが飛ばされそうになるのを他のヒト達が協力して守りながら進む。


「あぁっ! 某のスケッチが、某の魂が空へ入稿されるぅぅ!」
「静かに! 諦めて、それとこの手は離さないからしっかりし歩いて!」

 バイバイ、スケッチブック。
 眼鏡君、カレーくんとガッツリ手を繋げてるのに大事なスケッチブックが風で煽られて空の彼方へ吹っ飛んで行ってしまった。それをみてまた真っ青になってる。
 ありゃりゃ。




【山頂『星の祭壇』での儀式】

 牛歩だったけど明るいうちに山頂に到着してみんな、ホッとしてる。
 空を見上げるとまだ明るい時間なのに1等星や2等星が見えるこの場所では大昔は勇者が現れるのを知る為に使った儀式などがあった、らしい。
 この【世界】──というか『あの人』達が管理してる世界共通だけど、【ファンタジー世界】の住人から種族ごとに勇者が現れる。彼らは《星魔法》って勇者専用の《スキル》を持って、魔王とか悪い奴らと戦ってる。
 まー、この【世界】では魔王は居るけど、平和? だし、《星魔法》持ちの勇者は居ないかな。
 ちなみに、異世界から呼ばれた人達は稀人だけど、勇者みたいなタイプは英雄って呼ばれてるんだよ。《英雄召喚》って技もあるしね。


【儀式:星天の共鳴】
 儀式をする古びた祭壇を全生徒が3重の輪になり、両側と手を繋ぎマナを集中する様に──空に光る星々からエネルギーを貰うように目を閉じる。
【学園】の《結界》を維持する為に空へ自分達のマナを捧げる。

 全生徒の真ん中で、ワーチャンとマルが手を手をつなぎその向かい合わせにメイチャンとケースが同じくペア同士で手をつなぐ。そして4人が声を合わせ、全生徒が唱和する《詠唱魔法》を唱える!


「遥かなる天の頂、古の輝きを宿す星々よ。我らは地の巡り、命の息吹を束ね、今ここに光を還さん。吹き荒ぶ風を鎮め、凍てつく闇を溶かし、我らが絆を銀河の楔と成せ。降れ、星屑の慈雨。守れ、我らが学び舎。」」
『《エル・エトワール・マニフェスト》!!!!』


 全生徒の体から光の柱が立ち昇り、空の星々と繋がります。
 ケースが幾度も経験した前世の戦いではガムシャラに、奪い合うための魔力だったものが、今は守るための祈りとして空に溶けていく。その温かさに、ケースは少しだけ涙ぐむ。その様子に、マルとメイチャンはケースの背中を撫でる。

 カッチャンはヤァヤと中二病らしくはしゃくのかと思ったら「……綺麗だ」と素直に感動。隣のヤァヤも、師匠と繋いだ手のぬくもりを噛み締める。




 空が近すぎて、まるで星屑が降ってきそうな夜空の下、巨大な炎を囲む、キャンプファイアー【星空の宴】
 リィちゃんが火をつける予定が、「ここはユーキがつけるべきだ!」と言って、ユーキくんが代表して「この火が、俺たちの絆の証だよ!」と灯しながら言うと大盛り上がり!


 ルミビの演奏が始まって、毛布に包まって観賞する者。音楽に合わせて元気に踊る者主にリィちゃん達、天使のようなルナとルイの歌声が天に届き流れ星が大量に落ちてきて幻想的な演出に!
 
 良い雰囲気の面々は相変わらず、近くにヒトがいようが構わずイチャイチャしてる。


「あの星の並び……我が封印されし過去と共鳴しているわ……!」
「師よ、あれはオニオーン座では?」
「バ、バカ……あれは『堕天の猟犬座』だ!」




「……デュフフ。もはや絵にする必要すらないでござる。この目に、この魂に、全カップルの幸せな結末が刻まれているでござるよ……!」

 スケッチブック紛失事件によって眼鏡君の記憶力がさらに開花? し、目をギラギラとかっぴらく眼鏡君に対して周りが引いている。




「来年は、私たちが後輩を守れるようになりたいね!」
「うんうんっ! 先輩達カッコよかったもんね!」
「先輩達みたいになるにはどうしたら良いんだろ?」
「恋人を作る! とか……?」
「とりあえず、上級魔法をちゃんと使いこなせるようになって──……」

 火を囲んで1年生達がカッコいい先輩になるためには──と悩む様子をイデチャンやモチくん達が微笑ましそうに見てる。

──恋人って言っても、オレらの仲じゃマルゥメとケースしかいねぇよな
──あれ? イデチャン気づいてないの?
──?
──あれ、あれ! あそこ見て!
──お、おいおい、マジかよ……!



 
【カッチャン×ヤァヤ】
 満点の空の下。ヤァヤはカッチャンに意を決して声をかける。

「師の『闇』を一生隣で支えさせてください!」
「……フッ、我が深淵に踏み込む覚悟、受け取った……!」

 一緒に中二病ムーブを全力でしてくれる彼を今回の【野営訓練】でカッチャンが高所恐怖症で全力を出せない時も励まして彼の道をさり気なく示したり、カッチャンに憧れ全肯定してくれるヤァヤを気に入り告白を受け恋人同士になった。


【メメちゃん×ミラくん】
「この訓練が終わって学園に帰ったら……ミラくんのその『光』の魔力で、私を一番綺麗に照らし出すって約束して。そうしたら、貴方の望む『ご褒美』を考えてあげてもいいよ?」
「は、はい! 約束します!」

 月明かりに照らされるメメちゃんにミラくんはドギマギしながら彼の手を取る。 
 自身がゴブリン種で、この【BL学園】に来てからこんな展開になるとは思わなかったとビックリしてると同時にメメちゃんに首筋を舐められて固まると、メメちゃんにふふと、笑われながら彼の顔が離れてくのを嫌がって勢い余って抱きつくと、メメちゃんはニコニコしながらも少し雄らしくミラくんを見る。
 ミラくんは自分の行動に驚いてて気づいてないけどね。
 でも吸血鬼×ゴブリンかぁなかなか珍しい組み合わせだね。


【カレーくん×眼鏡君】
「某は、貴殿という『概念』を一生描き続けたい! 専属の絵師にしてください!」

「……君そんな事宣言して、・・・バカじゃないの?」……勝手に描けばいいじゃない。

 カレーくんねぇ。一応受け入れるみたいだね。
 まぁ、まだまだお互いの事を知ってないから自分達のことを話したり、徐々に知り合ってから、みたいな感じらしいよ。
 でも、眼鏡君は断られると思ってたのか、今さっきもキョトンとしてて、その表情にカレーくんが少し笑顔になって「?! い、いいい、今の表情! もう1回お願いしますッッ!!」彼を困らせてたよ。

「スケッチじゃなくて、私を君の目で見てよ」
「いいいま、なんと……?!」
「ふん。」

 その後はふざけた事を眼鏡君がいうとカレーくんは彼にデコピンをしてなんか、彼喜んでたんだけど……


【ユーキくん×ミーちゃん】
「ユーキ先輩っ! あ、あの、俺……」
「ん、どうしたのかな……コッチの方に行ったほうが話しやすいかな。」

 ユーキくんが皆と火を囲んで談笑してるとミーちゃんがやってきて、声をかける。緊張してるのかズボンを両手でギュッと掴むのを見てユーキくんは彼を連れて少し周りの人達から離れた場所に向かう。

「そら、満天だね。」
「あの、俺……」
「うん、ゆっくりで大丈夫だよ。」

 ミーちゃんは胸に手を置いて深呼吸を繰り返す。少し冷えた両手をユーキくんが握って温めると、ミーちゃんは顔を上げて彼に告白を伝えた。


「僕も、頑張り屋なミーちゃんを見てると元気がもらえるんだ。一緒に歩いていこう」
「は、はいっ! ありがとうございます!」

 カップルになった彼らは周りから冷やかされながらも幸せそうな表情でいっぱいみたいだ。
 聞いてたより恋人がいっぱい出来たね。
 良かった良かった。本当に。

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