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・本編
220 高等部1年∶キミも行きなよ
どうせまた呼ばれるだろう。そう思ってこの【世界】の何処でとどまってようか、そんな風に思っていた。
気がつけば『あの人』いや、『クロくん』が目の前にいた。
『ひっさー!』
また、突然ですね。
『相変わらず、冷たい。しくしく』
んで、今回はなんの用ですか。
『ちょっとは、構ってくれたって良いじゃないかー!』
目の前で大げさに身振り手振り、時々変なポーズを挟みながらウザ絡みをする『彼』
『ふふん、このポーズの良さが分からないなんて、な!』
そろそろ無視しようかな。
『待って待って! 本題に入るからさぁ~~っ!!』
で、なんですか。
『ここ最近、ケース達を見てきてどう思った?』
はあ、楽しそうだな、とかは思いましたよ。来たる災厄って相手に向けて準備をしつつも彼らは“今”を、学生として過ごしてる。《未来予知》が見た未来に向けて走り出してる、んでしたっけ。
『そうそう!『俺達』的には最初は何時も通りにバッドエンドのつもりだったんだけどさぁ、でも《彼》がそう言ったからね』
良かったですね。ケース達の幸せは確定ですね。
『そうそう! って事で! 目黒くんも用意しといたからっ!』
は? 何がですか……?
『何って、ケース達が高1だよ~? あ、キミは高2の先輩にしといたから!』
え、えっ? ちょ、待てよ
『キムタク?』
いやいや、そうじゃなくて! まって、俺、体ないって!
『そこはぁ、『俺』に任せなさい! あと、少し性格弄るね、あ、あと『俺』も学園で働くからよろぴくー!!』
ちょっと、待てーーーーーー!!!!!!!!
俺の声は虚しく空間に響いた。
いや、マジやりやがった……体か。
実は楽しみだと思ってる所はある。
ケース達と学年が違うのは残念だけど。
あ、『あの人』から情報が届いた。
俺の名前──目黒零が、メャグルゥ゙・ロレェッイになってる。なんかこの【世界】って人名が言いにくいんだよなぁ。ヴァルダ語のせいか?
俺が『あの人』に会う前の人生は思い出せたことが無い。
長い階段を登って長い列の後ろに並ぶ──初めて『クロくん』に会ったのはこの時だった。
他の人達は『彼』が見えないのか、前世や来世の話をしてた。少しずつ進みながら、『クロくん』は俺に気づき話しかけてきた。
それから、俺にアイズと名前をつけて、日本名で目黒零とつけた。
『いつかキミが動くときが来たら名前をつけとかないと不便でしょ?』
俺の役割は目だ。生物の目を通してどんな場所でも把握できる。目がなくても俺自身が《視界》を出せるから良いんだけど。
たまに『クロくん』に呼び出されては【色んな世界】を観てきた。
本当に自分自身が動く事になるなんて。
ビックリだよ。学生になっても目の役はやる事になってる。
ケース達みたいに白いブレザーに腕を通し着る。
鏡の前で『クロくん』に設定された自分が映る。
黒い髪に、どこか深い夜空を思わせる吸い込まれるような黒い瞳らしい。
常に「魔導カメラ」を首から下げ、記録用の手帳を携えている。
身長は高めで、サバール人の血が混ざっているのか、すらりとしたモデルのような体型。
普段は普通の生徒として振る舞っているが、時折「存在感」を完全に消して、そこにいないかのように景色に溶け込むことができる。
らしい。だから視点に集中してても大丈夫だって『彼』が言ってた。
にしても『彼』も働くって言ってたな。働くってことは、大人側、学園の大人は先生、料理人、庭師、他にも色々と……ま、そのうち接触してくるか。
【食堂】に行って料理を注文する。
自分の箱庭にもどんな世界対応のメニューを持ってるから山の主のお肉とか帰ってから食べたけど美味しかった。
どれにしようか、メニューをじっくり見る。
[千夜一夜の串焼き──ケバブ・サバール]
希少な香辛料をたっぷり使い、熱魔法で一気に焼き上げた肉料理。香りを嗅ぐだけで、旅の疲れが吹き飛ぶと言われています。
サーバル人だって言ってたからコレにしよう。
にしても千夜一夜のっていうとDMの人の名前を思い出すな、あの人の所もちゃんと見てあげないと。
出来立てホカホカの串焼きがやってきて口にいれるとピリリとした香辛料……確かに辛い!
手に持ってたカメラで撮りながらメモする。
自分の体験もちゃんと記憶に残そう。
来年、ケース達が来るまでまったり過ごそうと。
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