8回目終∶バトンタッチした話

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236 7月──【魔導研究リゾート∶バカンス編】1日目

(⁠.⁠ ⁠❛⁠ ⁠ᴗ⁠ ⁠❛⁠.⁠)まだまだ1日目…先は長い。
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 7月──【魔導研究リゾート∶バカンス編】1日目

【移動期間:丸3日間の船旅】

 巨大鯨型魔獣カストスに引っ張られながら尋常じゃないスピードで運航していく。 
 餌は大きく口をあけてマナを含んだ海水ごと魚を飲み込む。ヴォン先輩が、言うには2日目に船を周りに人が住む島がない場所にて、停めてカストスを離し彼に自由に漁をさせる時間を設けるらしい。

 その間、船は移動しないのでヴォン先輩が作った[魔導靴∶アビス・ウォーカー]を履く事で水上や海底を歩けるらしい。なので、その時間は皆、海に出て遊ぶ事になった。

 にしても、危険な生物や魔物は居ないんですか? と聞くとヴォン先輩は高らかに笑いながら。

「いい質問だ。確かに……我々を狙う危険なモノはいるかも知れない。しかし、この子は食欲旺盛でね。お前らを守る為もあるが彼の近くで遊んでる分にはとても安全だよ。」

 情報によると前回、海の中に居たセリァナラの部下達もパクパクパクーン! と食べてしまったらしい。
 体に悪くないか? まあ、ヴォン先輩の《使役》してる魔獣だから大丈夫か。


【鉄壁の守護者ワーチャン vs ヌルヌルくん1号】

「さあ野郎ども! 手の届かない背中も、この[ヌルヌルくん1号]が全自動で完璧に仕上げてやるぜッ!」

 絶妙に名前がダサい……なんか『クロくん』が考えそうな名前のロボットが現れる。
 彼? の6腕の手には[高速回転するブラシ]や[オイル噴射口][肩もみ機能][ヘッドスパ]色んな機能がついた多機能ロボットだった。
 ヴォン先輩は手始めに近くにいたマルの背中に[ヌルヌルくん1号]を向かわせようとした時──

「……(ガッ!!)……マルゥメの肌に触れていいのは、俺だけだ。消えろ」

 凄まじい氷の魔力が[ヌルヌルくん1号]を一瞬で氷像に変え、粉々に粉砕! ワーチャンは無言でマルの肩に手を置き、自前の最高級サンオイルを取り出し、誰も居ない場所へマルの手を引いて向かう。

「……もう、ワグーッツン。壊しちゃダメだよ。……」
 
 マルは怒りながらも満更ではなさそうな表情で誰からも見えない場所で2人で塗り合いっこという名のイチャイチャをし始め。

「ああ……マジで粉々にしやがって……! 内部の魔石高かったんだぞ……!」

 その後のヴォン先輩は他にも色々と持ってきた魔導具をガドくんやユーくんに使い方や性能を1時間以上説明していた。


[ヌルヌルくん1号]が壊された時その場で固まるリーナの手にはオイルが。


【マリーの策士モード:タンリィ×リーナの密着大作戦!】

 破壊されたロボの残骸を横目に、オイルのボトルを手に立ち尽くすリーナ

──((……背中、自分じゃ塗れないわ。でも、誰かに頼むなんて恥ずかしいし……))

 そこへ、獲物を狙う鷹のような目でマリー様が登場!

「あら、リーナ? お困りのようですわね。……タンリィ様! ちょうど良かったですわ、リーナの背中にオイルを塗って差し上げて? 手が届きませんのよ」
「おー、任せろ! リーナ、焼けると痛いもんな。じっとしてろよ!」
「えっ、ちょっ……ひゃんっ?!」

 リィちゃんの大きな、温かい手がリーナくんの白い背中に触れます。

──((……あれ。……なんか、こいつの背中、すげー柔らかいな。……それに、めちゃくちゃ熱いぞ? それに、この匂い、良い……匂いだ))

──((……心臓が、耳のすぐ横で鳴ってるみたい……。タンリィの手の感触しか、分からない……))

──((……うふふ、リーナ。顔がノーブル・コーラルピンクより真っ赤になってますわよ!))


【トマ先輩の独白:海を見つめて思うこと】
 みんなの楽しそうな声が小さく聴こえるぐらい遠いデッキの隅、海風を浴びながら手すりにもたれるトマ先輩。
 彼は静かに砕ける波しぶきを見つめながらこんなことを考えていた。

「くっ、やっぱり寝不足のせいで頭が、割れるように痛い……でもこんな姿みんなに見せて心配をさせたくない。頑張って耐えないと……海はこんなに澄んでるのに──」

──((どうして俺の心の中は……タールのようにドロドロとしてる。))


「……トマッバ様、これ。冷たいハーブのタオル。……無理しちゃダメです。あたしがずっと隣にいるから」
「ああ、ありがとう。……これ、気持ちいいね。少し良くなったよ。」

──((ずっと昔から、側で支えてきてくれてる彼を心配させる訳にはいかないな。))

 近くで彼の様子を見ていたチッチ先輩はすかさず彼の世話をやく。彼には微笑んで欲しいのに、近頃は苦しそうな表情が増えてきた。仕事を理由にしてるけど、チッチ先輩はそれが原因だと思ってなかった。


【プールにて】

[サンラウンジャー]にはリーフィ先輩が自前の葉っぱを集めた傘片手に休んでたり、エマもノンビリ寛いでる。

──((……天国。もう中等部に戻りたくない……でも、私にはやならければいけないことがある))

「ね、悩み事……? るるが聞くよ」

 プールでスライム姿になって浮かんでたルルくんが遠い目をしながら、……泣きそうな顔をしてるエマに向かって話しかける。
 初めて会うのに、共に《水属性》を持ってるせいなのか、ルルくんは後輩を無視して遊びにいけなくなったらしい。

「ううん、大丈夫です。心配かけてすみませんでした……」
「ぷるっ、抱っこして!」
「えっ、」
「るる、気持ちいいって評判なの、だから少しでも癒されて」

 ポヨンとエマの方へジャンプして彼の胸に飛び込む! 
 ひんやりしてるルルくんを持つとエマの心が少しだけ軽くなった気がした。
 それからは少しずつお互いの事を話す。
 エマには大事な4兄弟が居ること、お父様も大好き、お母様は……ルルくんは彼が母の話になると表情が暗くなるのを察して違う話題にふって会話を楽しんでいた。


「ケース、ココ塗り忘れてるぞ」
「あ。本当だ。ありがとう!」

「なあ、アイツらはオレ達が居てもイチャイチャし始めるよな」
「だな、ご馳走様って感じだよ」
「ケース達仲いいな!」

 メイチャンとケースのイチャイチャを背景として受け入れるイツメン達は冷たいプールの水な筈なのに、ぬるま湯ぐらいあるんじゃないかって思うぐらい体感温度がアップしてる。

 近くにはヴォン先輩から解放されたガドくんが使い魔のアムを連れて来たが、さすがにプールといえど、ハムスターには深すぎると注意しながら考えるとアムが彼の掌からジャンプしてプールに飛び込もうとし、その前にキャッチする。
 ドッドッドッと心臓がヤッシーくんのスピーカーぐらいの爆音でドキドキしながら冷や汗をかいてると、ヴォン先輩がさり気なく[魔導ライフジャケット]着たもののサイズになるやつでそれをアムに着させると気持ちよさそうに犬かきしながら泳ぐ姿にガドくんがホッとしていた。

 その近くをイデチャンの3体の人形、豚のポポ、火精霊ゾッゾ、騎士のノュエル達が遊びに来て小さいものクラブのような光景にホッコリする。

 
【船内にて】

【ラウンジ】ではゲッちゃんパイセン達がプールにはいかず冷えた飲み物とカードゲームで時間を潰している。
 ユーくんやメレくん、ユーキくんたちが遊んでるね。



 
【1日目・午後:【激震! カストス・ビートの船上ライブ】

 プールの喧騒が続く中、甲板の特設【ステージの上】にヤッシーくんとヌヌくんが大きな音を立ててみんなの注目を浴びながら飛び乗る!

「ヘイヘイヘーイ! ブラザー!! プールのぬるま湯に浸かってねーで、魂の温度を上げろよぉッ! ヴォン先輩! このデカい鯨の鼓動、俺たちのマイクに乗せてもいいっしょ?!」

「良いぞ、カストス、コイツラにノッてやれ!」

──オオォォオオオン

「OK、ブラザー! ヌヌ、カウントだ!」
「うん、いくよ!……3、2、1……ドンッ!!」

 ヌヌくんが《天響の鼓動∶ソーラー・ビート》
の太鼓を叩くと、衝撃波がプールを揺らし同時に、ヤッシーが《轟震の黒鉄∶アイアン・ドレッド》をカストスの体に当てる──!

──ドッ……ドッ……ドッ……!!!!

 巨大な心音が、ヤッシーのポイパによって「重低音ベース」へと変換され、船全体がスピーカーのように震え始めるッ!

【ライブ中の各メンバーの反応】

【ヤッシーくん&ヌヌくん】
「もっとだ! もっともっと、波を上げろぉ!!」
   カストスも大きく体を動かし、尻尾を波に打ち付ける……!
 蛍光色のマナを散らしながら、ヤッシーのビートが加速。ヌヌくんも満面の笑みで、豚獣人の怪力から繰り出される「癒やしと爆音」の太鼓を鳴り響かせます!

【モチくん&メレくん】
「「ボクたちも混ぜてー!」」
 妖精コンビが音楽に合わせて空中で鬼ごっこ。モチくんが虹色の光を爆発させ、メレくんがドラムのハイハット代わりに「パチパチ」と雷を鳴らして、もはや船上は最高級の野外フェス状態!

【リィちゃん&フレアくん】
「うおおお! このリズム、魂が燃えるぜー!!」
 リィちゃんはプールの中でヤッシーのビートに合わせて拳を振り上げ、フレアは蒸気で「炎のレーザー光線」を空に描く!

 その後、プールから上がって集まったみんなはステージ前で大盛り上がり!
 リィちゃんがマリーが隣に行くように言ったリーナの肩を抱いて左右に揺れながら無邪気にライブを楽しむ!
 リーナは音楽を楽しむどころじゃなくて、固まりながらもリィちゃんに揺らされて左右にユラユラと。

「まだまだよッ!」とマリーはドンドン彼らをくっつけさせようと人一倍燃えるのであった。

【カッチャン&ユイ先生】
 ステージの端で、音楽に全く合っていない──けど最高にスタイリッシュな──ダンスを披露。「来ちゃ、た!」のポーズでキメるユイ先生の横で、カッチャンがアメジスト色の影を踊らせる!

【トマ先輩や他の静か組】

【ライブ会場】とは少し離れた場所で彼らは各々遠くで聴こえる盛り上がりに耳を傾けながら過ごす。

 トマ先輩、リーフィ先輩、ガドくん、ユーくん達は今日はまったりな気分らしいね。
 そろそろお腹も減ってきたから一旦着替えてから【食堂】に向かおう!

【食堂】には色んな食事や飲み物、デザートまで揃ったビュッフェ式で、リィちゃんとフレアくんは目をキラキラさせながらトレーにお皿を敷き詰め、片っ端からよそって行く!
 席は壁の端まである長いテーブルを囲って!

 ヴォン先輩いわく料理は一流のシェフも連れてきたが、魔導調理というものも試してるらしい。
 各地の美味いもののデータを入れて再現できると。
 なので、こんだけの数ある料理が並んでるんだね。

【深海真珠のカルパッチョ~泡の魔法仕立て~】
「……(カシャッ!)。これ、見てよ、お皿の上に本物の泡が浮いてる。これ、《水属性》のマナを含ませたソースなんだって。口に入れた瞬間、シュワッと溶けて磯の香りが広がる……。イデチャン達が「無限に食えるやつ!!」と言ってた理由が分かったよ。

【灼熱龍──レッド・サラマンダー──の低温ロースト】
「出たぁ!《火属性》の魔獣肉を、ヴォン先輩特製の『永久冷却魔導炉』でじっくり12時間焼いた逸品! 外はカリッカリなのに、中は驚くほどジューシー。噛むたびにピリッと心地よいマナが喉を通って、旅の疲れが一気に吹き飛ぶよ! ワーチャンがマルくんに「ほら、これ食って体力つけろ」って食べさせてるのが、肉より熱いな」

【天空の雫・ソルベ】
「……────動画に切り替えこれ、スプーンを入れると色が『朝焼けのピンク』から『真昼のブルー』に変わるんだ。……あ、トマ先輩が一口食べて、少しだけ微笑んだ。……その一瞬を、俺は見逃さなかったぜ」


「なあ! コレ美味え! リーナほら!」
「わ、私は……んぐっ、……美味しい、」
「だろっ! 別のも美味かったからあとで取りに行ってやるよ!」

──あらあら、まあまあですわぁ!

「ワグーッツン、はい、あーん。どうかな? 美味しい?」
「ああ……|──────《お前の作った料理の方が1万倍美味
いが……》」

──相変わらず夫婦してんな
──あっちだぜ

「ほら、ケース口周り汚れてるぞ」
「ふぉんふぉ?」
「ふ、可愛いな。俺の分やるよ。」


 ワイワイガヤガヤ楽しそうに食事する面々と──……窓辺側に座るトマ先輩は静かに食事をしていた。

 チッチ先輩は、トマ先輩のおかわりをよそって来たり飲み物を取ってきたり忙しそうだ。
 トマ先輩の前に座るエマも思う所があるようで、沈黙の中の食事タイム。
 
 淡々と食べてるけど味は感じてるのかな……?

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