不定期∶王道無糖

加速・D・歩

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本編

37 デート回1日目

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【でっかい街1】に着いたんだが……

「1ヶ月間のフェスティバルで~す!」
「みんな! 楽しんでいってね!!」
「安いよ! 安いよ! 持っていった!!」

 何やらお祭り中だった。
 何処を観に行っても花びらや紙吹雪が舞い、地元住民も商人も観光客も楽しそうだ。
 この街では元々小さな町だったらしいけど、大昔に魔物と魔族が攻めてきた時に当時の英雄に助けられて彼女を忘れない為にこの時期になると大々的にお祝いをするらしい。

 で、各場所でイベントをしていて、女性の英雄だったらしい。彼女の姿を模して誰が1番似合ってるか、コスプレかミスコンみたいなイベントだな。
 あとは彼女の元いた世界も聞いた感じ【ちきゅう】出身らしく、食べ物とか、服装とか、あとは──


「わぁ、すごい!」
「これ、何ですか?」
「これ乗ってみたい……!」

 遊園地がドーンとあった。その英雄さんが広めたらしい。で、みんな見たことが無いらしくてキラキラした目で見てる・・・のと。

「ぼくがご主人様と見に行くのっ!」
「何言ってるんです? 主は我と……ふふ」

 両側からリジュとヴァルシュに引っ張られグラグラする。あー、どうにかならんか!

「このお祭りってまだ数日あるんですよね」
「・・・」
「あー、分かったよ。」

 メリと影が案を出してきてまだ数日続くフェスティバルで1日デートをするみたいな。全員は無理だぞ? と言うとピーチが反発してきたけど、こっちも同じ場所に行ってたら飽きるし。で、クジを作って3人分やるって事になってさ。

「わ、私ですか?」
「わーい! ご主人様と一緒っ!」
「よろしくお願いしますね」

 と回る順番も決めて明日から。今日はいつも通り宿とギルドに顔出しして。ギルドもお祭り騒ぎだったけど、フェスティバル中は休む冒険者と稼ぐ冒険者が居るとかで、後者はギルドの報酬が普段よりアップしてて、プラス普段でない依頼とかも出るとか。

 宿もどこも満室だったけど、ロイヤル部屋は空いてたのでそこに泊まる。街の感じ身分差は感じない。貴族とかも来てるし、普通に楽しんでる。




「わあ! 今日は1日中ご主人様独り占め♪」
「おー、どこでも付き合うぞ。」
「やったあ! じゃあね~……うー……ん。こっち!」

 少し悩んだあとリジュに手を引っ張られながらついて行く。見るものすべてが新鮮と目をキラキラ輝かしながら出店を冷やかしながら途中、串焼きとか買って食べながら歩きつつ。他のみんなは自由に回ってもらってる。 
 お、影もメリ達と一緒にいるな。あっちではペラルタ達が。ヴァルシュは一人自由行動中だ。


「これなに?!」
「メリーゴーランドっていう馬に乗ってグルっと回るやつだな」

 遊園地に入ってリジュが指差したのは馬や乗れそうな動物が色々とあるメリーゴーランド。上下に移動しつつ何周かする乗り物に乗りたいっ! というからリジュはピンクの馬に、僕は隣の青い馬に乗る。
 軽やかな音楽がなりつつ動き、リジュは楽しそうに周りで見てる人達に笑顔で手を振ってる。

「あ~楽しかった!」
「良かったな」
「ご主人様は楽しい?」
「ああ、まあな」
「えへへ、くすぐったいよ」

 リジュの頭を撫でると耳付近だったからか擽ったそうにする。次はすごい速さで動いてるジェットコースター、マナの力で普通のより速くないか……?
 キャー! というよりギャー!! っていうマジの悲鳴しか聴こえないんだが……

「わ、ドキドキする……」
「途中壊れるとか、無いよな?」

 係の人がシッカリと僕達の体を固定させ、マシンをスタートさせる。
 最初はゆっくり……かと思ったら容赦なくトップスピードまで行きめっちゃ登って落ちるとかもなくそのスピードのまま3周して終わった。

 同じマシンに乗った他の人達はゲーゲー吐いてる。

「わー! 楽しかったぁ~! ビューンって凄かったね!!」
「最半規管つえんだな。」
「ん?」
「まぁ、次に行くぞ」
「んじゃあ~……」

 リジュが悩んでると音楽と共にアナウンスが聴こえる。

「今ね! 英雄のコンテスト募集だって! 行こっ!」
「ん、分かった」

 手を引かれ小走りに走っていくと、参加者でごった返していた。英雄さんとやらは黒髪おさげ髪赤い眼鏡の人だったらしい。目は黒かな遠目でよく分からん。

「ご主人様~! こっち~!」
「ん、席か?」
「? はいこれ着て!」
「? セーラー服?」
「よく分かんないけど英雄さんが着てた服なんだって!」

 係の人に話しかけてたリジュがなんか持ってきたと思ったら白と紺色のセーラー服。リボンは赤いやつだった。つまりコンテストに参加しろと? リジュは見たいー! って言うからリジュも出るなら良いよと答えると係の人に向かっていった。




「次は467番と468番のお二人ですー!!」
「「ワー!!」」

 番号が呼ばれてカーテンが開く。リジュと2人で舞台に立って英雄さんらしい決めポーズをすると会場が沸く。武器は刀だったらしくそれを持って3回ぐらいポーズをとった。
 てか、会場に影達も居るな。

「英雄様らしい参加者さんでした! 次の469番の方ー!」

 女性参加者オンリーかと思ったら僕達みたいに女装してる人も多かった。ムキムキの人とか……まぁ、うん。
 司会者さんが知らないから気にしないけど、僕も英雄なんだけどね。


 と、色々回って周りが暗くなり始めた頃に宿に帰ると他のみんなは色々とお土産的なものを買ってたらしい。

「カゲさんがね、わたしたちにコレ買ってくれたの」
「だから、あたし達も選んでコレにしたんだ!」

 と影とメロメリがアクセサリー露店で似たようなブレスレットを買ってたり。

「主! 帰ってたのか!」
「ヴァルシュ良いものでも見つけたか?」
「ああ! 主にこれをじゃなあ」

 色々と探索してきたヴァルシュはコケシみたいな人形を買って渡してきたり。

「ソユラ達は何買ってきたんだ?」
「私はこの髪飾りと、ペラルタは馬車用のアイテムとかで、ピーチはこの──」
「あっ、クロ何するんだよッ! 返せ!」
「ソユラ達はこれ、食べたの?」
「いえ、まだ……あの? お店の人が旅のお供に良いとかでオススメされて、」
「あっ! クロお前……」

「これは食うな。俺が食う。明日はカゲと行動しろ」
「何言って……」
「ピーチ、お前こんなもん食ったら穢れて魔法使えなくなるぞ」
「はあ?」

 ピーチが持ってた缶詰を取り上げると起こるが、ピーチの魔法属性が《聖魔法》なんだよな。魔物は食っても平気だろうが、ヒト系はなぁ。明日以降は影やリジュ達に見張ってもらうか。
 明日はペラルタとデートだ。

+メモ

名前:英雄
種族:人間
見た目:黒髪おさげ黒目赤い眼鏡の女の子
一人称:私
二人称:あなた達
背:156
歳:15歳
武器:刀
元は何処にでも居るような少し夢見がちなオタ女子、小さい頃から剣道部には入ってた。
クロくんとは別の【ちきゅう】から来た。



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