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本編
6 迷宮へ:?日目……27層→31層
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「ん、おはようございます」
「おはようさん。まだ坊主は寝てるぜ、まぁ疲れたんだろ。顔洗ってこい」
「はーい」
水が汲めるところに行って顔を洗う。少しひんやりとした水はシャッキリと目が覚める。ロイくん疲れちゃったか。そりゃそうだよね。自分も大丈夫かと思ってたけど結構キてたし。ロイくん起こさなきゃな──
「うぎゃー!」
うん? と振り返るとロイくんがユナさんに抱き引っ付いてた。
「え、ど、どうしたんですか?」
「コイツ、寝ぼけてやがる。引き剥がせ!」
「んーぅ、フェンさぁん……」
「俺はフェンじゃねぇって!」
ムニャムニャ言ってるロイくんの後ろからグイッと引き離すと、意外とスッと取れた。良かった。
「ん~~っ! あれ、? うわっ?! フェンさんな、なんですか??」
「おはよー、ロイくん。」
「えっ、え?」
「甘い雰囲気の所申し訳ないんだが、説明するとしたら──」
「ご、ごめんなさいっ!!」
勢い良く土下座をするロイくん。
「いや、俺もビックリしただけだし気にすんなって」
「ロイくん、膝痛めるから立ち上がって。」
寝ぼけてたとはいえ人妻に抱きついたってのが申し訳ない! って事で謝ってるみたい。とりあえず顔洗ってサッパリしてきなと伝える。
「んで今大体……30層付近なんだわ。降りれば降りるほど魔物や罠も厄介になってくし、俺らの疲労も蓄積していく。早く届けたいのはやまやまだけど、気を引き締めて無理せずに進むぞ。どうせ時間感覚は当てにならないし気にするな、疲れたら言うんだぞ! じゃ、準備して先に進む!」
「「了解!」」
ユナさん頼もしいな。普段1人で冒険者業をしてるらしいけどリーダーシップもあるしイメージ的にフルパーティーで活動しててもおかしくない感じもする。
「あー、まぁ。昔の、若ぇ時はつるんでた事はあったけどよ。」
「そうなんですね!」
「どんなパーティーだったの?」
ユナさんの冒険者なりたての頃は、3人の同じ町出身いわゆる幼馴染と組んでたらしい。そこに拠点にしてたギルドで出会った少し先輩2人を入れた6人フルパーティーで活動してた事があったらしい。
その事を話すユナさんは懐かしい表情をしつつも少し難しい顔をしていた。何かあったのかな。
「ま、ペーペーのガキ4人と先輩2人だったからよ、黒歴史つーか、結構やらかしたよな。色々と。」
「そうなんですか?」
「レベル足りねぇのに格上の討伐依頼を勝手に引き受けて失敗とかザラだったし」
「それ、大丈夫なんですか? 確か下手したら奴隷落ちしますよ」
「そん時のギルド員も明らかにレベル足りてないのに受けさせたって事でなんとか注意だけで済んだんだわ。ホント、あの時はぶん殴ってやろうかと」
ゴゴゴ……ユナさんから凄い怒りの圧が……! 初心者冒険者あるあるの色々とやらかした話を聞きつつ襲ってくる魔物を追い払って罠も出来るだけ回避して進む。
「依頼トラブルもそうだけど、仲間の男女トラブルとかも最初は仲良くやってたのにいつの間にかドロドロしてたりさ、面倒くせぇ」
「はー、なんかそう言うの聞くと冒険者って大変だね」
「だね~」
「ま、今の職場がサバサバしてるし気軽で良いんだわ」
「ユナさん冒険者以外にも?」
「まあな」
ユナさんが冒険者以外で働いてるんだ。何だろ、カフェ店員さんとか? 美人だし人気出そう。あとは武器屋さんとか? 冒険者で色んな武器を詳しかったりしてたし。
「ちょい待て」
「うん」
石畳の床が少し広がってる場所に来た。部屋の入り口で足を踏み入れるのに待ったがかかる。
「前に来た時に壁……あそこあった。あの壁に穴が開いてるの見えるだろ?」
「「あ、本当だ。」」
レンガ壁の一箇所に隙間がいっぱい見える所がある。ユナさんは床にスイッチがあってそこを踏んでしまうと槍が飛んでくると、怖っ。
「俺が先に調べるからそこで待っててな」
「大丈夫ですか」
「まあな」
ロイくんとユナさんを見守る。ユナさんは手慣れた手つき、足の運びで安全な石畳を見極めて印を付けていく──……
「よし、お前ら待たせたな。」
「いえいえ、私達初心者に安全なルートで進ませてくれるんですから」
「うんうん!」
ユナさんの指示で印の付けた石畳だけを踏んで渡ると安全に行けると──ん?
──うわああぁぁあ!!
誰かの声と小さな地響きが、ドドドッ──と何かが近づいてくる。
行く方向から一人の冒険者が“何か”に追われて逃げてくるのが見えた。
「た、助けてください──ッ!!」
「お、おい! そこを踏むな!!」
「えっ──」
自分は咄嗟にロイくんをこっちに向かせギュッと抱きしめる。
走ってきた男性冒険者は何歩か部屋の中に入ってきたものの、罠発動のスイッチを押してしまい──
「……お前さん達はこっち見ないようにそこに居な。俺が合図するまでだ。」
「はい。」
「……うん」
ロイくんには見せないようにしてたから良いけど、自分はその瞬間を見てしまった。本当は自分も手伝った方が良いんだろうけど“待て”がかかってるし、ロイくん1人にさせる訳には行かないし。
走ってきた冒険者は壁から射出された無数の槍に横から攻撃を受けてここから見た感じ即死だったと思う。壁は真っ赤に染まり、槍に血が垂れ滴り落ち床に赤い水溜りを作ってる。それをユナさんが安全確認をしながら近づき、冒険者プレートを回収している。
「はあ。時間かけて安全ルート確認したっていうのによ。」
「うん、さっきの人は……」
「見たまんま。冒険者プレートは回収したからコイツだけ送ってくるわ」
迷宮内で死んだ場合、基本的に魂はとどまる。あの世には行かない。んで、仲間が居ればその場蘇生、冒険者プレートがあって特定のワード詠唱すると迷宮の蘇生屋に転移するらしい。で確認後蘇生屋がやってきて遺体回収の後蘇生される。けど、冒険者プレートないし、蘇生屋に届けられてない場合は数日ぐらい経つと死者魔物になってしまう。ってユナさんが説明してくれた。
ちなみに自分達はユナさんのパーティーとして入り口の蘇生屋に登録はしてる。念の為にね。ユナさんは薄手の布を遺体にかけてから念の為に印を付けたところを歩いて渡るよう言ってきたので慎重に足を進めた。
「にしても、何に追いかけられてたんだ?」
「薄暗いから少し明るめに照らしますね」
「うわっ……!」
さっきの冒険者が走ってきた道には──死屍累々、若い男女の遺体が転がってた。さっきの人の仲間、だったのかな。皆冒険者だったみたいでユナさんと自分の2人で冒険者プレートを蘇生屋に送っていく。にしても数が多いな。
「うわっあ!」
「ロイくんっ?!」
ロイくんの足に遺体の1体が手を伸ばして掴もうとしていた。咄嗟にピコハンでそれを叩きロイくんを救出したあと、ユナさんがトドメをさした。
「そんなに時間が経ったのか? それとこの人数レイドパーティーだったのかもしれねぇな。んでもまだ30層近くだろ? こんな事前に聞いたことねぇぞ。」
「レイドパーティーですか」
「フルパーティーが6人でそれが何組か一緒に依頼を受ける事まぁ、だいたいはどっかのボスクラスの魔物とかなんだけどな」
「それでこの人達が死んでるってヤバいのが近くにいるってことなのかな?」
ズシン──ズシンッ──!!
地響きが道の先から響いてくる。
「居るのか、レイドで来た敵を初心者を守りながらはキツイなァ」
「俺達の事は大丈夫です。ね、フェンさん」
「ええ」
「んでもなぁ……」
「作戦、を考えますか?」
「だな。」
作戦を考えてる間も地響きが凄い。何かが暴れてるのかな。
「とりあえず、俺はこの大剣で攻撃は出来る。」
「俺は弓で気をそらしたり……」
「私はピコハンで……あとは大量の魔石や他のアイテムは持ってますけど」
うーーん。回復役が居ないから怪我したらポーションで回復しかない。ロイくんにコッソリと耳打ち。
『ロイくん、本当に危なくなったらユナさんと《転移》で逃げて』
「えっ!」
『ロイくん、しーっ!』
『でも、折角ここまで来たのに……』
『ここまで来たけど実力がなかった。トキさんに協力してもらってまた来よう?』
「なーに、コソコソしてんだ。」
「「な、なんでも!」」
完全にユナさんに怪しまれてる。でもこんな良い人をもし先の戦闘で失ったら──!
とにかく、予定では目眩ましのアイテムとか隙をついて奥に行くと言うことになった。
ズシン──ズシンッ──!!
ズシン──ズシンッ──!!
「この先だ、行くぞ!」
「「おー!」」
さっきよりも広い場所には2体のトロールが踊り狂っていた。
「「マジかよ」」
ジャカジャカと軽快な音楽に色とりどりのライトがトロールと地面を照らし、2体のトロールも花のようなフリフリの衣装を身に纏いダンスダンスしている。その光景にポカーンとしてしまう私達。
『『お、おっさーんじゃん!』』
「え?」
『おっさーん!!』
近くに居た方のトロールがユナさんを抱えて頬擦りする。ユナさんは抵抗してるけど、どういう事?
「ゆ、ユナさん、トロールと知り合いだったんですか?」
「知らん知らんっ!!」
『『ええー! びぃど~ぉぉおおい』』
エーン、エーンと泣きながらのモーションをしながらトロール達は泣く。ユナさんも自分達も困惑する。
「てか、ユナさん、おっさんって呼ばれてるの? なんで??」
「あ、確かにおっさんって」
「ああいやいや、これは昔からのあだ名なんだわ」
「「やっぱり知り合いってこと?」」
どうも状況が分からないけど、やっぱり知り合いなんじゃ? って言ったらユナさんは少し考えてから……
「いや……もしかして、赤と青か……?」
『『えへへ。バレたね!』』
2つの名前を言うと2体のトロール達は────
「うお、眩しっ!」
「「じゃじゃーん! 正解ー! 可愛い女の子でしたー!」」
「《操作》チャン達、二人じゃん」
トロール達は縮んで赤い髪の女の子と青い髪の女の子になった。《操作》の双子だ。
「「だあれ?」」
「あー、40層で届け物があってよ。魔石屋達の護衛で来たんだわ」
「あっそれ、ワタシ達のことです!」
「マジ? ここってまだ30層辺りだよな?」
「待てども来ないから上がってきたんだー!」
二人が説明するには表上彼女らは考古学者をしていてこの迷宮に調べに来てたらしい。50層で開かずの扉があって魔石を嵌める窪みがあったから手持ちので試したけど駄目だったから私の店の魔石を頼んだらしい。40層で待ってたけど来ないので30層で待ってたらしいが、この辺だと人が来るから彼女らの能力《操作》で死屍累々とトロールを出してというかトロールに変身して誰か来ても先に進まない様にしてたらしい。あと暇だから踊ってたって。
「あ、あの死体って本物じゃなかったんだ。」
「でも、俺の足掴んできた、よね」
「「ええ? 気のせいじゃない?」」
「んや、俺がそれのトドメをさしたからな」
死屍累々が本物じゃない事でロイくんがホッとしたけど、足を掴んできた個体は? 双子の2人は知らないって言うし……それと──
「じゃ、じゃあ、あの男性は……」
「「んー? 誰の事?」」
「お姉ちゃんそういえば、1人冒険者が来てたからそれかな?」
「あー。何かに追いかけられてこの部屋から出て行っちゃった人ね」
「そっか……っ」
ロイくんが肩を落として落ち込む。それをユナさんが蘇生屋に回収したから良いじゃねぇかと励ましていた。
先に進む事に死屍累々は新しく設置するらしい。それの準備で数十分待ち──……
「おっまたせ~!」
「先に進みましょう!」
双子達は白衣っぽい羽織りをかけて眼鏡をしてる。普段の彼女たちは東の国にある服を着て、眼鏡はしてない。
「先の敵はどうする?」
「ワタシ達だけなら魔物にも認識が効くから安全に進めるけど……」
「えっとさっきからなんの話をしてるの?」
一応、一般人のフリをしてるから聞いておくとユナさんが一番動揺してる。そういえば、双子の能力を知ってたみたいだし……
「ああ、コイツらのスキルで魔物の撹乱させることが出来るんだわ。それで……」
「別にアタシ達の能力言っても良いんだよ?」
「“理解出来ない”だろうしね、ね。お姉ちゃん」
「そもそもここで“会った”事すら記憶いじれるし?」
「はあ。ほんと怖ぇ能力だな双子チャンは。」
ロイくんはあの双子が《操作》の2人って分かってるのかな? ここからじゃ表情が分からないな……私が《魔石生成》なのも分かったうえで懐いてくれてるんだろうか。
「ま、何にせよ休憩だ休憩! 各自準備しろ!」
「「了解ー!」」
自分はお茶の準備、と《生活魔法》で生成した水を鍋に入れて沸騰させる。他のメンバーも色々と会話しつつ休憩場所を作ってる。やっぱユナさんはリーダーに向いてる。今、ここに組織のメンバーが揃い始めてる。一般人のふりを私達はしてるけど本当の一般人はユナさんだ。だから大々的にあの2人に言いに行きづらいな。
まぁ、あの2人なら認識させないだろうし良いけど。
+メモ
秘密結社【プラムプトゥリィ】
先読み:サキ:車椅子の女の子
時止め:トキ:車椅子側近の眼鏡をかけた女性
転移:弓:ロイ:フードを被った無口な少年
魔石生成:ハンマー:フェン:仮面を付けた青年
記憶操作:赤:赤い髪の少女(双子の姉)
認識操作:青:青い髪の少女(双子の妹)
記憶改変:黒髪黒目の少年
コピー:人語を話す黒猫
変化:50代のおっさん
冒険者2人~6人、フルパーティーを何組かと組んでレイド依頼が受けられる。
初心者冒険者あるある?
身の丈に合わない依頼受けがち
変なプライド持ちがち
先輩や先人の話スルーしがち
街の人のお使い雑に扱いがち
身の丈に合わない装備買いがち、着けがち
男女トラブルありがち
金銭トラブルありがち
罠にはめられがち、奴隷に落とされがち
迷宮内で先に進みまくって死にがち
仲間が死者魔物にされてトドメ出来ない事ありがち
無駄にスイッチ押しがち
えとせとら。
冒険者奴隷落ち
悪質な行為、仲間にハメられ売られる等で落ちる。
基本戦闘奴隷落ち。スキルが良ければ待遇が良くなったり、見た目が良ければ愛玩奴隷に行く。
迷宮内での蘇生
仲間に回復職がいる場合はその場で蘇生ができる。もしくは専用のアイテムで蘇生。
迷宮の入り口に蘇生屋があり入る時に冒険者プレートを登録すると、死んだ場合自動的に蘇生屋にプレートが転移される。(専用のワードでも戻る為死んでる冒険者が居たら戻してあげるのがマナー)蘇生屋がやってきて遺体回収後に蘇生。層により料金が変わっていく。深すぎると金貨料金がかかる可能性も。
蘇生されずに数日放置されると、死者魔物になる為、仲間が攻撃できずにミイラ取りになってしまうのでちゃんと倒す事を推奨されてる。
男性冒険者…ロイくんが見てたら《転移》で助かったかもしれないね。
トロール…でかい妖精系魔物オークよりデカい?棍棒を持ちなぎ倒し攻撃してくる(診断メーカーで決まった)妖精なの?マジ?
赤と青の普段着はチャイナ服…何でもかんでもファンタジー服とか以外の物は東の国(異世界人)が広めた事になってるので
「おはようさん。まだ坊主は寝てるぜ、まぁ疲れたんだろ。顔洗ってこい」
「はーい」
水が汲めるところに行って顔を洗う。少しひんやりとした水はシャッキリと目が覚める。ロイくん疲れちゃったか。そりゃそうだよね。自分も大丈夫かと思ってたけど結構キてたし。ロイくん起こさなきゃな──
「うぎゃー!」
うん? と振り返るとロイくんがユナさんに抱き引っ付いてた。
「え、ど、どうしたんですか?」
「コイツ、寝ぼけてやがる。引き剥がせ!」
「んーぅ、フェンさぁん……」
「俺はフェンじゃねぇって!」
ムニャムニャ言ってるロイくんの後ろからグイッと引き離すと、意外とスッと取れた。良かった。
「ん~~っ! あれ、? うわっ?! フェンさんな、なんですか??」
「おはよー、ロイくん。」
「えっ、え?」
「甘い雰囲気の所申し訳ないんだが、説明するとしたら──」
「ご、ごめんなさいっ!!」
勢い良く土下座をするロイくん。
「いや、俺もビックリしただけだし気にすんなって」
「ロイくん、膝痛めるから立ち上がって。」
寝ぼけてたとはいえ人妻に抱きついたってのが申し訳ない! って事で謝ってるみたい。とりあえず顔洗ってサッパリしてきなと伝える。
「んで今大体……30層付近なんだわ。降りれば降りるほど魔物や罠も厄介になってくし、俺らの疲労も蓄積していく。早く届けたいのはやまやまだけど、気を引き締めて無理せずに進むぞ。どうせ時間感覚は当てにならないし気にするな、疲れたら言うんだぞ! じゃ、準備して先に進む!」
「「了解!」」
ユナさん頼もしいな。普段1人で冒険者業をしてるらしいけどリーダーシップもあるしイメージ的にフルパーティーで活動しててもおかしくない感じもする。
「あー、まぁ。昔の、若ぇ時はつるんでた事はあったけどよ。」
「そうなんですね!」
「どんなパーティーだったの?」
ユナさんの冒険者なりたての頃は、3人の同じ町出身いわゆる幼馴染と組んでたらしい。そこに拠点にしてたギルドで出会った少し先輩2人を入れた6人フルパーティーで活動してた事があったらしい。
その事を話すユナさんは懐かしい表情をしつつも少し難しい顔をしていた。何かあったのかな。
「ま、ペーペーのガキ4人と先輩2人だったからよ、黒歴史つーか、結構やらかしたよな。色々と。」
「そうなんですか?」
「レベル足りねぇのに格上の討伐依頼を勝手に引き受けて失敗とかザラだったし」
「それ、大丈夫なんですか? 確か下手したら奴隷落ちしますよ」
「そん時のギルド員も明らかにレベル足りてないのに受けさせたって事でなんとか注意だけで済んだんだわ。ホント、あの時はぶん殴ってやろうかと」
ゴゴゴ……ユナさんから凄い怒りの圧が……! 初心者冒険者あるあるの色々とやらかした話を聞きつつ襲ってくる魔物を追い払って罠も出来るだけ回避して進む。
「依頼トラブルもそうだけど、仲間の男女トラブルとかも最初は仲良くやってたのにいつの間にかドロドロしてたりさ、面倒くせぇ」
「はー、なんかそう言うの聞くと冒険者って大変だね」
「だね~」
「ま、今の職場がサバサバしてるし気軽で良いんだわ」
「ユナさん冒険者以外にも?」
「まあな」
ユナさんが冒険者以外で働いてるんだ。何だろ、カフェ店員さんとか? 美人だし人気出そう。あとは武器屋さんとか? 冒険者で色んな武器を詳しかったりしてたし。
「ちょい待て」
「うん」
石畳の床が少し広がってる場所に来た。部屋の入り口で足を踏み入れるのに待ったがかかる。
「前に来た時に壁……あそこあった。あの壁に穴が開いてるの見えるだろ?」
「「あ、本当だ。」」
レンガ壁の一箇所に隙間がいっぱい見える所がある。ユナさんは床にスイッチがあってそこを踏んでしまうと槍が飛んでくると、怖っ。
「俺が先に調べるからそこで待っててな」
「大丈夫ですか」
「まあな」
ロイくんとユナさんを見守る。ユナさんは手慣れた手つき、足の運びで安全な石畳を見極めて印を付けていく──……
「よし、お前ら待たせたな。」
「いえいえ、私達初心者に安全なルートで進ませてくれるんですから」
「うんうん!」
ユナさんの指示で印の付けた石畳だけを踏んで渡ると安全に行けると──ん?
──うわああぁぁあ!!
誰かの声と小さな地響きが、ドドドッ──と何かが近づいてくる。
行く方向から一人の冒険者が“何か”に追われて逃げてくるのが見えた。
「た、助けてください──ッ!!」
「お、おい! そこを踏むな!!」
「えっ──」
自分は咄嗟にロイくんをこっちに向かせギュッと抱きしめる。
走ってきた男性冒険者は何歩か部屋の中に入ってきたものの、罠発動のスイッチを押してしまい──
「……お前さん達はこっち見ないようにそこに居な。俺が合図するまでだ。」
「はい。」
「……うん」
ロイくんには見せないようにしてたから良いけど、自分はその瞬間を見てしまった。本当は自分も手伝った方が良いんだろうけど“待て”がかかってるし、ロイくん1人にさせる訳には行かないし。
走ってきた冒険者は壁から射出された無数の槍に横から攻撃を受けてここから見た感じ即死だったと思う。壁は真っ赤に染まり、槍に血が垂れ滴り落ち床に赤い水溜りを作ってる。それをユナさんが安全確認をしながら近づき、冒険者プレートを回収している。
「はあ。時間かけて安全ルート確認したっていうのによ。」
「うん、さっきの人は……」
「見たまんま。冒険者プレートは回収したからコイツだけ送ってくるわ」
迷宮内で死んだ場合、基本的に魂はとどまる。あの世には行かない。んで、仲間が居ればその場蘇生、冒険者プレートがあって特定のワード詠唱すると迷宮の蘇生屋に転移するらしい。で確認後蘇生屋がやってきて遺体回収の後蘇生される。けど、冒険者プレートないし、蘇生屋に届けられてない場合は数日ぐらい経つと死者魔物になってしまう。ってユナさんが説明してくれた。
ちなみに自分達はユナさんのパーティーとして入り口の蘇生屋に登録はしてる。念の為にね。ユナさんは薄手の布を遺体にかけてから念の為に印を付けたところを歩いて渡るよう言ってきたので慎重に足を進めた。
「にしても、何に追いかけられてたんだ?」
「薄暗いから少し明るめに照らしますね」
「うわっ……!」
さっきの冒険者が走ってきた道には──死屍累々、若い男女の遺体が転がってた。さっきの人の仲間、だったのかな。皆冒険者だったみたいでユナさんと自分の2人で冒険者プレートを蘇生屋に送っていく。にしても数が多いな。
「うわっあ!」
「ロイくんっ?!」
ロイくんの足に遺体の1体が手を伸ばして掴もうとしていた。咄嗟にピコハンでそれを叩きロイくんを救出したあと、ユナさんがトドメをさした。
「そんなに時間が経ったのか? それとこの人数レイドパーティーだったのかもしれねぇな。んでもまだ30層近くだろ? こんな事前に聞いたことねぇぞ。」
「レイドパーティーですか」
「フルパーティーが6人でそれが何組か一緒に依頼を受ける事まぁ、だいたいはどっかのボスクラスの魔物とかなんだけどな」
「それでこの人達が死んでるってヤバいのが近くにいるってことなのかな?」
ズシン──ズシンッ──!!
地響きが道の先から響いてくる。
「居るのか、レイドで来た敵を初心者を守りながらはキツイなァ」
「俺達の事は大丈夫です。ね、フェンさん」
「ええ」
「んでもなぁ……」
「作戦、を考えますか?」
「だな。」
作戦を考えてる間も地響きが凄い。何かが暴れてるのかな。
「とりあえず、俺はこの大剣で攻撃は出来る。」
「俺は弓で気をそらしたり……」
「私はピコハンで……あとは大量の魔石や他のアイテムは持ってますけど」
うーーん。回復役が居ないから怪我したらポーションで回復しかない。ロイくんにコッソリと耳打ち。
『ロイくん、本当に危なくなったらユナさんと《転移》で逃げて』
「えっ!」
『ロイくん、しーっ!』
『でも、折角ここまで来たのに……』
『ここまで来たけど実力がなかった。トキさんに協力してもらってまた来よう?』
「なーに、コソコソしてんだ。」
「「な、なんでも!」」
完全にユナさんに怪しまれてる。でもこんな良い人をもし先の戦闘で失ったら──!
とにかく、予定では目眩ましのアイテムとか隙をついて奥に行くと言うことになった。
ズシン──ズシンッ──!!
ズシン──ズシンッ──!!
「この先だ、行くぞ!」
「「おー!」」
さっきよりも広い場所には2体のトロールが踊り狂っていた。
「「マジかよ」」
ジャカジャカと軽快な音楽に色とりどりのライトがトロールと地面を照らし、2体のトロールも花のようなフリフリの衣装を身に纏いダンスダンスしている。その光景にポカーンとしてしまう私達。
『『お、おっさーんじゃん!』』
「え?」
『おっさーん!!』
近くに居た方のトロールがユナさんを抱えて頬擦りする。ユナさんは抵抗してるけど、どういう事?
「ゆ、ユナさん、トロールと知り合いだったんですか?」
「知らん知らんっ!!」
『『ええー! びぃど~ぉぉおおい』』
エーン、エーンと泣きながらのモーションをしながらトロール達は泣く。ユナさんも自分達も困惑する。
「てか、ユナさん、おっさんって呼ばれてるの? なんで??」
「あ、確かにおっさんって」
「ああいやいや、これは昔からのあだ名なんだわ」
「「やっぱり知り合いってこと?」」
どうも状況が分からないけど、やっぱり知り合いなんじゃ? って言ったらユナさんは少し考えてから……
「いや……もしかして、赤と青か……?」
『『えへへ。バレたね!』』
2つの名前を言うと2体のトロール達は────
「うお、眩しっ!」
「「じゃじゃーん! 正解ー! 可愛い女の子でしたー!」」
「《操作》チャン達、二人じゃん」
トロール達は縮んで赤い髪の女の子と青い髪の女の子になった。《操作》の双子だ。
「「だあれ?」」
「あー、40層で届け物があってよ。魔石屋達の護衛で来たんだわ」
「あっそれ、ワタシ達のことです!」
「マジ? ここってまだ30層辺りだよな?」
「待てども来ないから上がってきたんだー!」
二人が説明するには表上彼女らは考古学者をしていてこの迷宮に調べに来てたらしい。50層で開かずの扉があって魔石を嵌める窪みがあったから手持ちので試したけど駄目だったから私の店の魔石を頼んだらしい。40層で待ってたけど来ないので30層で待ってたらしいが、この辺だと人が来るから彼女らの能力《操作》で死屍累々とトロールを出してというかトロールに変身して誰か来ても先に進まない様にしてたらしい。あと暇だから踊ってたって。
「あ、あの死体って本物じゃなかったんだ。」
「でも、俺の足掴んできた、よね」
「「ええ? 気のせいじゃない?」」
「んや、俺がそれのトドメをさしたからな」
死屍累々が本物じゃない事でロイくんがホッとしたけど、足を掴んできた個体は? 双子の2人は知らないって言うし……それと──
「じゃ、じゃあ、あの男性は……」
「「んー? 誰の事?」」
「お姉ちゃんそういえば、1人冒険者が来てたからそれかな?」
「あー。何かに追いかけられてこの部屋から出て行っちゃった人ね」
「そっか……っ」
ロイくんが肩を落として落ち込む。それをユナさんが蘇生屋に回収したから良いじゃねぇかと励ましていた。
先に進む事に死屍累々は新しく設置するらしい。それの準備で数十分待ち──……
「おっまたせ~!」
「先に進みましょう!」
双子達は白衣っぽい羽織りをかけて眼鏡をしてる。普段の彼女たちは東の国にある服を着て、眼鏡はしてない。
「先の敵はどうする?」
「ワタシ達だけなら魔物にも認識が効くから安全に進めるけど……」
「えっとさっきからなんの話をしてるの?」
一応、一般人のフリをしてるから聞いておくとユナさんが一番動揺してる。そういえば、双子の能力を知ってたみたいだし……
「ああ、コイツらのスキルで魔物の撹乱させることが出来るんだわ。それで……」
「別にアタシ達の能力言っても良いんだよ?」
「“理解出来ない”だろうしね、ね。お姉ちゃん」
「そもそもここで“会った”事すら記憶いじれるし?」
「はあ。ほんと怖ぇ能力だな双子チャンは。」
ロイくんはあの双子が《操作》の2人って分かってるのかな? ここからじゃ表情が分からないな……私が《魔石生成》なのも分かったうえで懐いてくれてるんだろうか。
「ま、何にせよ休憩だ休憩! 各自準備しろ!」
「「了解ー!」」
自分はお茶の準備、と《生活魔法》で生成した水を鍋に入れて沸騰させる。他のメンバーも色々と会話しつつ休憩場所を作ってる。やっぱユナさんはリーダーに向いてる。今、ここに組織のメンバーが揃い始めてる。一般人のふりを私達はしてるけど本当の一般人はユナさんだ。だから大々的にあの2人に言いに行きづらいな。
まぁ、あの2人なら認識させないだろうし良いけど。
+メモ
秘密結社【プラムプトゥリィ】
先読み:サキ:車椅子の女の子
時止め:トキ:車椅子側近の眼鏡をかけた女性
転移:弓:ロイ:フードを被った無口な少年
魔石生成:ハンマー:フェン:仮面を付けた青年
記憶操作:赤:赤い髪の少女(双子の姉)
認識操作:青:青い髪の少女(双子の妹)
記憶改変:黒髪黒目の少年
コピー:人語を話す黒猫
変化:50代のおっさん
冒険者2人~6人、フルパーティーを何組かと組んでレイド依頼が受けられる。
初心者冒険者あるある?
身の丈に合わない依頼受けがち
変なプライド持ちがち
先輩や先人の話スルーしがち
街の人のお使い雑に扱いがち
身の丈に合わない装備買いがち、着けがち
男女トラブルありがち
金銭トラブルありがち
罠にはめられがち、奴隷に落とされがち
迷宮内で先に進みまくって死にがち
仲間が死者魔物にされてトドメ出来ない事ありがち
無駄にスイッチ押しがち
えとせとら。
冒険者奴隷落ち
悪質な行為、仲間にハメられ売られる等で落ちる。
基本戦闘奴隷落ち。スキルが良ければ待遇が良くなったり、見た目が良ければ愛玩奴隷に行く。
迷宮内での蘇生
仲間に回復職がいる場合はその場で蘇生ができる。もしくは専用のアイテムで蘇生。
迷宮の入り口に蘇生屋があり入る時に冒険者プレートを登録すると、死んだ場合自動的に蘇生屋にプレートが転移される。(専用のワードでも戻る為死んでる冒険者が居たら戻してあげるのがマナー)蘇生屋がやってきて遺体回収後に蘇生。層により料金が変わっていく。深すぎると金貨料金がかかる可能性も。
蘇生されずに数日放置されると、死者魔物になる為、仲間が攻撃できずにミイラ取りになってしまうのでちゃんと倒す事を推奨されてる。
男性冒険者…ロイくんが見てたら《転移》で助かったかもしれないね。
トロール…でかい妖精系魔物オークよりデカい?棍棒を持ちなぎ倒し攻撃してくる(診断メーカーで決まった)妖精なの?マジ?
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