美しく流れる粒の先

ミライ

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第1雨の世界

お外の世界

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 雨の音が響く昼下がり
 心地よい音色を聞きながら
 部屋の窓から外を眺める一人の女の子

 休日のとある日
 家族はそれぞれの予定で
 お出かけしていて
 一人お留守番をしている

 みう「早く雨やまないかな~」

 自室の机に肘をついて
 ぼんやり窓の外を眺めていると
 緑色の傘が目に入る

 女の子のようだ

 みう「良いなぁ、あたしも、どこか遊びに行きたいなぁ」

 とことこ歩く姿を目で追っていると

 あっちへウロウロ・・・

 こっちへウロウロ・・・

 みう「何してるんだろう?」

 迷子かな?と考えていると
 雨はゆっくり止み始めた

 少し気になったので
 戸締りをして
 緑の傘を追いかけた

とことこ歩く背中を
驚かせないように
優しく声をかける

みう「どうしたの?」

片手に緑の傘を持ち
もう片手には
腕を曲げてお菓子の入った袋

そして手には、おいしい棒を
握りしめて
食べている

??「もぐもぐ」

緑のふんわりとしした
横に少し広がる髪が
ふわっと跳ねると

手に握りしてた、おいしい棒を
お一気に頬張る

??「もぐもぐもぐ!!」

ハムスターのように頬いっぱいに
膨らませてもぐもぐしてる姿は可愛いけど・・・

みう「だ、大丈夫?」

おいしい棒は口の中の水分を持っていく

緑髪の女の子は
さらに必死に口の中のお菓子を飲み込む

そして
お菓子の袋をぎゅっと、抱きかかえると
こちらを睨む・・・

みう「。。。盗らないよ?」

女の子は
キョトンとして

??「そうなの?」
と答える

みう「あたし、みう、あなたのお名前は?」

とりあえず自己紹介をして
なぞの警戒を解こうと思った

もか「もか!」

みう「モカちゃんね!」

もか「もか!!」

みう「え?モカちゃんだよね?」

もか「もーーーかーー!」

みう「え?え?モカちゃんだよね?」

もか「分かればよろしい!」
と、ふんっと鼻を鳴らす

みう「う、うん、ごめんね」

イントネーションの問題?髪の色も緑だし
外国の子かな?と思いつつ

みう「モカちゃんはどこに行こうとしての?」

と問いかけると

もか「あ、」

と何か思い出して
一旦、傘をたたんだ

もか「急がなきゃ!」

みう「え?どこに?」

もか「急がなきゃ!急がなきゃ!」

と、突然走り出す

みう「ま、まって!!」

あわてて、背中を追いかける

もか「みうちゃん!あれどこ?!」

みう「あ、あれ??あれって?」

二人で、雨の止んだ町を走り抜ける
水たまりを勢いよく蹴りぬけると

二人の前に虹が見えた

みう「あ、ほら!虹だよ!モカちゃん!虹だよ!」

このまま、走ってると
コケるかもしれない

なんとか、もかちゃんを止めたくて
必死に声をかける

もか「もぐもぐもぐ!!!」

もかちゃんは走りながらお菓子をむさぼる

みう「のどに詰まっちゃうよ!!」

やっと、こっちの声が届いて
足を止めてくれた

みう「はぁはぁ・・・ゆ、ゆっくり食べ・・・」

と息を切らしながら
注意をしようとしたところで

袋の中から1本のジュースを出して
渡してくれた

みう「あ、えっと・・・」

もか「飲みな、目的地はあの虹のところよ・・・」

キリっとした顔で虹を見つめる

みう「え?う、うん・・ありがと・・」

ジュースをゆっくり飲みながら
二人で虹に向かって歩き出す

もか「みうちゃんはどうするの?」

何のことが分からない質問に
困惑していると

もか「そうだよね、見るまで分からないのよね」

と、一人、納得している

みう「もかちゃんはどこに行く予定なの?」

ずっと疑問に思ってた事を問いかけると

ポカーンとした顔でこちらを見つめる

もか「なんでついてきたの?」
と物凄く不可解そうな顔で
答える

みう「え、ええ・・・急に走り出すから・・・」

もか「駄菓子屋さんだよ!」

みう「え・・・」

もか「今日ね!新商品の入荷なの!」

すっと
手に持ってる袋を見つめる

みう「そ、その袋のお菓子は?」

もか「駄菓子?」

みう「まだ買うの?」

もか「なんで?」

みう「え?もう買ったんじゃ・・・」

人差し指を立てて
左右に振りながら

チッチッチッ・・・
と不敵な笑みを浮かべ

もか「これはあのに行くまでのおやつだよ」

みう「そ、そうなのね・・・」

もはや、考えるのを一旦やめて、
虹を見上げながら歩く

駄菓子屋さんぐらいなら
自分のお小遣いで十分買えるし

私も何か買おう・・・

そう思うみうちゃんだった・・・
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