嘘つきは聖下のはじまり

オウラ

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国王陛下の嫁探し

踊っていただけませんか?聖下

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大広間の上座に用意された絢爛豪華な椅子に座り、全体を見下ろせば、なんとも輝かしい空間が広がっていた。




かれこれ、ルーカスの花嫁さがしが始まって、3ヶ月が経ったわけだが、案の定何も進展のないまま時間は過ぎていった。あの日、好きな人をちゃんと教えてくれると言ったのに、未だに教えてくれないルーカスに、苛立ちながら、それでも、さっさとその人を見つけて、王配を……と考えていたわけだが、何も成果が得られないま、こうも時間が経ってしまうと、流石に教会の威厳にも関わるわけで………私は非常に困っていた。
一応、花嫁修行の名目で、令嬢達をここに集めた訳だが、何もないまま話が終わってしまったら、それは不信感へと繋がりかねない。なんてたって、彼女達の親はは、そこそこ権力を持つ貴族達、我が教会にもバンバン寄付金を譲渡するお得意様でもある。娘によりより嫁ぎ先を見つけることが出来ないなんて事実になったら、株が大暴落どころの話じゃないだろう。………信仰にとって、信頼って大切なんだよ。いや、この宗教の根源は信頼もクソも無いんだけどさ。兎にも角にも信頼って大切なわけだよ。



………………と言うわけで、我が宗教に対して不信感を抱かれないようにと思って開催したのが、本日開催中の舞踏会。各国の老若男女、主に若い男女を中心として集めたいわゆるお見合いパーティー的なものを取り急ぎ開催したのだ。
有力貴族から、力のある商人達に招待状を送れば、なんと食いつきのいいことか。良い結婚相手を探すと言う当初の目論見の人間はもとより、商談を行いたいもの、権力者と繋がりを持ちたいものと多くのものが集まった。ふと見下ろせば、キラキラと光り輝く空間には、シャンパングラスを片手に、語り合うもの、音楽に合わせ踊るもの、ひたすら料理を食べてるもの、はたまた恋に落ちるもの……と人それぞれに楽しんでいる。
花嫁修行として後宮に集めたもの達も、各々で結婚相手を見定めてるようだし、計画としては上々ではないだろうか。問題は残っているが。


「で?陛下は、何故先程から、そこに?」
「うん?」
「………………」

一体なんのことだい?とでも言いたげな笑顔を向けてくるな!まったく、一国の王様の態度じゃないぞ!

簡単な挨拶周りだけ済ませて、後は私の隣で突っ立ているだけのルーカス。あのな、一国の王が、横に立っている私の身にもなってくれよ。なんて言うか、一応、私の立ち位置は、多分既に彼よりもずっと高い位にあるから、聖下ある私は、王である君よりも偉い人になってしまったらしいから、君が立っていて、私が座っているこの構図は不敬ではないけれど、なんて言うかこっちの身がもたないので、座るなりなんなりしてくれ、出来ればどっかの誰かと話してきてくれ。そこに立たないでくれ

「陛下は、誰かと逢瀬を楽しむ気は………令嬢のどなたかと、ダンスをしたりとかはしないのですか?」
「聖下は酷い人だ。俺の好きな人があの中にいない事を知ってるだろ?」

………それは、初めて知った。いや、ふーん。あそこの中には居ないのか。いや、嘘かもしれないけれど、なんだかんだ言って、この前のあの子のことが、リリィーの事が好きなのかもしれないけれど、ルーカスの言う事を取り敢えずは、信じておくか。

でも、まぁ、仮に好きな人がこの場にいたとしても、そんな軽率にダンスにさそ得る訳ないか。未婚の王族にとって、こう言った事を目的としたパーティーでの、ファーストダンスの相手というのは、それは、それは特別な意味がある。それがまだ側室もいない国王だったら尚更のこと。この場で、ルーカスがダンスの相手として選んだ相手は、後の妃となる相手。一向にその相手を私に教えてくれない彼が、この場でそんな相手をダンスに誘うわけがないよな。


「君は?そう言う、聖下は誰かと踊る予定はないのか?」
「そうですね。私には、そんな相手いないので」


別に聖下だから、主催者だから、踊ってはいけないなんて、規則はない。誘われれば、何度だって踊る。今回は、お見合いパーティーだから、中々というかまったく誘われないが、普段は神官や、高位の貴族に誘われる事もある。(因みに、我が宗教、別に聖職者だからと言って、娯楽を禁止にしてるなんてことは無い。羽目を外しすぎるのは、もちろんだめだが、ある程度の娯楽は許されている。人間禁止されるとむしろ、やりたくなるもの、だったら初めから禁止しなければいい。故に、休日はもちろんあるし、恋愛も結婚もできる、こんな風にパーティーに出てもいい。事実、今日のお見合いパーティーに、うちの神官が何人かていたりもする。………まぁ、でなくちゃいけないと言うのもあるけれど)







「だったら、君が俺と踊ってくれるのかい?」
「へ?」
「いや、踊っていただきませんか?聖下」

優しく微笑むルーカスの顔が、瞳がこちらを見つめている。さぁ、と手がこちらに差し出される。一体なんの、なんの冗談だ。

「冗談は良くないですよ。陛下」
「冗談じゃない。本気だ、俺と踊ってくれ、さぁ」
「あっ………」


ぐいっと腕を引っ張られ、体を引き寄せられれる。さっきまで、座っていたのに………なんて言うか、夢見たい。ルーカスに手を引かれ……そして、そのまま音楽に合わせて、踊ることになるなんて。多分深い意味はないんだろう、これは、所謂替え玉的なやつだ。本命と踊るのはリスクが高い。かと言って、王たる彼が、この場で誰とも踊らないのもまたおかしな話しになる。だったら踊っても問題にならない相手、私と踊ればいいだろう。なんて、事なんだろう。期待するな、私、舞い上がるな私、勘違いするな、私、


ワルツの音楽に合わせて、リズムを刻む。彼に触れる指先が、熱くなる。視界に見えるのは、ルーカスの顔のみ。綺麗な翡翠色の瞳が、私を見つめていて、なんていうか、夢のようだ。まさか、私がルーカスの相手になれるなんて、夢でも嬉しいよ。
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