姉さんの代替品

虎々

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監禁編

紗希がいないと



久しぶりの外…

窓の外を、流れる景色が後ろへと遠ざかっていく。

誠は、膝の上でスマホを固く握りしめていた。

「どこに向かってるんですか?」

後部座席に揺られて、もう数十分

「あと少しだ」
短く返されただけで、行き先は告げられない。

『最後にドライブに付き合ってほしい』という誠司の頼みを断りきれず誠は車に揺られていた



やがて、車は静かに減速し、道端に寄せて停まった。

「ついたよ」

誠司は車を寄せて停車した。

「ここは…?」

「俺から紗希を奪った場所」

「え…」

そこは車通りが少ない田舎道で踏切が一つある

姉さんの事故の経緯は聞いた。

姉さんに追突したのは高齢男性ドライバーだった

この道は夜、車通りがほとんどないくて、この道を通り慣れていたその人は警音のなり始めた踏切を見て車のスピードを上げ一時停止もせずに猛スピードで突っ込んだらしい。

その先の十字路で横断していた姉さんの車に気づかずに…


姉さんは即死、相手のドライバーは重症で病院に運ばれたけど意識が戻らずにそのまま亡くなったらしい


「俺はずっと、ずっと許せなかった」

誠司の声は、深い闇をまとっていた。

「紗希を奪ったあのドライバーも、紗希を守れなかった自分自身も。責め続けて、もうどうしていいかわからなくなった時、君を見つけた。
…紗希に似た君をもう二度と失わないようにって必死になってた」

「……っ」

「間違ってるって分かっていたはずなのに…君を代わりにすることで、どうにか自分を保ってたんだ」

誠司がハンドルを握る手に力を込める

「俺気づいたんだよ。やっぱり紗希がいないとダメなんだ」

カーン、カーン、カーン、カーン

前にある踏切の警音が辺りに鳴り響く。


僕はどうしてここまで連れてこられた!?

胸がざわつく。
――まさか、このまま車ごと踏切に……?

嫌な予感が誠の頭によぎる


カチャっ

すると誠司のシートベルトが外れた

「…え」

「誠くん、今まで本当にすまなかった。無理矢理だったけど一時でもまた紗希と過ごさせてくれてありがとう」

そう言うと誠司は車を降り踏切へ向かって行く


まさか義兄さんっ…!!

誠も慌てて車から飛び降りた

「義兄さん!早まらないで‼︎危ないから戻って‼︎義兄さん‼︎!」

誠司はそんな誠の制止をよそに警音が鳴り響く踏切の中へ迷いなく入っていった

「俺はもうこれ以上、紗希の居ない世界で生きていけない」


ガタンゴトン――ガタンゴトン。
夜の踏切を、電車が唸りをあげて通り過ぎていった



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