姉さんの代替品

虎々

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監禁編

姉さんの代用品



ガタンゴトン――ガタンゴトン。
夜の踏切を、電車が唸りをあげて通り過ぎていった

「ハァ、ハァ…っ、ハァ、ハァ…」

遮断機の赤い光が、息を切らした誠と力なく地面に倒れ込む誠司の顔を交互に照らした。


「どう…して…」
誠司は誠の胸ぐらに力なく掴みかかる
「どうして助けた! 俺はもう――」

「…………なるから」

「…え?」

誠は、涙を滲ませながら言葉を押し出す。
「僕が…姉さんの代わりになるからっ」

その言葉に、誠司の手がぴたりと止まった。
しばらくして、指先がほどけるように胸元から離れていく。

「今度は無理やりじゃなく、僕の意思で…姉さんの代わりになるから。義兄さんが『大丈夫』って言うまで、ずっと側にいるから。……だから、死なないで…」

「…本当に、俺の側にいてくれるのか?」

返事の代わりに、誠はその手を強く握りしめた。
それが、誠司にとって何よりの答えだった。


――きっと、この選択は間違っている。
誰かに頼る方法もあったかもしれない。
もっと賢い方法だって、探せばあったかもしれない。

それでも、今の僕にはこれ以外に義兄さんを助ける方法が思いつかなかった

あんなことをされたのに。
心も体も、あの夜に傷つけられたのに。

……それでもやっぱり、もう嫌なんだ。
これ以上、自分の周りから誰かが消えるのは。
たとえ――それが義兄さんであっても。







『監禁編  完』

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