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監禁編
お願い
誠司は、仕事部屋のデスクに戻るとすぐに違和感を覚えた。
手元にあるはずのカバンが、どこにもない。
スマホも入ってるはずのカバンが――どこを探しても見当たらない。思い当たる場所をいくつか辿ってみて、血の気が引いた。
「……まさか」
誠を監禁している部屋。あの部屋に、置き忘れたのではないか。
嫌な予感が脳を駆け巡る。
急いで部屋へ向かう。
「姉さん、僕はどうすればいいの…?」
スマホを握りしめ誠は必死に考える
そうだ、通報しなくてもこのスマホを使えばここから出られるかも…
すると足音が近づき、扉が乱暴に開かれた。
「……紗希」
低く絞り出された声。
誠は、息を呑んだ。
「近づかないで!」
震える声で叫ぶ。
「もし一歩でも近づいたら……警察にかける!」
誠司の動きが止まる。
誠は、スマホを強く握りしめたまま、声を絞り出した。
「お願い……ここから出して」
誠司の眉がひそめられる。
「……無理だ」
「どうして……! 僕は姉さんじゃない!」
「……わかってる」
なら、どうして。
どうして僕を閉じ込めるの?
誠司の表情が苦しげに歪む。
「……お前がいなくなったら、俺は……」
「……っ」
「頼む……行かないで。側にいてくれ……」
必死な声だった。
「紗希がいなきゃ……紗希がいなきゃ俺は……」
その言葉の続きは、かき消された。
誠は、誠司の悲しげな顔を見つめる。
酷いことをされた。傷つけられた。
でも――
(この人は、本当に紗希のことを愛していたんだ)
そう思うと、胸が痛んだ。
「……そこを通して、お願い」
誠司は下を向き、長い沈黙が落ちた。
返事をためらっているのか、それとも何かを考えているのか――誠には分からない。
「…ひとつだけ……最後に一つだけ俺の頼みを聞いてほしい」
「……え」
「俺が頼める立場じゃないのは分かってる。それでも……お願いだから」
顔を上げた誠司の視線が、じわりと誠を絡め取る。
「指一本触れない。スマホも持ってていい。何もしない……だから――頼む、誠くん」
久しぶりに呼ばれた自分の名前に、誠は戸惑いと混乱で頭がいっぱいになった。
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