トラとウマ─研修医の俺が拾ったのはアルビノ被虐待児でした─

西似居ハイロ

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出会い編

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俺、秋田虎治あきたとらじは24歳の研修医。

今日も研修を終え、帰路についていた。
…のだが

黒い短髪をガシガシとかいて今起こっていることを疲れた脳をフル回転して処理しようとした。

公園に小さい子供らしきものが転がっている。

「……………………どう見ても人間…だよな」

その髪は白く、肌の色も薄い。ただ顔面に青あざができている。

「……………アルビノ?」

そうとしか考えられない色をしていた。
生きているか不安になって顔に手をかざすと若干の鼻息を感じる。

「………………………………。」

嫌な予感がする。
長考の末俺はソイツを抱き上げた。
さっきは見えなかった方の腕に新しい傷跡がある。
予想通り身体は軽い。

「…チッ」

俺はなるべく早く家に帰るため足を早めた。




家に帰って俺はまた頭を抱えた。

「風呂入れてからベッドに寝かせたいけど、寝てるやつ、無理に風呂入れられねー…」

第1男女がわからない。
コイツが女でもしこのまま勝手に風呂に入れてしまえばコイツにとってトラウマもんだろ。

「どーすっかなあ…」

「う?」

良すぎるタイミングで腕の中で子どもが身じろいた。

「う?」

眠たそうに目を擦ったあと俺見上げるソイツ。
ソイツの目を見て俺は驚いた。
その目は紫がかった赤だった。
人間の目が赤く染まるのは相当珍しいのだ。

「おいちゃん…だれ?ここ…どこ?」

俺を見て1瞬ビクッとしたあと、子どもらしい高い声で腕の中のソイツは大きな目をパチクリさせながら言った。

「……おじちゃんって歳ではないと思うんだが…俺は秋田虎治。」
「とら…?とらさん!」

”虎”を知っていたようで目をキラキラさせている。

「いや、うん…まあ、あってはいる…か。お前、名前は?」
「?」
「…。まあいい。お前風呂入れるか?」
「?」
「ふーろ」

子どもを腕に抱きながら風呂場に連れていき、実物を見せる。

「ここで体を洗うんだ。できるか?」

こくんと頷いてはいたが、危なっかしいのでもし必要だったら俺も手伝うことにした。

「服ぬごーな。」

そっと降ろして頭をなでてやろうと手を伸ばすとソイツはビクッと体を揺らして条件反射なのか腕で頭をガードした。

ハッとして手を引っ込める。

「わ、わりぃ。ほら。何もしないから早くはいっちまえ」

目線の高さまでしゃがんでやって背中を軽く押してやるとノロノロと動き出した。

(…男だったのか)
下着を脱いだ姿をちらりと見やると男であることが確認できた。
(キレーな顔してるし髪長かったからわかんなかったな)

あまり量を出していないのか小さく聞こえるシャワーの音を聞きながら俺は背中をドアに預けた。




10分くらいして、ガチャリとドアが開いた。
タオルを出してやってそっと体を拭いてやる。
…ん?心なしかさっきより身体、冷たくないか??

(いやそれより…)

痣があちこちにあって痛々しかった。丸い傷跡も多く残っていた。

(…?やけど…???…。まさか…な。)

あまり傷がなかった下半身には服を着せ、リビングで手当をした。

「…痛くないか?」
「うん」
「…包帯キツくないか?」
「うん」

そんなぎこちない会話をしながら傷口を処理し、包帯等を丁寧にあてがっていく。(手当の間にもちょいちょい体をびくつかせていた。)
とは言っても傷というよりかは痣のほうが多く、あまりできることはなかったのだが。
脱衣所での1件のせいなのか、はたまたほぼ初対面だからなのか子供は若干警戒の色をにじませている。

…どーしたもんか。

ちらりと時計を見やると9時を越していた。

「…。今日はもう遅い。とりあえずココで寝てけ。布団用意するな。待ってろ。」

物置から布団を出して戻ると、子供はソファーの上で既に寝息を立てていた。

そっと布団に寝かせてやって掛け布団もしっかりかけてやる。

「……どーすっかなあ…」

俺の呟きは静かな部屋に溶けて消えた。
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