ヴァーチャル・プライベート・ネットワーク・ガールズ:VPNGs

吉野茉莉

文字の大きさ
17 / 36
第四話「願いは現実の拒絶なのか?」

第四話「願いは現実の拒絶なのか?」3

しおりを挟む
 レンズに『コネクト OK?』という表示がされる。相手は紗希だ。
「……よくない」
 そう言いながら彩花は空中にあるOKの部分を指で押して、接続許可を出す。
『よっ』
 眼前にピンクの熊が出現する。
「なに?」
『なんで怒っているの?』
「いや、そんなことはないけど」
 イライラが紗希に伝わってしまったのかもしれない。
『……そう。そういえば、言い忘れていたけど、対戦は毎週しないといけないんだ』
「毎週?」
 声に出して答える。相手にはそれが文字に変換されて伝わっているはずだ。
『そうそう、そうしないとゲームの参加資格がなくなっちゃうんだよ。彩花が言っていたゲームをやめる方法の一つ、強制的にやめさせられるんだけど』
「そう、なんだ。じゃあ、紗希とやれば」
『それがそうもいかないんだよな。一度対戦した相手とは、かなり時間を置かないと対戦できない仕組みになっているんだ。連戦はできないようになっている。そうしないと誰かと組んで一方的に勝ちを手に入れられるから』
「そっか」
 別にそれでよくないか、という気が彩花はしたが、そういうルールがあるのがゲームというものだろう。
「どうすれば、いいの?」
『んーと、ランダムで誰かと連絡を取って、ああ、ゲーティアにはそういう機能があるから、それで時間と場所の都合をつけてやりあうっていう方法があるけど』
「そういうのは、ちょっと苦手」
 見知らぬ相手とやり取りしていきなり会うなんて信じられない。
『だろうね、そこでだ。都合のよい相手がいる。転送するぞ』
「うん?」
 紗希からファイルが送られてきた。簡易なセキュリティチェックをして、そのファイルを展開する。
「これ?」
『そう、僕のところに来ていた』
 添付ファイルの元の差出人が上部に表示されていた。
 ミチルからだった。
「ミチル」
『どこにいるかはわからないが、どこかにはいるらしい』
 時間差を設けてデータを送る方法はある。しかし、そこまでする必要性が感じられない。少なくとも、昨日か今日に出されたものだろう。
『ファイルの相手が対戦相手を探している。ちょっと特殊な相手でな。だけど初陣には適しているだろうね』
「知っているの?」
『まあ、やりあったことはないけど。良い意味でも悪い意味でも、僕は知っているよ』
「悪い意味?」
 紗希が意味深な言い回しをした。
『……まあ、強いってことだよ。他にもあるが、そこはお楽しみってことかな』
「そう」
『それじゃ、僕が話をつけておく』
「お、お願い」
『てなわけで、今夜、ここに来てくれな』
「え、もう?」
『うん、相手の意向で』
「そ、そう」
『ん? どうしたの?』
「うんと、あのね」
『うん?』
 彩花は今日見た夢のことも言おうと思うが、すべてを話すわけにはいかないのでなんとなく思いとどまる。
「なんでもない。わかった」
『そっか、じゃあ現地集合で』
 接続を切り、彩花は息をつく。
 実質的な初戦か、と思うとわずかに緊張した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

春に狂(くる)う

転生新語
恋愛
 先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。  小説家になろう、カクヨムに投稿しています。  小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/  カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761

後宮なりきり夫婦録

石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」 「はあ……?」 雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。 あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。 空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。 かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。 影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。 サイトより転載になります。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

処理中です...