メイスオブクリスティア

桜bysen

文字の大きさ
45 / 106
5話 月曜の章 「最初の試練と互いの劣等感」

リューマ編 4&ヒロタ編 3

しおりを挟む
ーー夜になり寮はすっかりと暗くなった。

3階にあるバルコニーに入ってその左右後ろに屋上へと伝う階段があり、その屋上は中心に大きいベルが飾られている。
まさに憩いの場所にピッタリなスポット。
そう思い屋上に行ったことがないリューマはカグツチと共に、自分の部屋から屋上へとたどり着いた頃だった。
バルコニーの出入り口の上にある屋上の白い手すりにビシッと立ったまま空を眺めていたリューマ。

カグツチ「...考え事でござるか?」

リューマ「!カグツチ...。」

そこにリューマからみて右側の階段からカグツチの声が聞こえた。リューマの隣に寄り添うと、カグツチはリューマに改まって言葉を紡ぐ。

カグツチ
「...本当は某も悔しかったのですぞ、
そなたの覇気の前では到底、な...。」

リューマ「?どういうことだ?」

カグツチ
「リューマ殿は剣術に対して非常に熱心であらせられる。その奮えたるその魂、その信念。某はその力にやむ無く負けてしまった。しかし、某も同じ力を持っていたとしたら某は勝っていたでしょう。けれどそうならなかった理由は..。」

先程まで空を眺めていたカグツチは言い終わると同時に

今度はバルコニーを覗いて次々と言葉を紡ぐ。

カグツチ
「その心の力がそなたより劣っていた。気のもちようではあるのだが、それなりに情熱と言うものはしっかりと持っていたつもり..、なぜ負けたのか。..今までそんなことを嫉妬しながら考えていた。」

またカグツチは掴んでいた白い手すりに手を離し、今度は真正面を向いて話す。

カグツチ
「けれど、カスミ殿とあの怪物の話し合いを聴いて考えを変えたのだ。...相手は相手、自分は自分..時に
リューマ殿、"剣術には個性はないのか?"某は在っても良いと思うた。..これからも手合わせ願いたい。」

そして体ごとリューマの方を向き直り、

カグツチ
「"リューマ殿のすべてを超える"ではなく、自分なりの業で...自分なりの信念で同等に勝負していく、カグツチという男として!」

というカグツチの一縷の想いを聞いてどこか吹っ切れたリューマ。

リューマはその後やややる気な表情でカグツチにこう言う。

リューマ
「そっか、悔しかったのはお前も一緒なんだな。見直した、お前の事、憧れじゃなくライバルとしてこれから見ていこう。もう見失わねぇ!俺はいつかお前という存在を超えて!信念だけで勝ってる俺じゃないってことを証明するぜ!」

カグツチ
「リューマ殿..!それでこそ"好敵手"でありまする。」

リューマ「これからよろしくな、俺の宿敵。」

カグツチ「こちらこそ、我が宿敵。」

互いに握手する二人のやや微笑んだ顔に誇り高い笑顔と共に星空がやや明るくなったような気がした。

ーー


ーー 一方ヒロタの部屋でゲイル、ルーカス、マサノリの四人は話をしていた。

ヒロタ
「.....。叔父さん、叔母さん、元気かな?もう1ヶ月か...。長かった。」

ルーカス
「...せやな~、連絡もできひんし、バルスはん達とは1回も喋れてへん。」

ゲイル
「...なあ、"あれ"はいつ決行するんだ?」

マサノリ
「...お、おい!やめろよ!今そんな事...。」

ヒロタ
「シー!、けどなゲイル、悪いがまだすべてを"把握"出来てる訳じゃない...。もう少し待ってくれ。」

ゲイル「...わかった。」

そうして観念したのか部屋を出ようとドアノブを握った瞬間、

ゲイル「...けど、時は待ってくれないぞ?今のうちに考えとけよ?」

ゲイルはそう言って部屋を出ていった。

ヒロタ
「...わかってるよ。...ぐっ、だから迷ってんだよ...!」

頭を抱えて感情的になりながらもヒロタは静かに想いを嘆いた。

ーー

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

思いを込めてあなたに贈る

あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...