メイスオブクリスティア

桜bysen

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9話 月曜の章「イヤハルオオトカゲを探しに」

セスル編 6&カグツチ編 5

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ーー

エース
「俺達には戦うなと言ったのに自分は一人で戦おうとする。俺達には死ぬなと言ったのに自分だけは危険な目に遭っても平気だと思ってる。」

セスル「?...何がいいた....。」

エース
「つまり、お前が俺達に死んでほしくないと思っているのと同じ位、俺だって仲間に死んでほしくないと思ってる!セスル!お前もその中に入ってるんだ!ぐぅ...う、う...!」

セスル「!」

やや怪物の押す力がどんどんと強くなっていき、負けじと力むエース。

そんな彼の今の言葉にやっと理解し、今まで私は何で自分の命のことを考えなかったんだろう。使命を果す為には自分も生きていなきゃいけないはずなのにと悔やみに悔やむ。

ーー




ーー

カグツチ
「な、何故そなたは関係ない土地の、某の一族達に...、そんなに必死になって立ち向うでござるか?」

ヒロタ
「それは、仲間だからだ。たとえお前の家族とは他人同士でも関係ない、俺とは無縁の地でも関係ない。」

そして、振り返ってカグツチの顔を見て、

「俺は仲間のためならどんな事だって、でしゃばってやる!ひひっ。」

と、歯を出し、にっと誇らしげな笑顔で言葉を返した。ーー




ーー 

エース
「俺達を生かすだけじゃだめだ!セスル、お前にも生きて貰わなきゃ、その目標は失せて消える。だから一人で背負うな。」

勇んで微笑んでいた表情からすでに真剣に真面目な表情へと変わっていて、そして最後の一撃と言わんばかりの優しく囁くような声色で、

エース「...たまには俺を頼れ。」

セスル「.....。」

と言うと、セスルはしばらく彼を凝視して、今まで聞いたエースの言葉を頭の中で思い更けていた。

その瞬間、今度は反対の前足がセスルを叩きつけようと振り降ろすと、突然ユーシスが後ろから走り出して、その何もへんてつもないレイピアの刃に細氷じみた明るく青いエレメントが染め上がり、そのレイピアを前足の真ん中目掛けて、大穴が空くほど突き刺す。そして、暴れている所をその状態で苦しそうな表情ひとつなく、堂々とした立ち振舞いで刺し抑えていると、今度は武器を器用にくるりと回すと上へ向けてスッと綺麗に切り裂いた。

”しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

そうすると勝手に怪物の方から前足を痛い痛いと無理やり両前足を押し込むような感じでエースを押し上げると一歩後ろへと引き下がり、顔を俯かせてしばらく痛みに激しく悶え、叫びつづける。
その影響で後ろへと飛んでいくように倒れこみ、仰向けの状態で地面に着地した。

エース「うわぁ!?...い...たっ。」

ジェニファー「お兄様!」

その後すぐにジェニファーが駆けより、セスルに掛けてくれた白魔術の一種を再び使いエースの体力を回復させる。

エースが”ありがとう”と言った後にユーシスが未だに悶える怪物をじっと見つめながらセスルにこう言い聞かす。

ユーシス
「諦めろ。今更言い聞かせた所でこの状況は変わらない、ならここは7人で協力をして倒すべきではないか?」

ユーシスの言葉でセスルは仲間とはこれ以上こんな問答をしている場合じゃないと徐々に改心していくと、目を瞑り一旦落ち着く為に一時的に集中し、今目の前にある現実に目を向ける。

セスル
「っ...分かったわよ!本当、頑固者ばかりなんだから...。」

自分の事を棚に上げるなと言わんばかりにユーシスは勿論、エースも少しそう思ったが何も言わずに彼女に相槌だけ打ちこの状況を打破することに集中するのだった。

ーー




ーーカグツチは、一旦目を閉じ、少し思いとどまるように顔を俯き、再び顔を上げる。

カグツチ
「ヒロタ殿の思い、しかと心に受け止めた!今こそ某は誠心誠意この故郷を死守いたす!」

ケイト
「あたしらも一緒に守るぜ!」

ルーカス
「せや!俺らのリーダーが躍起になっとるんに、ここでずらかるなんてことできひん。」

ゲイル
「ったく、しゃーねーな。リーダーを支えるのは相棒の役目だし...。それに、逃げたら俺らの晩飯が抜きになるしな。」

ゲイルはそういって微笑した。

カグツチ
「皆...、ありがとう。」
(今、見つけましたぞ、師匠。...最高の居場所を...。)

そして、全員覚悟を決め、カグツチ以外全員は怪物へと駆け出し、心の赴くままに、戦いを再開するのだった。ーー




ーーさすがのセスルも観念し立ち上がると、

セスル
(あ...、何でかしら、今は凄く楽な気持ちになるし、心が和らぐ。..ふふっ、こう言うのも悪くはない...わね。)

ふと感じた安心感に思わず胸に当て、彼女は何かと心の強張りが緩くなったように感じ、そして、無意識に喜ぶ自分にやや驚いた。
その気持ちに少しだけ浸ると、すぐに覚悟を決めたように気持ちを切り替えて、イヤハルオオトカゲの目をぎっと睨みつけるのである。ーー




ーー彼もまた、巨人を見上げて、声高らかに巨人に対して宣戦布告をしたのだった。

カグツチ「....フウマ族の一人、カグツチ・フウマ・オミヤ、この地を護るため、...いざ参る!」

ーー

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