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決戦
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「やっと会えたわね魔王・・・いえ、エイル・ハミンギヤ・クヴァシル・リリス」
勇者は目前の魔王を睨み付け、そう言った。それに対して、魔王は顔に微笑を浮かべる。
「そうだな。我も待ち遠しかったぞ、貴様と会えるこの日がな。勇者エレーナ・シェアハートよ」
魔王は玉座に座り、目前の勇者パーティーを見下ろす。
勇者エレーナ・シェアハート。金髪碧眼の彼女は、史上初の女勇者であり、そして歴代最強との呼び声も高い、人類最強の女性である。
人間の常識を越えた身体能力。達人以上の剣の腕。それに加えて、強力無比な攻撃魔法の数々。何より、誰にも劣らぬ正義の心。
全人類が持つ勇者のイメージを集めて、人型にした物こそが彼女であると言っても良い。魔王に脅かされるこの世界の人類にとって、彼女こそが希望の光だ。
それに対して魔王エイル・ハミンギヤ・クヴァシル・リリス。頭に雄々しい山羊の角を生やした黒髪長髪。そして、見る者を惑わす妖艶な魅力。驚くべきことに、魔王もまた勇者と同じく初の女性である。
そして偶然か必然か、彼女もまた歴代最強を謳われる。
敵に死を与える絶死の魔法をいくつも使いこなし、さらには死者を自らの下僕とする死霊魔法も使う。そして、他を寄せ付けない絶対王者の風格。
全ての者が抱く魔王の印象を一つにしたものが、彼女と言っても良い。人類を滅ぼそうとする魔物達にとって、彼女こそが野望の先導者だ。
「陛下、周りのザコは私どもが・・・」
魔王の側に居た4匹の側近の中で、ガイコツの男がそう言った。
「うむ。頼んだぞ」
魔王の了承を得て、4体の魔物は前に出る。
深淵の四将軍。そう呼ばれる彼らは魔王の側近にして魔王軍最強の兵士である。彼らのそれぞれが人間の軍勢10万にも匹敵し、これまでに数百万の人間達の命を奪ってきた。
「エレーナ。あいつらは俺たちが倒す。だからお前も、必ず魔王を倒せ」
「・・・わかったわ」
自分たちの方に向かってくる四将軍の前に、彼ら4人が立ち塞がった。
武闘家のダルス。魔法使いのミーシャ。リザードマンのドラグノフ。エルフのフィー。彼ら四人は、エレーナ・シェアハートと共に旅をしてきた勇者パーティーのメンバー達だ。全員が人界最強と呼ばれる武者達であり、そして正義に燃える者達だ。
それぞれの戦う相手が決まり、戦いが目前に迫る。そのときエレーナは押し黙った。そして、目をつむる。
それを見て、魔王はまるで嘲笑するかのごとく尋ねた。
「どうした? まさか怖じ気づいたか?」
「・・・ふふ・・・はははは!」
勇者は高笑いする。
「怖い? まさか! ただ、ここに来るまでの旅を思い出していただけよ。とても長い旅をね。でも、それもようやく終わる」
「貴様の死をもってな」
「アンタのよ。エイル・ハミンギヤ・クヴァシル・リリス」
勇者と魔王は互いの顔を見て、笑う。
――――ガイン!
――――ガガガガガガ!
――――ボボボボボボ!
二人の周りでは、すでに戦いが始まっていた。そこかしこで飛び散る火花と爆発の数々が、その激しさを物語る。
「・・・いくぞ、人間」
――――ボォォォォォォ
魔王の周りに、真黒なオーラが漂い始める。その邪悪なオーラは、触れるだけで死に引き込まれそうなほどだ。
しかし、勇者は微塵も恐怖しない。
「アンタを殺して、私は人類を救う」
――――キィィィィィィン
勇者から純白のオーラが発せられ始めた。それは、見る者全てに優しさを与える、暖かさを持っているようだった。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
互いの姿を見て、閉口する。倒すべき自らの敵の姿を、目に刻む。そして、
「いくぞ勇者!」
「こい魔王!」
二人の戦いが始まった。
その直後、
――――ドドドドドドドド!
天井を突き抜けて、正体不明の攻撃が彼らを蹂躙した。
勇者は目前の魔王を睨み付け、そう言った。それに対して、魔王は顔に微笑を浮かべる。
「そうだな。我も待ち遠しかったぞ、貴様と会えるこの日がな。勇者エレーナ・シェアハートよ」
魔王は玉座に座り、目前の勇者パーティーを見下ろす。
勇者エレーナ・シェアハート。金髪碧眼の彼女は、史上初の女勇者であり、そして歴代最強との呼び声も高い、人類最強の女性である。
人間の常識を越えた身体能力。達人以上の剣の腕。それに加えて、強力無比な攻撃魔法の数々。何より、誰にも劣らぬ正義の心。
全人類が持つ勇者のイメージを集めて、人型にした物こそが彼女であると言っても良い。魔王に脅かされるこの世界の人類にとって、彼女こそが希望の光だ。
それに対して魔王エイル・ハミンギヤ・クヴァシル・リリス。頭に雄々しい山羊の角を生やした黒髪長髪。そして、見る者を惑わす妖艶な魅力。驚くべきことに、魔王もまた勇者と同じく初の女性である。
そして偶然か必然か、彼女もまた歴代最強を謳われる。
敵に死を与える絶死の魔法をいくつも使いこなし、さらには死者を自らの下僕とする死霊魔法も使う。そして、他を寄せ付けない絶対王者の風格。
全ての者が抱く魔王の印象を一つにしたものが、彼女と言っても良い。人類を滅ぼそうとする魔物達にとって、彼女こそが野望の先導者だ。
「陛下、周りのザコは私どもが・・・」
魔王の側に居た4匹の側近の中で、ガイコツの男がそう言った。
「うむ。頼んだぞ」
魔王の了承を得て、4体の魔物は前に出る。
深淵の四将軍。そう呼ばれる彼らは魔王の側近にして魔王軍最強の兵士である。彼らのそれぞれが人間の軍勢10万にも匹敵し、これまでに数百万の人間達の命を奪ってきた。
「エレーナ。あいつらは俺たちが倒す。だからお前も、必ず魔王を倒せ」
「・・・わかったわ」
自分たちの方に向かってくる四将軍の前に、彼ら4人が立ち塞がった。
武闘家のダルス。魔法使いのミーシャ。リザードマンのドラグノフ。エルフのフィー。彼ら四人は、エレーナ・シェアハートと共に旅をしてきた勇者パーティーのメンバー達だ。全員が人界最強と呼ばれる武者達であり、そして正義に燃える者達だ。
それぞれの戦う相手が決まり、戦いが目前に迫る。そのときエレーナは押し黙った。そして、目をつむる。
それを見て、魔王はまるで嘲笑するかのごとく尋ねた。
「どうした? まさか怖じ気づいたか?」
「・・・ふふ・・・はははは!」
勇者は高笑いする。
「怖い? まさか! ただ、ここに来るまでの旅を思い出していただけよ。とても長い旅をね。でも、それもようやく終わる」
「貴様の死をもってな」
「アンタのよ。エイル・ハミンギヤ・クヴァシル・リリス」
勇者と魔王は互いの顔を見て、笑う。
――――ガイン!
――――ガガガガガガ!
――――ボボボボボボ!
二人の周りでは、すでに戦いが始まっていた。そこかしこで飛び散る火花と爆発の数々が、その激しさを物語る。
「・・・いくぞ、人間」
――――ボォォォォォォ
魔王の周りに、真黒なオーラが漂い始める。その邪悪なオーラは、触れるだけで死に引き込まれそうなほどだ。
しかし、勇者は微塵も恐怖しない。
「アンタを殺して、私は人類を救う」
――――キィィィィィィン
勇者から純白のオーラが発せられ始めた。それは、見る者全てに優しさを与える、暖かさを持っているようだった。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
互いの姿を見て、閉口する。倒すべき自らの敵の姿を、目に刻む。そして、
「いくぞ勇者!」
「こい魔王!」
二人の戦いが始まった。
その直後、
――――ドドドドドドドド!
天井を突き抜けて、正体不明の攻撃が彼らを蹂躙した。
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