異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第七章 妖精と 夜空彩る そのきせき

第117話 Mighty works

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 妖精たちと話していたら、このショーの名前を決めよう、なんてことになった。

 うーん。
 ドローンショーだから、妖精ショーとか、フェアリーショー、っていうがすぐに思い浮かんだけど、これはちょっと微妙だな。

 ドローン、じゃなくて、花火、から連想してみよう。
 花火から連想するワードだと、例えばスターマイン、とかかな?

 フェアリースター、フェアリーマイン、もしくは入れ替えて……。

 ……フェアリースター、は、妖精たちが星のように見えるし、ちょっといいかも、なんて思ったんだけど、結果的に却下した。
 フェアリーたちのスター、って響きから、妖精に囲まれたハヤテが、サタデーな夜のポーズをしているイメージを思い浮かべてしまい、ちょっと笑いそうになってしまったからだ。

 ……うーむ。
 後は、花火を言い換えるとファイアーワークス、って言ったっけな。

 ……フェアリーワークスか。
 確かワークスって、作品って意味もあったよな。

 妖精の作品、か。
 うん、ぴったりかもしれないな。
 
「色々考えてみたけど、フェアリーワークス、っていうのはどうだろう? 俺のいた世界の言葉を使っていて、まず”フェアリー”、っていうのは、妖精って意味なんだ。それで、”ワークス”っていうのは、仕事とか作業、作品なんて意味があるんだ」

 まあ正確にはワークの複数形だけど、そこまで説明すると余計にややこしいしな。

 俺の言葉を聞いた小妖精や中妖精たちからは、そうなんだ~、いいかも~、そんな意味なのね、みたいな反応だったけど、大妖精たちやタニアからは好評だった。

 特にタニアは、

「そうですね~。先ほどのは、私たち妖精が作り出した作品、ですものね~。とてもいい名前だと思います~。……これからも、色々な作品をこの子たちを作って行きたいですね~」

 なんて言ってくれた。

 その後も妖精たちがあちこちで、あの形を作りたい~、とか、空で双六をやったら面白そう! なんて話をしていたが、

「さて、辺りも暗くなりましたし、小さい子たちは魔力を使ったので、そろそろお休みした方が良いですね~。というわけで風魔皇様~。今日は解散するのはどうでしょうか~?」

「そうだね~。もっと見ていたい気持ちもあるけど、それは次のお楽しみにするよ~。それに、次に来る時はもっとすごい作品ができてそうだもんね!」

「そうですね~。この子たちもとてもやる気があるみたいですし、楽しみにしていてください~」

 ということで、本日のフェアリーワークスは終演、解散ということになった。

 帰り際、妖精たちがまた遊ぼうね~、次はもっとすごいのを見せてあげる! なんて言ってくれた。
 ……うん、また絶対に来よう。

 次はもっと、いろんな人たちを連れて来たいな。



 というわけで今夜も魔皇の城に泊まり、次の日になった。

 ハヤテは今日もユズにいたずらを仕掛けたようで、目が覚めると部屋いっぱいに妖精がいる、という状況を幻覚魔法で再現したようだ。
 ハヤテとしては驚かせたかったみたいだけど、ユズはとっても嬉しかったみたいで、

「朝からとっても気分が良かったよー」

 というユズの感想に、ハヤテは何とも言えない表情をしていた。

 そして今日もおいしい朝食をいただいた後で、ハヤテから、

「今日は最終日だし、のんびり魔皇の城で過ごす予定だよ~。ユズにお城を案内したいし~」
 
 と、今日の予定は城でゆっくり過ごすことを伝えられた。
 今回の旅行も、この世界での標準な長さである二泊三日なんだな。

 ……旅行の内容はともかく、何泊するかくらいは教えてもらっても良かった気がする。
 まあ、次からそうするか。

 ということでまずは、食後の運動も兼ねて魔皇の城を案内してもらうことになった。
 俺も前に案内してもらったけど、本当に広いよな。
 正直、自分の部屋とかトイレとか、使用する部屋以外の場所は全然覚えられてないし。

 案内の途中、ハヤテから、

「ユズもどこかに部屋いる~? どうせいっぱい余ってるし~」

 なんて聞かれてびっくりしていた。
 すぐに断るかと思ったけど、妖精さんたちにまた会いに来るし、すぐには必要ない大量のおもちゃを保管できるし……、なんて感じで悩んでいた。



 そんなこんなで城の中を歩いていたら、昼食の時間になっていた。

 ハヤテが、とりあえずご飯の部屋に行こう~、というので、向かってみると、そこには

「おう、来たな」

「やあ、みんな」

「……おはよう」

「こんにちは。一昨日おとといぶりね」

「いらっしゃい。丁度、食事の準備ができましたよ」

 と、魔皇が全員集まっていた。

「ハ、ハヤテちゃん? なんか、魔界の偉い人が全員集合してるけど、なんで!?」

「みんなで集まってご飯を食べる、ってのはよくあるからね~。そもそもここは魔皇全員の城だもん」

「……でも、今日全員集まるのは知ってたんじゃないのかなー?」

「ふっふっふ~。もちろん!」

「やっぱり! もー、先に教えて欲しかったよー!」

 なんてユズとハヤテのやり取りを挟みつつ、ヒカリが作ってくれた今日の昼食を大満足でいただいた。

 ごちそうさまでした!



 そして食後、さっそくリューナがヒカリに妖精たちについて報告していた。

 それを聞いていたレイとメイは、

「妖精のショー、見てみたいわね」

「……気になる」

 なんて言っていたけど、午後も用事があるみたいで、話の途中で出かけて行った。
 もちろん、話し合いの結果には興味があるみたいで、後で結果を知りたい、何かあれば手伝う、と言っていた。

 残ったヒカリ、ホムラ、アオイ、ハヤテ、リューナが話し合った結果、妖精たちに制限はしない、ただ、情報が広がらないようにする、という結論になった。
 ヒカリは心配そうだったけど、ハヤテやリューナの、妖精たちには自由に過ごしてほしい、という意見に賛同した形だった。

 ただ、ヒカリはハヤテに、もっと早く報告してね、といつもの怖い笑顔で釘を刺していた。

 それと、ハヤテがユズに、

「絶対に、言わないでね~? もし言っちゃったら、ふふふ……」

 なんて言ったら

「ハヤテちゃん?」

 と、ヒカリからにっこりとした顔で話しかけられていた。
 ……言わなきゃいいのに。



 一応ハヤテ主催の旅行中ということなので、その後は解散となった。
 食後、いつもの部屋でのんびりしていると

「妖精さんたちのショーでも思ったけど、ハクトの世界は色々あるんだねー。前にもおもちゃとかについて聞いたけど、他にももっと聞きたいな」

「あ、ボクも前に何回か聞こうとしたのに、なんだかんだで全然聞けてないよ~。……うん! 今日は、ハクトに異世界の話を聞くことにしよ~!」

 という話題になり、午後はユズとハヤテから質問攻めに合うことになった。

 それと、リューナも何か聞きたそうだったので、たまに話を振ってみると、遠慮がちに質問してきた。
 ……質問内容は、全然遠慮してなかったけど。

 そして話が落ち付き、

「それにしても、まさか魔界の、しかもそこの偉い人達が集まる城で寝泊まりするなんて、ちょっと前の私には考えられなかったよー。ハクトが異世界から来たことといい、ほんとに奇跡だね!」

「けど、俺がいなくてもユズとハヤテは出会っていたし、いつかはこうなってたんじゃないか? ……もしかしたら、時間はかかったかもしれないけど」

「そうだねー。どこかの誰かさんが、ちょっと勇気を出すのに時間がかかるかもだけどねー」

「む~。……でも、その時はハクトがいないから、ユズはもっと驚いてたかもよ~!」

「……そうかも。そう考えると、ハクトに出会えてよかったよー」

「本当にね~」

「……私も、そう思います」

「それを言うなら俺もだな。迷い込んだ異世界で、本当にいい出会いがいっぱいあったよ」

 なんて会話をした。



 そして、そろそろ夕方も終わりの時間になるということで、今回の旅行は解散となった。

 ……奇跡、か。
 魔族と人間族が仲良くする、っていうのは大変な事かもしれないけど、奇跡なんかなくてもできるよな。

 今回の旅行中、俺やハヤテ、ユズやリューナが、仲良く楽しく過ごせたみたいに、さ。

______________________________________
これにて第六章完結です! ここまでお読みいただきありがとうございました!

ちなみに、タイトルの意味は、奇跡という意味や、大いなる業績、のような訳があります。
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