異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第七章 妖精と 夜空彩る そのきせき

第116話 フェアリーワークス

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 そんなこんなで妖精たちが遊んでいると、辺りが段々と暗くなってきた。
 ……にも関わらず、照明魔法を使って周囲を明るくして、まだまだ遊んでいた。

 一方でユズは、

「流石にちょっと疲れたよー」

 と言って、少し前から離脱している。

 ちなみに、俺は、リューナと会話した後で混ざったてはみたものの、ユズより先に早々と離脱した。
 ……妖精たち、本当に元気すぎるんだよなぁ。

 なんて考えていると、回復したユズがこちらにきて、話しかけて来た。

「妖精さんたち、暗くなってきてもずっと遊んでるねー。暗くなってきたし、そろそろ解散したほうがいい気がするけど、みんな楽しそうで、それを言うのも気が引けちゃうよー」

 そうなんだよなぁ。
 特に小妖精たちが、ずっと楽しそうにしている。

「暗くなってきたし、花火とかあれば、それで遊んで終わり、みたいな区切りができそうだけど、今は持ってないしな」

「”はなび”? 初めて聞いたけど、ハクトの世界のおもちゃかなにかなの?」

 ん?
 ……あ、そうか。

 この世界は魔法があるからか、火薬の類が開発されていないんだな。

 うーむ、どう説明したらいいか。

「俺の世界には、燃やすと光る粉、みたいなものがあってな。それで……」

 と、手持ち花火や打ち上げ花火について、簡単に説明した。

 打ち上げ花火は、粉を詰めた球を空に打ち上げて、高いところでそれを爆発させることで、粉が星のように光りながら広がること、粉の種類によって色が変化したり、爆発の仕方とか粉の配置を変えることで、球状だったり、扇状だったり、いろんな形になる、なんてことを説明をした。
 ……火薬がないから、中々説明が難しいな。

「それでな。爆発するときの音と光が相まって、静かな夜空に一瞬だけ花火が浮かぶ、っていうのがなんかいいんだよな」

「ほえー。……私の想像が合ってるかわからないけど、なんだがすっごくよさそう! いいなー、一度見てみたいなー」

「魔道具とかで再現できたらいいんだけどな。……今度、アオイに話してみようかな」

 ユズに花火の説明をしていたら、この世界の色んな知り合いに見せてみたくなったからな。
 なんて話していると、

「ボクも見てみた~い! ね~、ハクト。それって、魔法とかで今再現できないのかな?」

 と、話を聞きつけたハヤテが文字通り飛んできた。
 まあ、それだけならよかったんだけど、

「わたしも、わたしも~!」

「やりた~い!」

「作る~!」

 みたいな感じで、ハヤテと一緒にいた小妖精たちが興味を示してしまった。

 うーん。
 今から、っていうのは流石に無理だよなぁ

 ユズに説明してる時も思ったけど、そこまで花火に詳しわけじゃないから、妖精たちに再現してもらう、っていうのもできなさそうだし。
 
 ……あ、それなら、ドローンショーみたいなのはどうだろう?

 妖精たちが自分で光って空を飛ぶ、っていうのはできそうだし、タニアがそれぞれの妖精に指示を出すことで、色んな形が作れそうかな?

 もしかしたら難しいかもだけど、少なくとも花火よりはできる可能性はあるしな。



 というわけでさっそく、タニアを呼んでドローンショーを試してみることにした。

 まずは簡単な形として円や正方形などの単純な形、それができたら球や立方体など立体的な形にチャレンジしていた。

 タニアの指揮の下、大妖精がそれぞれ一つの図形を担当し、中妖精は小妖精たちを誘導する、といった感じで行われた。

 けどこれ、見ている俺たちは、すごいな、綺麗だな、と思いながら見ていたけど、やっている本人たちは楽しいのだろうか?

 なんて思っていたけど、一度休憩に戻って来た妖精たちが、

「おっきな形できた~」

「きれいだった~」

「みんなあつまると、こんなことができて、すご~い」

 なんて感想を言っていた。

 ……あ、そうか。
 タニアが見た光景は妖精たち全員に共有できるんだったな。

 だから、自分たちが作っている形をリアルタイムで見ることができるのか。
 交替しながらやれば皆が楽しめるかな? なんて思ったけど、その必要はなさそうだな。

 なんて考えていると、タニアが

「ハクトさん~。この、”ドローンショー”というのは、おもしろいですね~。さっきは簡単な形を試してみましたが、次はもっと複雑な物を作ってみたいと思います~。なので、もう少し”ドローンショー”についてお聞きしたいです~。あの子たちも、自分たちでこんなことができるんだ、といった感じで、とてもやる気を出していますので~」

 と、ドローンショーについて尋ねて来た。

 ……提案しておいてなんだけど、俺もテレビでしか見たことがないんだけどな。

 とりあえず、あんまり詳しくはないと先に伝えた上で、絵画みたいに平面で何かの人物とかを再現したり、立体的なドラゴンの形をさせたり、みたいなことを言ってみた。
 それと確か、わかりやすいようにするためなのか、そんなに色分けは細かくなかったかも、なんていうのも伝えてみた。

 タニアは、

「なるほど~。色々と参考になりました~。ありがとうございます~」

 と言ってくれたので、参考になったならよかったな。



 休憩、というか、皆でわいわい感想を言い合っていた妖精たちに、タニアが再開することを伝え、また妖精たちのドローンショーが始まった。

 最初はちょっと大きな球体から始まり、今日遊んだけん玉やヨーヨーなどを再現していた。

 しかもヨーヨーの紐を伸ばしたり、けん玉の玉を動かしたりしていて、見ていてとても楽しかった。

 続いては方向性が変わり、俺やユズ、ハヤテの顔なんかを再現していた。
 ……単純化されていたけど、ちゃんと誰の顔か判別できて、これもすごかったな。

 しかも表情なんかも変えたりして、笑ったり、ウインクさせたりと、色々な表情を表現していた。
 ……けど、人の顔で勝手に変顔をするのはやめてほしい。

 そして最後には、リューナがドラゴンの姿で歩く様子を再現していていた。
 これには流石に、リューナも驚いたようで

「すごい……」

 なんてつぶやいていた。

 ……というか、リューナのドラゴン形態を始めてみた気がする。
 中々格好いい見た目をしていたので、リューナが問題なければ今度見せてもらいたいな。
 あ、その時はディニエルも一緒の方が良さそうだな。



 妖精たちのドローンショーが終わり、俺たちは皆を拍手で迎えた。

「今日のショー、すっごくよかった! 俺のいた世界でも、あそこまでのドローンショーはきっとないんじゃないかな?」

「本当ですね。……私が今まで見た出し物の中でも、一番だと思います」

「うんうん。妖精さんたち、すごかったよー! とっても楽しませてもらっちゃった!」

「本当にそうだね~。けど、ボクのあの表情はちょっとな~」

「でも、ハヤテちゃん。いたずらが成功した時はいっつもあんな表情してるよ?」

「またまた~。ユズ、冗談だよね~? ……えっ、本当に?」

「うん、本当だよ!」

 ハヤテ、残念ながら本当だ。

「むむむ……。まあ、いっか! それよりも今日のショー、魔皇の皆とか知り合いの魔族に見せてあげたいな~」

「確かにそうだね! 私たちだけじゃなくって、色んな人に見てもらって、この凄さを知ってもらいたいよー」

「そうだな」

 それと、この光景を人間界で見せられれば、魔族と人間族の交流にプラスになりそうだ。
 交流とかなしにしても、これは色んな人に見てもらいたいな。
 とはいえ、本人たちが行きたい、色んな人に見せたいって思ってくれたらだけど。

 それに、この人数を人間界に連れて行って大丈夫なのかとか、そもそもそういったショーをやっていいのか、とか色々考えないとだしな。

 ……まあそれは後でいいか。

 今は妖精たちが楽しそうに会話をしているし、俺もそこに混ざって感想を言い合いたいからな。
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