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第八章 さけたなか 湯けむりはれる 魔界旅
第118話 内装はまだないそうです
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魔界旅行から帰って来た翌日、俺はソフィアの部屋を訪れていた。
というのも、教会の横に大きな家が建っていたからだ。
あの後、リューナは妖精の件で魔皇の城に残るということで、俺一人で人間界に転移した。
転移用の広場から教会を目指して歩き、泊っている部屋までそろそろだなー、と油断しているタイミングで見たので、思わず三度見してしまった。
……旅行からの帰りと言うこともあって、とりあえず見なかったことにした。
そして翌日の今日、もしかして夢だったのでは? という俺の希望を打ち砕くかのように、教会横にそびえたっていた家を確認した後、すぐにソフィアの部屋にむかった。
……というか、魔界に旅行に行く前に、おまかせはするけど最終確認はしたい、って言っておいたよな?
◇
「おはようございます、ハクトさん。すでに確認していると思いますが、教会横にハクトさんの家を建てました。まだ中はほとんど手を入れていませんが」
ソフィアの部屋に行くと、一仕事やり終えたような雰囲気のソフィアに迎えられた。
……うん、やっぱり俺に内緒で家を建てた、とかじゃないよな。
「おはよう、ソフィア。……えっと、もう家を建てちゃったのか? というか、俺が旅行に行ってたのって三日なんだけど、この世界ってそんなに早く家を建てられるのか?」
「そうですね。建築用の魔法を駆使することで可能です。ですが、そうした技術を持った方々のスケジュールは、かなり先まで埋まっていることが多いです。幸い、仲間の天使に建築関係の魔法が得意な方がいますので、彼女にお願いしました」
天使が二日間でやってくれました。
……いや、やらないでほしかったんだけどさ。
「……なるほど。……確か旅行に行く前に、家については俺の部屋以外はソフィアにお願いするけど、最終確認をさせてほしい、って言ったよな?」
「はい、そうですね」
と、ソフィアが、もちろん忘れてませんよ? みたいな感じで答えた。
……うーむ。
「えっと、もう家が建っちゃってるんだけど……」
それを聞いたソフィアが納得した感じで、
「ああ、そういうことでしたか。それは大丈夫です。先ほどの、建築の魔王が得意な天使にお願いすることで、すぐに修正が可能ですので。また、一度実物を見た方が、よりわかりやすいと思いまして」
と言った。
まあ、そうなんだけどさ。
……これも、異世界ギャップとかいうやつなのか?
いや、流石にそれは違うか。
◇
まだ中はほとんどできていないということだったが、とりあえず確認しに行くことにした。
改めて見ると、外見は質実剛健な感じで、横にある教会と並んでも違和感のないように西洋風になっているな。
広さは、横にある教会ほどは大きくはないが、それでもそこそこの大きさだ。
……まあ、教会自体が結構な大きさなわけだけどさ。
名前は忘れてしまったけど、前に東京で見た大聖堂くらいの大きさはあるし。
ソフィアに魔道具の鍵を開けてもらい、一見シンプルに見えるが、どことなく高そうな扉を開け中に入ると、
「広っ!」
そこにはサッカーコートの半面が入りそうなほど、巨大なスペースが広がっていた。
ぽつぽつと仕切や柱、部屋ぽいのがあるくらいで、ほとんどは何もない感じだった。
……設計図から、かなり広いことはわかっていたけど、実際に見てみるとその広さが実感できるな。
え、というかこれが、俺の家なの?
豪邸ってレベルじゃなく広いんだけど……。
こんなに広いスペース、絶対持て余すと思うんだけど……。
「なあ、ソフィア。この家のスペース、流石に広すぎないか? 絶対に持て余すと思うんだが……。それに、こんなに空間を拡張して何か問題とかないのか?」
「まず、空間の拡張に関してですが、専用の素材を使用していますし、今までに問題が起きたことはありませんので、大丈夫かと思います。また、スペースに関してなのですが、一階部分に関しては、必要な設備等を考えますと、これでも狭いくらいですね」
え?
これでも狭いって、何を作るつもりなんだ?
「……流石に、ソフィアの持っている本を全部棚に並べる、なんてことはしないよな?」
「そうですね。あまり多くても探すのが大変ですので。魔皇の皆さんに色々と話を伺ったところ、ハヤテさん、アオイさん、メイさんが広いスペースを希望しましたので、希望をすべて叶えようとしますと、この広さでは不可能でした」
ハヤテは、たぶんノリかなんか、アオイは魔道具、メイは本関係だろうな。
……というか、魔皇の城にもまだスペースがいっぱいあると思うんだけど。
「そのスペース、俺の家じゃなくてもよかったりしない?」
「ええ、そのようでした。ですので……」
と言いつつ、入口からほど近い場所にある部屋を指さした。
……後で聞こうと思ってたけど、一番気になってた場所だな。
「こちらに、魔皇の城と繋がる転移門を設置してみました」
……え、今、なんて?
「あー、えっと、色々とツッコミたいところがあるけど、そもそも魔界と繋がる転移門なんて、そんなに簡単に設置していいものなのか?」
「双方の所属している土地の代表者から、許可を得る必要がありますね。ただ、こちらは創造神様、あちらは魔皇がその対象ですので、簡単に許可が下りました。また、こちらの部屋にはすでに門が設置してあり、魔界側の準備が整えば使用が可能ですね」
……そりゃあ、簡単に許可が下りるだろうなぁ。
というか、もう使えるようになってるって、作業が早すぎる。
「ってことは、これからは転移門のある広場じゃなくて、この門で帰ってくればいいんだな。……これから何度も魔界に行くし、それもあってはやめに設置してくれたのか?」
「そうですね。ハヤテさんから、ハクトさんが便利だから早く設置して欲しいと催促されましたので」
……それを言ったのがハヤテ、ってのがなーんかちょっと怪しい。
なんて思っていたら、その部屋の扉が突然開いた。
「ふっふっふ。さて、それじゃあハクトをここに呼んでびっくりさせちゃおうかな~。……あっ」
魔皇のハヤテが飛び出してきた!
俺とハヤテは数秒見つめ合うと、
「や、やあハクト! き、奇遇だね~。……あ、ボク、用事を思い出しちゃった! またね~!」
と、急いで部屋に戻っていった。
……なんだかなぁ。
「魔皇の城と、無事通じたようですね」
……そうだな、ソフィア。
さて、ハヤテについては後でヒカリに報告するとして、俺の家についてだな。
「というか、今は吹き抜けみたいになってるけど、ここ、二階建てになるんだよな? それで、俺のスペースがそこ全部、だったよな?」
「そうですね」
「……それは、流石に持て余しすぎるな。この空間の中に、小さな小屋を建てたくなるくらいだよ」
「……なるほど、小屋、ですか。……その発想はありませんでした」
ん?
どういうこと?
「この中に小屋、といいますか、二階建ての部屋を複数配置する、というのはいいかもしれないですね」
……あー。
アパートとかにたまにある、住居部分の中に階段があって、一戸建てみたいに二階とかがあるやつか。
「図書館も、本を配置する場所と読む場所などで分けられますし、そちらで再設計してみたいと思います。後で、仲間の天使に相談しないとですね」
あ、俺の一言で、ソフィアの知り合いの天使への無茶振りが決定してしまった。
……なんか、すまん。
「ハクトさん。最終確認をする、とのことでしたが、度々報告してもいいでしょうか? 今回のように、また良いアイディアがいただけるかもしれませんので」
……完全に偶然の産物なんだよなぁ。
まあけど、そうしたほうが良さそうだ。
……また、なんということでしょう、匠の手によって、な事態が起こりそうだからな。
______________________________________
この家の設計図、コスト7以上の生物が最大4体くらい貰えそうですね()。
住居に関して主人公がイメージしたのは、ひとつの区画が二階層以上に分かれているメゾットタイプ、みたいなやつです。
というのも、教会の横に大きな家が建っていたからだ。
あの後、リューナは妖精の件で魔皇の城に残るということで、俺一人で人間界に転移した。
転移用の広場から教会を目指して歩き、泊っている部屋までそろそろだなー、と油断しているタイミングで見たので、思わず三度見してしまった。
……旅行からの帰りと言うこともあって、とりあえず見なかったことにした。
そして翌日の今日、もしかして夢だったのでは? という俺の希望を打ち砕くかのように、教会横にそびえたっていた家を確認した後、すぐにソフィアの部屋にむかった。
……というか、魔界に旅行に行く前に、おまかせはするけど最終確認はしたい、って言っておいたよな?
◇
「おはようございます、ハクトさん。すでに確認していると思いますが、教会横にハクトさんの家を建てました。まだ中はほとんど手を入れていませんが」
ソフィアの部屋に行くと、一仕事やり終えたような雰囲気のソフィアに迎えられた。
……うん、やっぱり俺に内緒で家を建てた、とかじゃないよな。
「おはよう、ソフィア。……えっと、もう家を建てちゃったのか? というか、俺が旅行に行ってたのって三日なんだけど、この世界ってそんなに早く家を建てられるのか?」
「そうですね。建築用の魔法を駆使することで可能です。ですが、そうした技術を持った方々のスケジュールは、かなり先まで埋まっていることが多いです。幸い、仲間の天使に建築関係の魔法が得意な方がいますので、彼女にお願いしました」
天使が二日間でやってくれました。
……いや、やらないでほしかったんだけどさ。
「……なるほど。……確か旅行に行く前に、家については俺の部屋以外はソフィアにお願いするけど、最終確認をさせてほしい、って言ったよな?」
「はい、そうですね」
と、ソフィアが、もちろん忘れてませんよ? みたいな感じで答えた。
……うーむ。
「えっと、もう家が建っちゃってるんだけど……」
それを聞いたソフィアが納得した感じで、
「ああ、そういうことでしたか。それは大丈夫です。先ほどの、建築の魔王が得意な天使にお願いすることで、すぐに修正が可能ですので。また、一度実物を見た方が、よりわかりやすいと思いまして」
と言った。
まあ、そうなんだけどさ。
……これも、異世界ギャップとかいうやつなのか?
いや、流石にそれは違うか。
◇
まだ中はほとんどできていないということだったが、とりあえず確認しに行くことにした。
改めて見ると、外見は質実剛健な感じで、横にある教会と並んでも違和感のないように西洋風になっているな。
広さは、横にある教会ほどは大きくはないが、それでもそこそこの大きさだ。
……まあ、教会自体が結構な大きさなわけだけどさ。
名前は忘れてしまったけど、前に東京で見た大聖堂くらいの大きさはあるし。
ソフィアに魔道具の鍵を開けてもらい、一見シンプルに見えるが、どことなく高そうな扉を開け中に入ると、
「広っ!」
そこにはサッカーコートの半面が入りそうなほど、巨大なスペースが広がっていた。
ぽつぽつと仕切や柱、部屋ぽいのがあるくらいで、ほとんどは何もない感じだった。
……設計図から、かなり広いことはわかっていたけど、実際に見てみるとその広さが実感できるな。
え、というかこれが、俺の家なの?
豪邸ってレベルじゃなく広いんだけど……。
こんなに広いスペース、絶対持て余すと思うんだけど……。
「なあ、ソフィア。この家のスペース、流石に広すぎないか? 絶対に持て余すと思うんだが……。それに、こんなに空間を拡張して何か問題とかないのか?」
「まず、空間の拡張に関してですが、専用の素材を使用していますし、今までに問題が起きたことはありませんので、大丈夫かと思います。また、スペースに関してなのですが、一階部分に関しては、必要な設備等を考えますと、これでも狭いくらいですね」
え?
これでも狭いって、何を作るつもりなんだ?
「……流石に、ソフィアの持っている本を全部棚に並べる、なんてことはしないよな?」
「そうですね。あまり多くても探すのが大変ですので。魔皇の皆さんに色々と話を伺ったところ、ハヤテさん、アオイさん、メイさんが広いスペースを希望しましたので、希望をすべて叶えようとしますと、この広さでは不可能でした」
ハヤテは、たぶんノリかなんか、アオイは魔道具、メイは本関係だろうな。
……というか、魔皇の城にもまだスペースがいっぱいあると思うんだけど。
「そのスペース、俺の家じゃなくてもよかったりしない?」
「ええ、そのようでした。ですので……」
と言いつつ、入口からほど近い場所にある部屋を指さした。
……後で聞こうと思ってたけど、一番気になってた場所だな。
「こちらに、魔皇の城と繋がる転移門を設置してみました」
……え、今、なんて?
「あー、えっと、色々とツッコミたいところがあるけど、そもそも魔界と繋がる転移門なんて、そんなに簡単に設置していいものなのか?」
「双方の所属している土地の代表者から、許可を得る必要がありますね。ただ、こちらは創造神様、あちらは魔皇がその対象ですので、簡単に許可が下りました。また、こちらの部屋にはすでに門が設置してあり、魔界側の準備が整えば使用が可能ですね」
……そりゃあ、簡単に許可が下りるだろうなぁ。
というか、もう使えるようになってるって、作業が早すぎる。
「ってことは、これからは転移門のある広場じゃなくて、この門で帰ってくればいいんだな。……これから何度も魔界に行くし、それもあってはやめに設置してくれたのか?」
「そうですね。ハヤテさんから、ハクトさんが便利だから早く設置して欲しいと催促されましたので」
……それを言ったのがハヤテ、ってのがなーんかちょっと怪しい。
なんて思っていたら、その部屋の扉が突然開いた。
「ふっふっふ。さて、それじゃあハクトをここに呼んでびっくりさせちゃおうかな~。……あっ」
魔皇のハヤテが飛び出してきた!
俺とハヤテは数秒見つめ合うと、
「や、やあハクト! き、奇遇だね~。……あ、ボク、用事を思い出しちゃった! またね~!」
と、急いで部屋に戻っていった。
……なんだかなぁ。
「魔皇の城と、無事通じたようですね」
……そうだな、ソフィア。
さて、ハヤテについては後でヒカリに報告するとして、俺の家についてだな。
「というか、今は吹き抜けみたいになってるけど、ここ、二階建てになるんだよな? それで、俺のスペースがそこ全部、だったよな?」
「そうですね」
「……それは、流石に持て余しすぎるな。この空間の中に、小さな小屋を建てたくなるくらいだよ」
「……なるほど、小屋、ですか。……その発想はありませんでした」
ん?
どういうこと?
「この中に小屋、といいますか、二階建ての部屋を複数配置する、というのはいいかもしれないですね」
……あー。
アパートとかにたまにある、住居部分の中に階段があって、一戸建てみたいに二階とかがあるやつか。
「図書館も、本を配置する場所と読む場所などで分けられますし、そちらで再設計してみたいと思います。後で、仲間の天使に相談しないとですね」
あ、俺の一言で、ソフィアの知り合いの天使への無茶振りが決定してしまった。
……なんか、すまん。
「ハクトさん。最終確認をする、とのことでしたが、度々報告してもいいでしょうか? 今回のように、また良いアイディアがいただけるかもしれませんので」
……完全に偶然の産物なんだよなぁ。
まあけど、そうしたほうが良さそうだ。
……また、なんということでしょう、匠の手によって、な事態が起こりそうだからな。
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