異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第八章 さけたなか 湯けむりはれる 魔界旅

第119話 誰が来るかな? 誰が来るかな? それは本人まかせよ

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 さて、次の日はゴーレムファイトについて話し合う事になった。
 ハヤテとの旅行前に、アオイとホムラにゴーレムファイトのアイディアを送っていたんだが、昨日の夜に突然、明日話し合えないか、という連絡が来た。

 何か、すごいアイディアでも思いついたんだろうか?
 なんて、思っていたんだけど……。

「おう、ハクト。邪魔するぜ。……ほほう、なるほどなぁ」

「なるほど、ここがハクト君の家になるんだね」

 と、二人が昨日の転移門で来るやいなや、あちこちを観察し始めた。
 ホムラにいたっては、

「ちょっと見てくるぜ」

 なんて言って、走りながら一周して戻って来た。
 ……ゴーレムファイトの話し合いはついでで、俺の家を見に来るために来たんじゃないよな?



 一通り見たことで満足したのか、それからはゴーレムファイトについて話し合うことにした。
 どこか話し合えそうな場所に移動しようかと思ったけど、ホムラとアオイが椅子と机を用意してくれていた。
 
 ……これからもこういう事がありそうだし、会議室的な部屋が欲しいかもな。

 今回話し合う内容は、ゴーレムファイトで使用するゴーレムを、あらかじめ用意すればいいのでは? という俺の提案に関してだ。
 以前アオイの工房に行った時に、魔道具のゴーレムが置いてあったのを思い出し、これを応用すればいいのでは? と考えた。
 ゴーレムの魔法は、操作だけでなく生成や維持にも魔力を使う。
 そのため、魔力の使用先を操作に絞れば、比較的魔力が少ない人でも遊べるんじゃないか、という流れだ。

 その発想は正解だったみたいで、それなら用意するゴーレムの仕様を考えよう、という流れになった。

 話し合いの結果、火、風、水、地属性の各ゴーレムを試作してみよう、ということになった。
 試作するゴーレムは、両腕と両足からそのゴーレムが持つ属性の魔法が発動できるようにし、中央に稼働用の魔石を配置する、という仕様にした。
 各部位を狙って弱体化をさせる、最初から中央の魔石を狙って速攻を仕掛ける、みたいな感じで色々な戦い方が生まれないか、と期待してだ。

 試作品の作成はアオイが請け負う、って言ってくれたけど、他にも色々な魔道具を作ろうとしてるのに、大丈夫なんだろうか?
 ホムラが何も言わなかったし、おそらく大丈夫なんだろうけど。

 あ、それと話し合いの途中に、ソフィアとメイが昼食を作って持ってきてくれた。
 それはありがたかったんだけど、二人はすぐに教会へ帰らず、家の中を見回しては何かを話し合っていた。

 あの二人のことだし、図書室についてなんだろうとは思ったけど、たまにメイがこちらをちらっと見てくるのが気になった。
 ……変更された設計図に変な部分がないか、後で念入りに確認しておこう。


 
 それからは、ソフィアの図書館に行ったり、イズレに異世界のキャラクターをまた教えに行ったり等々して過ごした。

 そして現在、旅行前日の夕方である。
 今何をしているかというと、リューナと一緒に旅行の準備をしている。
 
 ハヤテの旅行中、何泊するかとか、流石にもう少し情報を聞いておいた方がいいな、と思ったからだ。
 旅行先が秘密、っていうのは楽しみが増えるけど、何も旅行に関する全部が秘密ってのはちょっとやりすぎたと思ったからだ。
 ……うん、我ながら気づくのが遅いな。

 それと、リューナは旅行先を知っているため、俺に旅行先を悟られないようにしながら準備を手伝ってもらえそうなので、今回からそうすることにした。

 ……それと、もっとリューナとの交流の機会を増やそうかな、なんて思ったのもある。
 リューナが俺と一緒に行動することになって、色々と心境の変化があったことを、前の旅行の時に知ったからだ。

 今までは俺の手伝いをしてくれている、っていう認識が強かったけど、リューナなりのやり方で色んな人と交流をしたい、という話を聞いて、俺もそれを可能な範囲で手伝いたいな、なんて思ったからだ。
 ……とはいえ、これからもそれ以上に、色々と頼らせてもらうことになるだろうけどさ。

 ということで旅行の準備をしながらリューナに確認すると、期間はいつも通り二泊三日、同行者もあり、とのことだった。
 もちろん、同行者は当日まで秘密だ。 

 ということで、明日は誰が来るのか予想してみることにした。

 ……そういえばレイって、いつも忙しいヒカリを除くと人間界ではそんなに会ってない気がする。
 確か、最初がデートの時、次がソフィアの図書館、それと魔道具の試作品関係で何度か、かな?
 
 そんな少ない中で、俺の知り合いがいたのは……、元々知り合いだったソフィア。デート中に会ったイズレ、試作品関係でベイラ、ヴェイグル、くらいか?
 
 うーん……。
 そうなると、明日は誰が来るんだろうか?

 ベイラ、はアオイの時に来るだろうから、イズレ、なのかな?
 そもそも、イズレが旅行に同行するかわからないけど。

「……ハクト様、どうかされましたか?」

 あ、同行者のことを考えてたら手が止まってた。

「すまん。明日の同行者は誰かな? なんて考えてたらそっちに集中しちゃったよ」

「そうでしたか。……それで、予想はどなたになりましたか?」

「うーん。レイと会ったことがある人に絞って考えたんだけど、イズレが一番可能性としては高そうかな、って結論になったよ。けど、あんまり自身はないかな? ……どう、当たってそう?」

「そうですね。……明日をお楽しみにしていてください」

 リューナの表情からは、予想がどのくらい正しいのか、全然読み取れなかった。



 さてさて、そんなこんなでレイとの旅行当日になった。
 集合場所は教会前、ではなく俺の家の前だ。
 まあ、ほぼ同じようなもんだけどな。

 いつも泊っている部屋から家の前に向かうと、ちょうど玄関からレイとリューナが出てくるところだった。
 あの転移門をさっそく有効活用してるな。

 ……というか、まだ正式に受け取ったわけではないけど、家の持ち主が別の場所からここにきて、そうではない人が中から出てくる、っていうのもなんだかあれだな。

「おはよう、レイ、リューナ」

「ええ、おはよう」

「おはようございます」

 なんて挨拶を交わしていると、遠くから誰かがこちらに向かってきていた。
 ……おそらく今回の同行者だな。

 はてさて、いったい誰だったかというと……。

「おはよう、ハクト、リューナ! それとレイさん、でいいかしら?」

「レイ、でいいわ。こちらも、アキナ、ってよんでも構わないかしら?」

「もちろん! それじゃあレイ、これからよろしくね!」

「ええ、よろしく」

 ということで、今回の同行者はアキナだった。

 自信があったわけじゃないけど、予想は見事に外れたな。
 まあそれよりも、アキナに理由を聞いてみたいな。

「アキナはどうして、レイとの旅行に同行しようと思ったんだ? さっきのやり取りを見ても、やっぱり面識はなさそうだし」

「そうね。まず、まだ会ったことがない魔皇に会ってみたかった、ってのがあるわ。それと、今回の旅行先である……、ってハクトには秘密なんだったわね。ともかく、今回の旅行先にとっても興味が湧いたからよ! だから、今回の旅行はすっごく楽しみにしているわ!」

 なるほど。
 アキナは積極的に魔族と交流してみたそうだったし、まだあったことのない魔皇とも会ってみたいよな。

 それと、アキナがこんなに楽しみにしている旅行先ってことで、俺も俄然がぜん楽しみになってきたな。
 まあ、元々楽しみにはしてたけどさ。


 さて、それじゃ早速出発だ! と思いきや……、

「なるほど、ハクトの家はこんな感じなのね。ソフィアから話は聞いていたけど、実際に見るとやっぱり広いわね!……今井商会支部って名目で、私も何か作ってもらっちゃおうかしら?」

 とか、

「えっ!? ここの転移門って魔皇の持ってる城に通じてるの!? それと、やっぱり魔皇も城を持ってるのね!」

「ええ、そうよ。もし気になるのであれば、後で城を案内するわよ?」

「ほんと!? それなら、是非ぜひともよろしくおねがいするわ!」

 なんて、俺の家に入って色々と話をしていた。

 ……あの、そろそろ旅行、行きませんか?
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