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第一章 知り合いが どんどん増える 一週間
第1話 美少女()があらわれた
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はっ、と気づくと、目の前には肩まで伸びた銀髪の美少女。
無表情な顔と吸い込まれそうな空色の瞳、華奢な身体とが相まって、まるで作り物のような見た目をしていた。
そしてその背後を見れば何もない真っ白な空間。あまりにも急な出来事に混乱していると、
「ぶぶ漬けでもどうですか?」
その美少女が、突然ぶぶ漬けを勧めてきた。え、いきなり帰れって?
◇
「……つまり、俺は偶然にもこの世界に迷い込んだってことですか?」
「ええ、そうなります」
ぶぶ漬け美少女の話によると、この世界と俺の元いた世界は多次元的? に近い位置にあるために時々空間同士に穴が開いてしまい、それぞれの世界が繋がってしまうようだ。
とはいえ、普通であればその穴はとても小さく、少しの時間で消えてしまうものらしい。
そんな穴が俺のすぐ前で、しかも俺自身が通れるほどの大きさで開いてしまい、気づけばそこに落ちてしまったらしい。
「そんな偶然、1%の確立で出る最高レアを10回連続で当てるよりも低い確率ですね。おめでとうございます」
なんて説明中に言われた時は、
「なんでソシャゲを知っているんだよ!」
とか、
「別にめでたくねぇ!」
なんて、つっこみたくなった。
が、いちいち指摘していては話が進まなくなるのでぐっとこらえた。
そんな穴に落ちた俺は、創造神(この世界の神様、他には補佐となる天使がいるのみ、とのこと)によって、天界と呼ばれるこの場所に救助されたようだ。目の前の彼女も天使の一人? らしい。また、その他にも
まれに俺のようにこの世界に迷い込む人がいる
この世界には魔法があり、それを使うための魔力が満ちている
今言葉が通じているのは翻訳の魔法を使っている
ここでの説明が終わった後に教会に転移される
常識などの詳しい説明はそこで教えてもらえる
等々の情報を教えてくれた。
それと自分に対しては話しやすい口調で大丈夫です、とのことだった。
なお、ここまでの説明でも随所につっこみどころがあったことを付け加えておく。
「というかちょっと待って。俺完全に被害者じゃん? ぶぶ漬けを勧められたけど、帰れってこと? なぜに?」
「すみません、良いところで仕事が中断されてしまいましたので、つい」
と言いつつ、何もない空間から漫画を取り出した。
「日本の漫画!? ナンデ!? それもメジャーじゃない、まさかのまほ○ば! ってかさっき仕事って言わなかった!?」
今までこらえていた分、ダムが決壊するかの如くつっこんでしまった。漫画がまさかすぎるチョイスだったのがいけない。
いや、うん、俺も結構好きな作品だったけどさ。
「……すまん、ちょっと取り乱した。けど、なぜ俺の住んでいた世界、しかも日本の漫画を持っているんだ? しかもそれを取り出して仕事って、どういうこと?」
「そうですね。まず私の主な仕事なのですが、あなたのように異世界からこの世界に迷い込んだ方を案内する、というものがあります。とはいえ、10回連続で最高レアを当てるよりも低い確率ですので、なかなか当たることはありません」
「その言い回し気に入ってるのね。というか当たりって、おい」
自分が最高レアって考えると何だが嬉しい気が……うん、全然しないな。
「他に任されている仕事もありましたが、貴重な異世界の方との会話を円滑に行うため、異世界の知識を取り入れることにしました。異世界とこちらの世界が繋がった時に、できるだけ魔法で異世界の文献を検索、複製しこちらの世界に持ち込むことにしました。その過程で出会ってしまったのです。この漫画という存在に」
そう言いながら、彼女は漫画を優しくなでた。
「すごい魔法だけど、使い方がなんというか……」
というか世界同士が繋がる度に魔法を使っていたのだろうか?
なんというか執念を感じる。
あと円滑にと言ったが、確実に知識が偏ってる。
というか知識をため込む本人がちょっとズレてる。
「漫画に感銘を受けた私は、漫画の複製を出来るだけ優先して行いました」
「えっと……、他の仕事は大丈夫だったのか?」
「本の収集や、読書を通じて異世界の知識を取り入れるという仕事をしているの大丈夫です。楽しくお仕事ができてうれしいです」
「さいですか……」
「創造神様もよく読まれていますよ」
「ちゃんと上司公認なのね……」
なんてやり取りを挟みながらも説明を受けていった。
◇
「さて、説明は以上ですが、何か他に聞きたいことはありますか?」
――本当はすぐにでも聞きたかった、異世界転移の話ではありがちな問題をようやく聞くことにした。
「……元の世界に帰る方法はあるのか?」
するとあっさりと、
「ありますよ。いろいろと調整などが必要なためおおよそ半年の期間が必要ですが。また、こちらの世界とあちらの世界では時間の流れが同期しておらず、ほとんど時間が経過せずに元に戻れます」
「帰れるのか!? しかも、待つ以外は無条件に?」
「ええ。あなたはこの世界に偶然迷い込んだだけですので。半年後に私があなたの元に訪れますので、その時にまでにどうするかを考えていただけたらと思います」
「そっか、帰れるのか。……よかった」
俺の両親は既に他界しており、その後引き取られた父方の祖父、祖母にはとても世話になった。
そんな二人に恩返しをする機会が失われなくてよかった。
それと、ほとんど同じ時間に帰れるのも助かった。
現在は絶賛就職活動中。
あやうく無職になるところだった。
「さて、そろそろ教会に送りますが、質問は他にありますか?」
「ん? 今は思いつかないけど、向こうでも聞けそうだし大丈夫かな。ここでの説明はこれくらいってことか?」
「そうですね。こちらで説明することは話したと思います。それと、すみませんが早く仕事を再開したいです」
「仕事って漫画を読むことじゃん!? ……まあ所々あれだったが、説明してくれたのは助かった」
そして彼女は目を閉じた。おそらく教会に送るための魔法か何かを準備しているのだろう。
と思っていたら、彼女はパッと目を開けると、
「あ、それと最後に。今の状態は魔力に対して魔法で保護されており、それが無くなりますと大変なことになりますので、創造神様の力によって調整されてから転移されます。その時にいわゆる”チート”がもれなくついてきます。異世界といえばチートですし、よかったですね」
「えっ!? ちょっ、それ詳し……」
なんて言ってる間に俺は光に包まれ……
◇
「……ぶぶ漬けでもどうですか?」
ぶぶ漬けの天使があらわれた! コマンド?
無表情な顔と吸い込まれそうな空色の瞳、華奢な身体とが相まって、まるで作り物のような見た目をしていた。
そしてその背後を見れば何もない真っ白な空間。あまりにも急な出来事に混乱していると、
「ぶぶ漬けでもどうですか?」
その美少女が、突然ぶぶ漬けを勧めてきた。え、いきなり帰れって?
◇
「……つまり、俺は偶然にもこの世界に迷い込んだってことですか?」
「ええ、そうなります」
ぶぶ漬け美少女の話によると、この世界と俺の元いた世界は多次元的? に近い位置にあるために時々空間同士に穴が開いてしまい、それぞれの世界が繋がってしまうようだ。
とはいえ、普通であればその穴はとても小さく、少しの時間で消えてしまうものらしい。
そんな穴が俺のすぐ前で、しかも俺自身が通れるほどの大きさで開いてしまい、気づけばそこに落ちてしまったらしい。
「そんな偶然、1%の確立で出る最高レアを10回連続で当てるよりも低い確率ですね。おめでとうございます」
なんて説明中に言われた時は、
「なんでソシャゲを知っているんだよ!」
とか、
「別にめでたくねぇ!」
なんて、つっこみたくなった。
が、いちいち指摘していては話が進まなくなるのでぐっとこらえた。
そんな穴に落ちた俺は、創造神(この世界の神様、他には補佐となる天使がいるのみ、とのこと)によって、天界と呼ばれるこの場所に救助されたようだ。目の前の彼女も天使の一人? らしい。また、その他にも
まれに俺のようにこの世界に迷い込む人がいる
この世界には魔法があり、それを使うための魔力が満ちている
今言葉が通じているのは翻訳の魔法を使っている
ここでの説明が終わった後に教会に転移される
常識などの詳しい説明はそこで教えてもらえる
等々の情報を教えてくれた。
それと自分に対しては話しやすい口調で大丈夫です、とのことだった。
なお、ここまでの説明でも随所につっこみどころがあったことを付け加えておく。
「というかちょっと待って。俺完全に被害者じゃん? ぶぶ漬けを勧められたけど、帰れってこと? なぜに?」
「すみません、良いところで仕事が中断されてしまいましたので、つい」
と言いつつ、何もない空間から漫画を取り出した。
「日本の漫画!? ナンデ!? それもメジャーじゃない、まさかのまほ○ば! ってかさっき仕事って言わなかった!?」
今までこらえていた分、ダムが決壊するかの如くつっこんでしまった。漫画がまさかすぎるチョイスだったのがいけない。
いや、うん、俺も結構好きな作品だったけどさ。
「……すまん、ちょっと取り乱した。けど、なぜ俺の住んでいた世界、しかも日本の漫画を持っているんだ? しかもそれを取り出して仕事って、どういうこと?」
「そうですね。まず私の主な仕事なのですが、あなたのように異世界からこの世界に迷い込んだ方を案内する、というものがあります。とはいえ、10回連続で最高レアを当てるよりも低い確率ですので、なかなか当たることはありません」
「その言い回し気に入ってるのね。というか当たりって、おい」
自分が最高レアって考えると何だが嬉しい気が……うん、全然しないな。
「他に任されている仕事もありましたが、貴重な異世界の方との会話を円滑に行うため、異世界の知識を取り入れることにしました。異世界とこちらの世界が繋がった時に、できるだけ魔法で異世界の文献を検索、複製しこちらの世界に持ち込むことにしました。その過程で出会ってしまったのです。この漫画という存在に」
そう言いながら、彼女は漫画を優しくなでた。
「すごい魔法だけど、使い方がなんというか……」
というか世界同士が繋がる度に魔法を使っていたのだろうか?
なんというか執念を感じる。
あと円滑にと言ったが、確実に知識が偏ってる。
というか知識をため込む本人がちょっとズレてる。
「漫画に感銘を受けた私は、漫画の複製を出来るだけ優先して行いました」
「えっと……、他の仕事は大丈夫だったのか?」
「本の収集や、読書を通じて異世界の知識を取り入れるという仕事をしているの大丈夫です。楽しくお仕事ができてうれしいです」
「さいですか……」
「創造神様もよく読まれていますよ」
「ちゃんと上司公認なのね……」
なんてやり取りを挟みながらも説明を受けていった。
◇
「さて、説明は以上ですが、何か他に聞きたいことはありますか?」
――本当はすぐにでも聞きたかった、異世界転移の話ではありがちな問題をようやく聞くことにした。
「……元の世界に帰る方法はあるのか?」
するとあっさりと、
「ありますよ。いろいろと調整などが必要なためおおよそ半年の期間が必要ですが。また、こちらの世界とあちらの世界では時間の流れが同期しておらず、ほとんど時間が経過せずに元に戻れます」
「帰れるのか!? しかも、待つ以外は無条件に?」
「ええ。あなたはこの世界に偶然迷い込んだだけですので。半年後に私があなたの元に訪れますので、その時にまでにどうするかを考えていただけたらと思います」
「そっか、帰れるのか。……よかった」
俺の両親は既に他界しており、その後引き取られた父方の祖父、祖母にはとても世話になった。
そんな二人に恩返しをする機会が失われなくてよかった。
それと、ほとんど同じ時間に帰れるのも助かった。
現在は絶賛就職活動中。
あやうく無職になるところだった。
「さて、そろそろ教会に送りますが、質問は他にありますか?」
「ん? 今は思いつかないけど、向こうでも聞けそうだし大丈夫かな。ここでの説明はこれくらいってことか?」
「そうですね。こちらで説明することは話したと思います。それと、すみませんが早く仕事を再開したいです」
「仕事って漫画を読むことじゃん!? ……まあ所々あれだったが、説明してくれたのは助かった」
そして彼女は目を閉じた。おそらく教会に送るための魔法か何かを準備しているのだろう。
と思っていたら、彼女はパッと目を開けると、
「あ、それと最後に。今の状態は魔力に対して魔法で保護されており、それが無くなりますと大変なことになりますので、創造神様の力によって調整されてから転移されます。その時にいわゆる”チート”がもれなくついてきます。異世界といえばチートですし、よかったですね」
「えっ!? ちょっ、それ詳し……」
なんて言ってる間に俺は光に包まれ……
◇
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