異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

文字の大きさ
4 / 161
第一章 知り合いが どんどん増える 一週間

第4話 そして教会へ

しおりを挟む
 教会を訪れると、昨日は見かけなかった、シスターと思しき恰好をした人が数人、牧師のような恰好をした人が一人いた。

 昨日は夜も遅くなっていたし、既に帰宅していたのだろう。
 とりあえず、近くの人にソフィアがいるか聞いてみるとするか。

「あの、すみません。昨日から宿泊所に泊めていただいている者なのですが……。ソフィアさんはいらっしゃいますか?」

 と近くで掃除をしていた若いシスター(おそらく)に声をかけた。
 すると、シスターは怪訝な顔で、

「いえ、ソフィア様はまだ来ていませんが……」

 と答えた後、何かに気づいたようにハッとしながら、

「あっ、もしかして異世界から来られた方でしょうか?」

「あ、えっと、はい、そうです。ソフィアさんから聞いていますか?」

「ええとですね……。昨日、ソフィア様がこちらの世界に異世界人が来たとの神託を授かりました。その後は大聖堂に転移されたきりだったのですが、現在巡礼の方はこちらに滞在しておりませんので、こちらに案内された異世界の方と推察いたしました」

 そういえばソフィアは、こっちで神託を受ける巫女の仕事をしていたな。
 天界に移動するときは大聖堂に行くと言っているようだ。

「それに、普通の格好をしている方なのに丁寧な喋り方をしていらっしゃるな、と」

「ええと、失礼のない程度に敬語を使っているだけなのですが……」

 シスターの話によると、敬語で話した場合は練度や相手の言語によって、翻訳魔法での翻訳が少し変なことになることがあるようだ。
 そのため、目上の人に対して使う、職業柄しょくぎょうがら、商人や職員のような立場の人が使う、のようなケース以外ではあまり使わなくなっていったらしい。

 まあ、口癖のように使っている人もいるらしいが。

 それなら、今後は意識して使わないようにしようかな?
 できるだけ目立たないように頑張ると決めたしな。

 それと簡単に自己紹介も済ませ、シスターの名前はモニカだと分かった。

「話が逸れてしまいましたね。ソフィア様なのですが、いつも今くらいの時間にいらっしゃるのですが……」

 とモニカと二人して教会の入口に目を向けるとソフィアがちょうど入ってくるところだった。
 ソフィアもこっちに気づいたようで、真っ直ぐ向かってきていた。
 
「おはようございます、ソフィア様」

「おはようございます。お二人で話されていたようですね。なるほど、これがナンパというものですか。実際に見るのは初めてです」

「違うって!」

 流石はソフィア、朝からこれである。さすソフィ。

 すると、少し困惑しながらもモニカがソフィアに話しかけた。

「あ、あの。敬語について、皆さんがどのように使用しているかを説明していたところでした」

「なるほど。本日街を歩きながら色々と説明する予定でしたが、説明する項目が減り助かりました。ありがとうございます」

「いえ、お役に立ててよかったです。本日はそちらの方に街を案内するのですね」

 嬉しそうにモニカが答えていた。そしてこちらに向き直り、

「お泊りになったということは、夕食や朝食は大丈夫でしたでしょうか? 簡単な軽食であれば、教会に備蓄してあるものでご用意できますが」

 こちらを気遣ってくれたようだ。
 これから良くお世話になるであろう教会だし、優しそうな人で良かった。

「夕食はソフィアに作ってもらったし、朝食用に食材も用意してもらったから大丈夫。心配してくれてありがとう」

「食事ってもしかして、ソフィア様の手作りですか!? うらやましいですね!! ……あ、えっと、申し訳ありません」

 モニカが思わずといった感じで反応した。
 さっきからの反応を見るにソフィアはモニカに慕われているっぽいな。
 
「それとついでに聞いておきたいんだが、この教会に書庫のような場所を見かけたんだ。そこの本は自由に読んで大丈夫なのかな?」

 話を逸らすついでに本について聞いてみた。

「ええ、あちらは自由に開放されていますので大丈夫です。ただ、持ち出そうとしますと入口にある魔道具から大きな音がなりますので注意してくださいね」

「なるほど、いろいろ教えてもらえて助かった。それじゃ、そろそろソフィアの準備が大丈夫なら街を案内してもらおうかな……ってあれ? ソフィアどこいった?」

 見渡すと既に入口の方に向かっていった。マイペースなやつである。いや、もしかしたら気を使ってくれたのか?
 俺もソフィアについていこうとしたが、モニカに話しかけられた。

「あ、あの」

「ん?」

「ソフィア様についてなのですが、時々……えっと、変わった発言をなさるのですが、とても良い方なのです」

「ああ、うん。まだあったばかりだけど、なんとなく分かるよ。何というか思ったことをそのまま口に出したり、ちょっと天然な感じだけど、料理を作ってくれたり、悪いと思ったら謝罪もしてくれたしな」

「そうでしたか。あ、引き留めてすみませんでした。それでは、よい一日をお過ごしください」

「ありがと。そちらもよい一日を」

 お互いにペコリと頭を下げて、俺は入口へと向かっていった。



 入口で待っていたソフィアに合流すると、

「何やら話をされていたようですが、逢引の約束というものでしょうか?」

「違うよ!? 初対面で普通そんな約束しないって!!」

「なるほど。あいびきといえばハンバーグが食べたくなりますね」

「……だめだこりゃ」

 ……うん、悪いやつではないんだ。
 ただ変わっていて、思ったことをすぐ口にするだけで。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

処理中です...