異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第一章 知り合いが どんどん増える 一週間

第9話 Q.異世界の料理とは?

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 昨日あいさつをしていなかった教会の方々に自己紹介を終え、屋台が集まる通りにやってきた。

 今日は異世界っぽい食べ物を食べるぞー! っといろいろ見て回ろうと思ったが、外国っぽい、と異世界っぽいのどこが違うんだろうか、とふと思ってしまった。

 今のところ、よくある魔物肉が串に刺さったやつとか、見たことのない形の野菜やきのこの素焼きくらいかな? 異世界っぽいと思えたのは。
 それに、いわゆるゲテモノが食べたいわけでもないし。
 うーん、どうしようかな。

 考えれば考えるほど、異世界っぽい料理って何なのかわからなくなってきた。

 なんて、あまり回っていない頭でどうでもいいことを悩みながら見て回っていたが、漂ってきたラーメンの匂いに釣られ、気づけば完食していた。
 朝に合わせてほんのり柑橘系を効かせてさっぱりとした塩ラーメン、おいしかったです。

 気を取り直して(?)、日用品や食材の買い物をすることにした。
 転移魔法がある関係が、食材は充実していた。元の世界で見たことあるような食材も多々あり、とりあえず自炊にも困らなさそうだ。

 それと一人暮らしの味方、乾燥かんそうパスタは大量にストックしておこう(個人の感想です)。

 異世界らしく、空間魔法により容量の拡張と軽量化がされた、かばんやリュックなども売られていた。
 50リットルくらいの容量では1万円ほどだったが、容量が大きいものは値段が跳ね上がっていた。
 今日買う荷物を持ち運ぶのにも便利だし、今後も確実に必要になるだろうからと、安めのショルダーバックを一つ買っておいた。

 必要そうなものを粗方購入したところで、昨日案内してもらったお店で気になった、娯楽用品を扱っていたお店を覗いてみることにした。
 もう少しじっくり見たいと思っていたしな。

 娯楽用品というだけあって、釣り道具など趣味に使う色々な物が置いてあったが、とりあえずリバーシなどのボードゲームが置いてあるコーナーを見てみることにした。
 見たことのあるメジャーな物から、全くルールの分からないものまで色々置いてあった。
 とはいえそこまで詳しくはないので、元の世界にも色々あったのかもしれないが。

 サイズや価格も多種多様に取り揃えており、中には価格が千円しないものもあったため、買い求めやすい価格設定なものもあった。
 その中で少し変わった物を見つけた。

「これは、チェスの駒か?」

 人物をかたどった、チェス用の駒がいくつも置いてある棚を見つけた。精巧に作られた、王や騎士、魔法使いなど様々な恰好をしている駒があった。おそらく歴史上や物語の人物など、有名な人たちなのだろう。

 その中に何故か、小さな緑色のおっさんのような駒があった。他には尖った耳と、長い鼻が特徴的だ。
 下にゴブリン(ポーン)と紙が貼ってあった。
 なるほど、この世界にもゴブリンがいて、こういう見た目をしてるんだな。
 でも、何故これだけが魔物でしかもゴブリンなんだろう?

 そんな感じで、色々疑問に思いながら観察していると、

「お兄さん、もしかしてそのゴブリンの駒に興味ある? 他の種類の駒も全部あるわよ!」

 と、おそらく高校生くらいの黒髪ロングな髪をお嬢様結びをした、日本人っぽい美少女が話しかけてきた。
 もしかして日本人? なんて一瞬思ったが、昔この世界に来た日本人の子孫とかだろうな。

「ああ、いや。これだけ他の駒と方向性が違うように見えて、なんでかなと思って」

「お試しで魔族の駒を試作してみたの。少し前にゴブリンたちが主役の物語が流行ったの。 それで、試しに作って並べてみたんだけど、さっぱり売れてないわね」

 あ、ゴブリンって魔物じゃなくて魔族だったのか。
 それと、物語が面白くても、駒が小さいおっさんみたいな見た目では、流石に人気が出るのってのは難しそうな気がするな。

「チェスの駒って基本的に人間しかないじゃない? それじゃもったいないと思ったのよね。本当は色々な魔族の駒を作りたいんだけど、有名な魔族の許可を取る手段がないし、そうじゃない魔族だと怖がられていたり、有名じゃ無かったりするから、難しかったの。だから、今回はチャンス! ……だと思ったのだけど、見た目が、えっと、特殊すぎてだめだったみたいね」

 ここで不細工とかの表現を使わないあたり、きちんとした子なのだろう。

「あ、ごめんなさい! 名乗りもしないで一方的に話しちゃったわね。わたしの名前は陽菜あきなよ!」

「俺はハクト。もしかしてアキナは、このお店のオーナーの娘さんか?」

「まあそんなところね。それで、ゴブリンの駒を観察してるし、魔族に苦手意識とかは持っていないわよね?」

「まあ、そうだな」

 そもそも魔族って言っても、ホムラとハヤテしか知らないけど。

「それじゃ聞いてみたいのだけど、何かいいアイディアとか思いつかない? 些細なことでもいいから何か取っ掛かりが欲しいの」

「うーん、そうだな。やっぱり見た目が、えっと、変わってるし、デフォルメとかしてみるのはどうだ?」

「デフォルメ? 今でも見た目が分かりやすいように顔を少し大きくしたり、等身も少し変えているし、あまり大きく変えるとなると不自然になってしまうわよ?」

 ああそっか。
 アニメとかで使われてる感じのデフォルメ表現はこっちには伝わってないか。

「そうだな、等身を極端に小さくしたり顔も極端に大きくしつつ、見た目を簡略化してかわいく見えるようにする、って感じかな」

「ん-……、言葉だと分かりづらいわね。ハクトは絵とかは描ける?」

「あー、すまん。全然上手くないんだ」
 
「そっか。……うん、ありがと! 参考にさせてもらうわね。もし何かいいアイディアとかが思い浮かんだら、ここの店員に伝言しておいてくれないかしら。店員には後でお願いしておくわ。いいアイディアだったらもちろん使用料を払うわよ!」

「わかった。何か思いついたら伝えておくよ」

「ありがと! よろしくお願いするわね!」

 といって彼女は去っていった。

 ふう、元気な子だったな。
 ここのお店は結構大きいし、仮にいいアイディアが出せたら少しは生活費を稼げるかもしれないな。
 ……すぐに出せたら苦労はしないけど。


~アキナ SIDE~

「さて、これで全部見回ったかな?」

 わたしが提案した商品の中で最初からピン! ときたものはやっぱり売れてたわね。
 けど、ゴブリンの駒は全くと言って売れてなかったかぁ……。
 何か手掛かりが掴めないかと無理言って置いてもらったけど、一個も売れないと違う方向から考えてみないとかしら?

 駒と言えばさっき出合った人、名前はハクトだったわね。
 わたしの感覚でピン! と来たから、思わず話しかけちゃったわ。

 本当にいいアイディアを持ってきてくれるかもしれないし、忘れずにこの店舗の店員にお願いしとかないと!
 髪の色とか顔立ちを見るに、同郷の人かしらね?
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