異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

文字の大きさ
10 / 161
第一章 知り合いが どんどん増える 一週間

第10話 住民税はいりません そう、異世界人ならね

しおりを挟む
 用が済んだので、一度宿泊所に戻ってきた。
 買ってきたものを整理し、昼食を済ませると教会に向かった。



 教会に着きソフィアに会いに行くと、すぐに残りの説明をしてくれることになった。

「その前に、ホムラさんから通信用の魔道具にメッセージが届いていまして、明後日の予定を確認したいそうです」

「ああ、また魔法の練習に付き合ってくれるのかな? ソフィアの方で何かなければ、明後日は朝から空いていると伝えてもらえるか?」

 そうお願いすると、何やら小さな板状の物を取り出した。
 少しすると、

「ホムラさんに返信しておきました。おそらくですが、すぐ返事が届くでしょう」

 なんて言っていたが、さっきの板状の物が通信用の魔道具のようだ。
 異世界人がスマホのことを教えたのか、持ちやすい形としてそうなったのだろう。

 と間もなく、その魔道具がリーンと鳴りながら振動した。

「返信が来たようです。確認しますね。……。昨日会った時間辺りに教会まで迎えに来る、とのことです」

「了解した、と伝えておいてくれ」

 と伝えるとソフィアが直ぐに返信してくれた。ただ持っているだけなので、おそらく魔法を使うようにイメージで返信しているのだろうけど、傍から見たら不思議な光景だな。

 毎回ソフィアを通してやり取りするのも申し訳ないし、俺も通信用の魔道具があると便利そうかな。
 ただ、今日見て回った範囲では見たことがなかったので、どこかに専門店などがあるのだろうか。

「なあ、ソフィア。その通信用の魔道具ってどこで売ってるんだ? それと値段も知りたい。俺も持っていた方が便利そうでな」

「このリンフォンですか? こちらの魔道具は最近販売されたものでして、頭の中で文字を見たり返信したりできるので便利です。ただ、高価な部類の魔道具でして、確かですが、10万円はしたはずです」

 リンフォン、リーンとなるからリンフォンなのか、りんご……いや、深く考えるのは一応やめておこう、うん。
 うーん、メールみたいなものが使えるのは便利そうだけど、連絡を取るだけなら他に安い魔道具とかないかな?

「もっと安い値段の魔道具はないかな?」

「そうですね。従来からある、音声を直接やりとりするものであれば、手頃なものがあります。通信用の魔道具は基本的に互換性を持たせているはずですので、そちらで大丈夫だと思います。確か、近くにある魔道具を専門に扱うお店で販売していたかtと思います」

 とりあえず、売ってるお店の場所を教えてもらうことにした。



 お店の場所を教えてもらった後、この世界の残りの説明をしてもらった。
 お店の場所は、昨日案内してもらった範囲より少し遠いが、大通り沿いにあるらしく、建物も大きく目立つのでわかりやすいとのことだった。

 今日の説明としては、この世界にいる種族とそれぞれの違い、タブーなどを教えてもらった。

 異世界でよくあるエルフやドワーフ、獣人など多種多様な種族は一括りで人間と呼ぶらしく、亜人と呼ぶのは差別的な言葉のようだ。
 また、やはりエルフは魔法の扱いが上手く長命ということだったが、そもそも魔力を多く持つと長命になるそうだ。
 それに、魔法が発展しているおかげで、そもそも人間全般が健康的に長生きしやすいらしいな。

 まほうの ちからって すげー!

 それと元の世界でもあった、税金など生活する上で必要な物の細かい説明もあった。
 俺の身元についてはこの国の住人という扱いではないが、教会に保証してもらえるようだ。
 しかも半年の間ずっと、住むのに必要な税金は免除らしい。やったぜ!
 
 違うソフィア、俺はニートじゃない。
 せめて観光客と言ってくれ。



「以上の説明で、こちらで半年過ごすには問題ないと思います」

「うーん、後半は何だか難しい話で疲れたな。昨日と違って税金とかの細かい説明はすぐに覚えられる気がしないし」

「この世界の住人でも全てを覚えている人は少ないですし、よく役所に確認されています。それにもしハクトさんが働く場合には、基本的に雇い主側が手続きを行うため、何となくそういったものがある、と覚えておけば大丈夫かと思われます」

「そっか、色々説明ありがとな」

「いえ、それが仕事の一つですので」

 それと漫画を読むことだったな。

「仕事だったとしても、ソフィアに説明してもらえて助かったよ。たまに話がずれるが、説明はわかりやすかったしな。あ、そうだ。今日、日本人ぽい髪色や顔立ちの人を見かけたんだけど、こっちの世界に残った日本人の子孫だったりするのか?」

「その可能性もありますが、ほとんどの方が元の世界に帰られることを選択したため、この国の東方出身の方であると思われます」

「ああ、そういえばこの国は東西に広いんだったな。東方って、やっぱり日本に似てたりするのか?」

 異世界ファンタジーでは日本っぽい国があることも多いが、そのパターンだろうか?

「実際に行ったことがありませんので、あまり詳しくはわからないです。ただ、お米を生産していたり、醤油や味噌などもそちらで生産されていましたので、もしかしたらそうかもしれません」

「なるほどな。一度行ってみたい気もするが、ほとんど知らない国の、さらに知らない場所に行くのはちょっと危険だし心配だな」

「それでしたら、行かれた先の街にある冒険者ギルドで案内人を雇うのもよいかと思われます。こちらの街でも観光に来られた方が雇っていることもありますよ」

「ああ、そっか。この世界だと冒険者ギルドがあるのか。そうだな、もしお金に余裕ができたら検討してみよう」

 仮に一日中案内してもらうとなると、日給いくらみたいになるだろうし、それだけでお金が必要そうだ。
 とはいえせっかく異世界に来たんだし、いろいろ観光もしてみたいな。

 やっぱりお金を稼ぐ手段とかを探さないとな。
 何かいいバイトとかあればいいんだが……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

処理中です...