異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

文字の大きさ
20 / 161
第一章 知り合いが どんどん増える 一週間

第20話 これが俺の一週間

しおりを挟む
 一晩経って次の朝、そこそこ寝たはずだけど、昨日の疲れがまだ完全には抜けきっていないようだ。
 
 うーん、今日はどうするかな。
 そういえば、何だかんだで毎日予定が入っていた気がする。
 それに、異世界っていう知らない場所に来たとか、そういったものが色々あって疲れたのかな?

 うん、今日はのんびり過ごすとするか。
 とりあえず、起きて軽く飯とシャワーでも済ませようっと。



 部屋でのんびりとしながら、そういえば今日でこの世界に来てから一週間か、と考えていた。

 初日はいきなりこの世界に迷い込んでて、目の前にソフィアがいたんだったな。
 ソフィアは……、うん、この世界とか国について色々教えてくれたな。
 この一週間、会う機会が多かったのもあって、ソフィアの変わった言動にも慣れてきた。
 でも、つっこみはやめられないし、止まらない。

 二日目は、まず教会でモニカやソフィアと会って、外に出たらホムラが俺の魔力を感知して来たんだったな。
 そして、話の流れからホムラに魔力の使い方や魔法を教わることになって、街の案内と昼食が終わったら、急に魔界に連れていかれたんだった。
 そこで魔力の使い方とか魔法を教わっていたらハヤテが飛んで来て、二人に魔法を教えてもらった。
 ホムラはもちろん、ハヤテも意外と魔法をわかりやすく教えてもらえたし、結構楽しかった。
 また魔法を教えてもらいたいな。
 ……ハヤテからはまたいたずらを仕掛けられそうだけど、昨日きちんと叱られていたし、しばらくは大丈夫かな?

 三日目は、娯楽用品を扱うお店でアキナに出会ったんだけ。
 確か、お店のオーナーの娘さんだっけ?
 後は、ソフィアから一週間に一回くらいのペースで仕事を手伝う提案をしてもらったけど、その後色々あってまだできていないな。
 のんびりした後でソフィアに確認しておこう。

 四日目は魔道具を買いに行こうとして、イズレに捕まった。
 イズレに日本のアニメとかのキャラクターを教えたり、アキナにデフォルメしたイメージの提案をしたな。
 それと高価な通信用の魔道具、リンフォンを買ってもらった。
 イズレはそれでも足りないみたいな感じだったし、また知識を提供したら報酬とかはどうしよう。
 ……ぼくのかんがえたさいこうのフィギュアとか作ってもらっちゃうか?
 なんてな。

 五日目は教会に突撃してきたアオイの工房に、ホムラを伴って行ったな。
 工房を案内してもらったり、その後行ったホムラの私有地でゴーレムで戦ったりして楽しかった。
 そういえばアオイに渡した知識から、何か魔道具ができるかもしれないな。
 そっちも楽しみにしてよう。

 六日目、昨日の出来事だな。お城に行ってメイドさんを見たり、王様に会ったり、王女様であるクレアに会ったり、六大魔皇と、この世界で普通は簡単に会えなさそうな存在に立て続けに会ったな。
 いや、メイドさんは俺が勝手に感動していただけか。
 しかも六大魔皇のうちの三人は、既に会っていたホムラ、ハヤテ、アオイだもんなぁ。

 というかそんな魔界のトップに人間界での名前を付けたのか、俺?
 しかも後三人にも付ける予定だし。
 ……うん、ただ知り合った魔族に名前を付けるってことにしておこう。

 というか、未だに三人が魔界のトップだっていう実感がないな。
 うーん、偉い人だと分かった途端に態度を変えるのもなんだか嫌だし、次に会う時もいつも通りにしよう。
 最初に会った時に身分は明かされなかったし、出会った三人の感じからしてうやうやしくされるのはあんまり好きじゃなさなそうだしな。

 うん、改めて振り返ると本当に怒涛どとうの一週間だったな。
 色々ありすぎて、忘れていることもありそうだ。
 ……ソフィアのあれな発言は、何故か全部覚えているけど。

 前に来た異世界人も皆こんな感じだったのだろうか?
 ……多分、違うだろうな。

 まあでも、幸い出合った人たちは、うん、変わった人も何人かいたけど、皆いい人だったし良かったな。

 なんてのんびりしつつ色々考えていたら、もうお昼近い時間だった。
 街で何か食べつつのんびり散策するか。
 そろそろ食材も買い足したいしな。



 まずは食事だな、と飲食店が多く並ぶ場所に来た。

 そういえば、週間で色々なお店に行ったな。
 ただ、元居た日本にもあるようなメニューを出すお店ばっかりだった気もしてきた。

 そんな中でアキナに連れて行ってもらったお店は、異世界の料理を食べてるって感じで良かったな。
 ……今度会った時色々なお店を教えてもらおう。
 商人の娘さんだし、色々なお店を知っていそうだしな。

 さて、食事のことを考えていたらますますお腹が減ってきた。
 もう目についた所に入っちゃおう、と辺りを見回すと、のぼりが出ているお店が目についた。
 そこには”異世界ラーメン”と書かれていた。



 いやー、おいしかった。異世界、つまりこっちの世界からみた俺の世界のラーメンてことで、中華そばとかそういうのが出てくるのかも? と思ったけど全然違った。

 とんかつラーメンや、からあげラーメン、さらには焼いた魚のひものラーメンなどなど、異世界で有名なおかずを使ったラーメンだった。
 ちなみに俺は、元の世界で気になっていたけど食べたことのなかった、とんかつラーメンを注文した。
 ……ソフィアが色々と俺のいた世界にある料理を広めてるから、向こうで食べたかったものまであるな。

 買い物や食事を済ませ、腹ごなしに街を歩いているとアキナと出会ったお店のそばまでやってきた。
 そういえばゴブリンの駒とかはどうなったのかな? と気になり入ってみることにした。

 もしかしたら、と見渡したがアキナはいなかったので、チェスの駒が置かれている場所に来た。
 うーん、前あった場所には置いてないようだ。
 もしかしたら違う場所に置かれたのかな? とあちこち見ていたら、近くにいた男性店員に声をかけられた。

「何かお探しですか? ってもしかしてお客さん、アキナ様が言っていた人ですか?」

 ん? アキナが言っていたって?
 ……そういえば、何かいいアイディアが出たらここの店員に伝言をしておいて、って言っていたな。
 
「多分そうだと思う。ただ次の日に偶然出会って、魔道具で連絡を取れるようにしたんだ」

「それはすごい! 何か大きな商売のアイディアでも思いついたんですか? って、ああ、内容は言わないで結構です。アキナ様の商売の種が漏れるってのはまずいですし」

 ん? この店のオーナーの娘さんってだけで、そんな反応するのかな?
 それに、様を付けて呼んでいるってのも段々と違和感が。
 うーん、ちょっと聞いてみるか。

「えっと、実は俺、この国に来たばかりであんまり詳しくないんだけど、アキナって有名人だったりするのかな?」

 というと、店員さんは納得のいった顔で

「なるほど! ……ああ、まずはお客さんの疑問に答えましょうかね。まずこの店なんですが、この国でも最大級の規模を持つ今井商会が大本の店なんです。今井商会には娯楽用品を扱う事業があり、そこの商品を主に売っている形ですね。それでアキナ様なのですが、今井商会の経営者の娘であり、一年ほど前に娯楽用品事業の責任者を任されることになりました。年齢は見た目よりは少し上なのですが、若くしてやり手だと、この国ではそこそこ有名になっています」

 思った以上に大物だった!
 しかも王様とかとは別の方向ですごい感じだったよ!
 
 それと、若く見えるってことは魔力が多かったりするのかな?

「それでですね、見た目が若いからと、騙してやろうみたいな変な輩《やから》が寄ってくることも結構ありました。なので初めて会う方には警戒されるのですが、お客さんはアキナ様を知らなかったようで、警戒しなくても大丈夫、と判断されたのかもしれないですね」

 なるほどな。
 俺が「オーナーの娘さんか?」なんて聞いたことで、アキナのことを知らないと判断したんだろう。

「アキナの事情を知っているってことは、もしかしてこのお店の店長さんですか?」

「そうです。……うーん、やっぱり色んな人に普通の店員だと思われるな。貫録を出すために髭でも生やしてみるか?」

 後半は小声でつぶやいていた。というか店長です! って言わなければ客側は判断できない気がするけど、何かあったのだろうか?



 店長さんにお礼を告げ、お店を出たところでリンフォンがリーンとなった。
 邪魔にならないところでリンフォンを操作すると、噂をすればなんとやらでアキナからだった。

『チェスの駒について話が商品化の方向で進展したから伝えておくね。今度会って細かい話をしたいから、そのつもりでいてほしいかな』

『それと、隠していないから既に知っているかもしれないけど、私の本当の立場を伝えておくわね。私は今井商会って大きな商会で娯楽用品の責任者をやっているの。前は誤魔化してごめんなさい』

『わかった。立場の話も大丈夫。さっき、アキナと最初に会ったお店の店長さんにアキナについて教えてもらったんだ』

 と返信するとすぐに返事が来て、

『それならよかったわ。……よくあの店長が店長だとわかったわね』

 ……なんだろう? もしかして店長っぽい店員が他にいたりするのだろうか。

『それと、ついでにイズレについても教えておくわね。彼はこの国で一番の人形職人なの。だけど、あちこちから声をかけられるのが面倒で、うちの商会がその風よけになってるのよね。あ、本人には許可を得ているので大丈夫よ』

 また別方向にすごい人が知り合いだったことが判明しちゃったよ。
 けど、感覚がまひしてきたのかさっき程の驚きはなかった。

 うーん、そんな人たちに囲まれて、これからの俺の異世界生活はどんなことになるんだろう。
 不安も少しはあるんだけど、それ以上になんだかワクワクしてくるな。

______________________________________
第一章完結です! ここまでお読みいただきありがとうございます!

基本的にコメディな雰囲気で、たまに何かの作品のネタをいれつつつ、比較的のんびり進行な感じですので、もしよろしければ続きも読んでいってください!

(ネタは、もちろんわからなくても問題ないです)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

処理中です...