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第三章 要するに この章ほとんど デートかい
第45話 刀について語る
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さて、一日置いて今日からまた三連続デートだ。
初日は水魔皇のレイだけど、武具が好きってことくらいで、そんなに知らないんだよな……。
一応、ホムラとのデートの時に、レイにおすすめな店を聞けたけどな。
デート中にそんなこと聞くなんて、って思うけど、むしろホムラから積極的に説明してくれた。
これが異世界ギャップというやつか?
他の行先に関しては、ベイラに頼ってみた。
父親が有名な鍛冶職人だし、この街でお店をやっているってことで、武具を扱うお店について知ってるかな? と、アオイと一緒に会った日に聞いてみた。
ベイラは、イズレから親父については聞いてるよな? と俺に確認した後で、
「魔皇が来るってんじゃ、親父の商品を卸してる店がいいと思うぜ。親父の弟子がやってる店で、お偉いさんもたまに来てるみたいだしな」
と、おすすめしてくれた。それに加え、あらかじめその旨を伝えてくれるみたいだった。
ちなみにその店は防具は扱わず、その弟子が作った武器や、ベイラの父親が作った武器をメインで扱ってるみたいだ。
それで、昨日は買い物ついでに、その結果を聞きに行ってみた。
◇
「おっ、いらっしゃい! 丁度よかった! ハクトに連絡しようと思ったんだが、リンフォンに登録してないのを忘れててな。アオイ経由で連絡しようかと思ってたところなんだ」
「おはよう、ベイラ。今日は、前にお願いしたことの結果を聞きに来たんだけど、連絡したいことって、もしかしてその件?」
「ああ、そうだぜ。実は、昨日その店に説明しに行ったんだが、丁度あたしの親父が納品に来ててな。その話を横で聞いてた親父が、俺が対応するって言ってきたんだ。魔皇相手に適当な説明はさせねぇ、って言ってな」
「そ、そうなのね」
というか、自分で納品しに来るんだな。
自分で対応したいって言うくらいだし、こだわりが強い職人なんだろう。
「で、朝からいるから、いつ来てくれてもいい、って言ってたぜ」
師匠が朝からいるって状況、弟子は居心地が悪そうな気が……。
それと店を出る前に、ベイラとは忘れずにリンフォンの魔力を交換しておいた。
◇
というわけで、今日も教会前で待ち合わせをしていると、
「おはよう、ハクト。待たせちゃったかしら?」
「いや、今来たところ」
なんて、デートで定番なやりとりをした。
「それで、今日は武具を扱っているお店に行きたいのだけれど、大丈夫かしら?」
デートっぽさ終了! うん、知ってた。
「扱っているのは武器のみだけど、事前に聞いておいた店があるんだ。そのお店で大丈夫なら行ってみるか?」
「もちろん大丈夫よ。準備してくれてありがとね。それじゃ、さっそく行きましょう」
ということで、ベイラの父親が待つであろう店に向かうことにした。
◇
ベイラに聞いた通りの道順で、武器屋であろう建物まで来た。
手前に店舗、奥に煙突のついた工房っぽい建物が見えるし、ここで大丈夫だろう。
「聞いたお店はここだな。……開いているみたいだし、入ってみようか」
「そうね。……どんな武器が見れるのかしら? 楽しみだわ」
扉を開け店内に入ると、そこには様々な武器が陳列されていた。
そしてカウンターにいたのが、
「おう、らっしゃい! 聞いていた通りの特徴だし、お前さんが娘の言っていたハクトでいいか?」
「えっと、あなたがベイラの父親ってことでいいのか?」
「ああ。俺は、ベイラの父親で鍛冶職人のヴェイグルだ。よろしくな!」
彼がベイラの父親のヴェイグルさんか。
確かにベイラに少し似ているな。
いや、ベイラが父親に似ているのか。
……というか、店員としてカウンターにいるんだ。
俺は挨拶しつつ、レイを紹介した。
レイは魔法を解除すると、
「今日はよろしく。ハクトに紹介された通り、私は水魔皇のレイよ」
「おう、その顔は前に見たことがあるぞ! 二人ともよく来たな!」
「ヴェイグルさん、今日はベイラのお願いを聞いてくれてありがとう」
「俺のことは気軽にヴェイグル、と呼んでくれ! 俺もその方が気楽にできるしな!」
「それじゃ、ヴェイグルって呼ばせてもらうよ。今日は、レイが色々な武器を見てみたいってことで、ベイラにこのお店を紹介してもらったんだ」
「おう、それも娘から聞いてるぞ! それじゃ、……っとその前に」
ヴェイグルは商談中と書かれた看板を持つと、店の外に持ち出して設置し、元の位置に戻ってきた。
……完全に人の店を貸切ってる状況になったけど、店の持ち主的には大丈夫なのだろうか?
「これで邪魔も入らないし、何でも聞いてくれ! なぁに。今日は世話になった娘の礼も兼ねてる、遠慮はいらんぞ!」
俺もお世話になったし、お互い様って気もするけど……。
なんて考えていると、
「それじゃ今日はハクトに感謝しつつ、遠慮なく質問させてもらおうかしら」
と、レイが武器を見回しながら言った。
「おう! なぁに、この店のドワーフにはとっておきの酒を渡しておいたからな。今頃は飲んだくれてるだろうし、今日は一日中いても大丈夫だぞ!」
……色々と大丈夫じゃない気もするけど、深くは考えないようにしよう。
というか、ドワーフといえばやっぱり酒なのね。
◇
「それで、これが俺のとっておきだ!」
レイが興味を示した武器の説明が粗方終わったところで、ヴェイグルが収納用の魔道具から一振りの刀を取り出した。
「こいつは、この国の東方に伝わる刀ってやつでな。昔、現地で作り方を習って以来ちょくちょく作っているんだが、こいつはここ最近では一番の出来だな!」
ヴェイグルは刀を抜くと、刃文《はもん》をこちらに見せてくれた。
「おお。これはすごいな……」
刀についての知識は全然ないけど、おだやかな波のような形をしている刀は、とても綺麗だった。
「これは確か、湾れ刃といったかしら。この刀、とても美しい刃文をしているわね」
「ほう。レイは刀についても知っていたか」
「ええ。そこまで詳しいわけじゃないけれど、何本か所有しているわ。……それと、もしかしてヴェイグルってかなりの腕の職人じゃないかしら? 人間界については詳しくなくて申し訳ないのだけれど」
「おう! この国でも一番の鍛冶職人だという自負があるぞ!」
あっ、そういえばレイにヴェイグルがどんな人か説明してなかったな。
「……私が言うのもあれだけれど、ハクトって不思議なくらいすごい人たちと巡り合っているわね」
「あはは……」
もう、笑うしかなかった。
……俺も、どうしてこうなったのか不思議だ。
◇
その後も、レイとヴェイグルがしている刀の話に耳を傾けたり、俺も疑問に思ったことを質問して会話に混ざったりした。
刀の話題が一段落し、
「そういえば、ハクトのいた世界にはどんな武器があるのかしら? 面白い武器とかは知っているの?」
レイが俺の世界にあった武器について質問してきた。
「あー。実際に存在した武器に関しては、名前と見た目くらいで、詳しくは知らないんだよな。物語に出てきた武器とかなら少しは説明できるんだが、完全に空想のものもあったりして、実際に存在したものかはわからないんだ」
その名前の剣は存在しているけど、実物とは全然違ったりするのとかもあるし。
……普通、剣とか扇子からビームは出ない。
「娘から聞いていたが、ハクトは異世界人だったな! その空想の武器というのは、どういったものだ? もしかしたらこの世界で再現できるかもしれん」
「……確かにそうね。まだ存在しない武器を作り出すというのは、とても楽しそうだと思うわ」
そういえば、この世界に兵器とかを持ち込むのは禁止だったけど、空想の武器は大丈夫だろうか?
まあ、そんなに強力そうな武器は教えないつもりだし、魔法で再現もできそうだから大丈夫だと思うけど。
……でも一応、ソフィアに確認しておこうかな?
「あー。実はな……」
兵器云々について簡単に説明しつつ、一度詳しい人に確認してみる、と言ってソフィアにリンフォンで連絡をしてみた。
すると、すぐに返信があり
『高火力な爆弾など、強力なものでなければ問題ありません。それと、もうすぐお昼ですので、飲食店で一度合流して確認しますか? お店はそちらの都合のよい場所で大丈夫ですので』
とのことだった。そういえばお腹空いたな。
二人に確認すると、お昼に行くのも合流するのも問題ないようだった。
ただ、二人とも食事よりも武器! みたいな雰囲気だったので、早めに食べれそうなお店が良さそうだ。
……そういえば、前に丁度いい店に行ったな。
そこを提案してみるか。
初日は水魔皇のレイだけど、武具が好きってことくらいで、そんなに知らないんだよな……。
一応、ホムラとのデートの時に、レイにおすすめな店を聞けたけどな。
デート中にそんなこと聞くなんて、って思うけど、むしろホムラから積極的に説明してくれた。
これが異世界ギャップというやつか?
他の行先に関しては、ベイラに頼ってみた。
父親が有名な鍛冶職人だし、この街でお店をやっているってことで、武具を扱うお店について知ってるかな? と、アオイと一緒に会った日に聞いてみた。
ベイラは、イズレから親父については聞いてるよな? と俺に確認した後で、
「魔皇が来るってんじゃ、親父の商品を卸してる店がいいと思うぜ。親父の弟子がやってる店で、お偉いさんもたまに来てるみたいだしな」
と、おすすめしてくれた。それに加え、あらかじめその旨を伝えてくれるみたいだった。
ちなみにその店は防具は扱わず、その弟子が作った武器や、ベイラの父親が作った武器をメインで扱ってるみたいだ。
それで、昨日は買い物ついでに、その結果を聞きに行ってみた。
◇
「おっ、いらっしゃい! 丁度よかった! ハクトに連絡しようと思ったんだが、リンフォンに登録してないのを忘れててな。アオイ経由で連絡しようかと思ってたところなんだ」
「おはよう、ベイラ。今日は、前にお願いしたことの結果を聞きに来たんだけど、連絡したいことって、もしかしてその件?」
「ああ、そうだぜ。実は、昨日その店に説明しに行ったんだが、丁度あたしの親父が納品に来ててな。その話を横で聞いてた親父が、俺が対応するって言ってきたんだ。魔皇相手に適当な説明はさせねぇ、って言ってな」
「そ、そうなのね」
というか、自分で納品しに来るんだな。
自分で対応したいって言うくらいだし、こだわりが強い職人なんだろう。
「で、朝からいるから、いつ来てくれてもいい、って言ってたぜ」
師匠が朝からいるって状況、弟子は居心地が悪そうな気が……。
それと店を出る前に、ベイラとは忘れずにリンフォンの魔力を交換しておいた。
◇
というわけで、今日も教会前で待ち合わせをしていると、
「おはよう、ハクト。待たせちゃったかしら?」
「いや、今来たところ」
なんて、デートで定番なやりとりをした。
「それで、今日は武具を扱っているお店に行きたいのだけれど、大丈夫かしら?」
デートっぽさ終了! うん、知ってた。
「扱っているのは武器のみだけど、事前に聞いておいた店があるんだ。そのお店で大丈夫なら行ってみるか?」
「もちろん大丈夫よ。準備してくれてありがとね。それじゃ、さっそく行きましょう」
ということで、ベイラの父親が待つであろう店に向かうことにした。
◇
ベイラに聞いた通りの道順で、武器屋であろう建物まで来た。
手前に店舗、奥に煙突のついた工房っぽい建物が見えるし、ここで大丈夫だろう。
「聞いたお店はここだな。……開いているみたいだし、入ってみようか」
「そうね。……どんな武器が見れるのかしら? 楽しみだわ」
扉を開け店内に入ると、そこには様々な武器が陳列されていた。
そしてカウンターにいたのが、
「おう、らっしゃい! 聞いていた通りの特徴だし、お前さんが娘の言っていたハクトでいいか?」
「えっと、あなたがベイラの父親ってことでいいのか?」
「ああ。俺は、ベイラの父親で鍛冶職人のヴェイグルだ。よろしくな!」
彼がベイラの父親のヴェイグルさんか。
確かにベイラに少し似ているな。
いや、ベイラが父親に似ているのか。
……というか、店員としてカウンターにいるんだ。
俺は挨拶しつつ、レイを紹介した。
レイは魔法を解除すると、
「今日はよろしく。ハクトに紹介された通り、私は水魔皇のレイよ」
「おう、その顔は前に見たことがあるぞ! 二人ともよく来たな!」
「ヴェイグルさん、今日はベイラのお願いを聞いてくれてありがとう」
「俺のことは気軽にヴェイグル、と呼んでくれ! 俺もその方が気楽にできるしな!」
「それじゃ、ヴェイグルって呼ばせてもらうよ。今日は、レイが色々な武器を見てみたいってことで、ベイラにこのお店を紹介してもらったんだ」
「おう、それも娘から聞いてるぞ! それじゃ、……っとその前に」
ヴェイグルは商談中と書かれた看板を持つと、店の外に持ち出して設置し、元の位置に戻ってきた。
……完全に人の店を貸切ってる状況になったけど、店の持ち主的には大丈夫なのだろうか?
「これで邪魔も入らないし、何でも聞いてくれ! なぁに。今日は世話になった娘の礼も兼ねてる、遠慮はいらんぞ!」
俺もお世話になったし、お互い様って気もするけど……。
なんて考えていると、
「それじゃ今日はハクトに感謝しつつ、遠慮なく質問させてもらおうかしら」
と、レイが武器を見回しながら言った。
「おう! なぁに、この店のドワーフにはとっておきの酒を渡しておいたからな。今頃は飲んだくれてるだろうし、今日は一日中いても大丈夫だぞ!」
……色々と大丈夫じゃない気もするけど、深くは考えないようにしよう。
というか、ドワーフといえばやっぱり酒なのね。
◇
「それで、これが俺のとっておきだ!」
レイが興味を示した武器の説明が粗方終わったところで、ヴェイグルが収納用の魔道具から一振りの刀を取り出した。
「こいつは、この国の東方に伝わる刀ってやつでな。昔、現地で作り方を習って以来ちょくちょく作っているんだが、こいつはここ最近では一番の出来だな!」
ヴェイグルは刀を抜くと、刃文《はもん》をこちらに見せてくれた。
「おお。これはすごいな……」
刀についての知識は全然ないけど、おだやかな波のような形をしている刀は、とても綺麗だった。
「これは確か、湾れ刃といったかしら。この刀、とても美しい刃文をしているわね」
「ほう。レイは刀についても知っていたか」
「ええ。そこまで詳しいわけじゃないけれど、何本か所有しているわ。……それと、もしかしてヴェイグルってかなりの腕の職人じゃないかしら? 人間界については詳しくなくて申し訳ないのだけれど」
「おう! この国でも一番の鍛冶職人だという自負があるぞ!」
あっ、そういえばレイにヴェイグルがどんな人か説明してなかったな。
「……私が言うのもあれだけれど、ハクトって不思議なくらいすごい人たちと巡り合っているわね」
「あはは……」
もう、笑うしかなかった。
……俺も、どうしてこうなったのか不思議だ。
◇
その後も、レイとヴェイグルがしている刀の話に耳を傾けたり、俺も疑問に思ったことを質問して会話に混ざったりした。
刀の話題が一段落し、
「そういえば、ハクトのいた世界にはどんな武器があるのかしら? 面白い武器とかは知っているの?」
レイが俺の世界にあった武器について質問してきた。
「あー。実際に存在した武器に関しては、名前と見た目くらいで、詳しくは知らないんだよな。物語に出てきた武器とかなら少しは説明できるんだが、完全に空想のものもあったりして、実際に存在したものかはわからないんだ」
その名前の剣は存在しているけど、実物とは全然違ったりするのとかもあるし。
……普通、剣とか扇子からビームは出ない。
「娘から聞いていたが、ハクトは異世界人だったな! その空想の武器というのは、どういったものだ? もしかしたらこの世界で再現できるかもしれん」
「……確かにそうね。まだ存在しない武器を作り出すというのは、とても楽しそうだと思うわ」
そういえば、この世界に兵器とかを持ち込むのは禁止だったけど、空想の武器は大丈夫だろうか?
まあ、そんなに強力そうな武器は教えないつもりだし、魔法で再現もできそうだから大丈夫だと思うけど。
……でも一応、ソフィアに確認しておこうかな?
「あー。実はな……」
兵器云々について簡単に説明しつつ、一度詳しい人に確認してみる、と言ってソフィアにリンフォンで連絡をしてみた。
すると、すぐに返信があり
『高火力な爆弾など、強力なものでなければ問題ありません。それと、もうすぐお昼ですので、飲食店で一度合流して確認しますか? お店はそちらの都合のよい場所で大丈夫ですので』
とのことだった。そういえばお腹空いたな。
二人に確認すると、お昼に行くのも合流するのも問題ないようだった。
ただ、二人とも食事よりも武器! みたいな雰囲気だったので、早めに食べれそうなお店が良さそうだ。
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