異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

文字の大きさ
48 / 161
第三章 要するに この章ほとんど デートかい

第46話 今日は異世界だから(?)酒が飲めるぞ!

しおりを挟む
 というわけでやってきたのがここ、丼物専門店だ。

 前に、イズレやアキナと一緒に来たお店だな。
 ……そして、ソフィアが伝道したレシピを伝えたお店だ。
 まあ、ソフィアが知っている店なのは合流がしやすくていいけどさ。

 さて、そのソフィアはいるかな、と探してみるとすぐに見つかったのだが、その横にはなぜかイズレがいた。

「ふむ、来たか。ここで食事を取ろうとしたが、見知った顔を見かけたので話しかけてな。ハクトと待ち合わせをしているとのことで、私も一緒に待たせてもらった。……む」

 このお店はイズレに案内してもらったし、その時に本人が行きつけのお店だってことだったから、今日もここで食事をとりに来たのだろう。

 そして、ヴェイグルの方を見て顔をしかめていた。
 ……ベイラを紹介してくれた時に、腐れ縁だって言っていたもんな。

 ソフィアは俺に挨拶した後、レイとヴェイグルの方を向き、

「ハクトさんから名前をうかがっています。ヴェイグルさんは初めまして、レイさんはお久しぶり、でしょうか。私はソフィアと言います」

「おう! よろしくな!」

「ホムラたちから、いろんな話を聞いているわ。よろしくね」

 とお互いに挨拶をしていた。一方で、気を取り直したイズレは俺に、

「……ふむ。ハクトは何故ヴェイグルと? 武器が必要にでもなったか?」

 と質問してきた。
 すると、それを聞いたレイが

「私が武具を好きだから、ハクトが今日のデートで準備してくれた結果ね。初めまして、私は水魔皇すいまこうのレイよ。今は街中だから、正体を隠しているわ」

 とイズレに話しかけた。イズレは目を丸くしつつ、

「私はイズレンウェ。ハクトたちからはイズレと呼ばれている。この街では人形の作成や販売をしている」

 と答えていた。
 魔皇ってことに驚いたのだろう。

 街に出るってことで、レイは認識を誤魔化す魔法をかけなおしていたからな。
 ソフィアは天使だから誤魔化されなかったみたいだけど。

 そのイズレはこちらに近づき、小さい声で

「……ハクト。先ほどデートと聞こえたが、どういうことだ? 他の魔皇と知り合いなのはともかく、これには驚いたぞ」

 見方によっては、他国の女王とお忍びデートしてる! なんて感じだし、そりゃ驚くか。
 ……というか、異世界で会ったほとんどの知り合いに、魔皇と知り合いなのは当たり前と思われていそうだ。

「あー。レイとはまだ知り合ったばかりで、デートっていうのはまあ、一緒に出掛けるくらいの意味合いだよ」

「……流石にそうか」

 流石にそうです。

「おう、イズレにハクト! そんなとこで話してないで、早く飯を食うぞ!」

 二人で話していたところヴェイグルにうながされたので、お店に入った。



 ということで、今回は牛丼にトッピングで卵を頼んだ。
 ……そういえば、異世界に飼育した牛や豚とかはいるのだろうか?
 そしてこの卵は一体……。

 よくあるパターンだと、オークとか、なんちゃらブルみたいな名前の魔物の肉だったり、魔物の卵だったりするかな?
 まあ、ここは異世界だ。虫じゃないなら気にしないでおこう、うん。

 というか前も来たけど、このお店はメニューの種類が豊富なのに、本当に提供が早いな。
 流石に生の海鮮丼はないけど、メニュー的に肉に魚、野菜と様々な食材を使っているな。
 何か企業秘密でもあるのだろうか?

 ……もしかしたら、ベイラの作っている魔道具、自動調理器に役立つ何かがあるかも?
 もう知っているかもだけど、後で教えてみよう。



 イズレとヴェイグルは食事の後で

「お前はいつハクトと知り合ったんだ?」

「ふむ。私の店でハクトが人形を興味深そうに見ていたのでな。店で詳しく話を聞こうと誘ったのだ」

「お前の事だ。誘ったというより強引に店に入れたんじゃないか? それにしても、あの変わった人形をねぇ。まあ、細部までのこだわりはすごかったがな」

「そういうお前の作る武器は、質はいいが見た目は武骨なものばかりではないか。腕はいいんだ。もう少し装飾や見た目にこだわった物も作ってみてはどうだ?」

「前にも言ったが、武器ってのは飾るもんじゃなく使うもんだ。それに、見た目を気にしすぎて、持ち主が怪我でもしたら意味がないからな」

 みたいな感じで会話していた。
 ……腐れ縁とか言っていたけど、職人としてのこだわりの方向性が違うだけで、実は仲良しなんじゃないだろうか?

 一方俺とレイの方は、ソフィアに武器の話に関して質問していた。結論としては、魔法を利用したものであれば大丈夫ということになった。
 関わる人間が魔皇や信頼のおける鍛冶職人であることと、この世界には強力な魔法を使える人間族や魔族が存在するため、魔法に対する対策は色々あるからだそうだ。

 それと、ソフィアはテイクアウトで丼物を一つ購入していた。
 メイさん用です、と言っていたので今日もメイが来ているんだろうな。

 そして食事と会計(人数が多いので各自)が終わり、それぞれが元の場所に帰っていった。



 というわけでヴェイグルの店、じゃなかった、その弟子の店に帰ってきた。

「おう! それじゃ、異世界で空想された武器っていうのを教えてもらおうか!」

「こんな時のために、丁度いい魔道具を持っているわ。話を聞いて、気になった武具のイメージを共有するのによく使ってるわね」

 と、レイが収納の魔法で取り出したのはイメージを共有する魔道具毎度お世話なっているやつだった。
 ……アオイの発明品だし、魔皇みんなが持ってたりしてな。

  異世界ということで、魔法が付与された剣や槍、魔法を撃ち出す魔道銃等のイメージを、何種類か二人に共有してみた。

「魔道銃というのは、どちらかというと魔道具の分野だな。これも面白いが、魔法が付与された武器というのが面白い!」

「どちらも興味深いわね。……でも、武器に魔法をまとわせるのは難しいかもしれないわね。昔、実際に武器に対してやってみたけれど、うまくいかなかったわ」

 あ、やったことあるんだな。
 ……レイって、最初はクールな印象だったけど、結構遊び心があるみたいだ。

「それで、ちょっと提案したいことがあるんだ。前に、魔石を使うことで地属性以外のゴーレムを作成できたんだけど、それを応用できないかなって。レイは前にやったことがあるよね?」

「ええ。……つまり、武器に魔石を埋め込むことで魔法をまとわわせられないか、ってことね?」

「そういうこと」

 実際にやってみないとだけど、結構いい方法なんじゃないかと思う。

「ふぅむ、なるほどな。だが、魔石ということは消耗品だろう? 戦闘中に魔石が無くなって効果がなくなる、というのは避けたいぜ。それに、使っている内に魔石が小さくなると重量が変わるっていうのも問題だ。重心も変わってしまうしな」

 なるほどな。
 実際に使った時の懸念点を挙げてくれるのはありがたい。
 当たり前だけど、流石は鍛冶職人ってところだな。

 それにしても、魔石が無くなる問題か……。
 うーん。

「いっそのこと、武器を魔道具化してしまうとか? 正確には、属性のゴーレムを維持する魔法を魔法陣化してどこかに刻む、とかになるのかな?」

「ほう! それはいいかもしれん! 魔道具の武器は考えられたことはあるんだが、耐久性が問題でな。一応あるにはあるが、俺としちゃあ実用的とは全く言えんな」

「いいかもしれないわね。魔法陣と言えば地魔皇のアオイかしら? アイディアがまとまった後で相談してみましょうか」

「それと、魔道具といえば娘のベイラだな! ……ああ、だが、娘にお願いしても良いのだろうか? 娘は、俺の名前とは関係なく魔道具の腕を評価されたいようだしな」

 そう言っていたな。
 うーん、何かいい方法はないか……。

「ベイラとアオイは一緒に魔道具を作ったことがあるんだけど、例えばアオイからベイラに協力をお願いしてもらう、って形はどうかな?」

「おおっ、それはいい方法かもしれん! ……そうと決まれば、アイディアを詰めていかないとな!」

 ということで、三人で様々なアイディアを出したり、問題点を指摘したりと、夜まで話し合った。



「あら? すっかり暗くなってしまったわね」

「そうだな。しかし、そのおかげでいいものができそうだ! ……よし! 今日は祝いに飲むとしようか!」

「いいわね! ハクト、どこかいいお店は知ってる? それと、ハクトは飲めるかしら?」

 ……ああ、この展開になったか。
 ホムラから、レイはお酒が好きって聞いていたし、それに加えてドワーフがお酒好きだった。
 だから、薄々こうなるんじゃないかって思ったんだ。
 一応、ホムラにおすすめの店を教えてもらったけどさ。

「あー。行った事はないけど、一応良さそうなお店は知ってるかな。お酒は、一応飲めるけど、そんなに強いってわけじゃないかな」

「それなら、そのお店で皆で乾杯しましょうか」

「おう、そうだな! ハクト、さっそく案内してくれ!」

 ということで、三人でそのお店に向かうことになった。

 異世界のお酒、果実酒やワインを数杯頼んでみたけど、かなりおいしかった。
 料理はこのお酒にはこの料理! みたいな説明が書いてあったんだが、実際に試してみるとこれが正解! って組み合わせなんだよな。

 お酒も料理もおいしくて、今日も大満足で終わった。

 それと、誰かが泥酔でいすいしてしまうんじゃないか、なんて心配したけど、皆ほろ酔いって感じで終わったのでよかった。
 皆、年齢も上だろうしな。特にレイ……、いえ、なんでもないです。

 ちなみに、レイからは念のためってことで、二日酔いを治す魔法を教えてもらった。

 え? 酔いをます魔法は無いのかって?
 聞いてみたけど、それを醒ますのはもったいない! だってさ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

処理中です...