異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第三章 要するに この章ほとんど デートかい

第47話 すごろくのおじいちゃん、ではなかった

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 うーむ。
 二日酔いってほどじゃないけど、若干身体からだが重いな。
 ……昨日のお酒と料理がおいしかったからか、すこし飲みすぎちゃったかも。

 よし。昨日レイに教わった魔法をさっそく試してみるか。
 確か、へその右上辺りに手を当てて、その辺りによくなれー! って感じで魔力を流すんだったな。
 ……ホムラと違って、かなりざっくりとした教え方だったな。

 あれ? そういえば、この辺りって肝臓がある場所とかだっけ?
 肝臓の働きがよくなれー! って感じでやってみるか。

 ……うん、段々と身体が楽になってきた。
 ただ、魔法を使ったためか、肝臓が頑張ったからか、喉が渇いたし、お腹も空いたな。
 あまり多用するのはあれだろうけど、いざというときには便利そうだ。



 ちょっと多めに朝食を食べた後、教会の前に向かった。
 
 今日はハヤテの番だったよな。

 予定は全部ボクに任せて~、なんて言っていたけど、今日はどうなることやら。
 楽しみなような不安なようなで、ちょっと複雑な感じだ。

 ……なんて、十分くらい前に考えていたけど、ハヤテがまだ来ない。
 朝食を多く食べた分、集合時間ちょうどくらいに来たはずなのにな。

 周りを見渡してもハヤテらしき人影は見えず、いるのは茶髪で短髪の少女がいるくらいだ。
 
 ……ん? あの少女、よく見ると魔力をまとっている?
 しかも、顔がハヤテに似ている気も……。
 
 いや、まさかな。
 髪の色が違うだけじゃなくて、身長もハヤテより少し大きい気がするし。

 なんて考えていると、その少女がこちらに近づいてきて

「おはよ~、ハクト。ボクはハヤテだよ! どう? びっくしした?」

 と話しかけてきた。
 まさかのまさかだった!

「あ、ああ。似てるかな、とは思ったけど、まさか本人だとは思わなかったよ。おはよう、ハヤテ」

「ふふふ~。実はね、この姿でたまに街を歩いてるんだ~。認識を誤魔化す魔法だと、顔を覚えてもらえないからね!」

 ああ、そっか。
 そもそも認識を誤魔化してるってことは、顔を覚えてもらえることができないのか。

 ……それはちょっと寂しいかもな。

「それは魔法、でいいんだよね? ちょっとやり方とかが気になるかも」

 思っていた異世界転移とは全然違ったし、今の所は変に目立つみたいなのはないけど、そうなった時の対策があると便利そうだからな。
 それに、見た目を変えられるってちょっと面白そうだ。

「前にゴブリンについて、魔力が枯渇すると見た目が変わるって説明したよね? ボクも魔族だし、もしかして魔力を使って見た目を変えられるかも? って思って色々試してみたんだ! それでね、時間はかかったけど、こうして見た目を少し変えられるようになったんだよ!」

「おー! それはすごそうだ。でも、それなら俺には使えなさそうか」

「そうかもね~。でも、ハクトは魔力がすごいから、無理やり頑張ればできるかもよ?」

「……ちょっと怖いし、やめておくよ」

 もしも失敗すると、やばいことになりそうだしな。
 多分。

「それで、今日はどんな予定なの?」

「実はね、ハクトに合わせたい人がいるんだ~。今日は、近くの公園にいるはずだよ!」

「会う約束をしているわけじゃないのか。なら、クジ引きで順番が今日になってよかったな」

 それを聞いたハヤテは、いたずらっ子のような表情をすると、

「実はクジに細工をしてて、絶対に今日になるようにしたんだ~」

 そういえばハヤテがクジで決めよう! って提案したのも、クジを用意したのもハヤテだっけ。
 会いたい人がいるからこの日がいい! って言えばそれでよかったのに、なんでわざわざそんな手間を。

 ……うーん。まあいっか。

「それでね。その人は色々なおもちゃを作ってるんだ。それで、公園に来ている人たちにそのおもちゃで遊んでもらって、感想を聞いているんだよ。いつものパターンなら、今日は午前中に公園に来てるんだよ!」

「なるほど。それで、ハヤテはその人と、そのおもちゃを目当てに公園によく行ってる、って感じかな?」

「そういうこと~。というわけで、さっそく行こうよ!」

 とのことで、ハヤテに案内されながら公園に向かった。



 公園にある広場のような場所に行くと、その一角に人が集まっているようだった。
 年齢層は子供から大人まで、人数は20人くらいだろうか。

 そしてその中心には、俺より少し年下くらいの、活発そうな少女がいた。
 もしかして、あの少女がハヤテの言っていた人なのか?

「あっ、やっぱりいた! ハクト、早く見に行こう!」

 そうみたいだ。
 ……おじいさんとかが趣味で作ったおもちゃを子供とかに遊ばせている、みたいなイメージだったけど、なんだか全然違ったな。

 その集団に近づいてみると、

「それじゃ、次はこれかな? じゃーん! 人生双六すごろくの新作、冒険者版だよ!」

 と、その少女が収納の魔道具から何かを取り出したようだ。
 ……人生双六って、もしかして元ネタはあれか?

 そして周りの人たちはそれを興味深そうに見たり、やりたーい! なんていう子供たちの声が聞こえたりした。

「うんうん。そういう反応をしてくれると、作ったかいがあるよ! それじゃ、そこの子供たち4人でやってもらえるかな?」

 それを聞いた子供たち、は元気よくはーい、とか、やったーと返事をしていた。
 彼女は嬉しそうにしながら、何かシートのようなものを地面に敷くと、その上に双六の準備をぱぱっと済ませた。

 その上に子供たちが上がると、彼女が説明をしつつ双六が開始された。



「そろそろお昼も近いね。今日はこれくらいかな? みんな、遊んでくれたり、見学してくれてありがとね! それで、何か感想はあるかな?」 

 双六が終わると、そろそろ昼の時間と言うことで今日は終わりみたいだ。

 感想を聞くと、子供たちからは、楽しかったー、くやしー、またやりたいー、なんて言葉が飛び出していた。
 見学していた人たちも、冒険者の気分が体験ができそう、みたいな感じで、色々な感想が出てきた。

「この双六はまだ試作段階だけど、その前に見せた物は今井商会のお店でそろそろ売り出されると思うよ! みんな、よかったら買ってね!」

 と、ちゃっかり宣伝をしてしていた。

 それにしても、あの人生双六は面白そうだったな。

 サイコロを振って止まったマス目に従うのは普通の双六だったが、新しい技術や魔法を覚える、仲間が増える、などによってプレイヤーが強くなる要素もあった。
 そして、サイコロを振った後は魔物を退治するパートになって、そこでは魔物を倒してお金を得たり、武器や防具を買う、みたいなTRPGの要素もあった。
 マス目には、病気になったので今回の魔物退治を飛ばす、とか、市場が変動した、次の魔物退治での報酬が倍になる、みたいなものもあって、結構面白そうだった。

 ……もし販売されたら、買っちゃおうかな?

「今日のも面白そうだったね~。販売されたら皆で遊んでみたいな~!」

 ハヤテも同じような感想だったみたいだな。
 


 ハヤテと双六の感想を言い合っていたら、双六の片付けが終わったみたいだ。
 それを見て、ハヤテがその少女に声をかけた。

「こんにちは~。今日は途中で来たから双六しか見れなかったけど、楽しそうだったよ!」

「こんにちは! 今日も来てくれたんだね? 楽しんでくれたみたいでよかった!」

「うん! それとね、今日は紹介したい人を連れて来たんだ~」

 と、ハヤテが俺の手を引っ張って横に連れて来た。

「この人はハクトって言うんだけどね、実は……異世界から来たんだよ!」

 おおう。初対面の人にすごい紹介をされてしまった。
 ……どうしよう。

「あー、えっと。ハヤテが言った通り、俺の名前はハクト、よろしくな。……それで、えっと、異世界人ていうのは……」

「あははっ! ハヤテちゃんのいつもの冗談でしょ? 私はユズって名前だよ。よろしく! それで、ちょっと聞きたいんだけど、もしかして君がハヤテって名前を考えたのかな?」

「そうだけど、どうして?」

 ハヤテが説明したんだろうか?
 というか、俺が名前を考える前はどうしていたんだろう?
 
「ハヤテちゃんが初めて誰かと来たのと、この前会った時に、急にボクの名前はハヤテだよ! って言ってきたからかな? それまでは名前は秘密! って教えてくれなかったんだよね。自分で考えたとしたら今更って気もするし、もしかして、ってね」

 ……そもそも名前を名乗っていなかったのね。
 そしてユズは中々鋭い。
 多分だけど、ハヤテとの付き合いはそこそこ長いんだろうな。

「そ、それはともかく! そろそろお昼だし、三人でどこかご飯を食べに行かない? お互いの詳しい話はそこでしようよ! ユズは、この後の予定は大丈夫~?」

 ハヤテが露骨ろこつに話をずらしたな。
 まあ、どこかで座って話をしたいのも確かだ。
 面白かったけど、結構長い間立ち見だったからな。

「うん、お昼は大丈夫! ただ、急ぎじゃないけど、午後からはちょっと作業をしたいな」

「わかった! それじゃ、ゆっくり座って話せるお店に案内するよ~」

 という感じで、三人でハヤテおすすめのお店に行くことになった。
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