異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第四章 伝承の おもちゃとちゃちゃっと パーティを

第61話 遠足前日症候群、かな? かな?

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 とりあえず用も済んだし、一度泊っている部屋に戻ろうかと思ったら、ホムラとレイに呼び止められた。

 そろそろ消耗品とかを買いに行こうと思ったんだけど、どうしようか。
 ……まあ、午後でもいいか。

 ホムラとレイからは漫画の解説を色々頼まれたり、三人で新しい魔法や武具を一緒に考えたりした。
 一緒に考えていたら途中から俺も夢中になってしまい、気づけば買い物に行くのを忘れていた。

 ……うん、買い物は明日行くことにしよう。


 
 次の日、ハヤテから連絡があった。

 ユズが魔道具をリンフォンに変えたことと、パーティに参加することを報告してきたとのことだった。
 ただ、リンフォンを買ってもらったのがあまりに嬉しかったのか、ユズはその日起きたちょっとしたことを、その都度ハヤテに報告したみたいだ。
 ハヤテは、リンフォンが何度も鳴ってうるさかったよ~、とちょっとうんざりした感じだった。

 ……ハヤテがうんざりする方になるとはな。

 それで、明日はハヤテとユズで一緒に行くことにしたらしいのだが、魔皇まこうであるハヤテはいつも魔界から王城へ転移していたらしい。
 そのため、明日の案内役は俺にお願いしたい、という内容だった。

 ちなみに、ユズには開催場所はちゃんと秘密にしておいたよ~、とのことだ。
 ……流石、ハヤテはわかっているな。



 そしてついに、パーティの日が来た。
 あ、買い物はきちんと昨日済ませておいたぞ。

 集合場所は、完全に定番になっている教会前だ。
 今日は俺、ハヤテ、ユズに加え、ソフィアとモニカも一緒に行く予定だ。

 早めに待っていると、まずはモニカが来た。
 今日の格好は白いワンピース姿で、いつも見慣れたシスター服とは違って新鮮に感じるな。

「おはようございます、ハクトさん。今日は楽しみですね」

「おはよう、モニカ。今日はお仕事じゃないんだし、普通に話してもいいんじゃないか?」

 この世界では翻訳ほんやくの魔法があるのだが、相手の言語によっては敬語けいごとかが上手く訳せないことがあるらしい。
 そのため、日常会話ではあまり使われなくなったって、前にモニカから教わったな。

 口癖で使う人もいるようだから、使っても変な顔はされないだろうけど。

「あ、いえ。いつも敬語で話しているためか、元に戻すと違和感がありまして……」

 いわゆる職業病ってやつかな?

「なるほどな。……でも、敬語で話さないモニカっていうのも、たまには見てみたいかも」

「……話す姿を想像してみましたが、ちょっと恥ずかしいですね」

 なんて話していると

「お二人とも、おはようございます。……ハクトさん、ナンパはいいのですが、セクハラはだめですよ?」

「どっちも違う! それに、ナンパも良くないと思うけど。……え、もしかしてこれってセクハラじゃないよね?」

 最近は、色々と問題になっているみだいだからなぁ。
 ……って、ここ異世界だった。

「自分が話す姿を想像したら恥ずかしくなってしまっただけで、大丈夫ですよ」

「姿とは――」

「敬語を話す姿、な」

 ソフィアが何か変な事を言う前に補足しておいた。

 というか、セクハラって言葉が通じるってことは、こっちにも同じ意味の言葉があるんだな。
 ……年齢の話とかをしないよう、より気を付けたほうがいいのかな?

「そうでしたか。失礼いたしました」

「皆おはよ~! 今日は楽しみだね~」

 ソフィアといつものあれなやりとりをしていると、ハヤテが変化後の姿でやってきた。

「あ、モニカはこの姿では初めましてだね。ボクはハヤテだよ~。魔法でこの姿に変身してるんだ!」

「そうなのですね。……姿を変えられるなんて、流石は魔皇ですね」

「ふっふっふ~。魔皇の中でも、ボクにしかできない魔法なんだよ~。……多分」

 あ、最後にちょっと自信がなくなってる。

 ……皆、わざわざやらないだけで、やろうと思えばできたりしてな。
 特にヒカリとか。

「後はユズだけかな~? そろそろ集合時間になると思うんだけど」

 ユズが来たら、モニカとソフィアを紹介しないとな。
 ……ユズとソフィア、話したらどんな感じになるのだろうか。



 それから十五分ほど雑談をして待っていたが、一向いっこうにユズが現れなかった。
 まだパーティの時間までには着けそうだけど、少し早めに行っておきたいからな。
 ……主に、びっくりするユズのために。

「う~ん。昨日あんなに楽しそうにしていたし、絶対に来ると思うんだけどな~」

「途中で何かあったのかな? リンフォンで連絡してもいいけど、ユズの家までの道はわかるし、皆で迎えに行こうか」

「ハクトさん。そのユズさんという方とは、恋人同士なのですね」

「え、そうなのですか?」

「いやいやいや! ユズのおじいさんがおもちゃ屋をやってて、ユズの家がその隣にあるってだけだって! この前アキナと一緒にお店に行ったんだよ。……それより、はやくユズの家に行こうか」

「それなら、ボクは姿を消して空から探してみるよ~。……それにしても、ハクトとユズが恋人か~。もしそうなったら、色々と楽しそうかもね~」

 ……楽しいのはハヤテだろうな。
 主にいたずらで。



「あっ! ユズを見つけたよ~。急いで家を出てきたのか、髪がぼさぼさだったよ~」

 空を飛んでいたハヤテがユズを見つけ、こちらに降りて来た。
 ほどなくして、ユズが息を切らしながら走って来た。

「あ! ハクト、に、ハヤテ、ちゃん!」

 ユズは一度立ち止まり、呼吸を整えると

「えっと、その……。まずは皆さん、遅刻してごめんなさい。それと、こっちまで来てくれてありがとう」

 と皆に謝っていた。

「まあ、無事ならよかったけど、なんで遅れたのか聞いていいか?」

「あー、そのね、えっと。昨晩は楽しみで全然眠れなくてー……」

 ……遠足前の子供状態だった!
 さて、なんて言おうかと考えていると

「わかります。私も、本日のパーティが楽しみで眠りませんでしたので」

 眠れない、じゃなくて眠りませんでしたなのね。
 まあそもそも、ソフィアは眠らなくても大丈夫な存在だからな。

「そうだよね! ……あ、まずは自己紹介しないとだった! 私の名前はユズ。おじいちゃんがおもちゃ屋をやっていて、私もそれを手伝ってるんだ! それでね――」

「あー、詳しい自己紹介は会場でしないか? まだ時間に余裕はあるけど、少し早めに着いておきたいからな。ユズを知らない人もいるし、そこで改めて自己紹介するのはどうだ?」

「あっ、そうだね! とりあえず、二人の名前だけ聞いてもいいかな?」

「モニカです。ユズさん、よろしくお願いしますね」

「ソフィアと言います。ユズさん、髪が少々乱れていますので、魔法で整えましょうか?」

「え、そんなことができるの!? それじゃお願い! 焦って出てきたから、鏡とか全然見てなかったよー」

 許可をもらったソフィアは、ユズの髪に魔法を使った。
 すると、みるみる髪が落ち着いていき、前にみたユズの髪型に戻った。

「ありがとー! ソフィアは魔法が得意なんだね!」

「どういたしまして。魔法は便利ですので、服についた食べ物の染みを取る魔法など、色々と覚えています」

「へー! ソフィアはすごいね! それじゃ、ソフィアにモニカ、よろしくね! ……あっ! さっき眠れなかったって言っていたけど、ソフィアもやっぱりシュートケーキが楽しみなの?」

「そうですね。前に一度食べる機会があったのですが、とてもおいしかったので」

「そうなの!? いいなー!」

 ……ユズは、ソフィアと普通に話しているな。
 って、そんな場合じゃなかった!

「そろそろ転移門に向わないと、到着がギリギリになりそうかも」 

「あっ、そうだった! 急がないと!」

「それならボクにお任せだよ~。転移門のある広場まで、皆を転移するからね~。それじゃ皆、ちょっと近づいてね~」

 ハヤテの指示に従い皆で集まると、ハヤテが転移魔法を使った。

 ……いくらするかわからないけど、転移の魔道具、やっぱり欲しくなるな。
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