異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第四章 伝承の おもちゃとちゃちゃっと パーティを

第62話 時間だよ! 全員集合

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 さて、ハヤテの転移魔法で移動したのだが、

「あれ? ここってもしかして、王都にある広場か?」

 到着したのは、二回ほど来たことのある、王都の転移門前にある広場だった。

 てっきり、近くにある広場に転移するものだと思っていたけど、どうせそこから王都に移動するんだし、その方がいいな。

「そうだよ~。どうせ転移するなら、王都まで行った方がいいもんね~」

「あの街から王都までかなりの距離があったと思うのですが……。それに人数も5人ですし、かなりの魔力が必要な気がします。やっぱり、魔皇まこうというのはすごいですね」

 モニカは魔皇の魔力量に驚いているみたいだ。
 ……俺の魔力量は秘密にしておこう。

「ふふ~ん。もっと褒めてくれてもいいんだよ~」

「ハヤテちゃん、すごーい! 一家に一人、ハヤテちゃんがいると便利だね!」

「……それ、なんだか褒められてない気がするよ~。ボクは魔道具じゃないんだからね!」

「あはは、ごめんごめん! ……でもやっぱり、ハヤテちゃんは一人でいいかな? だって、ハヤテちゃんがいっぱいだと、結託けったくしてすごいいたずらをしそうもんね!」

 ……ハヤテがいっぱいか。
 にぎやかってレベルをとうに超えた状況になりそうだ。

「まあまあ二人とも。はしゃぐのは会場についてからにしようか」

「あっ、そうだった! 早く会場に行かないと! ハクト、早く受付しに行こう!」

 ハヤテは早くユズを驚かせたいと思ったのか、自分の事を棚に上げてこっちをかし始めたな。

 ハヤテにうながされつつ受付にエンブレムを見せると、今回は俺の顔を覚えてくれていたようで、普通に丁寧な対応をしてくれた。
 ……いや、こんな丁寧な対応をされる事自体、普通じゃないはずなんだけどな。

 全員で案内された建物に入ると、前回と同じく兵士の人が対応してくれた。

「ねえ、ハヤテちゃん。さっきからハクトに対する対応がすごい丁寧なんだけど、どういうことなの? それに、あの人のってこの国の兵士さんだよね?」

「……流石に気づいちゃったか~。実はね、ハクトってすごい重要人物なんだよ~。それでね、今回行く場所もハクトのおかげで使える場所なんだよ~」

「確かに、異世界から来たっていうのは珍しいけど、リンフォンを持ってるし、ハヤテちゃんともアキナとも知り合いだし……。え、もしかして本当に? ええー!」

 ……確かに、事実だけを並べると普通の人じゃなさそうだけど、ちゃうんです。
 あれ、というか?

「それを言ったら、ユズだって同じ状況じゃない? リンフォンも、ハヤテとアキナも。しかも、俺と違って異世界から来たってわけでもないしな」

「え? あれ? 確かにそうだね。……あれー?」

「あ、あの、兵士の方を待たせていますし、先に転移門を通りませんか?」

 あ、そうだった。
 兵士の人に謝りつつ、皆で転移門を通った。



 門を通った先は、前回と同じ豪華な造りの玄関ホールだった。

「うーん。あれ? でも、私がアキナと出合ったのはハクトが原因だし、リンフォンもアキナと出会わなかったら……」

 ユズはまだ、色々考えているみたいだな。
 横で、ハヤテが少し姿を変えたのにも気づいていなさそうだしな。

 あ、ハヤテが残念そうにしながら元の姿に戻った。

 ……うーん、そろそろネタバラシするか?
 ここまで来たら帰る、とは言わないだろうし、心の準備を整えてもらう必要もあるだろうしな。
 
 なんて俺が考えている間も、ユズはそのまま前に歩いていたみたいで、段々と豪華な扉に近づいていた。
 ……ぶつかる前に止めないとだな。

 なんて思っていたら、
 
「よく来たのですわ! ってあら? 何か考え込んでいるみたいですが、どうなさったのですわ?」

 扉からクレアが顔を出した。
 そういえば、前回もこんな感じでクレアが登場した気がする。

「……ふえ? あ、気づいたらもう転移門を通っていたんだ。えっと、私は今日のパーティに参加する……、って、あれ? どこかで見たことがあるような……」

 あ、ユズが固まった。

「も、もしかして第二王女様!? なんでここに、じゃない、えっと、その……」

 あ、出会いが急すぎて気絶しそうになってる。

 ……いや、流石に気絶させるつもりはなかったんです。
 なんて心の中で釈明しゃくめいしていたら、

「失礼します」

 と、メアリさんがユズに駆け寄り、何かの魔法を使った。

「……あ、あれ? えっと、メイドさん?」

 流石はメイドであるメアリさんだ。
 ユズが気絶しそうになっても、すぐに対処しているな。

「いらっしゃいませ、お客様。少々混乱しているようでしたので、魔法を使わせていただきました」

「え、えっと、ありがとうございます? ……ってそうだ! さっき王女様がいた気がしたんだけど……」

わたくしのことですわ?」

「ほ、本当にいらっしゃった……。あ、あの、少々失礼します」

 そう言うと、ユズはハヤテに突撃した。

「ハヤテちゃん! どうして王女様が来るって教えてくれなかったの!? すっごいびっくりしたんだから!」

「だって、教えたら面白く、じゃなかっった。ユズが遠慮して、来なくなりそうだと思ったんだもん~」

「た、確かに、来るのは躊躇ちゅうちょしたかもしれないけど……。ん? そもそも私を誘ったのはハクトとアキナじゃなかったっけ?」

 あ、ばれた。

 ユズはこちらに向き直ると、

「ハクトもひどいよー! 美味しい物で釣るなんて! 後でアキナにも文句を言わないと!」

 なんて言っていた。

「黙っていたのは悪かった。本当は、そろそろ教えようかと思っていたんだ。それに、ユズに会わせたい人たちが他にも来るから、なるべく参加してほしかったんだ」

「……その人たちも、すごい人だったりしないよね?」

「……残念ながら」

「え? 残念て、どっち? 本当にすごい人が来てるの?」

「ハヤテとすごく仲が良い人たち、かな?」

「ハヤテちゃんの? だったら安心だね!」

 あれ?
 魔皇の方は、ハヤテの知り合いだから平気ってことかな?

「……ユズ? もしかして、ボクがどういった立場か忘れてない?」

「え? ハヤテちゃんの立場? ……あ! それって、魔皇ってことじゃん! ええー!」

 違った。
 ……まあ、ユズが変にハヤテを意識していないことがわかってよかった、ってことにしておこう。

 続けてハヤテが何か言おうとしていたが、

「皆様。パーティまでまだ時間がありますので、しばらくは別室でおくつろぎいただけたらと思います」

 と、メアリさんが皆に話しかけた。

 また話が長くなりそうだったし、いいタイミングだ。
 流石だな。



 ということで、前回来た時と同じ部屋に案内された。

 一方でクレアは、

「こちらにいますと、誰かが来た時にわからないのですわ。なので、少しの間失礼するのですわ」

 と言い、退室していった。

 ユズがいるし、気を使ってくれたのかな?
 と思ったらすぐに戻って来て、

「他の方も来られみたいなのですわ! それと、会場の準備も整ったのでそちらに案内するのですわ!」

 と、とても嬉しそうに言っていた。

 ……あ、気を使ったんじゃなくて、皆が早く揃わないかうずうずしていた、ってだけだこれ。

 部屋にいた皆でパーティ会場に移動すると、ほどなくして全員が揃った。
 
 すると、すぐにクレアが口を開いた。

「皆さん。今日は、魔道具完成を祝うパーティに参加していただいて感謝なのですわ! まずは初めましての方もいると思いますので、自己紹介からするのですわ! それと、わたくしのことはぜひ、クレア、と名前で呼んでいただきたいのですわ!」 

 ということで、皆でそれぞれ自己紹介をすることにした。

 今日集まったメンバーは、まずは俺と一緒に来たソフィア、モニカ、ハヤテ、ユズ。
 ハヤテ以外の魔皇がアオイ、ホムラ、メイ。
 後はアキナ、イズレ、ベイラ、主催者であるクレアとそのメイドのメアリさん、だな。
 それと、多分後でパティオさんも来るだろうな。

 こう見ると、かなりすごいメンバーが集まったな。
 しかも、俺は全員と知り合いなんだよなぁ。

 ……ちなみに、全員が全員俺の事は知っているということで、俺の番は飛ばされることになった。
 理由はわかるんだけど、なんとなく釈然しゃくぜんとしないなぁ。
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