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第五章 切望を 叶えた者と 挑む者
第75話 おひろめ
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次の日、予定のより少し早く教会の前に行くと、そこには既にホムラが来ていた。
……って、迎えに行くって言っていたのに、来るのはアオイじゃないのね。
「よう、ハクト。元気そうでよかったぜ! それじゃ、さっそく城に行くか!」
と、何故ホムラが迎えに来たかも聞けないまま、いつものごとく転移された。
◇
転移した先は前回来たソファが置いてある部屋、ではあるのだが、椅子の配置が違っていた。
全ての椅子の正面が正面に置かれた物体に向くよう、扇形に配置されていた。
アオイはそこで、何かの確認をしているみたいだった。
……あれが、アオイの言っていた魔道具だろうか?
そして、そのお披露目でもするって感じかな?
それと、この部屋にはヒカリを含めた魔皇全員が集合していた。
とりあえず、アオイが何をしているのか聞きに行ってみるか。
「やあハクト君。ちょっと準備に手間取ってね。すまないけど、迎えに行くのをホムラに代わってもらったんだ」
「おはよう、アオイ。それは構わないけど、準備っていうのはなんだ? やっぱり魔道具か?」
「もちろんそうだよ。この前試作品が完成したやつだね。ホムラが代わってくれたおかげで、既に準備はできているよ」
「おっ、それは楽しみだな。あ、それと他の皆もおはよう。今日はヒカリも集まれたんだな」
前回は代理を頼んだけど、結局はヒカリが解決することになっちゃったんだよな。
今回も代理を頼んでる、って感じだろうか。
それなら、今日も途中で離脱することになっちゃうかもしれないのか。
「アオイちゃんのおかげで、今日は集まることができたの。それと、今日は問題が起きても席を外すことなく解決できそうです。完全に解決した、ってわけじゃないのだけれど、アオイちゃんが作った魔道具の―」
「―おっと。その説明はちょっと待って欲しいかな。まずは、何も知らない状態で魔道具を見てもらいたいからね」
「あっ、そうだったわ。……それじゃあ魔道具の説明が終わってから、改めてお話ししますね」
◇
他の皆とも軽く話をしつつ、まずは魔道具のお披露目となった。
それと、今日は何の目的で集まったのか聞いてみたんだけど、アオイから、まずは魔道具に集中して欲しいから秘密、と言われてしまった。
ちなみに、俺の席は一番前の真正面だった。
目の前には魔道具が置いてあり、そばにはアオイが早く見せたそうにうずうずしながら立っていた。
ちなみに、他の皆はアオイの工房で既に見たそうだ。
そして、色々と説明をされたり、意見を求められたりした、とのことだった。
……もしかして、それがあったから昨日は落ち着いていたのかな?
「それじゃあ、さっそく魔道具を起動してみようか」
そう言いながら、アオイは魔道具を操作した。
すると、正面にある壁にカッコつけたハヤテの姿が投影された。
「おお! 壁に写すタイプの魔道具を作ったんだな」
魔道具でプロジェクターを再現したのか。
確か、アオイにはプロジェクターのイメージは共有してなかったはずだ。
それなのに、俺の世界にあったものを再現するとは、流石はアオイだ。
それと、なんで写っているのがハヤテなんだろう。
……ハヤテが何か企んでいる気がする。
あえてスルーしておこう。
「その反応を見ると、もしかしてハクト君のいた世界には似たような物があったのかな?」
「ああ。プロジェクターっていうものがあるんだ。……最初に会った時、これも思いつけばよかったな」
「まあ仕方がないさ。それにね、それを共有してもらったとしても、あまり製作時間は変わらなかったかな」
アオイによると、
「それとね、別の魔道具も試作品ができてるんだ」
と、どこからともなくアオイは大き目な長方形の箱を取り出した。
そして、その上に一回り小さな紙をセットした。
「それで、この魔道具を起動するとね」
といいつつ魔道具を起動し、
「こんな感じで紙に転写されるんだ」
と、アオイが見せて来た紙には、変顔をしたユズが転写されていた。
「ぶほっ!」
くそっ、油断した!
さっきのハヤテはブラフで、こっちが本命だったか。
そんな俺の様子を気にすることなく、アオイは説明を続けた。
「実は紙にも工夫がしてあって、光魔法を吸収するようになっているんだ。……おや? こっちもハヤテのだったはずだけど、いつの間にか変わっていたんだね」
これはアオイも知らなかったみたいだ。
……つまり、アオイにもばれないように入れ替えたのか。
そういうところは流石魔皇って感じだけど、もっと別の事に実力を発揮してほしい。
そのいたずらを仕掛けたハヤテの方を見ると、
「あの子がユズって子だよ! 前に話した通り、人間界では一番の仲良しなんだよ! この前レイとヒカリ以外に合わせることができたから、いつかヒカリにも合わせたいな~」
「あら、あの子がそうなのね。そうね。機会を作って、一度は会いに行けるようにしたいわ」
と話を上手く逸らしていて、ヒカリ対策も万全だった。
◇
その後も、魔道具について技術的な話があったけどほとんど理解できなかった。
分かったこと言えば、頭の中でイメージした映像を壁に投影する、というヒカリが作り出した魔法をヒントにした、みたいな部分だけだ。
この魔法があったから、俺がプロジェクターについて教えなくても似たような魔道具が作れたってことか。
「さて、ハクト君。この魔道具を見て何か意見はないかな? どちらも、ハクト君のいた世界には似たものがあるようだし、それを元に考えてくれると嬉しいな。ああそれよりも、プリンタとプロジェクターといったかな? それがどう使われているかを知りたいね。それと、プロジェクターとテレビという物は同じような目的で使われていそうだけど、その話も聞きたいな。あ、他にも……」
やばい、アオイが久々に暴走してる!
と思っていたら、ホムラがアオイに近づいて、そしてげんこつを……、
「アオイ。それよりも、今日皆を集めた目的が先だろ? 魔道具については、それが終わってから思う存分すりゃあいい」
……落とさずに、言葉で説得を始めた。
それを聞いたアオイは暴走を続け……
「……ああ、そうだったよ。流石に、今日はそっちを優先しないとだね」
……ずに落ち着いた。
なん……だと……。
「それじゃ、ハクト君。魔道具については、後ほど色々と聞かせてもらいたいな」
「え? あ、ああ」
予想外の事態に驚いていて、反射的に頷いてしまったけど、これ後で大変なやつだ。
……というか、ホムラも話を後で思う存分すれば、とか言っていたな。
ああ、前に魔道具について散々話を聞かされたから、俺も同じようにってことか?
まあ、ホムラが言わずとも同じことになっていそうだけどさ。
というか、アオイがこうなるくらい重要な話とは一体……。
◇
その後、魔道具の片づけをしている時に、ヒカリに話を聞くことにした。
俺が話を聞いた感じでは、テレビ電話のような魔法を開発したみたいだった。
とはいっても、自分の姿を遠くの場所で映し出すという、一方的なものみたいだけど。
なんでも、今までは通信用の魔道具を使って、問題を起こした魔族と話すということをやっていたらしいのだが、相手が本当に魔皇なのか? と疑われることが多かったらしい。
それで、最終的にはその場所に行くことになる、といったパターンになるらしい。
それが、ヒカリの姿を映しながら会話をすることで、相手から疑われることがほとんどなくなったようだ。
ヒカリの顔はみんな知ってるので、ほとんどの魔族はその指示に従うらしい。
……魔界中で知られているって、やっぱり色々とすごいな。
……前に考えた、魔皇が裁判官を任命するって案も、本当に任命されたかを証明できないと同じようなことになりそうだな。
まあ、それは後で考えようか。
まずは、今日の話が先だもんな。
……って、迎えに行くって言っていたのに、来るのはアオイじゃないのね。
「よう、ハクト。元気そうでよかったぜ! それじゃ、さっそく城に行くか!」
と、何故ホムラが迎えに来たかも聞けないまま、いつものごとく転移された。
◇
転移した先は前回来たソファが置いてある部屋、ではあるのだが、椅子の配置が違っていた。
全ての椅子の正面が正面に置かれた物体に向くよう、扇形に配置されていた。
アオイはそこで、何かの確認をしているみたいだった。
……あれが、アオイの言っていた魔道具だろうか?
そして、そのお披露目でもするって感じかな?
それと、この部屋にはヒカリを含めた魔皇全員が集合していた。
とりあえず、アオイが何をしているのか聞きに行ってみるか。
「やあハクト君。ちょっと準備に手間取ってね。すまないけど、迎えに行くのをホムラに代わってもらったんだ」
「おはよう、アオイ。それは構わないけど、準備っていうのはなんだ? やっぱり魔道具か?」
「もちろんそうだよ。この前試作品が完成したやつだね。ホムラが代わってくれたおかげで、既に準備はできているよ」
「おっ、それは楽しみだな。あ、それと他の皆もおはよう。今日はヒカリも集まれたんだな」
前回は代理を頼んだけど、結局はヒカリが解決することになっちゃったんだよな。
今回も代理を頼んでる、って感じだろうか。
それなら、今日も途中で離脱することになっちゃうかもしれないのか。
「アオイちゃんのおかげで、今日は集まることができたの。それと、今日は問題が起きても席を外すことなく解決できそうです。完全に解決した、ってわけじゃないのだけれど、アオイちゃんが作った魔道具の―」
「―おっと。その説明はちょっと待って欲しいかな。まずは、何も知らない状態で魔道具を見てもらいたいからね」
「あっ、そうだったわ。……それじゃあ魔道具の説明が終わってから、改めてお話ししますね」
◇
他の皆とも軽く話をしつつ、まずは魔道具のお披露目となった。
それと、今日は何の目的で集まったのか聞いてみたんだけど、アオイから、まずは魔道具に集中して欲しいから秘密、と言われてしまった。
ちなみに、俺の席は一番前の真正面だった。
目の前には魔道具が置いてあり、そばにはアオイが早く見せたそうにうずうずしながら立っていた。
ちなみに、他の皆はアオイの工房で既に見たそうだ。
そして、色々と説明をされたり、意見を求められたりした、とのことだった。
……もしかして、それがあったから昨日は落ち着いていたのかな?
「それじゃあ、さっそく魔道具を起動してみようか」
そう言いながら、アオイは魔道具を操作した。
すると、正面にある壁にカッコつけたハヤテの姿が投影された。
「おお! 壁に写すタイプの魔道具を作ったんだな」
魔道具でプロジェクターを再現したのか。
確か、アオイにはプロジェクターのイメージは共有してなかったはずだ。
それなのに、俺の世界にあったものを再現するとは、流石はアオイだ。
それと、なんで写っているのがハヤテなんだろう。
……ハヤテが何か企んでいる気がする。
あえてスルーしておこう。
「その反応を見ると、もしかしてハクト君のいた世界には似たような物があったのかな?」
「ああ。プロジェクターっていうものがあるんだ。……最初に会った時、これも思いつけばよかったな」
「まあ仕方がないさ。それにね、それを共有してもらったとしても、あまり製作時間は変わらなかったかな」
アオイによると、
「それとね、別の魔道具も試作品ができてるんだ」
と、どこからともなくアオイは大き目な長方形の箱を取り出した。
そして、その上に一回り小さな紙をセットした。
「それで、この魔道具を起動するとね」
といいつつ魔道具を起動し、
「こんな感じで紙に転写されるんだ」
と、アオイが見せて来た紙には、変顔をしたユズが転写されていた。
「ぶほっ!」
くそっ、油断した!
さっきのハヤテはブラフで、こっちが本命だったか。
そんな俺の様子を気にすることなく、アオイは説明を続けた。
「実は紙にも工夫がしてあって、光魔法を吸収するようになっているんだ。……おや? こっちもハヤテのだったはずだけど、いつの間にか変わっていたんだね」
これはアオイも知らなかったみたいだ。
……つまり、アオイにもばれないように入れ替えたのか。
そういうところは流石魔皇って感じだけど、もっと別の事に実力を発揮してほしい。
そのいたずらを仕掛けたハヤテの方を見ると、
「あの子がユズって子だよ! 前に話した通り、人間界では一番の仲良しなんだよ! この前レイとヒカリ以外に合わせることができたから、いつかヒカリにも合わせたいな~」
「あら、あの子がそうなのね。そうね。機会を作って、一度は会いに行けるようにしたいわ」
と話を上手く逸らしていて、ヒカリ対策も万全だった。
◇
その後も、魔道具について技術的な話があったけどほとんど理解できなかった。
分かったこと言えば、頭の中でイメージした映像を壁に投影する、というヒカリが作り出した魔法をヒントにした、みたいな部分だけだ。
この魔法があったから、俺がプロジェクターについて教えなくても似たような魔道具が作れたってことか。
「さて、ハクト君。この魔道具を見て何か意見はないかな? どちらも、ハクト君のいた世界には似たものがあるようだし、それを元に考えてくれると嬉しいな。ああそれよりも、プリンタとプロジェクターといったかな? それがどう使われているかを知りたいね。それと、プロジェクターとテレビという物は同じような目的で使われていそうだけど、その話も聞きたいな。あ、他にも……」
やばい、アオイが久々に暴走してる!
と思っていたら、ホムラがアオイに近づいて、そしてげんこつを……、
「アオイ。それよりも、今日皆を集めた目的が先だろ? 魔道具については、それが終わってから思う存分すりゃあいい」
……落とさずに、言葉で説得を始めた。
それを聞いたアオイは暴走を続け……
「……ああ、そうだったよ。流石に、今日はそっちを優先しないとだね」
……ずに落ち着いた。
なん……だと……。
「それじゃ、ハクト君。魔道具については、後ほど色々と聞かせてもらいたいな」
「え? あ、ああ」
予想外の事態に驚いていて、反射的に頷いてしまったけど、これ後で大変なやつだ。
……というか、ホムラも話を後で思う存分すれば、とか言っていたな。
ああ、前に魔道具について散々話を聞かされたから、俺も同じようにってことか?
まあ、ホムラが言わずとも同じことになっていそうだけどさ。
というか、アオイがこうなるくらい重要な話とは一体……。
◇
その後、魔道具の片づけをしている時に、ヒカリに話を聞くことにした。
俺が話を聞いた感じでは、テレビ電話のような魔法を開発したみたいだった。
とはいっても、自分の姿を遠くの場所で映し出すという、一方的なものみたいだけど。
なんでも、今までは通信用の魔道具を使って、問題を起こした魔族と話すということをやっていたらしいのだが、相手が本当に魔皇なのか? と疑われることが多かったらしい。
それで、最終的にはその場所に行くことになる、といったパターンになるらしい。
それが、ヒカリの姿を映しながら会話をすることで、相手から疑われることがほとんどなくなったようだ。
ヒカリの顔はみんな知ってるので、ほとんどの魔族はその指示に従うらしい。
……魔界中で知られているって、やっぱり色々とすごいな。
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