異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第五章 切望を 叶えた者と 挑む者

第81話 MTGの終盤に土地

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 部屋が決まったし、次は昼食だな。

 アオイに案内され、前回来た時にも食事をした部屋へと向かうと、そこには……、

「……でかっ!」

 しっかりと焼かれた巨大な肉の塊が、机の上に鎮座ちんざしていた。

 この肉、俺が横になったのと同じくらいでかいんだが。

 その周りにも、この肉ほどではないものの、調理された大きな肉の塊や、巨大な魚が置かれていた。

「おう、早かったな! 後は付け合わせのサラダとスープで終わりだぜ!」

 と、追加の肉を運んできたホムラに話しかけられた。

「もしかして、今日は魔界の料理ってやつを準備してくれたのか?」

「せっかくだしな! このでかい肉はオレが焼いたんだぜ! さっき狩りに行ったら、偶然見かけてな」

「おや、それは運がよかったね。やっぱり、調理は外でやったのかい?」

「そうだな。今日は時間がなかったんで、狩りながらってやつだ」

「ああ、たまにやっているやつだね」

 ……なんだか、不思議な会話をしているな。
 ついに、俺の翻訳がおかしくなったのかな?

「確認なんだけど、ここにある肉や魚はホムラが用意したのか?」

「このでっかい奴以外だと、これと、これと、これ。後、この辺の魚もオレがさっき取って来たぜ」

 ……やっぱり、さっき取って来た、って聞こえた。

「えっと、さっき、ってことは俺がアオイに案内してもらってた時、ってことか?」

 お城が広いとはいえ、見に行った部屋は二つだったし、会話もそこまで長くはしてない。
 せいぜい十五分くらい、ってとこだと思う。

「もちろんそうだが……。ああ、そういうことか! 肉も魚も、ちゃんと火加減を見ながら焼いたぜ!」

「あ、ああ。……いや、そこは心配してないんだけど、この短時間でこの量を狩って、しかも調理するのはすごいな、って」

 調理に関しては、鉄板焼きのお店で実際に焼いてもらったからそこまで心配はしていない。
 焼くのが早いのも、まあ火魔皇えんまこうだし、いい感じに火魔法を制御して焼いたんだろうな、と思ったし。
 
 けど……。

「多分転移で狩場に行ったんだろうけど、そんな簡単に狩りたい獲物を見つけられるのか、と思ってさ」

「ああ、そのことか。人間もそうだが、魔物にもそれぞれ固有の魔力を放出していてな。一度それを覚えとけば、魔法で周囲を探った時にどんな魔物がいるか判断できるってわけだ。よく探知魔法、って言われてるな」

「なるほどな……」

 ホムラレベルになると、かなりの広範囲を探知できそうだしな。

「そんでな。ハクトのおかげで、以前より効率よく魔物を狩れるようになったんだぜ!」

「え、どういうこと?」

 ホムラから色々教わりはしたけど、逆にこっちが何か教えたってことは無いと思うけど……。

「火魔法のゴーレムを生成する、って方法を見つけただろ? あれを応用して、ファイアゴーレムで食材を焼きながら狩りができるようになったんだ。今までは、焼きながらだと近くの獲物しか狩れなかったが、ちょっと離れたやつも仕留められるようになったぜ。ありがとな、ハクト!」

 え、何それ。

「……ま、まあ、便利に使ってもらえてよかったよ」

 と、そんな感じで話しているうちに、ハヤテたちがスープとサラダを持ってきた。



 というわけで、今日の昼食は魔界らしい食事となった。

 付け合わせはあるとはいえ、肉と魚だけだと物足りなくならないか、なんて思ったけど、全くそんなことは無かった。

 まずは何と言っても肉だ。

 牛、豚、鶏のようなものから、食べたことのないものまで、様々な肉があった。
 ドラゴンとかベアとかブルとか、それぞれの魔物の名前を教えてもらったんだけど、全然覚えられなかった。

 とはいえ、魔族の方も覚えるのが面倒で、レッドドラゴンとかブラックブルとか、色と魔物の種類で呼んでるみたいだったけど。 

 味はもちろんどれも絶品だったが、さっぱりとしたもの、肉汁があふれ出るもの、旨味がすごいものからちょっと酸味を感じるものなど、それぞれ味が違って全然飽きがこなかったな。
 それと、肉によって香りが違って、それも飽きがこない一因だった。

 ……普段そこまで気にしなかったけど、肉って香りも重要だったんだな。

 そして魚だが、赤身っぽいもの、白身っぽいもの、そのどちらでもないものと、こちらも様々なものがあった。
 けど、今回は肉をメインで食べたので、魚はそんなに色々は食べなかった。
 
 流石に種類が多すぎて、全部を制覇するのは最初から諦めていたからな。
 今日は魚より肉の気分だったので、そっちを優先させてもらった。

 ……魚の中には、見た目がちょっとあれなのもあったしな。
 
 まあともかく、今日の食事もとっても満足だった。
 ごちそうさまでした!



 食事が終わり、片づけをして元の部屋に戻って来た。

「ふぅ、お腹いっぱいだ。それにしても、どれもすっごくおいしかったよ。それに、味付けがシンプルでも全然飽きないな。確かにこれなら、複雑な調理をしなくても満足できるよ」

「喜んでもらえて良かったです」

「魔界にいる中でも、特にうまいやつが揃ってたからな! オレも、いい獲物を狩れてよかったぜ」

「それと、魔界の料理が簡単な理由をわかってもらえたみたいね」

「でもそれも、人間界の料理を知るまでだったけどね~。その日の気分で、らーめんが食べたくなったり、丼物が食べたくなるようになっちゃったからね~。もちろん、今日のもすっごくおいしかったけどね!」

「……確かに、豊富な種類のお酒とそれに合わせたつまみがある、っていうのは衝撃だったわね」

 ハヤテの言うこともわかるな。
 出かけるときに、今日は絶対ラーメンを食べるぞ! なんて思いながら家を出ることもまあまああったしな。

 ……そして、匂いに釣られて予定が変更になったりな。

 それと、お酒と言えば魔界のお酒は何があるんだろう?
 ……気になるけど、度数が高そうな気がするな。

 まあ、魔界を観光していれば見つかるだろうし、楽しみの一つにしておこう。

「……私は、人間界の食事の方が好き、かも。……いろんな味、いろんなにおいがするから」

 メイはさっき、料理が物語みたい、なんて言っていたな。
 様々な物語を読むように、色々な物を楽しみたいって感じだろう。
 

◇ 

「落ち着いたところで次の議題……の前に、ハクト君が部屋をどこに決めたか、皆に伝えておかないとだね。場所は……」

 と、アオイが俺の部屋がどこにあるか説明してくれた。
 ……よく考えたら、このお城が広すぎて迷子になりそうだ。

 さっきはアオイに案内されるまま歩いちゃったから、行き方を全然覚えてない。
 地図とかは……、流石にないよな?
 ……申し訳ないけど、道を覚えるまでは誰かに聞くしかないだろうな。

 俺の部屋がどこか知った皆が、そこで大丈夫か? 狭くねぇか? とか、部屋はたくさんありますので、遠慮しないでくださいね、なんて言われてしまった。

 それとハヤテ。
 俺の部屋に、色々なおもちゃを持ち込もうとしないでくれ。 
 狭いから全然置けないよ~、って何を置くつもりだったんだ。
  
 メイも、おすすめの本を色々紹介してくれるのはいいが、その量は俺の部屋が本棚だらけになってしまう。

「というか、おもちゃとかを並べた娯楽室とか、共用の図書室を用意すればいいんじゃないか? 部屋はいっぱいあるんだし」

 ということで、この城の空き部屋が三つ埋まることになった。



 残りの議題としては、俺はどこで生活する予定なのか、なんてものが出た。

 ……あんまり考えていなかったけど、どうしようかな。
 おそらく人間界を拠点にするとは思うけど、魔皇の皆がいる魔界で長期滞在するってこともありそうだ。 

 そんな感じの内容を言うと、滞在するための家を魔界に用意するか、俺の土地はどこにするか、なんて話になった。
 
 ……家とか土地はどうする、なんて聞かれても、正直どうすればいいかわからない。
 というか、気軽にもらうものじゃないよな、うん。

 まあそんな感じなので、家や土地に関しては保留ということにした。

 ……でも、そうか。
 今までは、教会のすぐそばにある、巡礼者用の宿を使わせてもらっていたけど、それもずっとってわけにはいかないよな。
 この世界で生活することになるんだし、それも色々考えておかないとか。

 他の議題も、俺がこっちの世界で生活するためにどうするか、という内容ばかりだった。
 俺としては助かるけど、いいんだろうか?



 一通りの議題が終わった後で、その理由を聞いてみると、

「そりゃあ、ハクトには試練に集中してもらいたいからな。これも、オレたちからの手伝いってやつだな!」

 とホムラから言われ、皆も同意するように頷いていた。

 ……これは、なんとしても試練を達成しないとだな。
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