異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

文字の大きさ
91 / 161
第五章 切望を 叶えた者と 挑む者

閑話 バレンタイン特別編

しおりを挟む
別サイトにてキャンペーンに参加するため、バレンタインの日に掲載していたお話です
______________________________________


「ハクトさん。異世界にはバレンタインデーという文化があるそうですが、何故チョコレートを贈るのでしょうか?」

 それは、いつものようにソフィアの手伝いをしていた時の事だった。
 
「確か、チョコレートを作っている会社がその日はチョコレートを贈ろう、みたいな宣伝をしたから、だったかな? 所説あるみたいだけどな」

「そうなのですね。……こちらの漫画では、買ってきたチョコレートを一度溶かし、型にはめて再び固めていますが、味は劣化しないのでしょうか?」

「え?」

 ……言われてみれば確かに。
 溶かして再度固めるってだけだと、そうなりそうな気がして来た。

「……味はどうなるかわからないけど、ほら、愛情とか心がこめられているからさ。心のこもった食べ物って、なんとなく食べると心がホッとしたりするし」

「そうなのですね。……ですが、このチョコレートは義理チョコだと言って渡していますね。もしかして彼女はチョコレート作りに自信があるのでしょうか?」

 そうしてそうなった。

 とりあえず、この漫画の流れ的に彼女は照れ隠しで言っていること、貰う側も味よりもこの日にチョコレートを貰うということが嬉しい、なんて説明をした。

「そうですか。私はいつチョコレートを貰っても嬉しいですね」

 ……あれ? 遠回しにチョコレートを催促されてる?
 いや、いつものソフィアってだけだろうな。

 なんて思っていると、

「……私も、チョコレートを貰えると、嬉しい」

 と、いつも通りよく来ているメイが話しかけてきた。

 それを聞いたソフィアは

「なるほど。……でしたら、本日はチョコレートを使ったデザートを作りましょうか」

「……大賛成」

 ……貰えると嬉しい、じゃなくて、食べたいってだけだな。

 まあ、二人らしいけど。

 というわけで、今日のデザートにガトーショコラを作った。
 参考にしたレシピがよかったのか、生チョコみたいに濃厚で、すごくおいしかった。

 それにしても、今日は大量にガトーショコラを作ったな。
 二人は、それだけチョコレードが食べたかったのだろうか?

 なんて思っていると、

「では、皆さんに配りに行きましょうか」

「……モニカにも、食べてもらう」

 と、ガトーショコラを小分けにした。

 ああ、そうか。
 自分が貰って嬉しいから、皆にもその嬉しさをおすそ分けしよう、ってことなのか。

 教会の皆はもちろん喜んでくれて、モニカも

「え!? 今日は何かの記念日ですか!?」

 なんて嬉しそうに(?)していた。

 ……この時俺は忘れていた。
 ホワイトデーというものが存在することを。

(たぶん続かない)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

処理中です...